同級生もの、数年のブランクを経てリーマンもの。
受(晴れ男)x攻(雨男)…人為的にはどうしようもないものを味方につけて
どうしろというのか…BLファンタジー全開でした。
読んだのが新装版で初版が2003年だそうなので、そんなものかとなぜか納得。
お天気を味方につけたまずありえない設定です。
同級生、それは高校時代の2年間のみです。
当時から攻が気になっていた受は面影を追いつつも特に意識して攻を追い
つづけていたようではないんですが、付き合う相手に面影を探していたり、
いくつかあった(はずの)再就職先も攻がいるという理由で決めてしまったり、
結局は好きという想いを抱えていたんだと気づきます。
攻は雨男という嫌われ要素のせいで真逆の受に複雑な気持ちを抱いていて、
受の一言で嫌いに傾いていた高校時代のうっ憤の仕返しをしてやろうと
部下にしても、有能さと晴れ男ジンクスに救われこそすれ優位に立つことも
できず、なんなんだととまどってしまいます。
リーマンものなので仕事の進捗状況に互いのジンクスを絡めて話はすすみ、
行き詰まりかけたらふたりの同級生(かつ同僚)がかく乱がてらうまく
とりまとめるという流れ。
水壬さんなので安心して読め、絵師は実相寺紫子さん(文庫)という色気の
あるかたなのでどちらかというと初心者向けの方の作品でしょうか。
BLはファンタジーだと思っているので天変地異を味方にした設定には
特に異論はありません。
むしろ上手に設定に盛り込んであって、自分の運動会はどうだったかなー
などと素直に思い出に浸ってしまいました(笑)
好きな10年愛的な設定とリーマン設定でしたがそこまで萌えきれず。。。
あまりにもできすぎな高スペック攻にバブリーな臭いを感じて
イマドキの話じゃないなと一歩引きぎみになってしまいました。
そして自分のことを乙女じゃないと突っ込みつつもまさに乙女な受。
好きな相手の幸せのためなら身を引こう、、、昭和的な乙女です(笑)
家元の息子(受)x8歳年上の従弟(攻)。
出だしから気持ちがすれ違ってるんだなーとわかる展開で
意外性はまったくなし。
シリアスなのかコメディなのかもあやしい感じなまま話は
すすんでいき、家元争いとか才能の片鱗とかのせっかくの
設定も生かされないまま終わりました(はやっ)。
大好きなヘタレ攻設定なのにタイトルどおりの残念な一冊でした。
小さいころから無自覚に好きだったというわりには盛り
あがりに欠ける受の気持ちや、夢での出来事で済ませるには
無理があるだろうというおさわり事件、下手に動くと床が軋む
という離れなのに覗いていた場所からいそいで階下に降りる
ときには音さえもでないという矛盾…。
攻は攻でかわいがりたい、いじめたいという相反する気持ちが
極端すぎて人物像がはっきりせず、しかも中途半端にヘタレて
みたり強引だったりとスイッチが切り替わる瞬間がさっぱり
わかりません。
顔の傷はどうしてできたのか、三日もどうしていたのか、
父親は「不器用な人だから」の説明だけで息子にほぼ
関わらないのは不自然すぎないか、、、ちょこちょこと
腑に落ちないことがあっても説明はないまま、なのに
スピンオフ狙っているのかサブキャラの恋愛してます~って
いうどうでもいいネタを挟んでこられて集中が切れ、
読むのを一旦中止してしまいました。
どうせなら攻のタガが外れてずっとラブモードでいて
くれれば、あるいは諦観モードをつらぬいてくれれば
よかったのにと思います。
訳者買いしました。
小説Dear+で読んでいいなと思っていた冬斗亜紀さんの翻訳。
記憶喪失ものということで過去にさかのぼっていくのかと思って
いたら、記憶を失う原因になった事件にからめて少しずつ記憶を
取り戻していくものでした。
登場前からうさんくささを匂わせる受の親友兼雇い主と
