あらすじを読まず、ダヨヲ先生の作品だからという事で買った本作。
恋地獄ってどういう事なんだろう?
泥沼恋愛模様なのかな?
などとうっすら想像しながら読み始めた。
恋地獄は文字通り本物の地獄の一つで、恋愛に未練がある人が行くところ。
本当なら天国に召されるはずだった学が、楽への未練ゆえに居留まった地獄でした。
生前の行いによって楽は地獄に落ち、学と再会したけれど、楽が恋地獄に落ちたのも、学への未練があったからなんですよね。
ダヨヲ先生の独特なユーモアセンスゆえ、ストーリーはコメディチックに進みますが、本質には「後悔しないように、自分の心に素直に生きることの大切さ」が描かれているように感じたし、「生きていることは当たり前」ではなく、「大切な人には伝えられる時に気持ちを伝える」ことが大事なんだと、思いがけず再認識させられました。
生前の楽は高校に入るまでおそらく挫折経験が無く、上には上がいるというごく当たり前の広い世界も知らなかったのだろう。
だから、楽が自分の気持ちに素直になれず、学を遠ざけてしまったのも当然。
仮に生前に素直になることが出来ていたとしても、長続きしなかったかもしれない。
作品中で描かれていることがもう一つあって、それは、一度失敗していたとしても次のチャンスが来たら絶対に逃さないよう努力することの大切さだったと思います。
この辺りを楽に諭す閻魔様のキャラがとても良かったし、今まさに消え行かんとする瞬間まで楽を思いやっていた学の愛は本物で感動的でしたね。
恋地獄での同棲を経て、更に幾度かの転生を経て現世で再会した二人が、今度こそはお互い生きているうちに自分の気持ちに素直になっており、輪廻転生とカルマを感じました。
クスッと笑えるけれどちょっぴり切ない、さすがダヨヲ先生だ!と唸ってしまう作品です。
シリーズ中で一番好き。
お話としては陰間(女郎の男性版)と客の恋愛ものですが、舞台が幽世(かくりよ)にある妖怪用の遊郭「かすみ楼」であるというのが特徴。
人間界で妖怪・豆腐小僧を助けたことから、かすみ楼で使える割符を手に入れた人間・暁人が陰間・翠蓮と出会い恋に落ちるんですよ。
陰間と客、一晩の淡く儚い関係なのに、二人は強烈に惹かれ合うんですよね。
普通に考えたら、結ばれることは決してない関係。
まして暁人は人間だし、豆腐小僧にもらった割符も3枚しかない。
それ以上会いたいとなると、それこそ本当の意味で命を削るしかないわけで・・・。
本気で誰かを好きになっても決して報われないと分かっているから、ほのかな期待を抱きつつも諦め切っている翠蓮の笑顔が哀しい。
そして、諦め切っているはずなのに、どうしようもなく暁人が恋しくて、暁人以外にはもう抱かれたくないと思ってしまう翠蓮に胸がギュッとなります・・・。
暁人が命を賭して翠蓮を救い、翠蓮は年季が明けて自由の身となり、素晴らしいハッピーエンドでした。
シリーズ3作中、この作品だけが唯一、二人が会いたい時に会えない設定なんですよね。
しかも二人とも人間界で生きていく。
限りある時間の中で一途に想い合い、共に生きていくために力を尽くした暁人と翠蓮には、死が二人を分かつまで幸せに暮らしてもらいたい。
人外×切ない恋が好きな方、ぜひご一読を!
野宮と御子柴カップル第3弾。
今回は御子柴が訳あって野宮の実家に1日お泊まりしたり、ついでに野宮家公認のカップルになったり、御子柴の幼馴染み・玲央が登場したりと盛りだくさん。
わちゃわちゃしつつも、野宮がまた一段と彼氏力を大きくしていたり、柴ちゃんも彼氏として野宮に誠実でありたくて強くなっていたり、二人の成長を感じる一冊になっていました。
付き合ってから(なんなら付き合う前から)あっという間にエッチしちゃうBL作品が多い中、のみ×しばの二人はゆっくり順番を守って、理性をフル稼働させながら進展していってるのがすごく良いです。
性欲全開のティーンエイジャーなはずだし、ましてや寮で同室なのに、ここまでお互いや周囲のことも考えながら自制心を働かせられるって凄い。
普通流されちゃいますよ。
だからこそ、やっとの想いでキスより先のこと(と言っても本番はまだしていません)へ進んだシーンは感慨深いものがありました!
3巻終盤で「自分だってもやもやするけど、束縛したら柴に友だちがいなくなるから、それは嫌だ」と玲央に宣言した野宮、超かっこよかった。
溺愛・束縛・執着彼氏は好物だけど、実生活を想像すると、やっぱり野宮みたいに相手を尊重して思いやれる彼氏の方が絶対良い(笑)
ゆっくり愛とお互いへの尊敬を育み合うのみ×しば、これからも見続けたいです。
のみ×しばカプの本番エッチに向けた準備エピソードがちょびっと、メインはみんなの頼れる寮長・宮井の過去の恋愛エピソードでした。
宮井の恋、気になってたけどこんな濃くて深いもにだったとは驚き!
