ネタバレタグは念のため。
DMMブックスで購入。
ちるちるには同じ名前で2作品掲載されているが、こちらが最初から最後まで読めるコミックス版。
良かった点
・主役二人はラブラブ
兄が障害を負う以前から義兄弟であり恋人同士のふたり。すれ違いはするものの、物語の終わりまでちゃんと互いに愛し合っています
・欠損だけではない
スタートは欠損ですが、そのあと失明と義手の要素も加わります。個人的には嬉しかったです。
・しっかりメリバ
途中まさか別離エンドかとハラハラしましたが、最後まで二人は一緒です。どんな形であれ。
以下、気になった点
・欠損の扱い
倫理的にどうなの?などという話ではなく、濡れ場は数回で内容もアッサリ。それはこの作品自体が物語重視で一冊完結なので納得がいくが、そのシーンにおいて欠損が普通の拘束以上の意味をなしていない事が気になった。どうせだしもうちょい欠損を活かした場面があったらなあというワガママ。
・演出
絵自体は非常にすっきりしていて綺麗。ただ、綺麗すぎて物語に絵の迫力が追いついていないな、と思う場面が多々あった。クライマックスに近づくにつれそれが増えるのが勿体ない。
・口絵
コミックスには口絵があるが、表紙絵を背景だけ差し換えたもの。あくまでおまけとはいえ意味ある?という感じ。
幼児退行BLに惹かれて購入。
田舎でのほのぼのした日常と、二人がそこに至るまでに何があったかが徐々に明かされるシリアスとのバランスが素晴らしい作品。
開始時点で素性不明な二人を受け入れた島の人々は優しく、あたたかな田舎の風景に癒される。
また伏線も丁寧で、読み返す楽しみもある。
ただ一点肩透かしだったのが、購入の決め手であった、「悠太の幼児退行」に仕込まれた仕掛け。
もちろんそれが、物語をハッピーエンドとして締めくくるうえで欠かせない仕掛けであることは確か。精神的な障害は商業として一般販売するのには扱いの難しい題材でもあるし、文句なしの落としどころではあるだろう。
純粋な幼児退行を期待して手に取った変な趣味の読み手としては少々残念だったので、これだけは書き添えておく。