すっかり安定のかわいいふたりですね。
今作ではふたりがこの先も長く一緒に過ごしていくためのひとつの段階を乗り越えたのかなと思います。
お互いが向き合うきっかけになったのはケーキとフォークというバース性ではあるけれども、それがゆえに付き合っているわけではなくて。
人として恋をしている、そんな風にお互いが思えているところが読んでいて心地よいのかなと思いました。
その中で芽生える不安。
世界を広げていく朱羽が交友関係を広げていくことがもどかしかったり、他の味を知らないままでいてほしかったりだとか、これまで抱いたことがなかった嫉妬心や独占欲を自覚する攻めはよいものですね。高校生だけど何だか落ち着いてるふたりでもあるなぁと思っていたので(そこが好きなところでもあるのですが)、三嶋くんが見せるそんな年相応の幼さにもちょっと安心しました。
朱羽の方は案外肝が座っているというか、前作からそうですが言うところはちゃんと言うところが見ていて気持ちいいなと思います。それはもともと持ってたものでもあると思うし、三嶋くんとの関係の中で身につけていった強さでもあるんだなぁと思いました。
恋をしていく上で自分だけを知っているというのは大きな強みでもあるけど脆いところでもある中で、これからも一緒にいたいふたりがそんな気持ちを擦り合わせながら進んでいく姿がよかったです。
その齢にしてなんでそこまで仕上がってんのよ?と包容力バッチバチの年下攻めの心地よいところがミッチリと詰まっています。
自分のセクシャリティを会社で明かしてしまったことから上司からの過度のハラスメントを受けるなっちゃん、そんなときにふたりは出会います。
掘る、彫る、ほる
日本語って難しいですね。
下心ありで介抱したんだと後に明かす攻めの悠馬にむしろ好感度が上がりました。出会い方としてはナンパに近いし、1,2回でそこまで陶酔する?と思わなくもないのですが、このお話の間中ブレずになっちゃんのことを思い続ける悠馬だったので安心して読めました。
なっちゃんの方は会社での見られ方受け取られ方に悩んで悩んで(そのあたりの描写はイライラすること間違いなしです(上司とか同僚に))自分が我慢すればよいだけ、と思いながら行きていそうなところが見ていてもどかしくもあるのですが、悠馬からまっすぐに好きを伝えられる中でそういう生きづらさをひとりで抱えずにいてもいいんだと思えるようになったところが恋だなと思いました。(でも人はなぐっちゃダメ!とマジレスすなと言われても思ってはしまいました)
ベットシーンもたっぷりです。
筋肉にタトゥーがどのシーンでも美しくこだわりを感じました。
付き合いが長くなればなるほど、気を使わずに何でもさらけ出せるようになる場合と、だからこそ配慮が行き届く・行き届きすぎてしまう場合があって、本作はまさに後者のふたりだなと読みました。
そこに拗らせと妙なプライドが加わって、このふたりのすれ違いがなかなかにもどかしい。
本音を口にしてもいないのに悶々と考え込んで、そのくせひとりで爆発する昴成のめんどくささが結構筋金入りで。
遥は遥であまりにも一定でいようとしすぎているように思えます。
それはお互いがお互いを好きだと思っているからこそだと読んでいる側としてはちゃんとわかるので、早く素直になって!とふたりをせっつきたくなります。
別れたくない、と口にする昴成の背中が良かったです。そうやって何でも何度でも言っていいんだよって思うけど、きっとまたこの先もひとりもだもだ考える人なんだろうな。だけどこれからはお店の薔薇を一緒に眺めながら、すれ違いもこえていくふたりでいてほしいなと思います。
誰にも言えない願望と、自分が知らなかった欲望。
そういうのの噛み合わせがピタッとはまったふたりで、がっつりしているプレイと恋心のピュアさとのギャップがかわいいなぁと思えました。
イジメられてみたい、そんな三笘さんの願望。
ひとりじゃ叶えられないし、誰かに言うのも憚られる。頑なに怯えて隠してきていた割には日高くんに見つかってしまってからはガードがゆるくて、そんなチグハグさも先輩の恋愛経験値の少なさ故なのかなと思えばわかります。
もともと好みのタイプで、本当の自分を知っても引かなくて、そんなの惹かれるしかないですよね。
そんな三笘さんにどんどんハマっていく日高くん。
軽くも見えるんだけど案外まっすぐで潔いから気持ちよくもあって、入り口は顔だったのかもしれないし自分でも気づいていなかった自身の性癖が気持ちを傾けたのかもしれないけど、当て馬(風)の久城さんに食って掛かっていく姿は馬鹿正直とも言えるほどで微笑ましくもなっちゃいます。
始まりが身体からだったこそ、これからがますます楽しみなふたり。えっちしていないときの三笘さんのガード0になる日が待ち遠しいです。
試し読みから好きな予感がしていましたが、その予感が的中して嬉しい1冊でした。
明るい陽キャの人気者×(自称)陰キャの焦れモダ展開ですが、それぞれの心模様が早々に描かれるのでそれも安心して楽しめます。
幸せを諦めているというかあえてその方向を見ないようにしている猪田くんがそれだからこその潔さがあって、バイト先のママとか常連の皆様の言葉を真に受けたり優作に突撃する勢いだったりが妙に憎めなくて。
大胆で、素直で、察しが悪くて、そういうの全部ほどよくて嫌味がないんですよね。
