映画「アラビアのロレンス」で知られる、T.E.ロレンスを主人公にした歴史漫画です。
最初に実在のT.E.ロレンスについて。
第一次世界大戦当時、中東の対トルコ戦で苦戦していたイギリスは、トルコ支配地域のアラブ人の独立運動を支援し、味方に引き入れる策に出ます。
その作戦のために派遣されたイギリス軍の情報将校がT.E.ロレンス。
彼は、アラブ式の衣裳を纏い自ら駱駝に乗って、アラブ人と共に戦い、対トルコ戦を勝利に導きます。
そして、ロレンスは一躍英雄に――しかし、戦後イギリスはアラブ独立の約束を反故にし、ロレンスはアラブ人にとって裏切り者に。
一見輝かしく見えるロレンスの英雄譚の影には、イギリスとアラブとの板挟みの立場に置かれた苦しみが・・・
戦後は、アラブ人を裏切ったという思いと挫折感で精神的に不安定になり、地位や名誉も自ら固辞して一兵卒として生涯を終えた人です。
さらに、この人には死後に暴露された危険な趣味も。。。
いまだ謎に包まれ、多くの人を惹きつけ続けるアラビアのロレンス。
ただ、彼の場合にはそれだけでなく、金髪碧眼の美青年・軍人・アラブ服・ホモセクシャル(※1)・・・と、BLの素材としてもかなりの逸材と呼べる要素が満載。
戦後、何故アラブ独立を支援したのか、と聞かれて「一人のアラブ人が好きだったから」と答えたという純情一途さには、まさにBLの主人公として不足のないピュアピュアのオーラが!!
もう、心鷲掴みもいいとこです。。。
神坂版ロレンスのお相手は、実在のロレンスが愛したと言われるアラブ人少年・ダフームではなく、ダフームと同じく発掘現場(※2)で働いていたハムディです。
敢えてのハムディ×ロレンス――でも、このアレンジで、BL的にはグンと面白くなった気がします。
金髪美人で小柄、表向きの活躍とは裏腹にマゾで精神不安定、私生児という生い立ちの影をひきずり、ゲイであることに苦しむ――というロレンスの人物像は、まさにヤンデレ美人受け!
ひと回り近くも年下のダフーム少年相手だと、ロレンス受けは難しい(それ以前に掛け算自体が御法度かも)ですもんね。
アラブ独立運動家として描かれるハムディの人物像は殆どフィクションですが、ハムディとの関係を通じて描かれるロレンスには、実在のロレンス像がしっかり映し出されている気がします。
同性に惹かれる自分に戸惑うロレンスと、これまた素直になれないハムディのもだもだには胸熱!
愛情だけでなく、お互い国のために利用し利用される関係でもある2人の、時には傷つけあうことを楽しむかのような駆け引きには、キュンキュンさせられっぱなしです(*ノωノ)
ロレンスの人生に大きな影響を与えたホガース博士との関係もイイ。
好きな人=ハムディには素直になれないロレンスが、博士には素直に愛情(父親に対する愛情のような、少しだけ恋人のような)を示せる・・・というあたり。
そんなロレンスを見て嫉妬するハムディがまた可愛いんです。
そして、作中ではロレンスの熱烈な信奉者として描かれるダフーム君のけなげさも・・・
ロレンスに、「ダフームを抱いてあげて!!」と言いたくなってしまうほど(笑)
少ししょっぱい出来事、でもふんわり傷は癒えていく・・・この2人の関係も好きですね。
その他、金髪碧眼美人のロレンスにわらわらと吸い寄せられて来るアラブの男たち――。
やっぱりアラブはBLの舞台に最適です。(←)
ただ、いわゆるアラブものBLとは全くテイストの違う作品なので、そこは予めご留意ください。
一巻は、考古学者の道を志していたロレンスが、ハムディに出会ったことがきっかけで動乱のアラブに巻き込まれていく経過、そしてアラブ独立の旗頭になるエミール・ファイサルに出会う直前までが描かれています。
全四巻、二巻と三巻はまさに映画「アラビアのロレンス」とかぶる叛乱軍時代のお話になります。
泥沼の中東問題の元凶とされるイギリスの中東政策を知るきっかけとしても、オススメの作品です。
※1 イギリスで同性愛が禁止されていた時代の人ですし、ロレンス自身が同性愛者であることをカミングアウトしたわけではありません。また、学会の通説でもないようです。ただ、情況証拠から判断して、そういう見方をする人が多いのは確かです。
※2 ロレンスは軍人になる前は、オックスフォード大学のホガース博士の下で考古学を研究しており、シリアの遺跡発掘に参加した際にダフームやハムディと知り合ったとされています。
実は結構早めに読んでいたんですが、先にレビューされた方とあまりに正反対の感想になってしまい・・・江名さんすみません!!
