とってもピュアなお話なのですが、普段から小説にエロを求めて止まない私でも満足するような一冊です。
前半は、ニヤニヤするような癒しのシーンが多いです。
その一番の要因は何と言っても攻めの鐵が拾った子狐、琥珀。
この琥珀が、生まれたての無垢すぎるくらい無垢な存在で、本当に可愛いんです。
あまりにも可愛いとあざといなと穿った見方をしてしまう私から見ても可愛い!
例えば、鐵が大好きすぎて、彼が少し留守にするだけで大泣きするシーンがあるんです。こうやって文章にすると少しウザいと感じられてしまうようなシーンでも、キュンときてしまうので不思議です。
読者がここまで琥珀にメロメロなんです。作中の鐵が落ちないはずがありません。
今までつかえていた主人に裏切られ、生きる意味をなくし、まるで廃人のように暮らしていた鐵。
そんな彼が一途に鐵を想う琥珀に癒されて、己も琥珀を愛していく……その過程で本来の自分らしさを取り戻していく姿が私は好きでした。
この作品は、そんな彼の成長の記録と言ってもいいのではないでしょうか。
この作品を読んでいると、愛情っていろいろあるんだなぁと分かります。
琥珀と鐵の間にある愛情は、親子愛のようで恋人に対する愛のようで、形は変化していきましたが、根源にある「お互いを大切にする思い」「絆」がよく伝わってきて、じーんときます。
しかし、そんなほのぼので終わってくれないのが本作。
後半は、とにかく急展開!
敵として、鐵の前の主人が琥珀を狙って彼らが住む村を襲います。
息つく暇もないといいますか、どうなるの??二人はどうなるの??!!とハラハラドキドキしながら読み進めることになりました。
結構平和?なBLを読んでいることが多いので、ここまでの禍々しい「悪」はある意味新鮮かもしれません。
鬼気迫る描写が、大変面白かったです。
ただ、ラストは賛否両論でしょうね。
勧善懲悪がやはり好きなので、そういった意味ではスッキリしました。
だからこそ、ラストは完璧なハッピーエンドであって欲しかった願望はどうしても出てしまいます。
終わりに余韻があるので、そこに希望を見出すか、もやもやととるかははっきりと分かれると思います。
ただ、エピローグの鐵の描写が個人的には好きなので、そこだけは救いだと思ってます。
鐵の成長の物語と記録と書きましたが、全てが終結した後の鐵が前半のような廃人に戻らず強く生きている。それが何より、琥珀のおかげに思えて、変化を楽しめました。
可もなく不可もなく…
そんな言葉がぴったりな一冊でした。
ちるちるのあらすじは短めですが、実際の本の裏に書いてあるあらすじはもうちょっと長いです。
そして肝心の本の内容はといえば、そのあらすじを跳躍することもなく、まさしくあらすじのままの内容でした。
二人の性格、出会い…本の裏を見れば大体分かります(苦笑)
あらすじがあまりにも付き合う前提の内容だったので、てっきり付き合った後の話、または前半でさっさとくっついてその後かなぁと個人的には予想していたのですが……
まるまる一冊かけて付き合うまでのお話だったのです。
私自身、ネタバレ感想を多く書く人間なのですが、この作品に関してはそういった点もあってあまりネタバレをかけません…
あらすじに問題あるのか、内容に問題があるのか……あらすじにないような予想外の展開が、もう少しあってもいいのではないのかなという感じです。
あらかじめカップリングが分かっていても、二人の恋の行方は?!付き合うの?付き合わないの?二人のすれ違いがあああ!という駆け引きが好きな方には向いてない作品かもしれません。
私自身もどちらかといえばそういった内容が好きなので、双方の心理描写も丸わかりで、先の見える分かりやすいストーリーは後半だれますね。少し飽きてきます。
キャラクターは魅力的ですが、出てくるキャラ全てがいい人で、そこがまただれてきた要因なのかも。。
全体としてはとても甘〜い一冊となっておりますので、癒されたい方にはオススメかも…??
