桜井さんと蓉一については他の方ががっつり素晴らしい感想を書いてくださっているので、
私はあえて脇役三人、特に雑誌掲載時と比較して大幅に加筆されていた藤本について書きたいと思います。
藤本は一巻から二巻の間まで徹底して桜井と蓉一の間に入って邪魔をする、(にも関わらず二人の仲を進展させてしまう笑)嫌な奴として描かれてました。
ですが、話が進むに連れ、ただの当て馬くんとは程遠い、彼の深い人間性が垣間見えときています。
三巻で彼が蓉一に漏らした「親友」に対するコンプレックスのようなもの、対人関係での隠し通している弱さ、絵の才能と現実、将来。
四巻では蓉一目線でより色濃く描かれていました。「喋って喋って不安を押し隠している」という蓉一の藤本評が何より彼を表す言葉だと思います。
メインの桜井さんに蓉一、そして藤本だけでなく、タケさんや菖太もそう。
見えないところで動いていく人間関係に葛藤したり、ちゃらんぽらんなようでいて本当は誰より人のことを敏感に感じ取っていたり。
この作品の素晴らしいところはBLの恋愛関係と同様に人物造形の繊細さにある気がします。
四巻の藤本は張り付いた作り笑いの印象は薄まり、蓉一の一挙一動にいちいち顔を赤くして一喜一憂していて非常に可愛いです。
藤本の最大の敗因は彼もまた「受け」キャラだったからかも(笑)。
桜井さんが好きになった蓉一を好きになってしまった藤本が報われることなどハナからなかった…
けれど、いつか時が経ったら、蓉一が望んでいるような「親友」という関係になれる日が来るのかもしれません。
そして四巻で微細に動いた竹・藤・菖の三つ巴について。
蓉一にフラれてぐずぐずに泣いている藤本を慰めるタケさん…蓉一に似てるし発言、「俺だって悪くない」とは一体…(苦笑) …あと、藤本の「竹生さん」呼びがなんか好きです。
藤本のことを蓉一・桜井・タケさんに手を出してるホモ野郎と勘違いし常に衝突している、にも関わらず「愛されたがり」な藤本の性格を誰より見破ってる菖太。
一巻同様今回も番外編で、周囲に敏感な作り笑いを浮かべる「鼠」である菖太を気遣うタケさん。菖太の女なら付き合う発言。
見事にキレーな三角形ができていますが、果たしてこの微妙で絶妙な三つ巴が動くことはあるのか…
次巻で最終巻とのことですが、是非この三人の関係もクローズアップしてほしいところです。
桜井さん!次回は用意したグッズ、異動前にちゃんと使ってくださいよ!