多感な中学3年生という時期に、人生観を変える藤間と出会ったのは、宮井にとってとてつもなく大きな出来事だったと思う。
子どもから大人へと成長していく時期に、世界の広さ・面白さを教えてくれた人のことって、きっと生涯忘れられないと思うんですよね。
藤間と恋人同士になったあと、細貝のせいで別れてしまったようだけど・・・まさかの藤間が教育実習生として桐浜高校にやって来たところで4巻は終わり。
5巻は何だかんだあって宮井と藤間がヨリを戻すのかな?と想像してるけど、田倉先生はカップルたちの進展をゆっくり描かれる方だと思うので、ひょっとしたら5巻で解決はしないかもですね。
宮井の妙に大人な内面と、普段はしっかりしてるけど宮井には振り回されてしまう藤間の抜けたところがバランスよく描かれていて、キャラ作りが本当に上手い作家さんだなぁと感心します。
もともと読み切り予定だったみたいだけど、まるで4巻までは最初から描くつもりでした、みたいな構成力が素晴らしいと思う。
男子高校生たちが勉強も恋も一生懸命やりつつ、少しずつ大人になって行くさまを描いた秀作。
完結していないけど、気になる人は読んで損はないです。
晃太と宮永の、愛が深まるカップル編。
特異性αである晃太にも、不安要素が出てきそうだなぁ・・・と思っていたら、中盤〜終盤にかけて不穏な空気が。。。
あーーーやっぱり!?というところで3巻へ続いてしまいました。
愛が深くて包容力抜群な彼氏の晃太。
あの晃太がちょっと宮永と離れただけで体調を崩すとは、予想外でした。
匂いを感じ取れたΩに対する執着心ゆえ、そばに居ないと不安になってしまうんだろうか・・・。
これまではどちらかというと晃太が宮永に安心感を与えることが多かったと思うので、3巻では宮永が晃太に安心感を与えてあげられるといいな。
αが不安定になってしまう設定は珍しいと思うので、次巻の展開に期待したいです。
コワモテでタトゥーも入れてて一見αっぽいΩの宮永と、特異性αでナチュラルにモテるが本人は至って真面目な晃太。
アパートでお隣だった二人は宮永のヒートがきっかけで身体の関係を持ち、いろいろあって最終的にはお付き合いに至るお話でした。
晃太はΩのフェロモンを感知し辛い特異体質ゆえ、そこらのΩに対して盛ったりしない。
ただし両思いのΩのフェロモンは微量でも感知できるっていう。
最初は宮永の強烈な発情フェロモンだから感知したけど、その後は両思いゆえ感知出来たってことですよね。
自制心があってΩを思いやれるαが好きなので、晃太みたいなαって良いなぁと思います。
普段コワモテな宮永が、晃太といるときは甘えたになるのも可愛いかった。
甘え方が可愛いΩ男子って本当可愛いんですよね。
エチシーンはいろんなアングルから描かれていてエロいし、普段理性的な晃太がガン突きするのもオス味があって良かったです。
痛々しいシーンも無いし、可哀想じゃ無いオメガバースが好きな人にオススメ。
寮で同室になったスイと春虎。
少しずつお互い惹かれあってお付き合いに発展したのが1巻。
2巻は少し踏み込んで、家族や友人たちへのカミングアウトがテーマでした。
カミングアウトって、扱いがすごく難しいテーマだなと思っています。
受け入れられる人・頭では理解してても生理的に受け付けられない人・とにかく受け入れられない人。
母親だと尚更受け入れ難い人も多いかも。
受け入れてなお、葛藤し続ける人もいるだろうし。
なのでBL作品でカミングアウトをメインで扱うって、すごく難しいというか、力量を試されてしまうと思うんですよね。
作品全体としては面白いし、春虎の一途で素直な性格の良さも相まって、スイとの恋愛模様は良かった。
けど春虎の家族があっさり同性の恋人の存在を暖かく受け入れていたり、カムアウトにショックを受けていたスイの母親が考え直すのもわりとあっさりだった印象があって、なんだか軽いなぁと思ってしまいました。
2巻の作品テーマは、友人たちへのカミングアウトだけにした方が良かったかもなぁと、読後に思いました。
全体としてはピュアで真っ直ぐなスイと春虎が一生懸命に恋して学生生活を送り、様々に悩み傷付いたりしながら成長していくお話なので、DKの恋愛作品が好きな方にオススメです。
ヨキとバドルのイチャラブ番外編と同人誌をまとめた一冊。
本編読了済みの方が圧倒的に楽しめます!
いやぁ、分かってはいたけど、バドルはなかなかの執着・溺愛系男子だよねぇ。
ヨキも気分が盛り上がってくると甘えたになるけど、バドルは常に甘々な態度だし、もう全然ヨキへの愛情やら嫉妬やらを隠さないもんね!
