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まるで恋愛小説のような

小嶋ララ子さん。大好きです。
ほとんどの単行本は読みましたが、この作品が一番好きです!チルチルではララ子さんの代表作は「君とパレード」となってるのでこの作品から入る人が多いんじゃないかと思うんですが、わたしは断然「きみにうつる星」をオススメします!!

ララ子さんについての感想ですが、絵はすっごくかわいいんです。男の子の絵にしてはちょっとかわいすぎるくらいにかわいい。でもかわいいだけじゃなく表情がうまい。とくに切ない表情!!彼らの心が痛いほど伝わってきてこっちまで顔を歪めてしまいます。
そして展開のスピードが遅すぎず早すぎず、ちょうどいいのでストーリーがすっと染み込んでくる。やっぱり恋愛ものってリズムが大事だと思うんですよね、BLに限らずとも。
なにより一番のポイントなのが、台詞回しがうますぎること。言葉のチョイスが素晴らしいんです、ほんとに。台詞だけで泣けちゃう。少女漫画に近いものがあるかもしれません。

表題作の中でとくに好きな台詞を。
「底から感じるジリジリとした熱の音は まるで恋に落ちていく音のようだと思った」
「こわくないなんて嘘だ 一緒にいるだなんてそんな約束無責任だ それでもオレは オレは 沼尻の傍にいたいんだ」
これらの台詞にすごく素敵な絵が合わさると破壊力凄まじいです。

ララ子さんについて語ってしまいましたが表題作について掘り下げます。
沼尻やばいです!!!かわいい!!!(興奮)
明るく振る舞うその内側には暗いものを抱えています。
ネタバレになりますが沼尻はもともと同性愛者なんですね。それが原因で親と不仲になり、唯一好きに生きろと言ってくれていた祖父まで亡くなってしまって。
BL漫画の世界ってなぜかホモ公認だったり、本人たちはさして気にしていない様子だったりというものが多いので、こうして同性愛特有の悩みが語られているのは珍しい気がしました。
和也は和也でとても魅力的なキャラクターなのですが、わたしには沼尻のインパクトが強すぎてあんまり語れないです。すみません。(笑)

同時収録作品の「七度目のごめんね」は痛々しいお話でした。衝撃的すぎて泣いたなあ……。読み返すのを今でもちょっと躊躇うくらいにはショックを受けました。この絵柄でこんなに酷で悲しい話をかくのかと。
誰が悪いわけじゃないと思うんです。もちろんお母さんは許されないことをしたし、サトルも罪を犯してしまう。それでも、お母さんは元はトオルを無条件で愛していただろうし、ただどうにもならない感情が抑えられずおかしくなってしまった。一度崩壊すると戻ることは難しいですから、ずるずるとトオルの存在を黙殺し、そして虐待…。そんな背景があったのではないかな、と。
願わくば、サトルが釈放された後はトオルと幸せになってほしいです。

その他「恋の淡いの」「あふれたら最後」に関してはわたしはあまり印象には残らなかったかな〜という感じです。
設定が好みじゃなかったからかも。不倫とか、ハッテンバとかはあまり趣味でないので…。

ララ子さん、これからも期待しています。
かわいらしい絵と繊細なお話と台詞回し、全てが合わさってララ子さん特有の世界観がつくられていて、それがドンピシャにわたしの好みなので心酔せざるを得ないです。
かわいらしい絵柄が好みで、柔らかくどこか切ないお話が好きな方でしたらきっとララ子さんの虜になると思います!