目が覚めたときから冷たい視線を投げかけてくる警察官。
自分自身が定かではない受は逆に冷静な目でふたりを見ながら
なにが起きたのか記憶を取り戻そうとするけどなにも糸口は
見つからないまま。
事件はどんどん悪いほうに転がりほぼ有罪確定の状況にまで
追い込まれていきます。
最終的には無事に濡れ衣も晴れハッピーエンドですが
いきなり登場してきた友人女性との関係性がよくわからないまま
だし、そもそも美術館敷地内にあるコテージに住んでいるという
状況が理解できないですね。
細かいことはすべて「外国小説だから文化の違いが理解できない」
という呪文で流すしかないのがモヤモヤ。
外国小説特有の、もったいぶった話し方となんでもかんでも
例えてみるあたりも最後まで好きになれなかったけど
余韻を感じさせる終わり方だったので読後感はよかったです。
外国小説読みは初心者レベルなので言い回しや外国の習慣に
無知な自分が外国MM小説と日本BL小説を同じように読んでは
いけないかもしれないですが、好きな相手と寄り添えるかも
しれないと期待してしまう受の控えめな喜びは好みでした。
無気力、無責任、無感動。
人になにも期待しないで生きていくことが楽だと思っている受。
母親との死別が深層心理に見えない傷を作り、その傷を自身が
知らないまま人とかかわることを無意識に避けて成長。
攻との出会いで感情が生まれ、四季を知り、初めて他人を認識
したのではないでしょうか。
楽しい、気になる、欲を知るなどの感情の成長を黙ってよりそって
くれた攻にも傷はあります。
その傷は受のトラウマに大きく関係するもので、乗り越えるのは
ちょっとの勇気が必要だといい、手伝うことはできないから自分で
踏み出せと手を離す攻。
ふたりが同時に勇気を試されます。
待つ勇気、前に進む勇気。
怖いけど失えない存在を掴みとりたいという欲が勇気の源になったの
かなと思いながら読みました。
感情の成長はゆっくりだけど、それを教えてくれる攻はある意味
母親のようでほほえましくもありました。
一見重いテーマのようですがこのお話は主人公を四歳児だと思えば
とてもかわいく愛しく感じられます。
巻頭は砂原糖子先生、不動産会社社長(受)xボロアパート大家(攻)。
買収に首をふらない大家の弱みをにぎってやろうとアパートの一室を
借りてすみ始める受。
正論を露悪的に話し、わざと悪役のようにふるまう天邪鬼な受が
買収目的で住んでいると知られても態度を変えずに接してくる攻に
とまどいながらも好意はどんどん膨らみ、けれどつくりあげた悪役の
仮面は絶対に外さない。
ぽろぽろと仮面のすきまから子供っぽいかわいさがこぼれていることにも
気づかず、受は悪役のまま生活しているつもりですがかわいさを知った攻は
裏表なく真面目に向き合ってくれます。
ほぼ全編をとおして受の視点からですが、砂原先生お得意の
どうせ自分のことなんか好きになってもらえないけど好きで好きで
仕方ないんだよ、というシリアス泣かせ系のいい話でした。
20周年記念、桜木知沙子先生のショートストーリー。
大学生男子(受)xアパートの隣室に住むガラス職人(になる予定)後輩大学生(攻)。
一緒にいると居心地がよくて楽しいという気持ちが最初から伝わってきます。
ごく普通の仲良しの隣人と思っている受と、受だけを特別扱いする寡黙で
人見知りな攻。
攻の一目惚れで、伝えるつもりはなかったけれど受の交友関係を誤解した
あげくにぺろっと恋心を告げてしまいます。
受け入れてもらえるはずがないからせめて友達としてでも近くにいたい…
攻が一年前に出会ってからずっと心に溜め込んでいた気持ちを前向きに考えると
受が答えたところで終わりますが続きを読みたいです。
ほぼ両想い成立のあたりで終わるなんてとショートストーリーを恨みたくなる(笑)!!
