こちらの作品はコメディとシリアスのバランスが絶妙な慈愛溢れるヒューマンドラマな主従BLです。
大富豪と庶民という格差をものともせず、ひたすら溺愛する攻め様の執着をどうぞ見届けてください。
ライル(攻め)は事故でほぼ昏睡状態。意識、聴覚はあるが周囲には認知されてなく、身動きも取れない闇の中で自身の生に絶望。
それを救うのが職務で介護に就くリク(受け)の献身と何気ない声かけの数々。
奇跡的な回復をしたライルは、“声”だけを頼りに恩人リクを探し求めるが……という本作、見どころは出会えるまでの物理的すれ違いとふたりの温度差によるジレモダです。気持ちの傾き方に説得力があってきゅんきゅんする最高のハピエンです。
人間の尊厳、延命、肉親としての判断や情など重たいテーマを根底に、生きることは食べることと言わんばかりの明るい食欲と性欲に和みます。
読んでいる間中、込み上げてくる感情を抑えているのが大変でした。丁寧なわかりやすい文体で綴られているため登場人物に感情移入しやすく喜怒哀楽を激しく揺すぶられたからです。
感動するシーンと笑える場面が盛り沢山で時間を忘れて没頭できるオススメ作品です。
主従関係からの相愛大好き。
すれ違いからの逃げる受け追う攻めというシチュエーション大好物。
異能モノや人外が出てくるファンタジーとても好き。
伏線の回収が鮮やかなストーリーものすごく好き。
おいしそうな食事シーンがあるお話かなり好き。
もふもふとした生き物がいいポジションにいる展開めっちゃ好き。
脇役が脇役じゃないような味のあるキャラクターが多い小説非常に好き。
絶望から希望へ。闇の中へ光を。
状況を感情をひっくり返す救い出す、読者の祈りを叶えるような波瀾万丈な物語は、途方もなく大好き。ハッピーエンドはもちろん必須。
そんな欲張りな読書欲を全部叶えてくれる物語がこの『忘却の死神は冷酷な皇帝を守りたい』です。
このお話は、“なにかを代償にして願いを叶えるがその献身はなんのためか誰のためか”を丁寧に綴ります。過去を交えた情景豊かな描写に、すべての登場人物たちの、個々の“想い”がぐっと胸にきます。
葛藤と困惑の序盤、不穏と焦燥の中盤、感嘆と大歓喜の終盤、大団円の結末までノンストップノーストレスで楽しめます。
バトルシーンはめちゃくちゃ描写がカッコよくてどきどきするし、お楽しみシーンは“陛下の御身が大暴走”でとても良き。
シリアスな内容をコミカルに仕立ててあるので読みやすく最高におもしろかったです。
“攻めが受けを失いそうなピンチをどう回避するのか”というとても胸熱な命題。それのクリアの仕方が拍手ものの作品なのでレビューを書きました。
とてもオススメな一冊です。