や、これはどう考えても、私がマイナーすぎなんです。
今回メインの表題作やボリュームで表題作に次ぐ「阿佐ヶ谷南四丁目」じゃなくて、10年以上前の作品かつ僅か24ページしかない「サニーサイド」が一番好きだった、という。
さすがに「サニーサイド」一点買いはないよな・・・というところでレビューを躊躇してしまいました。
ただ、やっぱりこの作品がとても好きだったので、相当偏ってるの覚悟で感想を。
人の好みは十人十色ということで、ご容赦ください。
◆「2丁目の小さな魚」・「阿佐ヶ谷南四丁目」◆
雰囲気は好きなんですが、どちらも入り込めない。
攻めの心理描写が少なく、攻めに魅力を感じられないのが私にとっては致命的でした。
特に「阿佐ヶ谷南~」は眼ヂカラの弱さのせいか攻めの印象が薄く、攻めに関しては不自由な日本語くらいしか印象に残っていません。
どちらの作品も受けはとても可愛くて、揺れる男心が細やかに描写されているんですが・・・詳細は他の方のレビューを読んでいただけたらと思います。
◆「サニーサイド」◆
とにかくこのテの、起伏がなく淡々と暗い話をこよなく愛する私に、うってつけの作品。
これを機に河井さんの昔の作品を読みあさってみたくなりました。
主人公の少年・秀が何歳なのかは、知らないほうが良さそうです(笑)
とりあえず、学生服を着る年齢(幅6年)ということだけ。
秀の、幼さの残る儚げな横顔にも惹きつけられたのですが、私にとって一番大きかったのは、舞台が福井だということ。
北陸三県が舞台だというだけで、大好きな宮本輝の小説の世界にワープしてしまうというか・・・鈍色の日本海を一人眺めるような、哀愁とノスタルジーに浸り切りながら(←)読みました。
これは北陸と宮本輝が直結している私に固有の「北陸効果」なんだと思いますが、この作品にはそんな哀愁がとても似合う気がします。
タイトルは「サニーサイド」ではあるものの、宮本輝の「幻の光」よろしく、光は遠く彼方にかすかに見えている感じ。
彼らが今立っている場所は、光ある場所ではありません。遠くに見えている気がしているものも、或いは幻かもしれない。
でも――明るいほうへ 明るいほうへ。
「サニーサイド」というタイトルは、暗がりの中でもがいているからこその手探りの思い、そんなニュアンスに捉えました。
秀は両親の離婚で幼い頃に父と別れ、水商売をしている母とも離れて、祖母と2人で暮らしています。
祖母が眠った後、秀を訪ねてくる男・高山・・・彼は秀の母親の愛人だったようですが、いつの間にか秀の男に。
親子ほども年の離れた男と孫の関係を、とがめる祖母。
高山をめぐる、街の悪い噂。
愛なのか人恋しさだけなのかも分からず、刹那的で未来の見えない2人の関係ですが、一見秀を弄んでいるようにしか見えない高山が見せる思わぬ誠意に、こわばっていた気持ちがすっとほぐれていく気がするラスト。
2人に明日はないけれど、かすかな温もりだけは秀の心に刻まれた――そんな手ごたえを感じます。
真夜中に書いた詩のような、ひたすらセンチメンタルで抒情的な作品。
相当マイナーだと思いますが、同人誌っぽくて、こういうの好きです。
この一冊に限って言えば、絵に関しても「サニーサイド」が一番好きでした。
全体に、受けに共感して読みたい人向きだと思います。
些末なことですが、擬音語は手書き文字のほうが雰囲気出るなぁ・・・と思った箇所がいくつかありました。
京山さん@ihr HertZということで、どちらも好きな私は大期待してたんですが・・・
これはアタリでした!