小林典雅先生、大学生男(受)x隣人年下幼なじみ(攻)。
二年前、受が自室で不純行為をしている現場を見て以降かかわりが
なくなった攻がいきなり受自宅にやってきて、デート指南をしてほしいと
いうところからスタートです。
典雅先生の萌え要素をぶっこんだ今回もいつもどおり紙面がほぼ文字で
埋め尽くされるほど語りまくってます。
いくつもキュンポイントがあるはずなんですが、いかんせん典雅節が
濃すぎて他作品と設定以外の違いがはっきりしませんでした。
小説は行間を推測(邪推)しながら読むのが好きなタイプの自分には
1から100まで語ったうえに語りを焼いたCDを20枚くらい持たせましょうと
いう典雅先生の作風は妄想を膨らませることができず、あまり相性が
良くないようです。
久我有加先生、前号の続きで完結編でした。
貧乏華族の使用人(受)x子爵の養子(攻)。
怪しんでいたとおり攻は子爵とは赤の他人で、謀略のために入り込んで
きたのですがその理由が血縁者だと騙した攻のことを完全に悪者と決めつける
のはどうか、というものでした。
攻の人生とそこに金儲けの匂いをかぎつけた悪役、華族の当主と家を
まもろうとする人たちのやりとり。
やはり久我作品にしては甘さが足りず事件主体のストーリー展開。
久我作品の醍醐味といえば攻が受のなにげない行動や言葉にわーコイツ
メッチャかわいい…と萌えるところ。
他作品でもそうですが、受視点のお話は萌え度がいまいちのように感じました。
金坂理衣子先生、ノーマルリーマン(受)x動物写真家(攻)。
攻に一目惚れされ、かわいくいじらしくぐいぐい攻め込まれてほだされて
好きになり、同棲したものの動物の繁殖期にはさっぱり帰ってこない・連絡が
とれない…もやもやを解消するために飲みに行った先で不審な男(攻の元カレ)
と出会って…の、出来上がっているカップルのどたばたストーリーでした。
好き同士なのに片方がメディア露出するほどの有名人なので、性癖を暴露
されて足をひっぱりたくなくて身を引くというテンプレどおりですが
受のきっぱりした態度や攻のことを大事に想う気持ちがまっすぐに届いてきます。
お互いがかわいいと思っているカプですが、久我先生の一方的になでくりまわし
たいかわいがりたいというものとは違い、かわいくて立派、かわいくて素敵と
相手をちょっと尊敬しながらかわいがる金坂先生の言葉の選び方もよかった
作品でした。
(うまく説明できなくてすいません。。。)
外国小説、翻訳は冬斗亜紀さん(訳者も先生かな?)。
冬斗さんの文章は淡々としているけどじわりと気持ちが伝わってきて
とても読みやすいです。
低温やけどをしそうな静かな熱さがとても心地いい。
原作者は別の人なので話の良し悪しは評価のしようはありませんが
2作品読んでともに後味がよかったのでいい訳者さんだとおもいます。
碧井アオ先生、写真店跡継ぎの後輩(受)x写真家で元写真部の先輩(攻)。
傍にいた二年間、好きすぎてまともに喋ることもできなかった攻との再会。
気持ちを引きずりすぎて付き合う相手とは続かず、とっかえひっかえな男遍歴を
重ねてしまった受。
いざ再会してしまうとやっぱり好き…言葉に詰まり、視線を外すこともできず、
でもまともに向かいあうこともできず。
蘇った初恋のキュンキュンドキドキに読みながらもだえ死にそうでした。
決してピュアなわけじゃない受なのに気持ちはものすごくまっすぐで純真。
ただ攻のことが好きで好きで、攻のちょっとした言葉にも泣きそうになる
かわいい子です。
チャレンジスクール出身の方で継続してDear+に掲載される方はほぼ
ピュア系の安定感のある作品が多いので自分的にツボ。
トータルでハズレ作品はなく、買って損のない号でした。
自分の好みではないけど読むに耐えない作品はなく、小説誌としてはいろんな
好みの読者さんに読んでもらいやすい良い号だと思います。
次号は特集「アニバーサリー」、一穂・鳥谷(リベンジ込みの二本立て?)・
安西・久我。
キーは鳥谷先生でしょうか、当たりはずれの大きい作家さんという印象。
小説Dear+で続けて良い号があったためしがないので正直なところ次回は
谷間のハズレ号だと半ばあきらめてます。
