前巻同様、ハラハラドキドキが続き、ストーリーは面白かったです。
今回は蓮も巻き戻りをしていない0回目に海路だけが戻り、海路の記憶を頼りに海路と蓮が協力し合って光一の死を回避する、という初めてのパターンでした。
結局、何度タイムリープしても光一が死んでいたのは、事故で死ぬはずだった蓮を助けたことで、死ぬ運命が光一に移ったから、という真相のようでした。
その死神の呪いが最後は光一から海路に移り、バイクが勝手に暴走して、逃げるために二人とも海に落ちましたが、結局二人とも助かります。そこでようやく死神も諦めたんだろう、という着地点でした。
蓮がタイムリープできたのは、亡くなったお父さんが、蓮が死なずにすむよう死神と交渉したんじゃないかという推測で二人とも納得して、すっきりした感じで終わっているのですが、とばっちりで何度も死ななければいけなかった光一のことを思うと、とてもよかったとは思えなくて、ちょっと後味の悪さが残ってしまいました。
誰かを助けることで死ぬ運命が他人に移ったり、バイクを暴走させるような力が死神にあるのなら、一度目の巻き戻りで蓮が光一を最初の死亡フラグから助けたとき、どうして死ぬ運命は蓮に移らなかったのだろうと思います。
それまでは蓮が巻き戻れば海路も一緒に巻き込まれていたのに、なぜ最後だけは海路と蓮で巻き戻りがずれてしまったのかも、納得できる説明はありませんでした。
そういった細かいところがちょこちょこ気になりましたが、ハラハラドキドキしながら続きを追うことができ、無事に光一を助けることができ、思いを伝え合えた二人を手放しで祝福することができ、満足度の高いお話でした。
他の方も書かれているように、今回はほぼ遠野と矢口の回でした。
遠野は矢口のジュリエット姿を見てヤッちゃんラブだし、最後は文化祭の演劇が終わったところで矢口が遠野にキスまでして、このまま矢口×遠野でカプ成立するのかな?と思ったくらい。加島×遠野推しで三人エンドも苦手な私には、加島がほぼモブ状態で読むのが辛かったです。
遠野がどうしても演劇の台詞を覚えられなかった理由も、シリアスな感じになって何か精神的な理由があるのかなと思っていたら、まさかの百合君の催眠術だったという。
唯一の萌えどころが文化祭を口実に会いに来た秋澤さんと先生でした(番外編)。
元々、シュールでギャグ系に振り切れた話ではありましたが、加島×遠野というBL的な萌えどころを目的に読んでいたので、そろそろこの三角形の結末を見たいです。
受けが時間を巻き戻って、お人好し過ぎてブラック企業に就職し過労死してしまった攻めを死なせないようにしようとする話。死に戻りではなく、謎の人物(天使?)が願いを叶える形で過去に戻される。
戻ったのは貴文(受け)が湯峰(攻め)にフラれた直後でした。一度目の人生ではそこから疎遠になり、湯峰が亡くなった後で訃報を知り後悔したので、貴文は友達でもいいから湯峰との縁を切らさないようにしようと考えます。
最初は湯峰に拒絶されるのですが、人の好さにつけこむ形で友達ポジションに収まり、彼がブラック企業に就職するのを阻止しようと画策します。しかし、湯峰の実家にまで行くようになったせいで、ベッドでイチャイチャしているところを彼の父親に見られてしまい、再び距離を置かれてしまいます。
結局、湯峰はブラック企業に就職し、貴文は司法試験の予備試験に落ちて、一度目以上に最悪の事態に陥ってしまいました。けれど、一度目の人生では知らなかった、湯峰や育ての叔父・叔母の本音を知ることができ、貴文自身も打ち明けることのできなかった素直な気持ちを打ち明けることができました。
湯峰がブラック企業に就職したのは、疲弊している先輩をやめさせるためでした。先輩をやめさせた後、湯峰も早々に退職し、彼も一度目よりは自分の意志を通すことができるようになっていたおかげで、二人はよりを戻すことができました。
巻き戻ったから全て上手くいくのではなく、空回りする中で、それでも必死に湯峰を守ろうとする貴文の健気さがよかったです。お人好し過ぎる湯峰も、どうにか生き永らえてほしいと応援したくなるキャラでした。