前作「クロネコ彼氏の愛し方」で嫌な役どころだったユージンのスピンオフです。
今作を読んで、ユージンに対する見方が180°変わりました。
ユージンは幼少のころに、血統を重んじる祖父母に引き取られて育ってるんですが、大きいお城で独りぼっち、とても窮屈な生活だったようです。
陰では日本にいる弟圭市と比べられたりなんかして、意地になって血統に拘っているなぁと感じました。
現在の頑なユージンの性格は、全て幼少期に感じた一種のコンプレックスが転じたものだったんです。
………対して弟は日本でのびのび暮らしてきたはずなのに、(今は丸くなったけれど)なんであーなってしまったのか(クロネコ彼氏のアソビ方参照)ユージン株が上がると、もれなく弟圭市の株が少し下がります(笑)
話は戻って、そんな独りぼっちだった幼少期に出会うのが今作の攻め高見沢なんです。
彼はユージンのコンプレックスをキレイだと言い、今に至るまでずっとユージンの傍で尽くしてくれる存在です。
ユージンはなにかとツンツンしつつも、どんなときでも傍にいてくれる高見沢が大好きなんです。
高見沢とずっと一緒にいたいがために血統のために結婚までしちゃうくらい!
自分には血統を守って、またその血統を絶やさない役割がある。
一生結ばれることはできないけれど、片腕としてだったらずっと一緒にいてくれるかもしれない。
ユージンはユージンなりにいろいろ打算があったんだと思います。
だからこそ、一度だけの思い出だけでもと、結婚前に一夜だけ高見沢と肌を重ねるところは切ない……!
ユージンはすごく健気で一途なやつでした。
そしてそんなユージンは、弟がイエネコに夢中になっていることを知ってしまうのです。
自分は、いろいろ我慢しているのに、自由恋愛を謳歌している弟。
そりゃあ、ちくっとやりたくなると思います。
しかも、そんな時に高見沢は結婚するかもしれないとか言い出すし、踏んだり蹴ったりです。
そんな傷心のまま日本へ向かわなければならないわ、愛息リオは憎きイエネコに懐いてしまうわ……今「クロネコ彼氏の愛し方」を読み返すとユージンが可哀想すぎて少し泣いてしまうかも……?!
結局、物語終盤まで意地を張り続けるユージンでしたが、最後はしびれを切らした高見沢によって頑だった殻を壊されてハッピーエンド!
素直なユージンはすごーく可愛かったです。高見沢が少しきついことを言わだけで涙目になってしまうんです。
本当に高見沢が好きなんだなぁと、ニヤニヤしました。
もう、今回の評価=ユージンの可愛さです。
それくらいユージンの魅力がぎゅぎゅぎゅっと詰まった一冊でした。
ただ、一点。高見沢の魅力がイマイチ私の萌をくすぐらなかったので今回は神にはしません。。
ここまでつらつらとユージンについてしか書きませんでしたが、本編の意地悪で腹黒そうな高見沢は決して嫌いではありません。
で す が
描き下ろし漫画で、ユージンの交友関係をこっそり操作している描写が私的には受け入れられませんでした。
ユージン宛のメールを勝手に消すだなんて……たとえ相手に下心があったとしても、攻めならばスマートにメールが来たよと教えてあげて、余裕を持ってどーんと構えてほしかったです。
心狭いなぁ、ユージンを信じなさいよ、としか思えませんでした。
ただね、高見沢目線のユージンは犯罪級にかわいいので、ここは必見です!
追記:
電子書籍版おまけ読みました!!