いい方向で期待を裏切ってほしいです。
狙撃手エリアス(攻)と上昇志向の強い警察官(受)ハルキの話。
お互いに拳銃絡みで仕事の立場を降格されてます。
その原因がそれぞれの弱みにもなっていて、攻は引き金をひけなくなり
受は軽い睡眠導入薬のおせわになることに。
会話のテンポは良く、狙撃という仕事ってそうなんだ(そうなのか?)と
おもうような説明もあるので職業も違和感なく読み進められます。
受は初対面の攻に見惚れてしまうくらいなのですぐにラブが芽生えるのは
想定内でしたが攻にラブが芽生えたきっかけがつかめずもやっとしました。
事件の流れや2人の関係の進展のしかたはとてもスムーズで読みやすく、
出世のために相手をしていた上司との関係の切り方でハルキの心の変化が
感じられました。
成宮さんはここ最近は迷走中という感じでいまいち共感できない作品が
多く、初期のような主人公2人の心の機微を前面に押し出したような
作品が好きな自分にとっては筋書きどおりに展開させて完結させちゃう
量産マシーンになったのねという諦めがありました。
が、受の気持ちの流れがつかみやすかった今作品はストーリー性プラス
気持ち重視のほうにシフトチェンジしていたように感じます。
5巻です。
他シリーズがかなり進行したあたりではじまったにしては
ハイペースでの刊行、それだけ人気作ってことだと思います。
今回のテーマはずばり迷い。
暴れ熊は表面的なあだ名で精神とは真反対。
不安だけど見ないように考えないようにしていたことを五百川という
キャラが表面化させてひっかきまわしてくれました。
攻・桐嶋はお口は上手なんですがいまいち心に響かないというか
垂れ流し的な言葉のせいで受・横澤は自分の足元に自信がまだ
持てていないようで。
そこをうまくついた五百川ですが気持ちの固まっている横澤は余所見を
することさえありません。
まぁスキだらけの熊さんなのでうかつな接触はされちゃいますが(笑)
収録二本目では桐嶋の同期、安田という人物が出てきます。
初対面で付き合ってるんだろうといわれて横澤ぐるぐる。。。
態度に出ているのか、気持ちだだモレなのかと激しく動揺。
短編なのでさほどひねりもなく「バイだからなんとなくわかった」と
いう程度で終わっちゃいますが、横澤の心労をおもうととにかく
かわいそうな1冊でした。
藤崎さんの作品はさらっと読めて毒も余韻もないという印象です。
特にロマンチカ・エゴイスト・初恋はBLのド真ん中を歩いて
腐女子の萌えツボを外さない作品。
Hのバリエーションよりも心のシチュエーションをいろいろと展開して
くれるこのシリーズが大好きです。
架空都市、ミナト市のチャイナタウンでの物語。
元刑事の受は同僚が死ぬ間際に遺した言葉の意味を知るため知人を
通じて攻が実力者として顔役を務めるチャイナタウンへとほぼ無理矢理
住み込みます。
攻は街をうろつく受が目障りで、街から追い出したくて仕方ない。
でも知人への義理があって強引には追い出せない。
どうにか穏便に追い出せそうなとき、出ていくという(一方的な)約束を
反故にするかのような出来事があり、攻は激怒して受を軟禁。
嘘をついて逃げ出そうとする受を容赦なく殴ったり、隙を与えないよう
薬で眠らせたりと愛はどこにもみえません。
BOYS LOVEのLOVEが見当たらないまま話は進んでいくんですが
情を封じて生きる攻は受との会話で徐々に情を揺さぶられています。
ほぼ終盤でようやくLOVEのある話になってくるんですが好きなどという
甘い言葉は一切なく、攻の気持ち語りはなく、ただ態度でのみ攻の
気持ちが表現されているので、言葉や態度ではっきりと甘い気持ちを
読みたいという人にはまったく向いてない作品ではないでしょうか。
しかも事件性は薄く、大掛かりな兄弟喧嘩に巻き込まれただけという
かわいそうな受(と殉死した同僚)。
最後ちかくになってようやく見えてきた攻の執着(愛?)の激しさと、
受に憎まれたくないと弱音を吐いてみせ、大嫌いと言われたくなくて
唇をふさぐいじらしさが私のツボにはまりました。
LOVEがないまま9割読みきったあとでクールなLOVEにたどり着いた
到達感もいいですね(自分M?)!!