潜入捜査ものが好きで読んでいるこちらのシリーズ。薬物捜査のために潜入したクラブで受けがホステスに誘われヤクザの事務所に連れて行かれる→刑事であることが顔バレし、始末されかけたところを攻めが助けにくる→その後、潜入したいかがわしいパーティー(薬物使用の疑いあり)でも急に会がお開きになる。という流れからの本巻でした。
今回は攻めが潜入していたクラブでチンピラに絡まれ、怪我をした状態で「匿ってくれ」と受けのマンションに来る→受けが攻めに誘われサシ飲みし、話が弾んで酔い潰れて寝てしまう→起きたら攻めの家で裸でベッドに寝ていた。という流れで、実は情報漏洩の原因究明のため、薬を使って受けを眠らせ、その間に受けのマンションや衣服を勝手に捜査していた、という話でした。
受けの親友の梓が闇の帝王的な存在でヤクザに顔バレしていたのはヤクザが受けの親友である梓をマークしていたからでしたが、受けのマンションには監視カメラや盗聴器などが取り付けられていて、それを取り付けたのは梓だろうというところで話が終わっています。
情報漏洩の原因がわかったことはスッキリしましたが、チンピラに暴行された攻めが受けのマンションに来たことについては、梓のことを疑っていたのに何故来た?と気になりました。あと、サシ飲みで眠らさせて攻めの家で目覚めたあと、連れて行かれた先が軽井沢の別荘だったので、それについても何故軽井沢まで行く必要があったのか気になっています。
4巻に入り受けは攻めのことを恋愛的な意味で意識し始めているようですが、仕事の上で受けの成長が感じられないので、次巻はもう少し成長を感じられる展開を期待したいです。
ストーリーは面白かった。
GWが明けてガラリと印象が変わった片思いの相手。彼が終始付き添っていた幼馴染が亡くなり、そのお別れの会の後、主人公が彼と一緒にタイムリープしたことで、彼が急に変わった理由を知ることになる。事故で亡くなる幼馴染を助けるために彼は何度もタイムリープしていて、今回が5度目のタイムリープだった、という話でした。彼に巻き込まれる形で主人公もタイムリープを繰り返すことになります。
GWを境に攻めが受けを名前呼びするようになるのですが、それまでは名前呼びされるようなエピソードが何もなかったので、まだ巻き戻れていない時間(0ポイント)で何か親密になるような出来事があったのだろうなとは思っていました。
今回の巻の最後だけタイムリープのやり方が違っていて、毎回、花束を端から投げるのが巻き戻りのトリガーだったのが、最後は花束より先に受けが川に身を投げたせいか、受け一人が巻き戻ります。その巻き戻った先が今までは戻ったことのない0ポイント(攻めもまだ巻き戻りを経験していない攻めにとって最初の高校3年生)でした。
この0ポイントで幼馴染の命を守れれば、巻き戻りのループを止められますが、そうなると、巻き戻りを繰り返し、心を閉ざしてしまっていた攻めとは会えなくなってしまいます。
その究極の選択を提示されたところで次巻に続く、でした。
飽きさせない展開でストーリーはとても面白かったです。
ただ、受けのことを守るためだとしても、受けが自分のことを好きだとわかっていて「お前が死んでもやり直さない」と突き放す攻めには今のところキュンとくるポイントが少なめでした。
タイムリープするたびに毎回事故死してしまう幼馴染も、電車に轢かれたり母親の運転する車に轢かれたりとかなり死に方も悲惨なので、ストーリーの都合上、仕方のないこととは言え、善人で医者になろうと努力している彼が二人のハピエンのために何度も悲惨な目に遭わなければいけないのはすごく可哀相だなと思いました。
0ポイントで助けることができれば、悲惨な死はなかったことになりますが、やはり読者としては、そこに至るまでの過程を知ってしまっているので……。
そのあたりが、モヤモヤしない形でラストを迎えられたらいいなと次巻に期待しています。