まず、絵がとても良い。美しい顔と身体、真に迫った表情と目力、描写に圧倒される。作者はBL初心者だそう、そうなの!?
ドムサブはなんとなく展開が読めてしまう作品しか出会ったことが無かったのだけど、これは先がまったく読めない。まさに愛憎劇であり、昔の昼ドラみたいに次々と展開する泥沼においていかれないように読者が必死についていく感じ。初見のコマンドが色々出てきてうわわわわ…そんなことまで!?と、設定をあらゆる手で使い倒したストーリーが凄い。
ラストはそうくるかという気もしたが落ち着くべきところに落ち着いたという感じでホッとする。ただそこに至るまでの展開がもっと欲しかったしその後も読みたいので少々物足りないかも。しっかり読ませる物語なので二巻とか三巻あっても良かったのでは?
三人のキャラクターが通り一遍ではなく、三人三様でそれぞれが自分の思惑と欲望で動いていて、都合のいいキャラクターはいない。最初の方は婚約者が当て馬のように見えて少し読み進めるのが辛いので3Pで全員がハピエンというのをネタバレしておこうと思う。自分の欲望も離さずだけど主人公への愛ゆえに動く婚約者がめちゃくちゃいいやつで泣ける。みんなが主人公を愛している。
描き下ろしで婚約者のその後が描かれてあったので一安心。(短いし物足りないけど!)
作者も同じようなことを言っているが、ほんわかラブが好きな人は手に取らない方が良い一冊。