表紙絵の、素肌にダッフルコート姿のセクシーボーイが主人公の向井タケル。
物語のスタート時点では高校二年生です。(本編は表紙よりもう少し大人っぽいイメージかな。)
表紙の雰囲気にも醸し出されているように、今回は京山さんの漫画にしてはセクシー度高め。
表紙絵の表情を見る限り純粋無垢な雰囲気のタケルですが、案外経験値は高かったりします。
なんせ、帯コピーが
「半年前――オレはすでに変態だった」
ですしね(笑)
性に目覚めたばかり、好奇心がうずいてイケナイ暴走がとまらない、自分って変態なんじゃないかと思う・・・
誰でも経験する思春期のカオスのど真ん中に、彼はいます。
化学の押間(おすま)先生が好きだけど、先生にちょっと似てる弟の親友シュウ@中三も気になる。
その一方で、ネットで知り合った(?)大学生のセフレも。
同じクラスの野球部の子に声をかけられれば、そっちに靡いてみたり――
恋のベクトルも方向性が定まらず、迷走につぐ迷走。
性欲まみれのドーブツかと思えば、その一方で内面はガラスのハート。
好きな人の他愛ない行動に一喜一憂し、あらぬ期待、勘違い・・・果てはシャーペンを煮るという奇行に??
思春期の男のコの、自分を持て余している感じ、右往左往、思い切りブレながら、少しずつ一つの方向性が見え始めていく感じがとてもリアルに伝わってきて、温かく見守ってあげたい気持ち(これって母性?)が溢れてきます。
タケルの本命は押間先生かシュウ君なんですが、これがどちらも捨てがたいんですよね。
包容力もありつつピュアな魅力の押間先生か、なんと中三(!)で年下だけどクールで大人っぽいシュウ君か?
ただ、どちらか選べない、なんて贅沢な話じゃなく、どちらもタケルにとっては近くて遠い存在。まず自分のセクシャリティーが受け容れてもらえるか?というところから危うい・・・
もっとも・・・案ずるより生むが易し?
あれ?こっちなの? いや、あっち?・・・と、ブレていくタケルに振り回されながら、最終的に、そーなるのか、と。
結末を知ってみると、実はもう最初から、さりげな~く、この結末へのレールが敷かれていたことに気づかされます。
タケルの性格にしてもそうだし、いろんな場面で2人の絆が積み上げられていたんだよなぁと・・・タケルと一緒に読者が迷走している間、ストーリーは全然ブレてないんですよね。さすがベテラン作家さん。
そして、ハッピーエンドの中にも、失恋の切なさや、タケルの兄としての成長がふわっと絡められた複雑な味わいのラストもイイ。
タケルの思春期からの卒業・・・そんな印象です。
データ登録上は「先生×生徒」ということになるんですけど、このシチュ特有の生々しさは一切感じませんでした。
タケルの高校在学中はあくまでも先生と生徒の関係だということが大きいんですが、先生の葛藤が一切描かれていないことも影響しているかもしれません。
そういう意味では絵柄同様にストーリーもさらっとしたタッチで、物足りないと感じる人もいるかも? でも、これこそ京山さんの作品の持ち味かな。
なによりも温もりと思春期の微妙な心の揺れを味わう作品だという気がします。
描き下ろし「おあずけの三日後」のラストシーンで、初H。
いきなり先生をリードしてるタケル!その体位経験値高すぎwww
2人の可愛いピロートークも萌えますよ(*‘ω‘ *)vv
on BLUEって、センシティブ系のレーベルだと思ってました。
でも、ここのところ読んだものはかなりエロいし、ダークですね。
この作品もそう。
といって、ただエロいのとも違うような。
設定はダークで背徳的な要素をこれでもかと詰め込んだエロ重視テイストで、心理描写はセンシティブ。
めっちゃ好みです、こういうの。
主人公は、カジノで働く新谷。
新谷の元同僚の菊池は、店の金をくすねて(それも後ろに黒幕がいて、彼は単にパシリ)上司の須藤に大金の返済を迫られているゲイ。
須藤は、会長(カジノのオーナーでヤクザ)の「女」。
新谷は、菊池を家に居候させてるうちに、菊池と深い仲に。
須藤は新谷と菊池の関係を知った上で、菊池を副店長にあてがう一方、新谷を金で買う――
前半は映画的な場面展開で説明が少ない上、登場人物の顔が見分けにくいので、入り込めるまでに時間がかかりました。
でも、丁度真ん中辺りにある、須藤の
「新谷くんはカワイソウな奴に勃つんだろ」
