かなり若い頃に読みました。ミサキとハルはこの瞬間にもどこかで生きていて、流されながら、もがきながら歩み寄っているのではないかと思いを馳せてしまいます。ゆっくり進む季節の中で2人の関係性がダイナミックに変化していくところにも目が離せませんし、何度も泣きました。コマ割り、線画やトーン、セリフ自体ははかなりスッキリしているからこそ、本当に“世界”を見せられているような気持ちになります。この漫画の言葉は詩的でいて、しかし変に力まなくても心にすとんと落ちてくる素直な言葉ばかりで綺麗です。一コマ一コマの切り取り方が美しい上に、もっと大枠で捉えると一読目ではわからなかった彼らの心情が浮かび上がってきます。ここに作者さんの美学が現れているのかなと思いました。私が今まで読んだものの中でで一番好きなBLだったので、記念すべき初レビューはこの漫画にしました。