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絶えず続く日々と衝動と

5巻、相変わらず日常は続くが同じ日はなく時間は進む。日々多忙で疲れが溜まる中二人の時は前より素直に癒し合えるようになった静と朔太郎。特に朔太郎が誕生日に他の男が訪ねてくるのに露骨に嫉妬を表して、静が破顔してしまうのがよかった。日々の繰り返しを我慢強くこなしたから後半の旅行のご褒美ボーナス感が高くてそこからはただただ気持ちいい。朔太郎からの「本音ダダ漏れ」と決定的なセリフも飛び出す。いつも家で朔太郎からの連絡を待ってる静が前にも朔太郎からの連絡でつっかけで家から飛び出してきたよう、今回は自分から連絡して朔太郎を迎えに必死に走ってくる。普段の静さに対して、あの「動」たる衝動の走りがこの作品の愛の象徴だよなと思う。

家は変わっても…

静の実家は無くなって、じゃあどうする。となって結局朔太郎はまた静のマンションに通う。彼の居場所は静の家=静なんだとハッキリわかる4巻。人間は急には変わらず根っこは全く変わらないと描くのがリアルです。朔太郎の学生時代の話で彼は人の好意は受け入れても、自分の好意には臆病で無意識に深い関係が築けないことがわかる。その根はかなり深い。だから現在でも勇気を持って「久慈と一緒にいたい」と初めて愛の告白に近いことを言えたのに「告白じゃなく報告ね」と加える。その違いは「返事は不要」ということだろう。ツンデレどころではない。正直に愛してくれる相思相愛の静に対しあんまりな言いように呆れます。でも今に始まった事ではなく静はめげない、どころかやや前進を感じている。彼は決して諦めない。家は変わってもその家を整えつづけ朔太郎からの連絡を辛抱強くずっと待っている。コチラもまた不器用で、必要とされた時にすぐ手を差し伸べられるよう準備することが彼の愛なのだ。「自分のために泣けない」ある意味誰より純粋な男が好きだから。朔太郎は自分以外の周りには聡いのに、静が環を可愛がるのも、大きなホットプレートを買う理由もわからないし、次に買うソファの話もフワッと曖昧に喜び未来については半信半疑だ。それでもいつかは、静がすでに未来を見てることに気づいて、素直になれ、と思う。そうでなきゃ静が報われなさすぎるでしょうが!とヤキモキしつつ続き楽しみに待ってます。

特典描き下ろしはどれも素敵で、糖度高め。4巻まで進んだからこその二人の柔らかい想い合う日常のシーンが見れて幸せです。手に入れる価値ありです。

「裏方」の仕事に賭ける男たちの爽やかなラブストーリー

波真田先生の「スモークブルー〜」が好きで、他作品も読んでみた中の一作。ライブ会場を作り上げる裏方仕事の二人が主人公。これもまた他作品と同じくバランスがいい。リアルな仕事描写に対して、ガテン仕事のリーダーとは思えぬ可憐な容姿の伊織さんに夢とファンタジーを感じる。それらが上手く混ざりフィクションとして面白く読みやすい。終始爽やかな印象はキャラの性格が大きい。伊織、龍それぞれに仕事に対する姿勢やその裏に隠された繊細な過去が流れるように描かれ、二人を見守りたくなる。途中ラブストーリーになってから、あ、これBLだったわ。と思い出すほどに仕事に真摯な人間ドラマが立っていた。趣味としてもう少しひねたキャラが好きなため星一つ減らしましたがとても爽やかな秀作という印象です。

幼馴染の凸凹cpすれ違い

波真田先生の「スモークブルー〜」が好きで、他も読んでみようと購入。
幼馴染の間にしかない自他境界がないような親密さから性的関係になる二人。そんな二人が一度離れ再会してお互いを意識し始める。リアルにありそうな話を丁寧に描写するところ。そして、いや仲良いからってないだろというBL的エロスであり萌えどころ。その二つの要素のバランスが上手くついつい引き込まれました。一途な忍と、自分の気持ちに鈍く忍に尽くすが自覚がないため振り回してしまう夏喜は前述の「スモークブルー〜」とも近い関係性です。先生はこういうすれ違いが得意なのだなと感じました。そこ好きでした。お互い想ってるところが良いし、忍のミディアムヘアの黒髪のエロスにもグッときました。続きも気になるところです。

贅沢な寄り道の4作目

シリーズ4作目ともなると由岐と麻水の関係は安定。今回は麻水さんの複雑な家庭と由岐君との映研時代の出会いが紐解かれます。巻数重ねキャラが心にすでにいるので、麻水さんの考え方ってこの環境で出来たんだな、だから由岐君に言われたことが嬉しかったんだなと1巻を思い出しより深く世界に浸れました。由岐君の大学時代の尖り方と、里帰りで鍋を食べてる時に麻水さんを揶揄う柔らかさのギャップが最高です。サトタクさんと壮馬さんの息も益々合って、より肩に力の入らない自然さで。ロマンティックな海のシーンもリアルな会話感を楽しめました。アニメイト特典の役者二人のトークは作品愛が溢れて止まらぬようで、愛されている贅沢な作品だと思います。

