黒瀬も柏木さんも、ふたりが再会するまでにどんな風に生きてきたのか、漫画内で描かれない部分も容易に想像ができる。人物像がしっかりしていて、過去のトラウマや葛藤や一途な想いが途切れることなく、それぞれの人生を生きて再会に至ったのだと切なくなる。
だからこそ黒瀬は名乗りでないし見守るのみに徹していて、けれどどこか隠しきれない優しさが台詞無しの表情だけでも読んでいる側には伝わってきて堪らなくなる。
柏木さんもあの出来事があってすぐ遠くから応援しようと決意したことも、色々が繋がって黒瀬を思って涙する時も、濁すことだって出来るのに逃げずに前を向いていることが苦しくて……。
むしろ柏木さんのために「関わらないでほしい」と伝えたのが黒瀬自身で、先生から言われたその気持ちを汲んで柏木さんはあえて誰か探さなかったのだろうとさえ思えてくる。
きっとお互い他の誰かを選んで生きることも出来たふたりだけど、本当に偶然の再会でやっと触れあえた今、このふたりでたくさん幸せになってほしい。
別に当人たちは今までが物凄く不幸だったと思わせてはいないのだけれど、ただひたすらこの先の起こる何でもない普通のことを普通に楽しんで幸せを感じていってほしいと願ってしまうふたり。
因みに本編以外の書き下ろしはそんなふたりのその後を見ることが出来るのでどの特典もおすすめです。
時系列もなんとなく感じてやっぱりふたりが生きている時空を感じられて良い。
もちろん続編が出たらめちゃくちゃ見たいです。
相変わらず黒瀬は柏木さんに一途で、柏木さんはそんな黒瀬に天然無自覚甘え上手なんだろうなーって。
モテるよね、柏木さんは……本当にかわいい。
いやでも黒瀬なら安心です(なんか今さらだけど黒瀬だけ呼びすでてごめんなさい)
最後に、最初同一人物と気づかないくだりは気になる人もいそうだけど、黒瀬は余程仕事とジムで纏う雰囲気違うんだろうな、メガネの度も半端ないんだろうなと自己完結している。(あと失礼かもだけど柏木さんがあまり人の顔とか覚えてない印象もある)
とにかく個人的には好みドンピシャの内容とふたりでした。