というセリフにやられた。 このセリフでこれから始まる三人の構図が見えてきて、一気に惹き込まれた感じ。
この言葉、その時点では新谷と菊池の関係を予言したものに見えたんですが、後々考えると、須藤の勝利宣言でもあるんですね。
新谷は一見やさしくて、裏表紙にある通り「お人好し」だけど、内にS性を秘めた男です。
須藤は一見サドだけど、変態マゾの一面も。ストッキング履いてされるのが好き。
菊池は人に愛されようとして逆に利用されるタイプ。とことん薄幸であさはかな雌だけど、その実思わぬ反撃も企てそう。
三人三様、二面性を持った男たちの、三角関係。
一巻は新谷がS性に目覚める流れが軸になっていて、Sである新谷をめぐる2人の男たち(菊池と須藤)という構図が出来上がるまで。
今のところ、三角関係の確執はありません。
ただ、確執の芽は、すでに描かれています。
三角関係ものって崩壊が前提かと思いきや、このところバランスしちゃうヤツが出てきたり、構図としてもホットですよね。
この作品も、3人ともに二面性があるだけに、確執→バランス崩壊→一対一へ、という既定路線は辿らないかもしれない。
3人とも眼がうつろで、何考えてるか分からないし。
これからどんな関係性へと発展していくのか、楽しみです。
もう一つ印象に残る言葉が、作中何度も繰り返される、
「人のものを盗んだら 罰が待ってる」
これも、キーワードですね。
多分今後起こる出来事の伏線にもなっていそうですが、同時に、この作品に背徳的な色を添えるのにとても効いてる気がします。
某「倍返し」ドラマが流行った頃、決めゼリフがあることがテレビドラマのヒットの条件だと言われていたことを思い出しました。
たしかに、印象的なキーワードがあるだけで、作品のカラーが際立つなと。
それにしても、一体、罰を受けるのは誰なのか? ルーレットゲームみたいで、ドキドキします。
キーワードつながりで言うと、タイトルも気になるなぁ。
最初タテ読み?アナグラムか?と思ってしまったほど意味不明に思えたんですが、「犬」「めくる」「夜」は読み終わって納得。
でも、「寄越す」は?
これは今後の続編と関係してるのか、それとも単に語呂合わせの枕詞なのか? はたまた謎のための謎なのか?
ほんのちょっとのばらさんの作品を齧ってみたくて手にしただけだったのに、これは続きを読まずにはいられません。
思いがけずハマってしまいました。
このままの勢いで完走していただきたい!! 続編とても楽しみです。
「もののふっ!」ついに完結編。
隣国の堀田軍がついに攻め入って来た! しかも、敵は武田(よく分からないけど戦国最強のあそこ?)と同盟を結んでおり、大軍。
お館様は一の城での籠城戦を決めるが、やがて兵糧も尽きて――
猫的不思議ちゃんキャラの菊三が毎度笑わせれてくれる4コマ漫画と、男臭いシリアス戦国漫画のミキシングという形式が、とても新鮮で魅力的な「もののふっ!」。
今回は本格的に隣国との交戦状態に入ったということもあり、かなりのイマージェンシー展開に。そのため、ギャグに突っ走る四コマ漫画は殆ど挿入されていません。
実は四コマ漫画の部分が大好きだった私としては、ちょっと残念。
でも、さすがに今回は、いつも菊三を膝から離さないお館さまも、
「今は・・・一人にしてくれぬか」
と一人寝所に籠ってしまうくらい、瀬戸際の状況。
ギャクが少ないのは、仕方がないですね。
第一巻の頃から菊三はたまに猫耳美青年に変身することがあって、そんな時はお館さまとちょっといいムードにもなってましたね。
今回も、かなり「おおっ!」なシーンが。
私は、最終的に菊三は人間に戻るのでは?と想像していました。
しかし、そうじゃないんですね。そんな甘い展開じゃなかった。
厳密に言えば、まあ多大なご都合主義もあるし、甘々な展開ではあるんだけど、一抹のほろ苦さを残した・・・という感じ。
菊三は、やっぱり最後まで、四コマ漫画の世界の住人でした。(ただし、属性はものすごーく変化しますが。)
お館さまと菊三は、ラブが成立しそうで成立しない、この距離感がいいんでしょう。少し切ないけれど・・・
菊三が死者の怨念から生まれたこと、手負いの狼の傷を手当し、育てたこと、など、前半の伏線が見事に回収されたラストです。
それにしても、明日の命も知れない戦国の世で、お互いが相手の命を惜しむ武士(もののふ)の愛、なんてボーイズラブと親和する世界なんでしょうか?