萌x2をつけたいくらいですがあの挿絵で41歳はありえんだろうと
いうことで萌。
この作者さんの本を読むのは7冊目ですが、自分的にはモルグの次
くらいには好きなテイストです。
巻頭は久我有加先生、爵位返上の一歩手前でみつかった血縁男児(攻)が
お屋敷にやってきて、お世話係りになったピュアピュアちゃん(受)と
デキあがるまでの、華族さまお家騒動話です。
次号にも続けて掲載ということでいろいろと未解決な部分が多くあります。
隠し事をしているような攻やうさんくさい人物もいて、待て次号! なところで
終わってますが恋愛そのものはややあっさりと両思い成立。
はっきりと書かれてはないけどお互いに一目惚れのようなので男同士とか
主従関係という問題はたいしたことないんでしょうね。
久我先生といえば心の中でひたすらカワイイを連呼してどんなところが
好きなのか、どれだけカワイくて好きなのかを読ませてくれるんですが
今回は受視点だったせいかカワイイ攻撃がなく、ややさっぱりしすぎのように
感じました。
月村奎先生、Noと言えない流され人生の受がスパッとはっきり意見を言い切る
攻に惹かれていくお話です。
最初は攻のことが怖くて萎縮してたけど弱っているときにさりげに優しく
してもらって懐き、親友になれるかも…(攻には恋愛的な意味で好意を
持たれているかと勘違いされる)…ちょっと方向がちがったままどんどん
近づいていくふたりです。
流されまくって断れない受にいらっとしながらも、流された状況を
楽しんでいるならまぁいいとわかってくれた攻は男前。
童謡さっちゃんにからめてネタを仕込んであるのも笑えてよかった~。
残念だったのはイラスト、絵的には合ってていいんですが、各種デブが
どの先輩なのかを確認しようとしたら文と絵の座り位置が違っていて
ガックリ。
こういう間違いをされると、この絵師さん読まずに描くから読むの
やめよう…と絵師さんの評価が自分の中で一気に下がります。
初登場の可南さらさ先生、言葉を飾ることのできないまっすぐな美容師(受)と
トラウマ持ちのゲイ翻訳家(攻)のお話でした。
受のつんつんぶりが物凄く可愛くて、攻の一歩引きつつも受にかかわり
たくて仕方ない気持ちがよく伝わってきました。
最初は間に親友の子供がいたんですが、初めてふたりっきりになるかも
しれない食事のときに「ゲイ嫌い」を宣言した受を気遣ってまずは
家の外でふたりでも大丈夫かどうかを尋ねる攻…けなげです。
過去の苦い経験から気持ちを伝えることよりも友人関係でもいいから
つながりを絶たないようにしたいと自重するも、受のこぼした涙に
もしかしてとガマンしきれず恋心を告げにくるあたりはおまえのほうが
よっぽどかわいいよ! と悶えました。
文中の表現も挿絵もしっかりと男のふたりですがとにかく可愛くて可愛くて
きゅんきゅんしっぱなし、さすが可南先生です。
夕映月子先生、高校生とバス運転手の恋物語でした。
全体的にしっとりした雰囲気で、夕映先生の好きな京都の雰囲気を少し
感じました(設定では山間の集落~高校までのバス路線で場所不明)。
周囲の期待する「いい子」のままに育ってきた受と西のほうから
きたというバス運転手の攻。
田舎の寺が実家で、負けず嫌いな性格とあわせていい子でなければ
いけないという縛りのせいで弱音を吐けずにがんばりすぎちゃう受。
初めて攻を見たときのインパクトがすごかったと言う攻はきっと受に
一目惚れだったんでしょう。10年前の原稿をひっぱりだしてきたということで、10年分ピュア
な状態で書かれた作品、、、初々しいのは受だけじゃなかった(笑)
