αも薬を飲んだら妊娠ができる設定。
帝国騎士団の団長であるαのテオが、薬を使ってαでも妊娠できる「スミルナ」になり、革命軍のリーダーであるαのスレムと一夜の過ちで妊娠してしまう。
αしか生まれない家系だから「スミルナ」になって妊娠するという設定だったけど、Ωの妻を迎えるという選択肢はなかったのかな、という点は気になりました。
愛情表現豊かなスレムと感情を表出するのが苦手なテオの組み合わせはすごくよかったです。雄々しいのに淫らなテオが最高でした。
スレムのチート能力が後半爆発していて、そもそもこんな最強なのに何で捕らえられたんだ?とか、引っかかる点がちょこちょこあったので、そういったモヤモヤがなければもう少し評価が上がったと思います。
潜入捜査ものが好きで読んでいるこちらのシリーズ。薬物捜査のために潜入したクラブで受けがホステスに誘われヤクザの事務所に連れて行かれる→刑事であることが顔バレし、始末されかけたところを攻めが助けにくる→その後、潜入したいかがわしいパーティー(薬物使用の疑いあり)でも急に会がお開きになる。という流れからの本巻でした。
今回は攻めが潜入していたクラブでチンピラに絡まれ、怪我をした状態で「匿ってくれ」と受けのマンションに来る→受けが攻めに誘われサシ飲みし、話が弾んで酔い潰れて寝てしまう→起きたら攻めの家で裸でベッドに寝ていた。という流れで、実は情報漏洩の原因究明のため、薬を使って受けを眠らせ、その間に受けのマンションや衣服を勝手に捜査していた、という話でした。
受けの親友の梓が闇の帝王的な存在でヤクザに顔バレしていたのはヤクザが受けの親友である梓をマークしていたからでしたが、受けのマンションには監視カメラや盗聴器などが取り付けられていて、それを取り付けたのは梓だろうというところで話が終わっています。
情報漏洩の原因がわかったことはスッキリしましたが、チンピラに暴行された攻めが受けのマンションに来たことについては、梓のことを疑っていたのに何故来た?と気になりました。あと、サシ飲みで眠らさせて攻めの家で目覚めたあと、連れて行かれた先が軽井沢の別荘だったので、それについても何故軽井沢まで行く必要があったのか気になっています。
4巻に入り受けは攻めのことを恋愛的な意味で意識し始めているようですが、仕事の上で受けの成長が感じられないので、次巻はもう少し成長を感じられる展開を期待したいです。
ストーリーは面白かった。
GWが明けてガラリと印象が変わった片思いの相手。彼が終始付き添っていた幼馴染が亡くなり、そのお別れの会の後、主人公が彼と一緒にタイムリープしたことで、彼が急に変わった理由を知ることになる。事故で亡くなる幼馴染を助けるために彼は何度もタイムリープしていて、今回が5度目のタイムリープだった、という話でした。彼に巻き込まれる形で主人公もタイムリープを繰り返すことになります。
GWを境に攻めが受けを名前呼びするようになるのですが、それまでは名前呼びされるようなエピソードが何もなかったので、まだ巻き戻れていない時間(0ポイント)で何か親密になるような出来事があったのだろうなとは思っていました。
今回の巻の最後だけタイムリープのやり方が違っていて、毎回、花束を橋から投げるのが巻き戻りのトリガーだったのが、最後は花束より先に受けが川に身を投げたせいか、受け一人が巻き戻ります。その巻き戻った先が今までは戻ったことのない0ポイント(攻めもまだ巻き戻りを経験していない、攻めにとって一度目の高校3年生)でした。
この0ポイントで攻めの幼馴染の命を守れれば、巻き戻りのループを止められますが、そうなると、巻き戻りを繰り返し、心を閉ざして一人で孤軍奮闘していた攻めとは会えなくなってしまいます。
その究極の選択を提示されたところで次巻に続く、でした。
飽きさせない展開でストーリーはとても面白かったです。
ただ、受けのことを守るためだとしても、受けが自分のことを好きだとわかっていて「お前が死んでもやり直さない」と突き放す攻めには今のところキュンとくるポイントが少なめでした。
タイムリープするたびに毎回事故死してしまう幼馴染も、電車に轢かれたり母親の運転する車に轢かれたりとかなり悲惨な死に方をしているので、ストーリーの都合上、仕方のないこととは言え、医者になろうと努力している善人の彼が二人のハピエンのために何度も悲惨な目に遭わなければいけないのはすごく可哀相だなと思いました。
0ポイントで助けることができれば、悲惨な死はなかったことになりますが、読者としては、そこに至るまでの過程を知ってしまっているので……。
そのあたりが、モヤモヤしない形でラストを迎えられたらいいなと次巻に期待しています。