明治舞台のオメガバースということで、時代背景と世界観がうまく溶け合っていたと思います。抑制剤のない時代はこんな感じだったのかもと面白く読みました。
ただ、表紙の幸せ甘々のイメージで読むと、中身は結構なシリアス。オメガとしての性や生き方に悩み、好きあっていてもすれ違い、読んでいて胸が苦しくなるような展開もありました。
苦みの先にハッピーがある。二人の愛情はとても深いです。攻めは天然入ってて可愛いです。
メインキャラの話じゃないですが、
いわゆるよくあるオメガバースだと男性オメガはベータ女性との間に子供をもうけられないんじゃ?
と、多少引っ掛かりましたが、オメガバースに正解はなし!
オメガバースの皮をかぶった骨太のファンタジー。
隙間時間などではなく、どっしり腰を落ち着けて読みたい。
「皮をかぶった」などと書いたが、この作品の中でオメガバースは世界観やストーリーに濃密に絡み合っている。この世界だからこそ、レオンが、そしてジェラルドが輝くのである。
甘いだけの物語求める読者には不向きかもしれない。
どちらかというとハラハラする要素のある物語だ。
だが、ちりばめられた謎、サスペンス、それらが綺麗に解き明かされていく様を楽しみたい方には大いにお勧めする。
また細部まで書き込まれた、美麗すぎる表紙にも注目したい。
著者本人が書いているだけあり、美しいだけでなく、キャラクターに対する愛を隅々まで感じられる。
ちなみに中にもイラストがたくさんある。万歳。