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ドロ沼からしか得られないカタルシスが最高

web連載時から大好きな作品で、書籍化を心待ちにしていました。
書籍化にあたり激しい凌辱シーンはカットされていました。

『回帰したシリルの見る夢は』は、
壮絶な最期を迎えた主人公シリルが過去に回帰し、断片的な記憶を頼りに今生は何とか無事に生き延びようと、悪戦苦闘する物語です。

主人公シリルの一人称で語られるので、
シリルの思い出した記憶の欠片を元に、
読者の我々もシリルフィルターのかかった状態で物語を進むことになります。

何せ主人公シリルは深窓のご令息。
読者の予想を大きく超えてくるこじらせた解釈と、
死への恐怖からくるとんでもない方向への行動力、
極から極へと振り回される展開。
なんでそうなるの!と言いたいツッコミの数は知れず。
気づけば登場人物全員がドロ沼の底でもがいています。

riiko先生の書かれる物語は、次の展開が予測不可能です。
予測のつかない展開への小さなストレスの積み重ね、
それが未知のハッピーエンドへ向かう時のカタルシスたるや格別♡
賛否両論あるかと思いますが、
私はカタルシスの瞬間が味わえる何者にも代えがたいriiko先生の作品の虜です。

物語の終わり、回帰前の記憶を全て取り戻したシリルと我々。
もう1度最初から読み返すとまた違った趣きがあります。
現時点でweb公開されている番外編や、親世代のスピンオフ作品を読むと一層理解度がたかまり、切なさ倍増。
riiko先生ワールドに魅了された方は是非全制覇して欲しいです。