その名も「不機嫌乳首のなおし方」2ページです。
最近白抜きが多い世の中となってきましたが、そういったものは一切なく、ユージンの"恥ずかしがり屋な"乳首をがっつり拝めます。(笑)
内容は題名の通り。
陥没乳首を直すにはどうしたらいいか真剣に悩んで高見沢に相談するユージンのお話。手術した方がいいのかとか言ってますが、そんな手術あるんですね~
まぁ、そんなことを高見沢が許すはずもなく、俺が治しますよと安定の乳首攻めです。毎日続けることが大切らしいですw
ごちそう様です。
前作で両想いのハッピーエンドだったと私は勝手に記憶していましたが……
真に結ばれたのは二巻でした。
前作の先輩は、完全にジュリアのことを受け入れたわけではなかったんですね。
ジュリアに対して特別な感情は確かにあるし、身体も許すけれど、前作のようなジュリアによる暴挙(飛び降りなど)に絆されての決断だった感は否めない。
自分がジュリアに対して抱いているものは、友達としての親愛なのかそれとも別のものなのかまだ分かっていないんです。
それに、海外からもどんどんオファーが来ているジュリアの足かせにもなりたくないという想いも……。
だからか、なるべく心情的には少し距離感をもって接する努力をするわけです。
大人で寛容で、思いやりのある行動が目立ちます。
けれど、ふとした瞬間にジュリアに対するまだはっきりしない気持ちが暴走してしまうこともあったりなんかして、そこにグッと持っていかれました。
ジュリアは、相変わらずです。
ともすれば、愛の押しつけともとれる行動の連続で、先輩大好き!仕事より先輩!先輩しか見えてない!ってな感じ。
もう諸突盲信で、肝心の先輩の気持ちは何処へ……
と、ある種自己中ともとれる描写の連続ですが、不思議とそこまで不快感はありません。
おそらく、ここぞというときはきちんと先輩の言うことを聞くからかなぁ。
ただ、最後のジュリアの行動は完全に好みが分かれるかも。
……監禁なんですけどね。
先輩がジュリアに対してそっと別れの決心をしたのを察知し、鎖で繋いでしまうんです。
トイレ行きたいって言われて、おまるを準備しているあたりちょっとした恐怖描写ですよね。
実際は、キラキラに騙されてあまり恐怖感はなかったんですけど、、
先輩の一言で、自分の目にフォークを刺そうとしたのはさすがに狂気を感じました。
ただ、最終的には先輩の涙で開放(監禁・恋人関係の解消)を決断するあたり、まだ人の子だ……とほっとしました。
先輩の涙は見たくないって気持ちがある限り、この子はまだ大丈夫だ、と。
まぁ、ジュリアのそんな行動によって、先輩もジュリアに対する今まで目を背けてきた気持ちと向き合えたし、ジュリアを真の意味で受け入れる!って決断できたから結果オーライ。。なの、かな?
あの重すぎるジュリアの気持ちを受け入れられる先輩の度量大きいわぁ。と。
二人がくっついた喜びよりも、先輩が男前すぎてそちらに関心しきりでした。
総評としては、内容よりも先輩に萌心をかなりくすぐられた感じです。
個人的にかなりツボなのは、先輩のマニアックすぎるジュリア萌えポイント。
例えばわき毛(笑)※本編より
もう、すりすり頬ずりしちゃうくらい萌えるらしい。そして、見ただけでむらむらするらしい。
例えば眼球(笑)※描き下ろし番外より
ジュリアに目玉を舐めさせてもらって、はぁはぁしてます。
その他にも実は、ペーパー(封入、店舗特典のほかリブレのメガネがテーマの描き下ろしマンガペーパーフェア)でマニアックな萌ツボを発揮してくれてる先輩。
一連の行動を見ていると、ジュリアと先輩って根源は似ているのかもしれない……と思いました。
丸木先生の本は過去に二作ほど手に取ったことがあるんですが、シリアスな内容がどんよりしている雰囲気に思えたのと、終わり方も私の好きな感じではなくなんとなく敬遠してました。
しかし、こちらの作品のあらすじだけは前々から気になってはいたので、電子書籍で思い切って読んでみることにしました。
紙媒体で本を買って面白くないと少し後悔するのですが、電子書籍だとその後悔が最小限で済むので、悩んだ場合は電子書籍で購入です。
結果的に言えば、イラスト付きで、内容もとても良かったです。
内容としては、ギャグ寄りのエロエロで、さっらと楽しめました。
一応探偵ものなので、事件も出てくるのですが、それほど印象には残りません。
それよりも、主人公たちの心情とか、会話とか行動の方が楽しめました。
続き物一作目ということなので、導入という意味ではバッチリだったと思います。
受けにしても攻めにしてもそれぞれの魅力が十分伝わりました。
なので、彼らの過去に関してもぜひ知りたくなりました。
主人公の過去やお家事情に関しては匂わす程度ではっきりとは出てきません。なぜ、今こんなに倫理観がゆるゆるなのか、こんな性癖になってしまったのか。
とても気になる話の持って行き方なので、続編も読みたいなと思ってます。
ただ、一点だけ。
丸木先生に限ったことではないのですが、たまにBL作家さんが描く20代に違和感を持つことがあります。
