真夏の甘酸っぱい青春ラブストーリー。
罰掃除がきっかけで苦手だったクラスメイトの瑞江に対して、恋心を抱いてしまった梅原。
瑞江の笑顔やバストロの演奏ポーズやジュースを飲む姿に見とれたり、間接キスでドキドキしたり、瑞江から発せられた言葉に涙流したりする梅原は恋する女の子みたいに純粋でとても可愛らしいです。特に瑞江のことを思い起こしながらジュースを飲んで「マズすぎ……」と言うシーンや、最後の方のお互いが想いを伝えるシーンはとても良くて惹きつけられました。
何よりも絵が綺麗で丁寧に描かれておりとても好感が持てました。ただ、純愛なこの作品にカバー裏の絵はちょっと不釣り合いな気はしましたが、遊び心があってこれはこれでありかな、とも思いました。
腐女子彼女。を読んで面白かったし、絵が素敵だったので神葉理世さんのBL本も読んでみたいと思い購入したのですが、買って良かったです。
粘着質なゲイ・今ヶ瀬X流され侍・恭一という設定みたいだけれども、むしろ私には一途なゲイ・今ヶ瀬x流され侍・恭一というふうに見えました。
多少強引で狡猾なところもあるけれども、嫉妬深いところや、恭一が放った些細な一言に傷ついたりするのも今ヶ瀬が恭一のことを一途に愛しているからだと思いますし、今ヶ瀬から恭一に向けて発せられたセリフは感情(愛情)がこもっていて胸を打つものもありました。
ただ、この作品からは恭一の良さがあまり感じられませんでした。好意を寄せてくる女性を拒めずにひたすら流されてしまってばかりで(流され侍らしくはありますが)、中途半端な優しさが今ヶ瀬や周りの女性を傷つけているのだという自覚が若干足りないのではないかと…。
とはいえ、恭一が今ヶ瀬に徐々に惹かれていく様子はみてとれたし、今ヶ瀬が残した煙草の吸いがらを2ヵ月も置きっぱなしにしていた場面からは恭一の今ヶ瀬に対する愛情が感じられました。
ちなみに、私は続巻の『俎上の鯉は二度跳ねる』を先に読んでとても良い作品だと思ったのでこの作品『窮鼠はチーズの夢を見る』も買ったのですが、もしもこの作品を先に読んでいたら『俎上の鯉は二度跳ねる』を読むことは無かったのではないかと思います。
当サイトでこの作品を知って興味を持ち、前作「窮鼠は~」は未読でしたが購入しました。
恭一のことを愛してやまない今ヶ瀬と、愛されることを望むが流されてばかりな恭一。
恭一の言動に泣いたり赤面したり怒ったりと一喜一憂したり、恭一へ想いを寄せるたまきちゃんに嫉妬心をあらわにしたりする今ヶ瀬は恋する乙女みたいでとても可愛かったです。
一方、今ヶ瀬との関係に心地良さや愛着は感じながらも、今ヶ瀬への想いが愛といえるものなのかわからず苦悩し続けたり、今ヶ瀬と別れてすぐにたまきちゃんと付き合い始めた恭一が少し歯痒かったです(とはいえ恭一氏の脳内図は面白かったです)。
しかし、最終的には自分の素直な気持ちと向き合い、今ヶ瀬に想いを伝えることができた恭一は格好よかったと思います。
ちなみに私はこの作品に相当はまったらしく何度も何度も読み返し、前作の「窮鼠は~」を買いに走りました。