BL作品を「読む」ことはこれまで何度も楽しんできおりますが、BL作品を「聞く」ことは本作品が初めてとなります。そのため、BLCD初心者のレビューだと思っていただければ幸いです。
これまでBLCDに手を出さなかったのは、濡れ場を音で聞くことに気恥ずかしさがあるからなのですが、原作既読の本作品については濡れ場が控えめなことを把握しており、キャスト様も好きなお芝居をされる方々だとわかっていたので、意を決し購入しました。
購入は大正解でした。原作の良さが旨く表現されており、本を見ながらCDを聞いても、CDだけに集中しても楽しく面白く聞くことが出来ました。ただ、本を見ながら聞くと、構成上カットされる台詞も目に入り、原作ファンとしては「この台詞も音声で聞いてみたかった!」となりもするため、そうした気持ちを持たず聞きたいのであれば、まずはCDだけで楽しんでみるのが良いのではないでしょうか。
個人的に、本作品はラブコメ寄りだと思っているのですが、原作でクスっと笑えたところがCDでもクスっと笑えて、テンポ感など、キャラクターの掛け合いがとても良かったです。もちろん原作同様、クスッと笑えるシーンだけでなく、真剣にグッと胸に入るシーンはCDでもバッチリでした。
濡れ場が少ない作品ではありますが、濡れ場がしっかり見たい方は、「いちゃラブ増量盤」に手を出されるとより楽しめると思います。濡れ場が少ないから購入したはずですが、通常版が良かったので、「いちゃラブ増量盤」にも手を出しました。通常版でまず先に二人の馴れ初めをじっくり聴かせていただいていた後なので、濡れ場を音で聞いても気恥ずかしさより微笑ましさが勝ちました。可愛いカップルです。
最後に、キャスト様方についてですが、メインのお二人も脇を固める方々も皆さん、声質、お芝居と、聞き心地のよいものでした。各キャラクターにしっかり合っていました。桐生も大前も落ち着いたお声だったのが個人的には聞きやすくて、嬉しかったです。
桐生については、誘いをふっかけるようなときに出す、低めの色気のある声から通常モードの落ち着いた声、気持ちが高まったときなどに高めになる声とバリエーション豊かで、その声色のギャップが楽しかったです。全然隠し切れていない大前への感情が伝わってきて良かったです。
大前については、基本は落ち着いた声ですが、所々可愛げのある言い方、声を出すのが良かったです。感情の起伏が少ないキャラクターなので、淡々とした話し方、声ですが、ストーリーが進むとどんどん感情が声に乗っていて、「この人、桐生のこと滅茶苦茶好きですよ!」と言いたくなる声色で最高でした。
桐生も大前も、格好良さも可愛さもあるキャラクターだと思いますので、それをしっかり魅せてくれるお芝居をしてくださり感謝しかないです。原作ファンとして元々好きだったキャラクターたちにより愛着を持てる音声化でした。