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女性桜の夜さん

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「崇高で神聖なもの」ではなくて。

ピリッとした雰囲気の1巻から少しずつ柔らかく、甘く、頼もしく変化してきた表紙絵が、最終巻では明るく綻んだ笑顔に! なんだか二人の歴史を感じてしまって、表紙からすでに感慨深いです。

ラストはやっぱり尊の両親との対峙。
といっても激しく対決したりするのではなくて。これまでの誠志郎との結婚生活を通して、尊の中ではもう母親と向き合える下地は出来上がっていたんですね。
どこまでもブレない貴子ママも、意外なキャラだった和日郎パパも、どっちも好きです。子どもの育つ環境としてはいろいろアレだったけど、黒の京極家もなんだかんだ素敵な家族。
完璧なんじゃなくて、いろんな形の結婚・家族があっていい。このシリーズのテーマそのものでした。

わかってはいたけど切ない礼央との別れ。礼央の前では泣かないのが誠志郎らしい。ウルグアイ、とかズレた論理を持ち出すところが栄一郎パパ譲りよね。
2回目の結婚式はthe大団円という感じでした。尊が黒は自分で白は誠志郎と拘っていた1回目とは対照的に、お揃いの袴で素敵でした。GI値をちゃんと習得してる芳子ママ、さすがです。

家族BLとして、とても素晴らしい作品でした!

后と河 1 コミック

山中ヒコ 

期待が膨らむ幕開け。

巻数表記が「1」だから3巻以上は続くのかと思ってもう少し待とうと思っていたけど、結局読んでしまいました。でも読んで悔いなし。じっくり時間をかけて待つのも楽しみと思える出だしでした。

妹の代わりに嫁ぐとか、実は過去に接点が、という展開はBLとしては目新しくはないものの、そんなことは枝葉に過ぎず。
皇帝一族のことや治水のことといった土台がすごくしっかり作り込まれているから、普通に漫画として読み応えがあって1冊があっという間でした。
名前の付いている脇役もたくさん出てくるけど、それぞれの個性とか関係性とかが分かりやすくて、混乱せずに読めるのはさすがです。私は今のところ王悟がお気にいり。
治水の部分はちょっと難しそうだけど、話し言葉は現代風でサラッと読めるし、ムダなところで嫌な人間が出てこないし、全体的に柔らかくてほのぼのした雰囲気。
小梅ちゃんが真単や端正に結構ずけずけものを言っちゃうなんて、リアリティーはないけど好き。彼女だけ名前が何故か訓読みなのも。
子パンダまで出してきて……まんまと癒されてしまう。
陛下が腹違いの弟殿下と仲良しなのも、ほろっときてしまいました。末の弟君のエピソードはとても重いので、これぐらいのバランスが好みです。

恋愛面はまだまだ序章という感じ。王佳が空気読めないキャラのうえ、陛下もなかなかに不器用なお方。でも、不器用だけど、重荷も負っているけど、器の大きさも感じられる人で、これから期待大です。

たまに泣かされるんだよな、暴君に。

このシリーズを買い始めたのは既に10巻か11巻まで刊行されていたころ。そんなにたくさん買うのは負担が大きいよな〜、まあでも1巻ごとに話がまとまってるから、もう満足となったらそこでストップすればいいか。8巻で一段落つくらしいから、長くてもそこまでかな……というゆるい考えで買い集め始めたのでした。
5巻ぐらいまでは共感しづらい部分もありつつ、なんだかんだ安定のクオリティーで8巻まで読み終えて、うん、満足。満足したけど、もう1巻買おうかな。別に、続きが気になる!ってわけじゃないけど、やっぱり読んだら確実に面白いんだよね……と、新刊が出るたびに買って、かれこれ15巻。自分の中では、いい意味で水戸◯門のような存在です(若い人にはわからないか…)。
おなじみのパターンでありつつバリエーションがしっかりあって、9巻以降もちゃんと二人の関係が進展している。“3歩進んで2歩退がる”程度だけど着実に1歩ずつ進んでる。むしろ以前は“3歩進んで3歩退がる”ぐらいだった二人を思えば、なんと成長したことか。

