スピンオフ元の作品は未読です。
なのでふたりのもともとの関係値、どういう経緯で最初の関係があったのかを知らないまま読んだのはちょっともったいなかったかなと思いますが、事前知識なくても楽しめました。
明るく奔放なフリをしているけれども叶わない恋から目をそらすように投げやりに身体だけを満たすような佐久間を理解できなかったはずなのに
その淋しげな背景に気付いて、どうしても放っておけなくてその存在を少しずつ心のなかで大きくシていく穂刈さんの生真面目さが好きでした。
時には少し冷たくも聞こえる穂刈さんの言葉の嘘のない誠実さかがじわじわと染み込んでいって、
ずっと兄のことを思っていたはずなのにいつしか恋をしている佐久間の戸惑いや不安もよくわかりました。そんな簡単に吹っ切れるもの?というより、それは自然な流れに感じられました。
とてもひねくれているように見えるけどそれは自分を守ろうとしていたからで、穂刈さんへの好きに向き合ってからの行動や言葉の素直さが本来の性質なのかなと思えました。
かわいいは沼。ほんとそうですね。
甘え甘やかして、(穂刈さんの方は)無自覚溺愛カップルになりそうなふたりに幸せをもらいました。
表紙のふたりでいわゆるジャケ買い的に。
バーで出会ったワンナイトの相手と職場で再会してから動き出す恋。
イイ男ふたりが仲睦まじく過ごす様子は見ていてとても心地よいですし、特に真澄さんの甘やかしっぷりの潔さに癒されました。
真澄さんのねちっこい攻め感がじっくりと描かれていて見応えもありました。
私自身、溺愛ものを好んで読む傾向にありますが
今回はそこまでハマりきらなかったのが本音です。
というのは、真澄さん側の心情があまり深掘りされていなかったからかもしれません。
理央くんのことが好きでやさしく甘いのは見ていて十分に伝わってくるのですが、じゃあどうしてそこまで好きになったの?ということが見えず。
もちろん理央くん自身も魅力的な人ではあるのですが、どうしてもこの人がいい、この人じゃなきゃだめ、そういった真澄さんの心のうごきも読んでみたかったなぁと思います。
すごかった。
なんかすごいものを読ませていただいたなという読後です。
攻めの執着、それはとても好ましいものだと私は捉えてきていたけれどそれは全然甘い考えだったなと上下巻通しての岸部先生の圧に思い知らされました。
離れていた期間、ナオトのこと絶えず想ってその気持ちを深く大きくしてきたのは言ってしまえば岸部先生の勝手で。
ナオトがそこに罪悪感を感じる必要も、その気持ちと自分の心を比較する必要も全然ないんですよね。
岸部先生のナオトへの想いは、私にとってはそれを愛と呼ぶには少し、いや、結構しんどい。
だけどそれを愛と呼ぶかどうかは、部外者には何もわかんないんだなというのをこのふたりを見ていて改めて感じさせられました。
ナオトの心のあり方が確実に岸部先生に近づいていく様が、嬉しいのか怖いのかもうわからない。
だけどそれは、このふたりにとっては確実に愛なんだなと見せつけられました。
本編すごくずっしりしていたところのラストシーン。
ずるいですね。
堕ちていく幸せを怖れていた自分を見透かされていたかのような晴れやかさにしっかり溶けました。
からの描き下ろし。
岸部先生はやっぱり岸部先生でした。
前作が好きだったので発売日に早速。
1話から助走なしで岸部先生全開だな、と読み始めて終始その重みに圧倒されっぱなしでした。
岸部先生の執着の強さ思いの深さが明らかに異常なのですが、それに飲み込まれていくように。
私はそれを怖いとさえ感じてしまいましたが、ナオトがその執着に気づき始めてもなお心地よささえ感じてしまうような感覚もわからなくはなくて。
思いの釣り合わなさに言葉を飲み込みながらもいつしか岸部先生の異常な愛を擁護したいとさえ感じていることに気付いたナオトの揺らぎ。
ふたりの間にある愛みたいなものを理解できるようなできないような、理解したいようなしたくないような。
いったいどこまで行ってしまうんだろうと見届けることに使命感すら抱くような心持ちで上巻が終わりました。
ガッチリしたふたりがぶつかりあうシーンは圧巻で、エネルギーがすごいです。
えっちなんだけどそれ以上に岸部先生の情の注ぎ方に圧倒されました。
この不思議な魅力は何なんでしょう?
都会に憧れて仕事を見つけて上京した太王。
だけど仕事は激務で思ってた都会の暮らしとは全然違っていて、地元にいる新との電話で糸が切れたように限界を迎えて全てを投げ出して田舎に戻ってきて……
で、新にやさしく迎えられてほだされてハッピーエンド。
かと思えば全然そうじゃない。
何なの?禊って!
