ちょっとヘタレだけど真っ直ぐなコジカちゃん。
人との関わりを極端に避ける不器用な糸島。
そんな二人が一生懸命に恋をする。
その姿が本当にいとおしいです。
男性同士だからこその葛藤、手探りの恋。
優しく、あたたかく、時に切なく、ゆっくりと進む恋。
ポンポンポンとは進まないお話ですが、そこがこのお話の魅力です。
ゆっくり歩みよる二人に、心がふわっと、じんわりとあたたかくなりました。
レビューを拝見してると、風子さん視点のお話は賛否両論のようですが、わたしは大好きです。
高校生のお子さんがいる風子さんですが、20歳のわたしでも風子さんに至極共感しました。
人間関係の難しさも、
家族とのすれ違いも仲直りも、
「ぜんぜんだいじょうぶ」も、
告げることも叶うこともない恋心も、
ずっとタンスにしまわれているワンピースも、
全部心に響きました。
悲しいわけでも苦しいわけでもないのに、涙が出ました。
風子さんという人が、本当に好きだと思いました。
工場が舞台という決して派手ではない設定ですが、それがこのお話をより良いものにしていると感じます。
今この瞬間も香鹿と糸島は生きているんだと、そう思えます。
阿賀先生のお話はどれも、二人が今もこの世界のどこかで一生懸命に恋をしていると思えてしまうお話です。
男性同士の恋ですが、それくらい自然にスッと心に入ってくるお話です。
恋愛はもちろんですが、彼らの人柄、生き方にもぜひ注目していただきたいです。