そしてこの巻での宗一の「家族」発言……!
BL作品でこの手の言葉は何度か見てきたけれど、私の場合ものすごく感動するケースと、逆に冷めた目で見てしまうケースと両方あります。
重みのある言葉だけに、すごく好きというだけで安直に使われると後者になるし、それだけの積み重ねがちゃんとあったうえで言われると前者になる。
宗一のはまさに前者。
哲博の実家問題は1巻から折に触れて描かれてきて、私は密かにこの作品の裏テーマなんじゃないかと思って見守ってきました。
6巻では巽ファミリーの絆を目の当たりにした哲博が切なくて、宗一が無意識ながら寄り添ってくれたのにはじんと来たし、哲博の福岡時代を支えてくれたマスターとのエピソードも好きなので10巻も泣けました。
そして15巻にして、ここまで築き上げてきたんだよなと思うと、感慨深くて涙出ます。

今後の巻で、実際に親との対峙が描かれるのか否か、描かれるとしたら和解するのか決別か……どう転んだとしても納得できる気がします。
私は長編作品はあまり引き延ばさないで欲しい派なんだけど、この作品は穏やかに読み続けられる稀有な存在。
全巻を通しての神評価です。

“破れ鍋に綴じ蓋”の極み。

1〜8巻合わせての評価&レビューです。

正直いうと、初めて1巻を読んだときはドン引きでした。
あまりにも暴力的でワガママな暴君・宗一に対してはもちろんのこと……一見健気そうに見える哲博もやっぱり自分の気持ちを押し付けてばかりで。
でも漫画自体はテンポが良くてギャグとシリアスの緩急も上手く、ついつい読み進めていったら(3巻まで無料で読めるときだった)、なんとなく腑に落ちてしまったんです。
この二人に限っては、これでいいのかもしれない……と。
お互いに無茶苦茶なエゴをぶつけ合っていても、それなりに受け止め合えてるし、互角に渡り合えてるし。そもそもすごく波長が合ってる二人。値切り式で回数決めるって何だよ……なんか楽しそうになっちゃってるじゃん。
これはいわゆる破れ鍋に綴じ蓋ってやつか。他の相手なら“逃げてー!”な案件だけど、この二人の間だったらアリかも。というかお互いこの相手以外は無理かも。

そこが納得いったらあとは楽しく読めるようになりました。5巻ぐらいまでは二人とも“それはやりすぎ……”と感じる言動は毎巻ありつつ、やっぱり全体的には読みやすくて面白い。前半に軽め、後半にしっかりめの絡みがあり、その間にモメゴト勃発!というお馴染みのパターンもなんだか安心感があるし、新しい1冊を開くときにはヒロトくんに会えるのを楽しみにしている自分がいる。
8巻でいったん完結するとのことだったから、当初はそこまで読めばいいかなと思っていたけれど、なんだかんだ15巻まで出ている今でも買い続けています。

気軽に読めるラブコメとしても楽しくて好きだし、意外としっかりしてるなと思うところもあって、そのひとつが哲博の抱えている問題。
恋人と引き裂かれ、周囲から蔑まれ、親兄弟からさえ疎まれて。しかも愛し合っていたつもりの相手は別の人を想っていて。
サラリと語られているけど、高校生でこんな経験はほんとに辛い。普段は強引な哲博がときどき異常なほどにネガティブになるのも、宗一の気持ちを執拗に確認したがるのも、無理ないかと思える。
しかもそんな思いをしながら、なおも相手を思いやり続けているとか……骨の髄まで愛が重い気質。
こんな重い重い過去と重い重い愛情を抱えた男を、普通の人間はなかなか受け止められないな。迂闊に寄り添おうものなら一緒に潰される。情け容赦なくぶつかり合って、だけど絶対見捨てたりしない、宗一の「鉄拳付き」の愛だけが哲博を救えるのでは。

そしてもうひとつ、宗一は哲博の笑顔が好きなんだな、という気配が1巻目からずっとさりげなく描かれているのが、とても好き。
二人とも自覚していないから、言葉でそうと説明されるわけではないんだけど、表情や間から伝わってくる。哲博にニコッとされるのに、宗一は弱い。
子どもか!ってレベルだけど、これが暴君の「恋」なのかな、と思う。
5巻あたりから哲博の表情の変化を気にかけるようにもなって。9巻で「お前はへらへらしててこそだろ」と言ったのは宗一らしくて微笑んでしまった。
恋人としての関係は一進一退でほとんど変わらず、8巻にしてようやく人並みのスタートラインに立てた感じだけど、水面下で宗一のマインドはずいぶん変わった。恋の力は偉大。

他人に興味がなかった暴君・宗一が人間として成長していって、その宗一に、心の傷を抱えた哲博が支えられていく。破れ鍋に綴じ蓋だけど、最高のパートナー同士。
少しずつだけど着実に変化していく二人の関係を、ゆるく楽しみながら気長に見守っているシリーズです。