この作品に関しても、和服を好む云々抜きにそれが顕著に出てたと思います。
なんと言うか、数年前の20代?のような印象。
喋り方とかそういうのは、小説に限らず漫画でも独特なものがあるので割り切れるのですが、価値観?なんかが今現在の本物の20代とかけ離れているなと感じます。
価値観を例にすると話が収まらないので、この作品に出た会話を例にすると。
攻めの言動に受けが「吉幾●か!」と突っ込むシーンがあるんですけど……。
今どきの若者のの殆どは吉幾●を絶対知りませんよ。歌は知っていても、かの有名な歌と彼の名前を結び付けられる人がどれだけいるか。
そして、そのまま日常のツッコミに使えるほどこの名前に慣れ親しんでいる人がどれだけいるか。
私自身、読んでて数秒意味を考え、ようやく笑いました。ツッコミのうまさというより、なんでそんなツッコミの仕方知ってるんだというところに笑いました。
受けの映は26歳、ばりばりの平成生まれです。そしてこれから、20代全員が平成生まれという世の中がきます。
難しいと思いますが、20代が読んでも違和感のない20代、10代を読みたいです。
一昔?前ならもっと評価が変わってきたかもしれませんが、このBL作家デビュー戦国時代にデビューした割には…………。
他社の新人さんの作品と比べてしまうとどうしても見劣りしてしまいます。
設定は◎
過去に友人に強姦され、トラウマを植え付けられ、アブナイ性癖に逃げ込む受け。それを優しく包み込んでくれる攻め。
これだけ見るととても萌えるんですが、ふたを開ければスカスカでした。
まず、受けが最初から攻めを褒めすぎる。
「この人なら~」とか「この人だから~」みたいな、後半に行けばいくほどやたら褒めちぎってます。
けれど、攻めの凄さに関しては雰囲気で伝わってきましたが、具体的にあまり出てこないので読者は「そこまで褒めるほどすごい?」と置いてけぼりです。
そもそも、トラウマを持っていたらもう少し警戒した方がいいと思うんですけどね。
一度レイプされている割に、攻めへの警戒心の形が違うとでも言いましょうか。
「この人に近づいてはいけない」みたいな心理描写が何度かあるんですけど、それが「男に対する恐怖」っていうより、「攻めに溺れてしまいそうな自分への恐怖」に見えて仕方なかった。
酷いレイプをされた割には、一段階すっ飛ばしたなぁというところ。
レイプのトラウマを長年引きずって、とても長い間彷徨ってた割にはわりとあっさりでしたね。
そして、攻めと受けが少しいい感じになったところでお決まりのように出てくる受けトラウマの原因になった「元友人」
ここで読者は攻めの立ち回りを期待すると思うんですが……。一、二行で解決するわけですよ。その件は何とかなったから心配しなくていいヨと。
「元友人」が出てきたときの緊迫感あふれる盛り上がりが良かった分、そこで肩すかしをくらい。
最後に、当て馬とおぼしき攻めの店で働く店員さん。
自分も攻めが好きだ!と堂々と宣言するんですが、次に登場したときは、貴方の方が攻めにふさわしいとあっさり身を引くんですね。
ここでもまた「はぁ……?!」って気持ちになりました。
もちろん全てを掘り下げたらクドくなると思うんですけど、どれも掘り下げないって。。そのせいで、攻めと受けの恋愛模様が単調に、薄っぺらく見えました。
文章に関しては、全く合わなかったです。
好みの部分もあると思うんですけど、攻めの口調が統一されていないのがものすごく気になりました。いつも丁寧な口調なのに、突然少しだけ命令口調になったりするんですよ。これはSMを題材にしているわけですから、それをコマンドとして活用していれば良かったんでしょうけど、そういうわけでもなさそう。ワンシーンの中で丁寧になったり、そうでなかったり、とても引っかかりました。
おそらく、作者さんには意図があったことなんでしょうが、この構成力では伝わってこないかな。
そして、もう一つ引っかかったのは二人称の使い方。
これもころころころころ変わるんですよ。
攻めは受けを「綺麗な人」「宮くん」「あなた」
受けは攻めを「数見さん」「あんた」
代表的なのものはこれくらいですが、もっとあるかもしれません。
たとえば、出会ってから徐々に言い方が変わるなら分かるんです。でも、ワンシーンでこれだけ変わるんです。
たとえば、攻めの方。「綺麗なひと」ってなんだ……。と思うわけですよ。用例としては「綺麗な人、どうしたの?」みたいな。そんな日本語使う日本人いるの?と首をひねざるを得ませんでした。付き合ってからも「あなた」って言うし。すごく違和感を覚えました。
これは、フルールのHPで番外編が掲載されているので、試しに読んでみてください。短い番外編の中でもかなり顕著に出てます。本編はそれにプラスαです。これで大丈夫だったら、本編でも大丈夫かと。
本編を読んだのも、この番外を読んだのもずいぶん前なのですが、未だに定期的に読みたくなる一作。
本編の方は永遠に「神」評価です!!
