りーるー先生の描く『完熟大人』の日常。
埋もれてしまいそうな、ちょっとした瞬間の切り取り方が好きだなぁと思う。
ドラマティックな『あの瞬間』じゃないのが良い。
ほんの小さなキッカケで人生の時間を共有する事になる、アキちゃんとたくさんだから良い。
偶然そこに居たのがあなたで、偶然話しかけたのがあなたで、ずっと心の片隅にいるのがあなたで、そんな2人だから良い。
でも、慌ただしい日常を忙しく過ごすうち『あの瞬間』が薄れていきそうになる。
でも、ふとした瞬間に思い出して、もう一度会いたいなぁと思う気持ちが抑えきれずに、会いに行くと告げる。
約束はするけれど、守りたい約束なのに守れない…そんな現実のもどかしさもスパイスとしてまた良い。
『完熟大人』だって、雷に打たれた様な衝撃は無くても、フワッと心に入ってくる温かな大人の恋をする。
そんなお話でちょっと?いや結構エチエチな所もあるから尚更好きなのかも。
数年前に、この作品に出会えた時がワタシの『あの瞬間』だろうなぁ。
そして、単行本となって止まっていた2人がまた、動き出したのが、すごく嬉しかったな。
読んでみればわかる!そんな大人のBLだと思う。
灰瀬くん(しっかり者の部下)と黒野さん(穏やかな頼れる上司)の灰黒2人から始まる物語。満月の夜に何かが起こる。←ココから【アニマル】ならではの、いろいろがあって、それはそれで誠実で優しい話になっていく。こちらを幸せな気持ちにしてくれる、そんな2人なのです。
そして次は、灰瀬くんの同僚であり、黒野さんの部下にあたる、ワタシの最推し三好くんが登場する話へと展開していく。灰黒の2人の関係が、ちょっと羨ましい独身の三好くんは、出会いを求めて、今日も合コンへと向かいます。←この話の三好くんが、すごく良い!この合コンでなんと運命的な出会いがあるのです!声を大にして言えば、出会ってしまったのです(幸せを見つけたのです)りおみよ2人、どっちにとっても幸せ!そんな話へとなっていきます。1巻まるまる、心が温まる幸せなお話なのです。灰黒、りおみよ、よかったね。そして、、、2巻へと幸せがつづく………
まず礼くん自身が、自分の存在価値は"好奇な目で見られる事にも、いつの間にか慣れてしまった特別な人間[特級α]"と思っている様にうつる反面、自己犠牲と言うのか、一歩引いた所から自分を見ている様にさえ思える(あまり自分が好きじゃないのかな?)
でも、出会いべくして出会った司くんとの時間は、優しく包まれる様な時間で、ただ一緒にいるだけで、自然と呼吸が出来るような時間で、たぶん彼はずっと続いて欲しいと思っていただろうな(ワタシも願った。この時の自分は好きだろうな)
司くんは、自分は守られるだけの存在ではなく、ただ一緒に居たい、逆に礼くんを守ってあげたいとすら思っているのではないだろうか。
唯一無二な存在が、互いであると知ってしまった2人だが、一緒にいられる時間はほんの少しで、突然別れの日がやって来る。そして、時間が経ち別々の道を進む2人の道が、ある時運命的に交わる。(正直、ワタシは安心した)
突然やって来た『あの日』の答え合わせと、強い絆で結ばれた2人の今が、エンディングへと繋がっていく(ホント良い、お話だよ)