読んで、ほんとに恋愛は単なる薔薇色じゃないんだ!!!って…叫びそうでした。
運命の相手だと疑うことのなかった、阿久津と水野。結構序盤で人生の分岐点を迎え、そこから辿る長くて濃いストーリー。これ以上ないくらいフィーリングが合って付き合い出して、好きで好きで…って時期を過ぎ、お互いのいいところも悪いところも理解したら、分かるからこそ笑って許せなくなってしまう。
これはBLに限ったことではなく、異性間でも同じようなジレンマに陥ることはあるでしょうし、性別の差がないBLならではのしんどい描写はほんとに容赦なくて、リアルで辛かったです。視点が変わりながら、年月を重ねる様子が描かれているのですが、側から見たら(オィオィ、違うって!違うだろって!)と肩を掴んで引き戻したくなることしばしば。
関係性に名前を付けず、どうしたって離れ切ることができない2人。もどかしくて不器用だけど、その分愛しくて。どこに辿り着くのか、ドキドキしながら読了しました。市井に生きる普通の男性を描きたかった、という作者の矜持がビシビシ伝わる一冊です。