さてこちらの作品なのですが、場所によっては「ペーパー」と明記されていますがちょっとした小冊子です。14ページあり、短いながらも、萌がぎゅぎゅぎゅーっと詰まっております。
もうずいぶん前のものなので、思う存分ネタバレしたいと思います。
「犬を飼いたいな」
とある昼下がり、のんびりとした時間を過ごしている中、倖夫のそんな唐突な一言で物語は始まります。
ただ、ソファで寛いでいるだけのシーンなんですが、もう夫婦というかなんというか、文章から伝わる甘い空気感が素敵でした。ナチュラルに轡田の膝に乗せる倖夫の描写とか、本当に何気ない一文に萌を感じました。
話は戻って、犬の話。
倖夫のこの呟きは、半分は独り言のような感じで、特に本気でもなかったんですが…
予想に反して轡田から返ってきた言葉は頑なな否定。
倖夫がどう言っても、犬は飼わない!の一点張り。
それに倖夫はちょっとムッとしてしまうんです。
私には、轡田は倖夫に常日頃から甘々でなんでも与えてくれるので、滅多にしない拒否反応にいじけてしまったように見えました。普段からあふれるほどの愛情をもらっているので、その愛情を疑う…まではいかなくとも、ちょっとだけ愛が減った。みたいな。
倖夫は本人も自覚しているほど愛に飢えているので、その愛がたとえ1%でも足りないと寂しくなっちゃうんだろうなぁという感じです。
そして、そんな倖夫の小さな感情の機微に気づかないご主人様ではありません。
解決策として取りに行ったのは、倖夫かつてに使っていた乗馬鞭とチョーカー。
そして、チョーカーを倖夫に差し出して言うのです「嵌めて」と。
もっと言うならば、「お前より首が太いから緩めに嵌めろ」と。
そうです。ここで表題の「reverse」の意味が明らかになるのです。
倖夫の前に現れた倖夫だけの「犬」
最初はそれに戸惑いながらも、恐る恐るかつて自分がされていたようにコマンドを出してみる。
すると、それに従順に…それこそかつての倖夫以上に倖夫の命令に従う「犬」
「スティ」も「ダウン」も「ヒール」も完璧!
褒めてあげれば、嬉しそうに倖夫の顔をペロペロ…。
新たな萌を開眼させてしまったかもしれません…!!!
ワンコ攻めとはまた違う萌のジャンルですよこれ。なにプレイですか。。。なにプレイと検索すれば同じジャンルが読めますか←
読者がこうして萌えている中、倖夫も不思議な気分になってくるんです。
そしてそんな「犬」とのスキンシップの延長で、倖夫はおやつをあげることにするんです。
しかも、皿とかは使わず、手をしっかり洗って手のひらに載せて与えるんです。
手に載せて食べさせるというのは、食べ終えてもまだ手をなめ続けろと言うことですね(確信)
案の定、食べ終えてもなお、手をなめ続ける「犬」
それに倖夫は感じてしまって───
ごちそうさんでしたー!