死と隣り合わせだから、愛が際立つ。
やっぱり、戦国BLは最高ですね。
本格的な戦闘シーンがすっぽり抜かれているのは、戦国ものだけにちょっと物足りない気も。ただ、青年漫画じゃないわけだし、それがなくても十分読み応えアリです。
途中、菊三ってもしやきゅんきゅん言ってるだけで終わりか?という予感が胸をよぎった瞬間もあったものの、いやいや、大活躍でしたね。
いっちょまえに鎧に陣羽織を羽織った姿もかわいい!!(そのいでたちが役立つ場面はないけど!!)
狼の六柘(むつ)は、菊三神社の狛犬になったんかなぁ。。。
菊三とお別れするのは、本当にさびしいです(泣)
ただ、あとがきで、菊三のカムバックもどうやらありそう?なことが仄めかされていたので、おおいに期待しておりますv
ぜひぜひ四コマ漫画多数で。
「剣と霧」完結編!
今月は琥狗さんのコミックスが3冊も発売されるということで、とても楽しみにしてました。
私の中で一番人気は「もののふっ!」ではありますが、「剣と霧」も好きですよ。
限りなく青年漫画風の、甘くない絵が好き。それでいて、男くっさい剣客同士が血迷ってメイク・ラブとか、しっかりBLなシーンが挟み込まれてるとこがまた。
青年漫画好き腐女子にはたまらないテイストですよね。
この作品、前巻ですでに「ライバル、ときどきいちゃラブ」くらいのとこまでは進展してたので、この先はいちゃいちゃのみ?と想像してましたが、まあ8割正解というところでした。
すっかり周囲も公認の仲になってるしw
それでも、相変わらずウーのツンデレぶりは変わらないし、ツンとデレの落差が魅力! ウーみたいな胸板厚いタイプの悩殺顔って個人的に萌えツボです♪
しかし、いちゃいちゃ一辺倒では終わらなかった。。。
2人の間にはまだのり越えるべき壁があったんですね。
愛?何それうまいの?的な殺し屋稼業の2人が愛に目覚めた時に、はじめて生まれる生き方の矛盾・・・そうだ、これだ。これを乗り越えないとね。
さっすが琥狗さん、ツボを押さえてますね。
欲を言えば、せっかく剣客ものなので、もっと殺陣の見せ場が欲しかったかな・・・ジエンの二刀流シーン、もう少し見たかった。やっぱり、背中に2本の刀をしょってる時点で、期待しちゃいますしね。
でも、甘々の2人が読めたから、いいか。
今回も〆はちみっこで!
ちみっこのジエンとウー、かわいい(≧▽≦)「もののふっ!」的に言えば絶対魅了!
