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プロフェッショナルを照れさせる『お国言葉』の演技

これは古川慎さんのファンはシビれるでしょうね~。

「言語」に興味があるため、方言がどうしても気になり購入してみました。

母国語(あえての言い回しです)はアイデンティティなので、古川さんご自身もアフタートークでおっしゃっていましたが、素で使ってきた言葉で別人格の「カッコいい男」を演じるのは、これまでにない戸惑いや照れを感じたとのこと。

茨城編を演じられた江口拓也さんも似たようなことをおっしゃっていたので、演技としてスパッと別人ではなく、どこかに「自分」が含まれているような感覚になるのでしょうか?

そうだとしたら、数多い古川慎さんの出演作の中でも異質な演技の貴重な1枚に数えられる気がします。

田丸篤志さんは埼玉県のご出身とのことで、劇中でも不自然ではない設定で、基本は標準語でした。

古川さんは低音イケメン、田丸篤志さんはやや高めのお声で演じられています。

古川さん×田丸さんの字面を見て熟練のBL視聴者たちは、「こりゃあ、エロいことになりそうだ!」と脊髄反射しそうですが、こちらは性的な絡みよりも古川さんの熊本弁に悶える要素が多かったです。

方言がメインにフィーチャーされた作品なので、ストーリー自体にひねりはなく、同郷(熊本)の幼馴染みが東京で再会して両想いになる王道ハッピーエンドです。

これは個人の好みの問題で作品や声優さんへの評価とは別なのですが、田丸さんの声も演技も本当に好きで、しみじみいいなと思うのですが、受け喘ぎだけはどうしても好きになれず、残念ながら萌えられませんでした。

同じく古川さんの声も演技も、すごいなと毎回思うのですが、攻め喘ぎがどうにも苦手で萌えられず、この作品の絡みシーンは真顔で距離を置いた視聴となりました(笑)

ただ、わざわざ手を出した甲斐があるくらいには古川慎さんは低音熊本弁で攻めておられましたし、田丸さんは安定の演技力で受けておられました。

方言萌えや、古川慎さんのファンであれば手にして損はない作品だと思います。

エロなしで漂う色気

「あわいろ絵巻」の音声作品でふじとび先生を知り、ノスタルジックな作風に魅了されて、スピンオフのこちらの作品も購入してみました。

登場人物の生死観や言動に古来からの神道や仏教思想、神様にまつわる民話の空気を感じさせるファンタジーでした。

「真の悪人」は登場せず、最終的に誰もが救済されます。

心を抉るような闇のストーリーやバッドエンドをご所望だと、学校推薦図書くらいの健全さに感じられると思いますが、たまにはこれくらいの清々しい性善説を求めてもよいかと。

あわいろ絵巻では、「いいヤツだけど、うぜぇな」と思っていた一徹がカッコよく思えるストーリーで、大和が生真面目で規律に口やかましい理由も明かされます。

幼い時から期待を背負って犠牲しにしてきたものが報われなかった失意を想うと、いたたまれない気持ちになりました。

あわいろ絵巻で感じたのですが、この作品にも性行為とは直結しないセクシーさ、性的な描写はないのにカップルの関係性から漂う色気を感じました。

性的な描写は軽いキスのみなのに、その前後のやり取りで総合的になんかエロさが漂います。

登場する動物たちが、実在、架空を問わず、いちいち姿や仕草が可愛らしくて、ふじとび先生ご自身が動物好きなのだろうな~と微笑ましくなります。

書き下ろしの「あわいろ絵巻」のショートストーリーもよかったです。
出雲のようなタイプの色っぽさがヘキなのでたまりませんでした。

ここでも、こぎつねの山吹が実に可愛らしくて、ストーリーにがっつり食い込んでくる訳ではないのですが、なくてはならない存在でした。

「行きたい場所」でうっすら感じた苑生先生のヤバさ炸裂(笑)