鳥谷しず先生、従兄弟と対立する相手に弁償を迫られ…、、、前編の
ため、とりあえずの状況説明しかない状態でなんとも評価しづらいです。
嫌なヤツと従兄弟から聞いていたけど話していくうちに相手の気持ちを
思いやっての言動も見えてきて人物評を上方修正しはじめたところで終了。
続きは9月20日発売のアキ号掲載だそうです。
半年後にいきなり続きを読むのは辛いし、かといってまた状況説明から
入ると一冊にまとまったときにくどい…いっそのこと掲載しないで
くれたらこんなもやもや感をくすぶらせることもなかったのですがxxx
チャレンジスクール期待賞、瀬戸楓さん。
恋愛に関してどこか壊れているふたりが身体の関係からスタートし
少しずつ普通の恋愛感情を学んでいくお話でした。
どっちも身体に関してはかなり緩い考えでいたけど、受には甘やかしてほしい、
焼きもちを焼いてほしいと思いはじめる攻。
受にとっては身体目当てで近づいたら実際に相性が良く、ずっとセフレ関係を
続けていきたいと肉体主体で攻を特別視する、ふたりの食い違いがキーでしょうか。
壊れっぷりは受のほうがあきらかにひどい状態で、人を好きになるという
気持ちがさっぱりわからないのです。
コミュ障なうえに初体験後のトラウマから心の成長をまったくしていない子供な受。
トラウマ持ちという本人の自覚もなく、下手するとこのまま別れても
おかしくないふたりだったけれど、自分の気持ちが恋だsf気づかないながらも
なりふりかまわず攻にぶつかっていく受の悪足掻きがよかったです。
今後も期待大で次回掲載を楽しみに待ちたい人です。
トータルとしては悪くなかったもののアラが目に付く号に感じました。
可南先生・月村先生(イラストは除外)は神、夕映先生は萌x2。
期待賞の瀬戸さんも萌x2でもいいくらい好み。
点数をつけるなら75点あたり、確実に鳥谷先生の中途半端さが足を引っ張りました。
休載になっていれば85点くらいつけてもいい号ですね。
編集部の方のチェックなどで改善できるはずのアラだけに残念です。
次号は砂原・久我・小林・金坂・碧井先生。
砂原先生がどんな路線でくるのか、久我先生はどれだけかわいいを
ぶっこんでくれるか、小林先生はどんな語りを展開するのかを期待。
金坂・碧井両先生はわりと安心して読めるので、前述の3先生次第で
当たり号になるかハズレ号になるかが決まりそうだという予想です。
巻頭は栗城偲先生、童顔お人よしチンピラ崩れが地元に逃げ出す
ことからはじまった話でした。
作中ではとことんおばか扱いされていた受主人公、自分の中の
おばかとはちょっと違っていて…性善説を信じるお人よしでは、と
まずひっかかり。
攻主人公も対人関係に問題があるヲタ設定、というところまでは
アリとしてもディープな人物像を追求しすぎたのか細部のへんな
ところばかり際立ってしまい、1人の人物として想像しづらく。
とっかかりに失敗してしまった自分なので読み進めてもいまいち
心を震わすような感動もなく、涙を誘うような場面もなく…。
話の中には細かいところで小D+らしさがあったものの、つぶやき
とか会話の中に多用されていたネット言語が正直ジャマでした。
ヲタ設定だからという理由はあれど、商業誌に載るという意識が
薄く、ネット小説の域を出てないように思います。
同じネット言語多用でも高将にぐん先生は読みやすいのにな。
本人もコメントで「分不相応にもセンター」と表現されてますが
巻頭の作品じゃないです。
今号なら金坂先生、あるいは月村先生を巻頭にするのが妥当では?