ツッコミどころありすぎる展開なのにシリアスっぽく進んでいって、頭回っていない太王は流されちゃうし新はポーカーフェイスっぽくもありながらどこか必死感をにじませつつ事が進んでいって。
とにかくふたりのゆるっとしたテンポ感が不思議で、
穏やかなようでいてヤることはガッツリヤッていて(こちらの先生初めて読みますが絵の感じだとほのぼのとしているのかな?と思いきやギャップが!)、
理解できるようなやっぱり腑に落ちないようなそんなトーンでずっと進んでいくけど。
何故か?ふたりが愛おしくなっている。
普通っぽく見えて全然ぶっとんでいるふたりが、それでも心の真ん中ではきちんとお互いへの思いを大切にしていることがわかるから
読んでいて楽しくて登場人物もまるっと好きになれました。
にょきにょき会話、楽しそうですね。
とにかく綺麗な作画に惹かれてずっと気になっていた作品です。期待にそぐわず細かいところまで描き込まれた美しい世界観にウットリなお話でした。
匂いがポイントとなるこちらの物語。
嗅覚が敏感で苦しい思いし続けている絢斗が、偶然であった落ち着く匂い。
その匂いの持ち主が偶然同じクラスにいて……
ふたりの関係の始まりは突然で強引で。
体先行ではあるけれども、案外親身に絢斗の体質を気にかける理央のやさしさがじわじわと伝わって、
落ち着ける匂いに出会ったことで前向きに夢に向き合う絢斗のきらりと輝き出した世界に良かったねと思えます。
理央が溺愛彼氏になる未来が見える終わり方でひと安心。
惜しむらくは絢斗が少し被害者意識?のようなものを強く抱きすぎているかなと感じてしまったところです。強引なのは理央の方ではあるけれども、あまりにも一方的すぎるかなと、、
これからのふたりの成長に期待です。
ジワジワ癖になるふたりでした。
イクヤス先生の作品は初めて読みましたが、攻めはもちろんのこと受けがしっかりとした体格をしているのが特徴でもあるのかなと感じました。むちむち!
だから、『かわいい!』ってわかりやすい受けじゃない。
なのに読み進めるうちに、思考回路や行動の癖が少しずつツボをつついてきて、気づけば『なんかかわいいなぁ』と眺めちゃいました。応援したくなりますね。
最初に瀬川のことを対象外と言ってしまったからこそ、ふたりともがそれぞれに一歩踏み込めないもどかしさ。
告白の色気のなさがかえってこのふたりらしくてすごく微笑ましく見えました。
恋人になったからと言って大きく関係性が変わるふたりではなさそうだけど、わいわいしながら楽しさが尽きない生活が続くんだろうなと気持ちの良い読後でした。
ふたりの関係性はタイトルのとおり。
長年の片思いを閉じ込めてそばにいることを決めたのに、酔った勢いで身体の関係を持ったことで均衡が崩れて。
こちらのお話では幼いながらに状況や大人たちの気配を察して立ち回る真子ちゃんの健気さというか、真っ直ぐさがやさしくて苦しくもありました。
だからこそ竜之介から気持ちを向けられても真子ちゃんを盾に受け取ろうとしない希一の弱さがもどかしくて、でも理解もできるから辛くも感じました。
10年後のこの家族の様子が見られたのは嬉しかったですね。
とてもあたたかいお話でしたがそこまでハマりきることが出来なかったのは竜之介が希一に手を出すきっかけがお酒で、そこから家族として以上の気持ちを高めるペースが早すぎたように感じたからかもしれません。それまでは一切そういう意識をしていなかったように思えたので…
そこをあまり深く考えなければ長年の片思いが報われるのはやっぱり嬉しいですし、向き合ってからの溺愛には安心できました。
イチオシ作品の新刊です!
新人教育を通して深まるふたりの関係、幸せの絶頂にいるようなふたりに忍び寄る不穏の気配……甘さとザワザワの緩急が効いていて5巻も読み応え抜群です。
新人教育の壁に当たる虎谷くん。
先輩として言えること、虎谷くんを想う犀川さんだから言えること。向き合う犀川さんのバランスが心地良くて、一途な心の打ち明け方もきっと虎谷くんにまっすぐ届いて。
信頼関係を強めていくふたりの姿が心強く感じられます。
日常のかわいいシーンも増えてきて、意外とガッツリ甘えたい犀川さんと徐々に恋人力を高めていく虎谷くんが微笑ましくもあります。
また、アフミスといえば!な夜の部もしっかりたっぷり濃厚に。
虎谷くんちの狭いベッドでぎゅうぎゅうなふたり、我慢の限界な犀川さん、見るからに愛情表現が増えた虎谷くん……たくさんの夜を重ねているのにどれひとつとして同じものがなくて、それぞれの夜に唯一無二の愛が詰まっています。
とにかく大満足な1冊。じっくり丁寧に描かれるふたりの歩みが嬉しくて、これから先もさいとらの人生を見つめていきたいなと改めて思いました。
6巻もとてもとても楽しみです!
特装版小冊子では24話社員旅行の夜と朝の隙間が描かれています。(16p)
余裕のないふたり、同室のふたりがいつ帰ってくるかわからない状況下でもとにかく全開で甘々。
犀川さんの表情が全編通して恋人感強めで必見すぎますし、虎谷くんは大胆にかわいくて見どころしかありません。
是非とも特装版をオススメいたします!