かわいいなあ、静ちゃんは。

対になっている5巻の表紙と比べると、露出度は半分以下なのに色気は10倍の男・久慈静。(ごめんね朔ちゃん)
外側はこんななのにね、蓋を開けてみれば可愛い静ちゃんの詰め合わせ。
私がBLの中で見たい“男の可愛さ”って、こういうのだよなと思う1冊でした。

1巻の頃から、すかした顔して朔を大好きなことも意外と必死なことも感じてはいたけれど。こうして改めて本人視点の回想を読むと、想像以上に青かったんだな。
感傷的で頑なで、独りよがりのまま終わらせてしまった片恋。
孤独と閉塞感の中で、人生を学び、愛について考えた8年間。
自分から一歩を踏み出した、再会の夜。
不器用で、誠実で、切実で……なんともまあ可愛くて、愛しい。
パンイチで正座しちゃってるのも、通りすがりのおっさんに励まされちゃってるのも、家に連れ帰った朔を前にソワソワしちゃってるのも、みんな可愛い。
キス魔になってるのも、椅子に座りに来ちゃうのも、「頑張って」と言われて神妙に「うん」と答えちゃうのも、みんなみんな可愛いよ、静。

この巻を読んでから1巻を読み返すのも楽しい。朔視点で描かれた静とのギャップに微笑んでしまう。あんなに本音を出せずにいたのに、今はこんなに素直になれて……という感慨も。
そして久慈父が大学に行ってしまうエピソードは初読から印象的だったけど、あの台詞がこんなロングパスで繋がってくるなんて。
長く続いているシリーズだけど、ちゃんと全部が地続きになっている。「ん〜〜」が口癖の先生、前にモノマネされてたな。
嶋田さんへのカムアウトもすごく好き。家族のことや仕事の愚痴もぶっちゃけて話せる、彼女のキャラやこれまでの関係性が下地にあってこその、ああいう流れ。原さんに明かしたときとはまた違う信頼関係を感じられました。嶋田さんの咄嗟の対応力もお見事!さすが教育者。多治見さんの告別式で、朔を気遣ってくれたのも嶋田さんだったんだな。

同じMRから翻訳業を目指すのに、静と朔ではいろんな面で格差があるなーというのも初期から気になっていたけど、ここに来てなかなか痛烈な形で突きつけてきました。でもイヤな感じにギクシャクするわけではなくて。
40歳すぎても、両想いになっても、まだまだ学ぶし成長する。着々と人生の伴侶になっていく二人、素敵でした。

無愛想イケメンから漏れ出す可愛さったら。

まずはとにかく瑛人がドストライクでした!
中身がほとんど見えない1・2話の、目つきが悪くて無愛想で不遜なところも好みだし、3話でチラチラと内面が見えてきてからがほんと可愛くてハマっていって、とどめに6話の瑛人視点で悶絶。無愛想なまま、不遜なまま、微妙〜に正孝に懐いていくのがすごくいい。「夢に出てきて鬱陶しかった」なんて、瑛人すぎて可愛すぎる。
そもそも顔がいい。初登場のエレベーターの場面で、正孝と同時に「イケメン〜〜」って思ったし。そのルックスで実は子どもじみた負けず嫌い……正孝より一瞬前に「こいつ可愛いじゃん」って思っちゃった。瑛人のこの青臭さ、大学生特有な感じで好きです。

正孝のほうはチャラ系クズなんだけど不思議と愛着持てて、普通なら嫌悪感が湧くようなエピソードも笑えました。彼独自の「善く生きる」というモットーも何となくわかる気がする。
ただ、個人的には“大好き”とまではいかず、“嫌いじゃない”で留まってしまったかな。
家庭環境が原因で自己肯定感が低い、という設定が私にはしっくり来なかった。
幼い我が子の好きな本を「変」「役に立たない」と笑顔でバッサリ切り捨てて兄のようになれって……病みを感じるレベルの毒親で、何か複雑な事情(兄は先妻の子とか)があるのかと思ったら特に説明はなく。本当にただ兄が超優秀なだけの話?
自信を失くして好きなものを好きと言えなくなった…わりに、大学はしっかり哲学科に入るんだ? 実家暮らしでお小遣い付きってことは、親も普通に認めてくれたんだ?
親からの評価を上げるため料理や家事をやるのに、しょっちゅう外泊して酒タバコor香水のニオイさせて帰るのはマイナス評価じゃないの?
せっかく哲学科に入りながら、ろくに授業にも出ない? なのに実は優秀で、教授には何かと目をかけられて……これ、瑛人じゃなくても普通に周囲の反感買いそうだけど、みんな認めてくれてる。
この辺りの諸々がうまく腑に落ちなくて、正孝に同情するよりむしろ甘ったれた印象を持ってしまったので……もし続編があるなら、正孝の背景をもう少し見たいです。