ちみっこな2人のエッチもバッチリありv(見た目はちみっこだけど立派なオトナですからねっ)
そして、帯ウラにもちみっこ4コマ漫画が。
これ、4社連続刊行リレー企画だそうで、下記のコミックスを全て揃えるとつながるとか。
というわけで、帯も永久保存ものデス。
2/28発売『メテオラ 弐』エンターブレイン刊
3/10発売『剣と霧2』リブレ出版刊
3/16発売『ねこまた。②』芳文社刊
3/24発売『もののふっ!③』
もうすぐ新刊が出るらしいピンクゴールド、滑り込みで前号のレビューです。
今さらで、すみません<(_ _)>
ちなみにピンクゴールドは初読み。
この程度で18禁を謳うか!という声も多いですが、たしかにそれは言えてるかもしれません。個々に見ればそっち方面はわりとライトな作品もありますし。
でも、今や18金ピンクゴールドは手の届かない値段だけど、18禁ピンクゴールドなら1,400円+消費税!
・・・と思えば、そう腹も立たない気がします。(ま、まあただのダジャレではなく実際にXレイテッドなんですけどね)
しかしまあ、エロいかエロくないかと言ったら、間違いなくエロいわけですよ。同じリブレの「エロとろ」とどう差別化されているのか、「エロとろ」を読んだことがないのでよく分かりませんけれど・・・
装丁は雑誌とは一線を画する豪華さ。
普通のアンソロと違って広告ページがないのもこだわりですね。
今回のテーマは「執着愛」なのか(BLはいつも執着愛っちゃそうですけど)、表紙にも扉(?)にも蜘蛛の巣のイラストが入っていて、統一感があります。
こういう部分は、永久保存版というコンセプトが生きてる気がします。
ただ、400ページ前後の中に14作品が収録されていて、1話の密度はあまり高くないんですよね。
しかも、人気作品の番外編もいくつか入ってますし。
個人的にはこのアンソロの中で世界観が完結する話が読みたいですね。長い作品でも32ページという短さですが、その制約の中で起承転結を付けるのが価値ある短編だと思うし、価値ある短編集であることがPGの永久保存版たる意義につながる気がするので。
即物的なエロはどこにでも氾濫してる中で、敢えて成人指定と冠するほどのエロって?ピンクゴールドならではのこだわりって?というところが、この本を手に取った人の一番の関心事なんじゃないかと思うわけですが、そこは正直よく分かんなかったです。
もっとも、個人的には、座裏屋蘭丸さんの「太陽と秘密」と、本仁戻さんの「グラン・ギニョール」は、期待してたものが読めたという満足感がありました。
女性にとってのエロツボを追求してみた、という感じで。
「太陽と秘密」は、どこだかはっきりとは書かれていませんが、きっと東南アジアあたりの観光地が舞台。
現地人の少年が、旅行者の白人に弄ばれて――と、思いきや、そこでは終わらない話。
冒頭の、魚屋の店先に魚が美しく並べられたコマに惹きつけられました。
エロまっしぐらに突進する話じゃなくて、遠回りしながらじわじわと奥ノ院へ・・・っていう余裕がイイんですよね。
ちょっとエキゾチシズムを味わいながら回り道した分、エロも盛り上がるというか。
同じことを満員電車の中でやる話はゴマンとありますが、所変われば同じ行為も新鮮に。
やっぱり雰囲気は大事、回り道大事です。
「グラン・ギニョール」とは、フランスの大衆キワモノ芝居だそうで。
登場する執事のコンラート君はドイツ人ですけど。いや、でもこの作品にはラテン系よりもゲルマンですよね、やっぱり。
こちらも旅先で拾った美青年を執事に・・・という話。
しかし主人の須蛾子爵には妻がいて、養子の彼に浮気はご法度。
義父と妻に足元をすくわれずコンラートを手許に置き続けるために、子爵は自分はコンラートに手を触れず、友人に彼を抱かせる――という間接セックスのお話。
子爵は当事者であり、観客でもあるわけです。
全裸よりも着衣がエロい、Hはじらされるほどいい――これはやっぱり女ならではのエロに対する感覚なんじゃないかと思います。
