百瀬あん先生『ナカまであいして』3巻は、恋人同士としての関係性が安定し、二人の甘さを存分に味わえる巻でした。出会った頃のぎこちなさがほとんど消え、お互いを信頼し合う空気が自然に描かれていて、読んでいる側も安心感に包まれます。特に、何気ない日常の中で見せる優しさや思いやりの積み重ねが丁寧に描かれており、「一緒にいるのが当たり前」という関係に成長しているのが嬉しかったです。百瀬先生らしい柔らかなタッチと表情の描写も魅力的で、幸せそうに微笑む二人の姿が印象的でした。ドラマチックな山場がなくても、心地よい温度感で読者を満たしてくれる、シリーズの中でも特に甘さを堪能できる一冊です。
百瀬あん先生の『ナカまであいして』一巻は、王道のラブ展開に独自の可愛らしさとテンポの良さが加わった、とても読みやすい作品でした。キャラクター同士の掛け合いは軽快で、照れや戸惑いが自然に描かれているため、甘いシーンに入っても違和感なく気持ちを持っていかれます。特に受けの素直さと、攻めが少しずつ心を許していく過程が丁寧で、恋愛が「段階を踏んで深まっていく」心地よさを感じました。エロシーンも多めですが、ただの刺激に留まらず二人の絆を強める意味を持たせているのが良かったです。画風は柔らかく、表情の描き分けが巧みで、キャラの心情が目元や口元から伝わってきます。一巻の段階で関係は進展しつつも余白が残されており、続巻でどう成長していくのか楽しみになる構成でした。