身体だけの関係から始まって、正反対の二人が惹かれあっていって、恋が実るというド王道ストーリーだけど、お互いの気持ちが変化していく過程の描写がすごく好きな作品でした。
講義室で二人並んで座っている情景が美しすぎて、喉の奥がじわっと熱くなる。「魂の片割れ」って素敵だな。

青とジェントとAI

貧乏高校生が大企業社長にハニトラね……と最初は半信半疑で読み出したものの、京一と直己という二人のキャラがうまく生かされて違和感なくストーリーに入り込めました。
京一の神対応はまさにノブレス・オブリージュ。紳士的なだけじゃなくて、ちょっと不思議な柔らかさもあったり。
かと思うと、直己が自分に近づいた真意を知ったときなんかは抜かりなく卒なく立ち回る。自分の身をしっかり守りつつ、無謀な子どもにはお灸を据えてやって、でもあんまり傷つけないよう心のケアまで万全。
浅〜い思いつきと勢いで乗り込んできた直己が、胸の内に抑えてきた蟠りを吐き出せるまでの流れが自然で良かったです。
ついでに、直己を組み伏せたときの京一がね……あの優しい雰囲気から一転、“俺は男を抱くことには慣れている”と言わんばかりのオーラを放ってくるのがまた、めちゃくちゃツボ。あとで直己が友達に動画を見せられて、京一と自分に重ねてしまうのも可愛かった。
DKが社長にハニトラなんて非現実的……どころか、ノンケの18歳が会ったばかりの36歳に恋をしてしまうまでの1・2話の展開がほんとパーフェクトで、疑ってしまった過去の自分を殴りたくなる。

そして3話目以降……京一と直己が絆を深めて結ばれるまでももちろん良かったけど、私は佐久間も交えた3人の物語にドハマリでした。
少数派かもしれないけど、私は佐久間がめちゃくちゃ好きです。京一の恋愛相手としては直己の方がお似合いだと思いつつ、佐久間に感情移入しすぎて、途中うっかり主役ってこの人だっけ……と錯覚してしまったぐらい。

ヤクザだ悪魔だAIだと失礼ながらも何だかんだ物怖じせず接してくる直己に、佐久間は彼なりに情が湧いてたと思うんです。2回も紅茶吹いてる時点でもうだいぶバグってる。
でも、だからこそ解ってしまう。この子は京一にとって、特別な存在になるだろうと。
今までずっと、京一の孤独な部分も含めて支えてきたこととか、京一の付き合う相手を静観してきたこととか、直己についてはそれができなくなってしまったこととか……佐久間視点で穿って考えてしまうと切なくて。
それでも佐久間は、直己が自ら外そうとしたピアスを取り上げはしなかった。受験のお守りにすると直己が言ったからか。京一の「君には必要な物」という言葉の意味を理解していたからか。……なんて思ったり。

京一と佐久間が二人で話すとき、たまにピリッとした空気が流れるのも、個人的にものすごく萌えポイント。佐久間に全幅の信頼を置きながらも、彼が何かの理由で嘘をついている可能性も常に見据えている京一。それを分かっていて淡々と嘘をつき続ける佐久間。この静かで際どい攻防戦……好き。

佐久間の気持ちを知ってからも変に遠慮しないのも、京一のいいところ。
直己に対しても、高校卒業という最低限のモラルさえ守れば、必要以上の忖度はしない。欲しいものは迷わずに取りにいく。なんか、そういうとこ流石だよなって思う。ただの聖人じゃない。
BL界にスパダリ多しといえども、京一さんは唯一無二の奥深いキャラクターだよなと思うのでした。

チョロいだけじゃない! けどやっぱりチョロい!

腹黒で頭のいい攻めが、天然でチョロ可愛い受けを掌で転がす……って、設定自体はそう珍しくもない気がするけれど、二人ともキャラが良くて大好きな作品です。
コメディーとしても面白い。「わかってないでしょ」「わ……わかってる!」→(わかってなかった!)とか、お約束の流れなんだけどテンポが良くて笑っちゃう。

お互いに「泣かせたい!」って欲のバトルで可愛く笑わせてくれつつ、劣等感や罪悪感もないまぜで葛藤があるから、ちょっぴり切なくもあり。
そして何より二人とも、心のいちばん根っ子の部分では本当に相手のことが大好きなのが伝わりました。
特に梓が、嬉しい・寂しい・心配・ヤキモチ……と、いろんな表情に無自覚の好きがダダ漏れちゃってるのがほんと可愛くて。
保育園時代から積み重ねてきた歴史も尊い……