「被写界深度」と「兎の森」以外に唯一、商業誌に掲載された苑生先生の作品「NASU」読みたさに古本で探して購入しました。
(発売2019年、発見&購入2025年)

BL界には音声作品から入門しているので漫画と漫画家さんをほとんど知らないため「NASU」の感想のみで失礼いたします。

苑生さんの「被写界深度」も「兎の森」も美麗な絵柄のシリアスな内容で、激重エピソードが含まれていたりするのに、随所にふざけた抜け感があり、この絶妙さが苑生さんの真骨頂のように感じていましたが、「NASU」に関しては抜け感に全フリされており、内容がバカ過ぎてずっと笑っていました(笑)

細かいことは全てはしょられた24ページの短編で、わかることは元ホストが新潟で茄子の栽培をしており、その茄子に不埒な理由で魅了された男が東京から彼を訪ねるというぶっ飛んだ話です。

なまじ絵が美しいので、真顔の変人たちを遠巻きに観察しているような滑稽さがありました。

現時点では電子書籍でも販売されていないようなので掲載紙が入手できたのは、本当にラッキーでした。

「被写界深度」と「兎の森」の世界観を期待する真面目なファンには衝撃作ですが、「被写界深度」の上下巻購入全員プレゼントの「行きたい場所」を読まれて、苑生先生のヤバさをうっすら感じ取っていたファンには納得の作品だと思います(笑)

体調を崩されていらっしゃるのか、SNSに新年のポストをされる以外にお見かけしませんが、兎の森の続編を今も心から切望しています。

いかにも音声化されそうな作品なのに、されておらず意外

この作品を読む直前に、BL作品ではありませんが美形の鬼が人間以上に良いヤツ設定の話を読んでいたこともあり、鬼イメージが爆上がりしています(単純)

ストーリーは鬼×人間ですが、登場する鬼たちの容姿も振る舞いもほぼ人間と変わらず、違和感なく読み進められました。

陽気で可愛らしく、甘々な展開なのですが、そんな世界観にいきなり激重性被害が差し込まれてきて、ここだけは真顔で引いてしまいました。

京の性的不能の理由はああいう形の性被害でなくてはならかったのかなと思っています。

回想シーンでは、まだ少年の頃の出来事のようなので、それからどれだけの年月を精神的、肉体的ダメージとともに過ごしてきたのかと思うと、色々と設定がカジュアルすぎやしないかと重く受け止めてしまいました。

京の性被害のトラウマからくる性的な関係への抵抗感は最初は蓮の妖術によって快楽へと導かれ、やがて心を伴う真の救済へと変化していくのですが、

行為そのものの描写よりも、目線や行為前後の仕草の方が色気が感じられて印象的でした。
(絡み描写自体は巻末の蓮の生みの親の短編の方がエロい気がしています)

両想いになり、京も心身ともに救われてめでたしめでたしで終了していたら、ありきたりのどこにでもあるストーリーですが、この作品が良いなと思ったのは京が自分が亡くなった後のことを気にかけている様子が描かれていたことです。

鬼と結ばれたら人間の京が先に寿命を迎えるのは変えられない運命で、残される蓮の寂しさへの憂い、蓮が自分以外の誰かと愛し合う日がくるかもしれない未来、ハッピーエンドですが、想いを巡らせると切なくなります。

性被害のエピソードは個人的に受け入れがたいところがありましたが、それ以外はコミカルでありながら、ずっしりと心に爪痕を残す印象深い作品でした。

あと、画力の高い方のロン毛のハーフアップ絵は魂の潤いに貢献するとしみじみ感じました。(己のヘキ)

「排泄物を含まない体液全て」のインパクトとエロさ

「ケーキバース」を知らなくても聴き進めていくとすぐに理解できて、予備知識なしでも充分に楽しめる作品でした。

ここでは「ケーキ」が松岡禎丞さん演じる久遠稔世くん、「フォーク」が中島ヨシキさん演じる桐谷達成くんですが、
このケーキバースという設定のおかげで、エロさに信頼のおけるお2人がトントン拍子に絡み合って下さるので、特殊設定を理解する前に引き込まれると思います。