14ページしかないのでね。エッチシーンはばっさりカットですけどね。
ピロートークは十分にあるので、私は満足です。
個人的に一番の萌は、本編最後にも出てましたが、倖夫は相変わらずエッチの時に轡田に噛んでもらうのが好きだって描写。
イイ!そのちょっとした描写で、妄想を膨らませまくりです。
総評としましては、全ページあまーーーい、です。
犬を飼うか飼わないかというやり取りでさえ、いちゃいちゃしたじゃれあいにしか見えません。
そして終わりも良かった。
「犬を可愛がる時間があったら、私にキスしてほしい」
これがもうすべての答えです。
愛に飢えてるのは倖夫だけではないのですよね。
機会があれば、この二人の話をまだまだ読みたい。。
一ページ目から目に飛び込んでくるのは、起き抜けの麗しいリュシアン…かと思ったら、その手には、てん太の使用済みFUNDOSHIがしっかり握られておりました…。
しょっぱなからイケメン台無し。
てん太不在の中、手の中にあるFUNDOSHI。。
何とはなしに匂いを嗅いで…止まらなくなり…自慰までしちゃったYOって内容です。
予想以上にくんかくんか、スーハ―スーハーしてました。
6ページしかないのに、4ページはくんくんやってました(爆)
ちなみに、てん太は家に一度着替えに帰っただけなので、さっきまで傍にいたわけですし、すぐ帰ってくるわけです。それなのに、すべてFUNDOSHINOせいだ…!と一人でおっぱじめてしまうわけです。
イラストは臨場感たっぷりです(笑)上から下から横から…いろんなアングルからスーハ―やっちゃってるリュー様が拝めます。リュー様のお尻さえ拝めてしまいます。
これはギャグ……???
夢中になって自慰に励む中、ふと心の奥に潜んでいたてん太への想いを言葉を口に出してしまう…。そして、果てた瞬間に急に冷静になった頭で、さっきの言葉はなんだったのか戸惑うリュー様…。
それだけで終わっていた綺麗にまとまったかもしれませんが、やはりこれはギャグだったのかな?オチもくすっと笑わせていただきました。
前作未読です。
きっかけは、雑誌に載ったころ、イラストに惹かれて…です。本当に綺麗なイラストを描く先生だ…!と思いました。そして、作者名を見てびっくりしました。
実は石田先生の初期の漫画を読んだことがあり、イラストが好みではなかったので遠ざかっていたんです。
けれど、この作品をきっかけにすっかり石田先生のイラストのファンになりました。
ただ、リュシアンことリュー様が某超人気乙女ゲームのドS伯爵アイドルにしか見えなかった…
なんだか設定や言動も微妙に似てて。。
脳内再生ボイスは、前野さん一択でした(笑)
そんな今作、健気な受け…てん太がいなかったら成り立たなかったと私は思います。
何せ、攻めのリュー様がアレなんですもん。
日本嫌いでイヤイヤの来日、性格も難有りな超俺様な上、お稚児趣味。
ただでさえ、アイタタタタタ…なのに、褌萌えを開花させてしまって、顔が良い分始末に負えない。
そんなリュー様と出会ったてん太。
20歳にはまったく見えませんが、ショタバッチコーイなのでそんなことは問題ではないのです。
健気だし、いい子だし、頑張り屋だし、可愛い…!
