人間に憧れるサワガニのチャロ。人間になってやりたいこと(野外で裸で愛を囁き合いながら抱き合う素敵な行為=青姦)があるため、人間の素を摂取することにより人間に。その人間の素っていうのが精液なんですよね。発想が面白すぎません⁈
チャロを拾ってその素を与えてくれたのがコワモテSM店店長の龍治。あのプレイには笑ってしまった‼︎ただの心優しい人かと思ったら、チャロと出会ったときにチャロが爪にされていた行為(ガムテープで縛られていたこと)が幼少期の自分に重なったのかなと。
孤独な一人とシザーハンズの一匹の同棲(共同生活?)が始まり、龍治は天真爛漫なチャロに振り回されっぱなしだけどなぜかほっとけない。姿が見えなくなると必死になって探すのがコワモテなのに可愛すぎる‼︎
愛なんて愛の言葉なんて信じないと決めていた龍治は本当は誰かに愛されたい人間だったのでは。likeの好きしか知らなかったチャロがloveの好きを知ったとき(乳首が痛いってまたギャグ要素含んでるのも面白い、それは恋をしている心臓の痛み、ハツの痛み)チャロの両親の話を知った龍治も徐々にチャロに心を開き、ついにふたりの気持ちが通い合う。龍治も人を愛することをはじめて知り、その5文字が意味を成す。
チャロを人間の姿に保つためのただの行為に過ぎなかったセックスは毎日できるのに、なかなかできなかったはじめてのキスをしたベランダのシーンがとても素敵‼︎そこで聴こえてくる歌も重要ポイント。
衰えていくチャロが健気で、ふたりで川を訪れ野外で体を結んだときには咽び泣きした。サワガニは共喰いをするけど、最期はカニの姿で…そしてタベテと願うチャロは決してサワガニの共喰いではなく愛する人の中に永遠に居させてほしいと願ったんだよね。
それで終わりかと思ったらなんと20年後にチャロが転生して再会‼︎シザーハンズのチャロは龍治さんを抱きしめられなかったし、眉間の皺を伸ばしてあげることもできなかったけど、やっと人間の手で抱きしめ合い手枷ではなく愛の証であるリングを嵌めたふたりに号泣。
散りばめられた伏線がいくつかあって回収されたラストにストンと腑に落ち、温かい涙が止まらずしばらく放心状態でした。
とても素敵な愛のお話を久しぶりに読んだ気がした。一人と一匹ではなく再会したあとの『ふたり』の続きをぜひ読みたいです‼︎また毎日チャロに振り回されっぱなしで目尻が下がりっぱなしの龍治を見てみたい。あれを今では酒の肴にできないんだな笑、背中のイトシイ痛みももうつけられないんだな、でもキスマを残せるのとても嬉しいだろうな。続編希望します。
作者のいしだ赤月先生、こちらがデビュー作だそうで。すごいものを生み出されたことに驚き。あとがきになぜサワガニ設定になったのか書かれていたので、そちらもぜひ。笠井あゆみ先生のイラストも素晴らしいです。素敵な作品に出会えてよかった‼︎
『お湯につけて3分 あなたを癒してくれる素敵なインスタントボーイフレンド』って紹介文からしてインパクトのあるBL。冒頭、浴槽に現れたインスタントボーイフレンドであるマルちゃんの瞳の中に驚いている佐々木さんが映っているのがとても印象的です。
読み始めたらマルちゃんが可愛すぎるし、過去の恋愛のトラウマからヘタレだった佐々木さんが徐々に前向きにかっこよくなっていきます(←内面が)
喋れないマルちゃんだからこそ、ふたりのやり取りが本当に面白くて愛おしくて‼︎最高の作品です。
愛のあるセックスをすると人間になれるマルちゃん、佐々木さんとマルちゃんのこれからが気になります‼︎
細かいところまでこだわって描かれていると思われるトレーナーなどの服装やモブ、背景などに楽しさが詰まっていて、一度お話を読んだあと細部まで目を凝らして再読するのもオススメです。
マルちゃんの健気な姿には涙が溢れてしまう場面もいくつかあり、かわいくて面白いだけではない作品。
丸川商事の上野さんがいい味出していますよ。