松岡禎丞さんの真骨頂であるモラトリアム期の儚い声で冒頭から中島ヨシキさん演じる桐谷先輩に求められるままに身体を提供する展開は良すぎました。

劇中で「フォーク」は味が感じられないとサラリと語られるのですが、生きていく上で味覚がないというのは、想像を越える辛さだと思われます。

それがいきなり味の中でもとりわけ魅惑的な「甘さ」を感じてしまったのですから、そりゃあもうガツガツ求めるのは仕方がありません。

2にんの関係はフォークの「お食事」のバリエーションを楽しむ方向で進展していきますが、途中からいきなり2年後に話が飛び、大学で再会してからは拗らせた両肩想いの停滞期に突入します。

ここはコミックスであれば、目で状況を追えるので気にならなかったのかもしれませんが、音声ではそれまでの展開がスピーディだっただけに非常にもどかしく感じてしまいました。(個人の感想)

しばしの停滞期間を経て、再び関係が進み始めますが、そのきっかけを作った稔世くんが、それまで能動的な意思表示が希薄な様子とは打って変わって大胆で、想定外にエロいヤツだったところは刺激的でした。

このお2人のお声と表現力でなければ成立しなかったような色気が終始匂い立つエロい作品でした。

既存の作品履修済ならありかも

受注生産のBlu-rayについての感想です。

コミックス1巻+オリジナルシーンで約24分、オリジナルシーン以外の内容はわかっていましたが購入してみました。

音声だけで聴いていたものに「動く絵」がついたという点は新鮮でしたが、背景の単調さ、ぎこちない動き、使い回しシーンの多さから、「もしかして、コマ画数少なめ?」......と感じてしまいました。

アニメーション製作が大仕事ということは理解していますし、この作品にそういう精度を求めていた訳ではないので批判ではありません。

デフォルメされて急に二頭身になったりするシーンは可愛らしく感じましたが、本来のアニメーションの魅力である「動き」にあまり期待ができず、エロいシーンも残念ながら萌え転がりには繋がりませんでした。

それでも小林裕介さんと江口拓也さんの演技は安心&安定の良さなので引き込まれました。

コミックスやCDを知らずに、この映像が初めての視聴だと「変態性癖の高校生男子同士が急接近!」のような印象になりそうですが、既に発売されているマスク男子シリーズを視聴済のファンであれば、ありかなと思いました。

有料ストリーミングサービスで視聴もできるようなので、円盤は買いそびれたが動く佐山くんと才川くんを見たい!という方はそちらからアプローチしてみてもよいかもです。

キャストの関係性を知っていると更に楽しめる (笑)

江口拓也さんの「村瀬歩さんの声にムラムラする」発言が記憶にあったので、多少は素の部分も出てしまいそうな「地元言葉」での演技という設定に邪な期待をして視聴しました。

世間に「おもしろ言葉」的な固定観念が植えつけられている茨城訛りを「かっこよく」というディレクションに、江口さんがどう応えているのかと思ったのですが、声が良くて演出が良ければ少なくとも笑ってしまうようなことはないものだと納得しました。

茨城弁は劇中の要所要所に盛り込まれている程度で会話のほとんどは標準語でしたが、江口さんの茨城訛りと標準語の切り替えっぷりを聴くと、方言がある環境で育った方は常に標準語に「矯正」して話しているのだなと改めて意識させられます。

ストーリーは陳腐な純愛ハッピーエンドですが、方言がフィーチャーされた設定は新鮮でしたし、2人が心を通わせていく過程の微笑ましさとエロさが絶妙で楽しめました。

米国からの帰国子女役の村瀬歩さんが可愛い小悪魔少年系だったので、こういう声が江口さんの好みなのだとしたら......とBL脳が活性化されましたが、アフタートークで江口さんが期待どおりのまんまな発言をしておられていたので笑ってしまいました。