……と思っていたのに!
朝壱が自ら策を弄して梓を孤立させていたのにはガッカリでした。梓に友達ができないのを密かに喜んでた、ぐらいなら許せたのに。梓の純粋な信頼をどうしてくれるんだ!
でも、こういうダメすぎる攻めを救ってやるのが受けの底力ってものなんですね……。朝壱がやったことは許せないけど、梓の強さに免じて目をつぶっておこう。

朝壱の方がいつも一枚上手のようでいて、いちばん大事な鍵を握っているのは実は梓の方、トータルで見ると対等なんだな〜というところがすごく好きです。
でもやっぱり永遠にチョロすぎる梓!なところも。

安定の面白さ!

楽しみにしてました、2巻。
大定番の当て馬登場だったけど、嫌な感じに引っ掻き回されるとか不自然にすれ違うとかがなく、ちゃんと二人の信頼が深まる話で安心して読めました。
1巻でもちょっと描かれていた、ミノルの少年時代からの蟠りが解けて良かった。ミノルはやっぱり可愛い。
細かすぎる話だけど、ミノルと小春ちゃんの2ショットが何気に好きで……攻めと一緒にいるとひたすら可愛く見える受けが、女性と並んでいるとシュッとしたイケメンに見える現象って萌えます。

ラブストーリーと並んでBLあるある話も相変わらずの面白さ。
作中に描かれてる漫画も拡大して(電子派なので)台詞まで読んで笑っちゃう。
タケ子さん節も健在。BLへの愛と造詣が深くて、何より作家さんファーストな姿勢が素晴らしい。
新キャラのタイラとアオちゃんも好きなキャラでした。売れっ子のアオちゃんがBL作家じゃなくて、二次創作の元にされちゃう側の少年マンガ作家なのが意外性あって面白い。なんだかんだ言いながら、読者への感謝を忘れないところが可愛い。

モモタもミノルと似ている部分のある子で、これから幸せになれよと願ってます。
電子特装版ではソムリエ降臨! ほんとミノルにそっくりでお綺麗です。強気美人で彼氏もイケメン、なのにゴリゴリのBL猛者って、これもあるある……?

物騒すぎて楽しすぎる。

待望の3巻。毒!危険!って感じの表紙カラーがカッコよくて、いつもの困り顔のような、幸せなような、でもどこか悪い男のような陽介の表情が好きです。

ストーリーはこれでもかってぐらい物騒につぐ物騒で……楽しい!
「皮膚の下まで」「特区の底まで」愛の語らいまでもが物騒きわまりなくて玉森さん最高です。そして「無償の愛なんて存在しない」と言い切っちゃう陽介も好き。
私は普段は純愛ものが大好きで、相手の幸せのために自分を抑えちゃうような健気で不器用なキャラクターがタイプだったりするけど、シュガドラのどこまでも自分ファーストな男たちも、なぜかドハマリしてしまう。まさにドラッグのような背徳感。

2巻の時点では個人的に陽介×玉森への思い入れが強すぎて東間が今ひとつに感じてしまい、3巻では可愛く思えるようになったらいいなと期待したんだけど。
実際読んでみて新たに東間に感じるようになったのは、気の毒さ。本人は逞しいし前向きだし、最終的にはいちばん望んだものを手に入れた形になったけど、見ていて何ともいたたまれない。そしてやっぱり可愛いとは感じられなかった。
ということで、3人でくっつくのは自分としては歓迎ではなかったです。最初から作者様が3人と表明してるのは見てきたから、覚悟はしてたけどやっぱり複雑。

むしろ、恋愛沙汰を抜きにしても尊いと思うのは天木と玉森の関係で、この巻では二人の貴重な連携が見られて良かったです。
常にお互い警戒し合っているけど、いざというとき手を組むならこいつがいちばん頼りになる、みたいな。細かい説明なんて不要、阿吽の呼吸で動く二人。さすが特区で生き残る術は心得てる!って感じで、良き萌えをいただきました。

打算と駆け引きと陰謀が渦巻くストーリーの中で、陽介が玉森に見惚れるシーンがお気に入り。蕩ける金色、美しい。

「複製」なんてとんでもなく不穏な要素まで出てきながらサラッとスルーで終わったけど、蘭定編で回収されるのかな〜なんて思ったり。5人目の主席の名前がやっと明かされたりで、次のシリーズも絶対あると期待しています。