ていうか多分本人は隠してるつもりだけど、ダダ漏れちゃってるっていう。笑
周りの世話役達も大変だよな・・・。笑
愛がデカすぎて性欲もツヨツヨで、部族オメガバースではアルファにも発情期があるのか?と思うほど絶倫なバドル。
一つ気になったんだけど、避妊ってどうしてるんだろう?
コンドームとか無いよね、部族には・・・。
けっこう中に出してる気がするけど、ヨキは妊娠しないのかなー。
・・・と、イチャラブとエロを堪能しつつも、余計なことを考えてました。笑
溺愛ダンナとなったバドルを楽しめる番外編、ページ数もしっかりあって良かったです♪
えーーこれデビューコミックス!?
本当に!??
と、ちょっとびっくりするくらい全体的に完成度が高い一冊でした。
舞台は、とある島の部族集落。
相対する2つの部族が、和平手段として互いの族長の子供同士を政略結婚させたことから始まる物語です。
嫁として村に来たヨキはオメガだけど、島にはまだ「バース」の概念はなく、もちろん誰も「オメガ・アルファ・ベータ」の性別を知らない。
知らないながらもヨキと、ヨキの夫となったバドルは本能的に惹かれ合い、発情が誘発されて初夜に体を重ねてしまうんですよね。
バドルは訳あって肉体的な強さ至上主義で、誰にも頼らず自分だけを信じ、単独行動するタイプ。
ヨキはオメガゆえの煩わしさや理不尽さを幼い頃から経験して育ってきただけあって、常に空気を読み、自分に出来ることを考え、他人とは話し合えば分かり合えると考えているタイプ。
オカンみたいに大きな包容力がある人です。
ヨキとバドルは本当に正反対なタイプなんですが、ヨキの優しさや、柔和な性格の中に秘められた強さによって、バドルのヨキへの接し方が少しずつ変化していくんですよ。
だんだんと好きになって溺愛ダーリンに変貌するって、ありがちと言えばありがちですけど、彼らの場合は過去の辛い経験に加えて、バース概念がまだ無いのに本能的に惹かれあっていくというのが良いアクセントでした。
250ページ越えとなかなかのボリュームですが、え!ここで終わってしまうのー!?と思ったのも正直なところです。
なんて言うか、まだまだ壮大なストーリーの序盤っていう感じなんですよね。
バースの概念が既に生まれている外敵の存在や、作品冒頭で描かれていたヨキとバドルの家族の様子など、もっとこの作品世界を読みたい!という気持ちにさせてくれます。
あとがきで作者さんはSNSで小話を描いていく・・・と書かれていましたが、ぜひ商業誌で続編を描いていただきたい。
ヨキとバドルって、やり直し初夜も迎えてちゃんと夫婦になる意思を固めたと思うけど、多分まだうなじ噛んでいないと思うんですよね。
番になるエピソードが読みたいー。
絵は上手いしストーリー展開も上手ですし、繰り返しになりますがデビュー作品とは思えないレベルの高さです。
部族系・ガタイの良いお兄さんたち・可哀想じゃないオメガバースが好きな人に特にオススメします!
Dom同士のオトとマサ。
オトのコマンドに反応してしまったことから、マサが実はSwitchだった事が発覚し、2人は紆余曲折を経て恋人同士になった。
1巻は恋人になるまでと、恋人になってからのお付き合い初期編。
2巻は恋人として仲が深まるお付き合い中期編です。
ちなみに、2巻で完結していません。
3巻に続くみたいです。
2巻はお互いがDomであるが故の葛藤や、付き合っていく難しさがメインでした。
そんなに重いものではなかったけれど、私自身、これまで「Switchってどうやって2つの性の欲求を平等に発散してるんだろう?」って疑問に思っていたので、オトの心情がよく分かった気がしました。
多分Switchって、Switch同士でお付き合いした方がすんなり行きそうだから。
オトは純粋なDomで、マサのDomとしての欲求を満たしてあげる事は出来ないから、そりゃ不安にもなりますよね・・・。
2巻は全体を通してずっとオトが情緒不安定で、どちらかと言うとマサの方がドンと構えていた感じ。
年齢差のせいだけじゃなく、1巻で性別の変化という大きな出来事を経験したマサの方が、いろんな意味で腹を括る事が出来たのでしょうね。
オトは強いDomなので、ゾーンに入るとめちゃくちゃ強い感じがするけれど、日常生活ではやっぱりマサの方が器が大きくて、いつもでーん!と構えてオトをふんわり包み込んでいてくれてる気がする。
このパワーバランスが絶妙で、良い関係性だなぁと思います。
オトはマサが大好きだけど、オトが思っている以上に、マサもオトの事が大好きだったので、いろいろありつつ終始ハッピーなムード。
マサはSubとしての自覚が大きくなってきているのか、サブスペースにも興味津々。
マサがどうやってDomとしての欲求を解消していたか?と、サブスペに入れたかどうかは、ぜひ2巻を読んで確かめてください♪
他にあまりないタイプのDomSubものですし、痛々しい描写も今のところ無いので、初心者さんにもおすすめです♪