表紙がとても魅力的な作品で、興味を持たせるようなタイトルのセンスが素敵です。
いわゆる漫画っぽい絵ではなく、少し独特でどちらかというとイラストっぽいですね。
全体的に白っぽい印象でした。それが作品を際立たせているわけではないので、すこし物足りないと感じてしまいました。
内容は、なんだか外枠だけ大きくてスカスカした印象。
まず、前提となる亡くした恋人の描写が少なすぎる。ので、すでに主人公の心情に感情移入がしにくくなっています。正直恋人が死んだから自殺したといわれても納得できるほどの描写はありません。
その恋人の代替品が会って、最初に会った3割減ロボットを求めて時を超えて旅するという、設定はとても美しいものです。ただ、500年のうちほとんどが冷凍期間なので時を超えて、と言う感じはあまりしません。
250年で変化した社会の情勢とかはちゃんと考えていらっしゃるのに、さらさらと流れ過ぎてメッセージ性に欠けます。すこし無理のある展開もあります。
そしてなにより展開に対して、あるべき主人公の葛藤や変化が表面的です。
また、アンドロイド側の描写が少々少ないので、アンドロイドが人の心をだんだんと持って……という感じもあまりしません。
切ない、という感想を抱きやすいタイプのお話ですが、心情や展開に奥行きを求める場合はあまりおすすめできません。もう少し描写が緻密だともっといいと思います。
静かで、すこし揺れてまた静かになって、まるで鼓動の様な雰囲気です。
表紙の、温かみのある雰囲気と透明感がみごとに作風にあっています。
職業ややりとり、好きな食べ物やカラオケでの歌のチョイスなど、とても親近感が湧く要素がちりばめられています。どこかにこういう人いるかも、と思うかもしれません。
淡々としていつつも二人の心情を丁寧に描き、すこしずつ二人の気持ちが寄り添っていくのを描き出す作者さんの文章はとても優しくて私は好きです。飛馬の「必要な沈黙」のくだりはとても共感しました。この作家さんの感性がとても素敵です。
キスをいやだと思わないからと受け入れてしまうという設定は少々突飛ですが、主人公は天然さんのようなのでそこまで違和感も無く。
全体を通して、この空気感が好きな人にはたまらないであろう作品でした。
「魅力的」のオンパレードです。
そこかしこで言われてますが、この作品では作者さんのセンスが節々できらりと光っています。
こじゃれたセリフまわし、「こまけぇこたぁいいんだよ!」な展開、
ゴミ広い集団という新味のある設定。基本ライトでどこか乾いた男らしい雰囲気です。
途中、脇キャラの一人の少し趣の違った過去話が入りますが、
コマの流れや表情、そしてその結末と、そこから導き出されるその後の恋愛への態度など、重くもあれどじわりと胸に染みるテイストを味わう事が出来ます。
独特な切なさというか。
しかし、その後再びライトな流れに戻る事もあってか、読後感はどんよりとはしませんでした。
絵については、人を選ぶなと思いましたが私は好みでした。ただ、いわゆるプロっぽいなぁ~漫画っぽいなぁ~という画面ではありませんでした。
不満があるとすれば、これもよく見る意見ですが入江×椿がちょっと物足りない。
もう2,3話は欲しい所でした。
あと「ゴミ拾い集団」という設定があんまり生かせていないところ。
展開だけみればこの設定じゃなくても成り立ちそうな感じがしたので、そこが惜しいと思いました。
しかしとりあえず買って損したなんて思う作品ではありませんでした。面白かったです。