自然なドラマ

全体の印象として脇役も含め芝居がすごくスムーズで他の作品と比べても自然なドラマで好感を持って聴けました。いかにも話を動かすためのセリフとキャラというのが見え隠れして気になることがあるんですが。それをここまで感じないのは初めてです。暁のマネージャーの丸子さんとか、大前の研究室の同僚とか。二人を目撃する腐女子?のゆかりさんとか。よくあるシチュですが、全員がこの中で生きてるんだなと思えました。主演二人も自然体で「売れたくてギラついてる」暁のcv千葉さんの爆走ぶりと、「性根からマイペース」の大前のcv安座上さん。二人とも気持ちを前に出して生きててそんなに辛そうでもないな、ノーストレスね。と思います。原作と比べて二人ともドンと真っ直ぐなせいかラブストーリーのずれ方がコメディというよりリアルに噛み合わない感じなので、萌をあんま感じない?そこは分かれる気がします。あとはディスク2にしかいちゃいちゃが入ってないため通常版だとかなりあっさり終わりそうでそこは気になります。ディスク2も良くてノッて作ってるという感じで。主演二人のトークも楽しそうだし、本人たちのまんまだったなと思いました。私はこの自然な感じがすごく趣味に合いました。楽しかったです!

椿くんのカッコよさを楽しみました

表紙の椿くんの鋭い眼差しで美しく、タイトルもカッコよかったので買いました。漫画本編も椿くんが全編に渡って高校生とは思えない色気に溢れどのシーンも思う存分のびのびと大きく描かれその美しさには惚れ惚れしました。作者の先生の椿くんへのこだわりを感じます。
しかしストーリーは目新しく思えず。「強面の椿くんが実は人を助ける良い子で、それを可愛い幽霊だけが理解してる。」幽霊関係の話はBL問わず何度も見ている題材なので兜くんや二人の関係に何か個性欲しいのですが、1巻ではあまり見えず。セリフで感情を全て説明する所、椿くん見せの画面に重点が置かれてるので話の流れ自体がわかりづらい事が相まり、漫画としての面白さはあまり感じませんでした。

サラワットの情熱に飲まれる

2巻は、ごくフツーなタインをとことん押して押して押しまくる美青年サラワットが見どころです。1巻でもかなり謎だった彼の行動の理由の一端がわかるのもありますが。印象としてはギターを渡すシーンの髪に隠れながら押し隠しきれない気持ち、写りたくない写真もタインとの2ショのために笑顔を作ってしまう。そして「ただ心を開いてほしい」と訴える。サラワットは愛の本質みたいなものをわかっててその行動は不器用だけど、それがタインを変えてしまう。それをまざまざと見せつけられます。次が気になって仕方ない。そんな話です。

進む関係、恋と愛

1、2巻でもだもだとすれ違っていた二人がついに恋人同士に。ラブストーリーって二人が結ばれるまでが切ないと思うんです。しかし、この3巻で付き合い始めてからよりタインの愛を求め苦悩して彼の愛を確かめようと必死なサラワットの切なさに、付き合う前より苦しみが見えてより一層心打たれます。3巻ではついに身体の関係のシーンもあるのですが、そのあたりもリアルな画の描写力による緊張感に加えて、バランスの良い漫画的美しい二人の顔と揃って素晴らしいです。でもそのシーンだけが特別じゃない、全てが特別な二人のやり取りと時間が凝縮されていて、この青春をまるで見てきたかのような錯覚に囚われます。タインもサラワットの愛を知り無邪気な男からどこか傷つきながらも顔つきが変わっている。そんな二人を追い続けたくなる3巻です。

異色のコミカライズ

pixivコミックから入って、衝撃を受けました。奥嶋先生をこちらの作品で知りました。いまだ本家ドラマと本を読んでないのですが漫画のインパクトは凄かったです。絵の写実的なうまさと独特の間の取り方。どこをとっても個性の塊なのですが、とにかく表情が素敵で。タインは1巻だと少々やることに自分勝手さを感じてしまうのですそのくるくる変わる表情が愛おしく。瞳の輝きにサラワットが一目惚れするのも仕方ないと思わせます。そしてなんと言っても攻めの完璧な美青年サラワット。その眼差しと唇の色気にやられました。どんどん可愛くなる二人ですが、最初に出てきたサラワットの佇まいの強烈さは今も忘れません。だいすきです。