これからも是非この調子でお願いします!!(*゚∀゚)=3と叫びたくなった2作。
実はこの本、腐友さんからの借り物でして。
ありがとう。おいしゅうございました。
定広さんの代表作「アンダーグラウンドホテル」の続編。
今回は、スピンアウト第一弾の「アンダーグラウンドホテル KISS&KILL」から登場したエリー・チェーシー(実際はUGHにも一瞬登場してるんですが、顔出しは「KISS&KILL」からです)が主人公。舞台となる刑務所も、前回までのレベル3からレベル4に移ります。
カプも新しい組み合わせだし、一見前作を引きずっていないように見えるのですが、カプ2人の背景を知っておくことが大前提になっているため、やはり過去作を読んでおくことは必須。
そこは注意する必要がありますね。
定広作品で好きなのは、息苦しいほどの排他的な束縛愛の世界。
それに、やられたら倍返しでやり返す、半沢直樹も真っ青な性悪キャラたち(笑)
刑務所という場所は、そんな定広作品にうってつけの舞台じゃないかと思います。
ただ、今作に関しては、上に挙げたような私の好きな要素は、残念なことにかなり薄め。
エリーはレベル4の刑務所で、かつてレベル3で出会ったことのある「あの人物」に遭遇し、2人の間には、ほのかな愛が芽生え始めます。
でも・・・「あの人物」の過去を知ってたら、どう考えてもエリーとは相容れないように思えるんですが。
二人の気持ちが近づくのも、なんとなくお互い感傷に流されているだけのように見えるし、刑務所名物の看守たちとの対立も、馴れ合い的な雰囲気が先に立っているようで・・・
まあ、一言で言えば、ちょっと説得力が弱いというか、物足りない感じなんです。
しかも「あの人」の毒気の抜け方は一体??
以前はどんな汚い手を使っても欲しいものを手に入れようとする、貪欲な知能犯だった「あの人」が、すっかり丸くなってしまったのは何故なんでしょうか。
悪いヤツを魅力的に描ける数少ない作家さんだけに、今回の「あの人」の常識人ぶりには拍子抜けでした。
ただ、エリーが相変わらずのワルだったのは、嬉しかったですね。
前作「KISS&KILL」でも登場した黒人のジャマールにセクハラされた見返りに、毒気の効いた逆襲をやってのけるシーンは、こうこなくちゃ!!って感じで。
今作で一番定広作品らしさを感じた場面です。
もっとも、元祖UGHに登場したソード・フィッシュと較べたら、エリーはまだまだ常識人と言ってもいいくらいですけどね。
タイトルの「ラスト・ディナー」は、文字通り「最後の晩餐」。
最後の晩餐と言えば、つまり、ですよね。
しかし――
ドミネ・クォ・ヴァティス?
どこいっちゃうんですかー??!
と、思わず叫んでしまいそうなラストですな~これは。
え~?!そうなの?
これでいいのか連邦刑務所!!
絶対値で好きな作家さんなので、中立以下の評価はありません。
でも正直今回は、すごく物足りない気はしました。
私がこのシリーズを読み続けてるのは、いつかソードとセンが戻って来るんじゃないかと希望を捨てきれないからなんですが、あの2人はもう帰って来ないんですかね。。。
舞台はいにしえの中国、唐の時代。
ただまあその辺は置いといて、平たく言えば、ライバル関係にあるアサシン2人(剣(ジアン)と霧(ウー))が、或る時は剣を抜いて戦い、或る時は助け合い、また或る時はくんずほつれつ・・・(萌)な、お話です。
どうやらこの国には、「北の白き狼」と「南の黒き狼」と呼ばれるアサシン集団がいるらしく、彼らに金を払えば、雇い主に代わって憎い相手の死刑を執行してくれるようで。
「狼」なる呼称は、恐らく彼らが集団ではなく基本は個人で仕事を請け負うことに由来しているんでしょう。
互いに別々の依頼主から受けた任務を遂行中、たまたま出会った「黒き狼」・ジアン(表紙絵手前)と「白き狼」・ウー(表紙絵・奥)。
ウー(受け)は絶世の美女に変装できるほどの美人。その上、めっぽう強いし、頭もいい。さらに、美女化け可能な一方で、脱いだらスゴい筋肉!