一方の陽キャ、優作も。軽そうでほんとに軽いところもあるんだけど、期待に応えなきゃって勝手に思い込んで軽やかに振る舞うやさしさが行き過ぎていないから不快にもならないんですよね。(とはいえ来るもの拒まず、が実際にどの程度だったのかわかんないところは……ではありますが。)
そんなふたりが恋に向かっていく姿がとても良かったです。
優作との時間の中で幸せを知っていって、自分もそれを願ってもいいんだと思えるようになっていく猪田くんと、周りの期待より自分を優先していいんだと思える優作と、ふたりが一緒にいることで世界が広がっていく感じが読み心地よいなぁと感じました。
猪田くんがこれまで色んなことに無自覚だった分、好きという感情にストレートでピュアなかわいさで優作を撃っていく感じも楽しく読めました。
5巻までだけを読んだとしてもすっかり盤石の恋人同士になったかのように見えるふたりですが、6巻ではまだまだ心の距離を縮める瞬間に出会えます。
犀川さんって虎谷くんのことが大好きで、大切で、何よりも失いたくなくて、
だからこそ愛情を惜しみなく注ぎながらも、いつか手放さなければならない未来を迎えたときにそれが虎谷くんの幸せならばと身を引く覚悟をどこかで持っているような危うさを感じていました。
それは虎谷くんからの想いを信じていないわけではなくて、虎谷くんのことをひとり想うだけだった時間が長かったからなのかなとも思っています。
望むもの全て手に入れてそうな犀川さんは外側からのイメージだけで、その本質はどこにでもいるひとりの恋する男の子でしかなく、そんな不器用さが愛おしい……
だからこそ6巻では鳥野さんと親しくする虎谷くんに他意がないからこそ一層モヤモヤしてあからさまに何かあります!って顔しながらもシャットダウンする犀川さんの幼さに痺れました。きっと彼にとって、これが初めての「恋」なんだろうなぁ。
そんな犀川さんにぐいぐいと切り込んでいく虎谷くん。
わからないから、わかりたい。
当たり前のことだけど、それが他でもない犀川さんのことだから。あなたが想ってくれているように、自分もあなたのことが大切だから。
そうやって諦めずに突き進んだ虎谷くんのまっすぐさにいつも救われています。
俺のもの
そう思えるようになった犀川さんの変化。
失う覚悟を前提とした恋心は脱ぎ捨てられたかな。
またひとつ繋がりを深めたふたりの笑顔が何よりの宝物です。
恋人同士になってからの過程もじっくりと描いてくださることがものすごくうれしい作品です。
好きと好き、思いの大きさ、温度、その深まり。
その瞬間だからこその幸せをいつまでも応援したい、そんなふたりが6巻でもしっかりと見られます。
特装版では30話の続きのふたりが♡
虎谷くんのしたいことがとことんかわいい。
うんうんと話を聞く犀川さんのあたたかな愛も見ていて心地よさしかありません。
えっちなシーンも特大の甘さに目も心も幸せいっぱい。
まだまだ見たいふたりのこれから。
続きもずっと応援しています!
安心して読めるお話でした。
かわいい。疲れによく効くほっこりラブでした。
ほとんど限界みたいに日々を生きる誠さんが偶然昔の教え子京介くんと再会して。
全てをネガティブに見てしまうときに、そんな自分を丁寧に大切に扱ってくれる存在ってとても心強いですよね。
その心地よさに身を委ねながらも自らをズルい大人と称する誠さんの真っ当さはすごく健全だと思います。
ズルいまま京介くんの好意に甘えるところ、
普段の自分ならう〜んと思っちゃいそうなのに
このふたりならそれもアリかなと思えるような人柄が見えました。
気持ちを後回しにされていたとしても自分を頼ってくれることがうれしい京介くんの健気さもまた良いんですよね。
思春期に揺れる京介くんの時間に、誠さんがどれだけ大きな影響力を持って明るい気持ちをもたらしてくれていたのかがわかるから
そんな初恋をそれだけ長く引きずっていたことにも納得ができます。
恋を結んだあとも
好きと伝えたからこそ取り繕ってしまうこと。
好きと伝えたのに壁を感じてしまうもどかしいこと。
乗り越えるふたりの初々しさもかわいく楽しく読めました。
数日後のふたり。
こういうときの懐の大きさが見えるのが年上受けの良さでもありますね……初めてを茶化さない誠さんがめちゃくちゃいいなと思いました。
素直なふたりが嫌味なくあたたかくて
笑顔になれる作品をありがとうございました。
沼らせ系イケメンの太雅と、360度好感度イケメンの咲
タイプの違う美しいふたりを眺められるのは終始眼福でした。
タイトルの通り、「お前がいい」
を軽やかに受け入れてしまう咲が読めなくて。
いっそ最初からずっと太雅のことを好きだったとか言われた方が納得できるほどに、
流されるというよりは受け入れ力が高すぎる。
太雅の方も、読み進めれば進めるほど
最初に咲に手を出したことが らしくないなぁ と思えるほど真面目な良い子に見えたので
このふたりが関係をはじめるきっかけがちょっと不思議でした。
それでも 誰でも良い から 君じゃなきゃ嫌だ に変わるのも
自覚したそれぞれが変わっていくのも良いですよね。
特に自覚してからの咲の表情が恋してる〜と感じられて、最初の方の爽やか100%な笑顔も魅力的ではあるけれども、太雅を思う気持ちが溢れるやわらかなお顔がどれも良かったです。
厚みのある身体も見応えありました!