デート中もむっつりしてるリュー様に何とか楽しんでもらおうと、一生懸命な姿はリュー様じゃなくてもコロッと落ちると思います。
本作はエロ多めですが、たかだか男娼と見下しているてん太に心惹かれつつ、プライドが邪魔して素直になれないリュー様との擦れ違いや、リュー様の正体が王子だと分かって、自分とは到底釣り合わないと身を引くてん太には、ぐっと心を持っていかれました。
エロの部分の見どころは、褌一択!褌がなきゃ始まらないお話です。
俺様に見えて、リュー様が己の一般よりでかいアレをちびっこてん太に最初っから突っ込んでいかなかったのにも好感持てました。
最初から挿入がなかったこそ、後半の入れるか入れないか…すれ違いや、てん太の決意が引き立ったと思います。
ただ、エロシーン自体は、私の好みとは少しだけズレてたかな。。そこはマイナスでした。
具体的に言うと、効果音というか擬音がすこし邪魔だと思うことがあったり、てん太のお尻をアップするアングルが好きになれませんでした。その他はすごく良かったんですけどね。リュー様の引き締まった肉体とか、褌とか褌とか褌とか(笑)
同時収録されている番外編「Pays de Cocagne」「Cache」に関しては、PGで既読でしたが、どちらにせよなんでこうなった…!としか言えません。ほかの方とおおよそ同意見です。
「Pays de Cocagne」に関しては、本当にショタものです。私は、見た目が幼めの外見ショタが好きなので、本当に小学生低学年(…よりちょっと上?)の子を囲っている様子と、濡れ場シーンに、えげつなさを感じました。しかも、攻めは数ページ前てん太とハッピーエンドを迎えたリュー様だし。
これが、濡れ場なしだったら許容できたんですけどねぇ。手を出すとなると話は別です。
しかも、ちびっこみんなリュー様を盲目的に慕ってるようだし、これどうなの?と思いました。
リュー様が帰国したら、みんなお役御免?それはそれでみんな身寄りのない子たちだから酷な話だと思うし、情けをかけて王宮で働かせるってのもてん太を想うとフクザツ…。
「Cache」に関してはもっとダメージくらいました。これを読んだ当初、読まなきゃよかったと思ったほどです。
攻めが昔受けだった…って設定だけで良かったんじゃないでしょうか。複数モブ姦の上、そこにある種の悦びを見出している汚れた姿は見たくなかったです…。本編での攻めの言動や行動とのギャップが凄まじすぎます。
本編がきれいに終わっているので、この番外が原因で評価が下がるのは本当にもったいないなぁと思いました。
かわい先生の作品は、設定とか細かい萌えポイントとかかなり私のツボをくすぐるんでなんだかんだと読んでしまうんですが…
なぜだか、文章が合わないんですよね。ほかの作家さんだと二時間足らずで読めてしまうものが、かわい先生のものだと三日かかったりします(笑)
けれども、この作品はかわい先生作品で初めてすぐ読み終えてしまいました。
過去にあった出来事のせいで周りからは下半身がだらしないと思われている受け。つまり、寄ってくる男どもも、みんなそんな噂を鵜呑みにして、受けをいいようにしたいとしか思ってないんですね。それで、散々な恋愛しかできなかった、と。
それで恋愛に臆病になっている受けですが、比較的後ろ向きな性格だとは思うんですけど、変に卑屈だったりとか、過度にひねくれているとかそういうこともなく…。純朴な青年だなぁ、可愛いなぁと読んでいて好感が持てました。
それに対して攻めも、過去の恋人とのトラブルのせいで、一夜の関係しか求めないようなドライな恋愛しかしないんですよね~。
けれど、面倒事には関わりたくないと思いつつ、いざ受けがひどい目に合うところに出くわすと、さりげなく助けてくれるなんだかんだといい人です。
どちらも、種類は違えど、恋愛と少し距離を置いている感じ。
そんな二人が、少しずつお互いに距離を詰めていく様子がとても良かったです。
受けはふとしたしぐさというか、リアクションがすれてなくて可愛いので、そんな小さな積み重ねが攻めが受けに惹かれていったきっかけなんだろうなと思います。
エッチシーンもすごく良かったです。決して激しいものではないですが、探り探りもある分慎重な描写で、逆にそれがエロかったです。今までこんな優しく抱かれたことのないという受けのモノローグに、よかったねぇと心から思いました。
透過性恋愛装置の王子もいいキャラしてますね。二人の恋愛にはほぼ関係ない関わり方をしてくるんですが、受けのことをなんだかんだと気に入り、友達になって欲しい!って思いを「通訳」を介して伝えるのがすごく面白かったです。
「王子、友達を作るの巻」とか同人ででないだろうか(笑)そんな短編があったら、たとえBLなしでも結構面白いと思いました。
ただ、私は透過性恋愛装置<月一滴だったので、最後の透過性恋愛装置カプの短編はいらなかったかな…ファンの人ごめん。
透過性恋愛装置が嫌いなのではなく(むしろ好き)、月一滴がすごく良かったので、あのページを月一滴カプでもう一本埋めてほしかった。そこがある意味評価「神」にしなかった理由かも…。
イラストはすごく良かったです。透過性恋愛装置の時は、(牧田さんは良かったですけど)王子を形容するのがキラキラとかだったのでこのイラストでは合わないと思ってたんですが、この作品のほんわりした雰囲気にとてもあってると思いました。