安西リカ先生、美大を目指す2人の話でした。
1人はいわゆる天才、もう1人はひらめき型天才。
同じ天才でも、英才教育された場合とのびのび楽しく生きてきた
場合の2人が成長したらこうなるんだなという性格で楽しく読ませて
もらいました。
ひらめき天才の受は最初から無邪気に仲良くなりたい~と攻に突進、
絵も楽しい↑攻すげぇ↑と素直。
英才教育天才の攻は本来の才能とは別にいろんな葛藤もかかえながら
黙々と才能を磨き、行き詰ったりして悩みも多そうだけど受のまっすぐさ
にふっと我にかえって自分を取り戻すことができたりとお互いを
刺激にいい方向に進んでいるのが好印象でした。
お互いに一目惚れだったからこそこの展開だったのかもしれないけど
受の単純さ(「好き好き~」なところ)にたまにイラッとくることも。
文庫になる時のことをつい考えてしまうんですが、このふたりの
十数年後を読んでみたいなと思います。
筆一本で生計立てる芸術家xクリエイティブ系デザイナーの2人も
おもしろそうだな~。
意外とお堅く公務員と芸術家の兼業も似合ってて楽しいかも。
今後の幅がかなり広そうなので文庫も楽しみに待ちたいです。
月村奎先生、トラウマ持ちの人見知り出版社営業さんの話でした。
憧れの芸能人(おかずネタ)を前にテンパってヘンなところを見せてしまう
受と、そのテンパリぶりがおもしろくて気に入ったという攻。
どっちもが言葉足らずで互いの気持ちを誤解してしまうんですが
前彼に'淫乱'と思い込まされてしまった受はネガティブな性格もあって
後ろ向きにしか考えることができなくなってしまい…。
振り回しているのか振り回されているのかわからない受の行動に
笑うと同時に哀れでした。
内容はコメディだけど哀しいコメディだったのが月村先生らしくないかな。
ぐるぐる考えこんで動けなくなるいつものパターンのほうが読む側と
しては安心感があって好きです。
雰囲気がちょっと違ったな~というのがざっくりとした印象ですが、
月村先生といえば朝チュン作家。
過去最高にがんばってやらしい場面を盛り込んだのではないかと。
金坂理衣子先生、零細企業社長の苦悩の話でした。
初めて好きになって結ばれた相手が取引先ちゃ長の三男・攻、
恋愛と工場の暗い未来に押しつぶされそうな苦しい気持ちの前半(2/3?)。
攻の気持ちがほとんど語られず、なにか誤解しているなという程度。
受が自分なりにけじめをつけ、淋しいながらもどうにか楽に息ができる
ようになったところで…という展開。
苦しさにリアリティがあり、暗闇のなかで必死になってもがいている
受の姿が哀しかったからこそいざ吹っ切ったときの突き抜けかたが
さっぱりしていて良かったと思います。
砂原糖子先生、BL学園物語(お約束満載設定)でした。
あえて「これぞBLにおける学園モノ」というのを狙って書いただけに
白学生服やトンチキな行事が成立してしまうおもしろさ。
一昔前のBLならではのベタ設定をいま書く勇気がすごいです。
宇宙人存在と同格ではないかというくらいありえない設定!(笑)
話はおもしろく読めたものの、挿絵が気になってしまい…夏目イサク先生
でしたがなんだかのっぺりとしていて画力劣化したのでは…。
コミックのほうは普通に感じるから挿絵はちょっと手抜き…?
挿絵に関しては好みの問題なので人それぞれですが、私はこの挿絵なら
いらないです。
「純情アイランド」とかすかにリンクしてますが、その設定、意味
あるのか?
例によって文庫になる時のための伏線なんでしょうか。
外国小説、意外と普通に読めました。
内容はともかく十分BLとしてありなレベルだと感じました。
過去、外国小説なんて読めたもんじゃないと思っていたけど結局は
翻訳が自分の許容範囲かどうかの問題で、冬斗亜紀さんの翻訳はさほど
違和感なく話しに入り込めました。
まぁ告白もなしにカプ成立か? とか、外国の寮のシステムって? などの
異文化事情がいまいち理解できないけど読み物として満足できました。
トータルでは及第点といったところの今号、80点プラスαというあたり。
一発目でがっくりきてハードルを下げたせいかもしれないですが
安西先生以降は満足できました。
今号の収穫は翻訳の冬斗亜紀さん。
外国小説に開眼しそうです。
次号はなんと可南先生(初登場)、そして月村・久我ご両人!!
フェチ作家の鳥谷先生はなにがテーマでしょう(笑)
ここ数人続けて当たりのチャレンジスクール生も期待したいです。