教師という立場に縛られて及び腰の発言をした加倉井柊先生( CV江口さん)への逢沢冬樹くん(CV村瀬さん)の大胆さが清々しく、
押しきられてことに及んだ際のエッロい吐息とか、こんなん江口さん......じゃなくて柊先生は拒否れないだろうと思います。

この作品はキャストお二人の楽しい関係性を知った上で、豊かなBL脳をもってアフタートークまで聴くと、よりリアリティが増して楽しめる(笑える)と思いました。

好みの問題

「男子高校生、はじめての」シリーズのコンセプトは好きなのですが、脚本家さんによって1ミリも萌えられないまま真顔終了のケースがあるので、視聴は毎回「賭け」のようなところがあります。

11弾は榎木淳弥さんのお声を聴きたかったのですが、サンプル音声と脚本家さんを見て、購入をずっと迷っていました。

聴くものがなくなってきたので思いきって購入してみましたが、榎木淳弥さんも熊谷健太郎さんも演技自体はよいのに、SEと台詞に残念ながら馴染めませんでした。

男性向けのAVのような説明的な性行為の下品な言い回し実況が本当にダメで......。
こういうのに萌える方には、個人の好みの問題で作品批判ではないので気を悪くされないで下さい。

熊谷さんの台詞に手慣れた大人感がありすぎたのと榎木さんの純朴な演技がハマっていたせいで、大人が少年を手ごめにしている脳内変換が発生してしまい、「高校生同士」だと思うと「どうなんだ、これ」と、ちょっと笑ってしまうくらいに没頭できないままの客観視聴となってしまいました。

個人の好みによる感想なので、作品を気に入られた方はそんな風に感じる視聴者もいるのか程度に受け流して頂けたら幸いです。

原作と音声で磐石の記憶に。

阿座上洋平さんというBL巨頭を差し置いて、イオを演じた田丸篤志さんのお声と演技がヘキにぶっ刺さってしまいました。

高貴な雰囲気と相手に感情を読ませないトーンが田丸さんの声質がぴったりで、「日夏さま」の呼びかけた時の空気がキリッと締まる感じ、たまりませんでした。

他にも、アフタートークで阿座上さまも言及されていた琥士郎の幼少期を演じられた田中貴子さんという方の演技が素晴らしかったです。

特に威嚇時の動物っぽさはピカイチで、気になってプロフィールを拝見したら、「特技:動物の鳴き声」と書いてあり、納得しました。

原作を読んだ時は、展開がどこかしらで見たことがあるように感じられて、時間が経つと別の作品と記憶がミックスされてしまいそうだと思ったのですが、音声で印象が変わりました。

ストーリーが立体的に記憶に残ったというか、演技がとても良かったので、思い出す時は阿座上さんや松田健一郎さん、田丸篤志さんたちの声とともによみがえると思うので、他作品と混同することはないと思えました。
(こういう経験をすると、絵+音に色と動きが加わるアニメーションというのは本当に強いなと改めて思わされます)

音声だけでも十分に楽しめますが、この作品に関してはコミックスを読んでいると音声の威力がより強く感じられると思いました。

本編CDファンなら出会えた際にはMust Buy

各方面の特典冊子やペーパーなどの音声化で、中には1分に満たない話がありますが、揃いも揃って可愛らしく、かなり得した気分になれます。
(少しだけセクシーな話もあります)

パッと目で見て完結するペーパーでも、小林裕介さんと鈴木崚汰さんの声と演技力をもってすると記憶に残る「ストーリー」になるのだなと感じ入りました。
短い話でも、その光景が目に浮かびます。

本編を知らなかったとしても、博多弁の男の子とクールな先輩の可愛らしい話として成立してしまうのではないでしょうか。
これが雑誌の付録だったとはどんだけ大盤振る舞いなのだと思います。

本編CDのファンであれば、出会えた際には価格にもよりますがMust Buy だと思います。
※この手のものに○万円などは異常