まあ、これはBLの受けにはよくあることなので、気にしない(`・ω・´)キリッ
攻めのジアンのほうは、ウーとは好対照の男くっさいタイプ。ちょっと軽率だったりもするんですが、そこはご愛嬌。
彼もまた腕っぷしが強く、そしてウーにぞっこんです。
一話完結で次々に依頼された事件を解決していく中で、時には互いに牙を剥き、その合い間合い間には
「な、なんで俺がこんなやつに抱・・・アッー・・・(振動)」
的な濡れ場が。普段クールなウーが、濡れ場になると一転してめっぽう乱れちゃいます。
自分自身が萌えるBLシチュを考えてみるに、背徳感のある設定というのがまずダントツの萌えシチュではあるのですが、こういう、表面では毒づきあいながら実は・・・というウラハラな関係性もすごく萌える!ってことを最近発見。
実はウラハラ萌えに開眼したのは、この秋に読んだ石原理さんの「バーボンとハニートースト」。(こちらはライバル関係にある探偵どうしという設定です。)
どうも、ライバル関係というシチュの中でも、個人的にアクション系がツボ。お互い丁々発止とやり合いながらも内心はウラハラにLOVEがメラメラ(炎)な、熱~い話が好きなようです(ノ´∀`*)
絵の雰囲気は、青年漫画に近いです。
アクションヒーローものの青年漫画を読みながら妄想で補っていた部分(つまり濡れ場w)が、まんま作品に織り込まれていて、なんだか痒いところを思う存分掻いてもらったような満足感。
アクションヒーロー×アクションヒーローって、不滅の萌えカプ・・・ですよね☆
ゲイバーで知り合い、ゆきずりに体を繋いだ2人が、数年後に再会。
出会った時とは打って変わって、2人は衆議院議員(候補)と法律事務所職員という立場に。しかし受け(米倉峰夫)は衆議院議員になった攻め(氷室僚二)に頼まれ、彼の秘書を務めることになって――
腐友さんのオススメ本。
代議士の氷室の経歴(箔付けに海外の研究所に入所して経歴ロンダリング)や、親の代から代議士で兄に代わって後継者に、という部分は、ちょっと某イケメン四世代議士をホーフツとさせるものが。(見た目は全く違いますが)
また、代議士とその秘書の同性愛という、一旦スキャンダルになれば致命傷になりかねないスリリングな2人の関係も、「J.エドガー」(アメリカのFBI長官と副長官の同性愛関係を描いた映画。2人は実在の人物ですが同性愛関係は噂ベース)のプチ版みたいで。
そういう実例とつながる部分があるせいか、わりとリアリティーを感じながら読めました。
職業もの、それもかなり堅い仕事なので、雰囲気は地味め。それは表紙にも表れている通りです。
ただ、議員の日常もリアルに描き込んである一方で、小難しくはなく、お話としてはとても分かりやすいんです。これは作者さんの力量によるところ大だなという気がします。
2人がお互いに惹かれ合っているのは明白、しかしお互い公的な立場にあることが致命的な障害に。
生き馬の目を抜く政治の世界、盗聴される危険もある中で、一体2人の関係はどうなってしまうのか??もうそれが気になって気になって、すごく前のめりに読めました。
中盤、ちょっと毛色の変わった人物が登場してきます。モブキャラなのかと思いきや、終盤になって彼がストーリー展開上のキーパーソンだということが分かる・・・という、展開の鮮やかさが、私がこの作品で感じたカタルシスMAXの部分。
ん~・・・ってことは、あまり2人の恋愛そのものにはキュンキュンしなかったということ?
そうかもしれません(笑) 設定はとてもスリリングで面白いんですが、分かりやすいお話だけに、着地点は見えていたというか・・・だから、一番気になってたのは、この状況からどうやってハッピーエンドに向かうのか?というHOW TOの部分だったんですよね。
多分、私がひねくれ者なせいなんだろうな。
でも、敢えて言えば、出会いのシーンを両方の視点で回想させたのは丁寧すぎるのかも・・・2人のうちどちらかの気持ちに見えない部分が少し残っていてもいいような気はしました。
深井さんの漫画は初読みだったんですが、見た目は今どき風のイケメンでありつつ、キャラがさりげなく知的。こういう堅めの職業ものは作風にピッタリだと思います。
「頭が残念な代議士」(カバー下)のはずの氷室が、むしろ結構知的に見えたりするのは、設定上マイナスなのかもしれませんが。。。
説得力のあるエリートものが読みたい!!という時には、間違いなくオススメの作品じゃないかと思います☆彡