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女性桜の夜さん

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10DANCE 8 コミック

井上佐藤 

あの頃のように。

何はともあれ、二人が元に戻って良かった。ここに至るまで、何だかなーと思う部分はそこそこあったけど、全部吹っ飛ばしてもいいぐらいにとにかく嬉しい。恋を自覚したかしないかぐらいの時期のあの雰囲気が帰ってきて、ああやっぱりこれだよ、としみじみ浸りました。いい歳したデカイ男二人、人目も憚らずにキャッキャウフフしてるのが好きだよ。空の下で一緒に踊っているのがいいよ。

ダンスの方はニーノのお出ましで、さらに話が凄いことになってきた。なんかもう鈴木がダンスで世界征服しそうな勢い。アキや房ちゃんも含め、トップダンサーたる者みな超能力者で当たり前、みたいになってるし。
残念ながら、話が壮大になればなるほど私の心は離れていってしまいます。

ただこの先もまだ読み続けたいと思うのは、帝王を自分が潰してやる、楽にしてやる、という鈴木の決意の行く末を見届けたいから。不撓不屈の孤独な魂が、ちゃんと安らかに成仏するのを見届けたい。それだけは、願っています。

停滞中。

私はこのシリーズが6巻まで刊行されていた時点で読み始めたので、1〜6巻は夢中で一気読みしたわけだけど、次が出るまで少し間があいてしまったせいもあるのか、この7巻はちょっと自分の熱が停滞してしまった感があります。
もちろん、二人の信也の関係も完全に停滞中だからというのもあるけど……それ以外に、何だか方向性の違いを感じ始めたというか。

ノーマンとの関係については、私はそんなに嫌悪感はなかったです。お互い逃げ道にしている、というのは自覚もしているし。むしろなんで唐突に瞬を巻き込んできたのかが謎すぎて、瞬が気の毒すぎる、という程度。

ただ、ダンスの方が……5巻でもちょっと感じていたけど、鈴木がやたらと人間離れした存在になっていくのに付いていけない。「集団トランス」に「廃人」に、断頭台と鉤十字まで出てきましたけど???

この巻の中でいちばん素直に感動できたのは、リアナの「一人で立てるわ」だったかもしれない。

10DANCE 6 コミック

井上佐藤 

大きな転換と、静かに近づいてくる終わり。

前巻の終わりでもう完全に決別、かと思ったら、そうかダンスのレッスンはちゃんとするのね。以前ちょっと気まずくて駄々こねてたときよりも、むしろ粛々と。
そして以前のような歓びはなくとも、二人で踊ることだけはやめられない。一筋の細い糸……切ない。

マックスが現れて、ダンス界の事情を知り尽くした強かさを発揮する帝王がカッコいい。それを目の当たりにして、遠慮なく享受すると決める鈴木も。
恋愛面では行き詰まっていても、こういうところで骨太な信頼関係を見せてくれるのがアツいです。

マーサと踊りたい帝王が少年のようで可愛かった。
佐市さんを牽制しまくるのも、いつもの杉木節全開で好き。

そうして、ほぼ丸1冊をかけてジリジリと近づいてくる別れの時。
最後のダンスは圧巻の美しさでした。背景の描き込みも素晴らしい。
杉木教室は銀座であの公園は数寄屋橋あたりらしいけど、そこから丸の内を抜けて東京駅へ。始発前の人がいない時間に東京駅前のあの場所で踊るの、最高に気持ちよさそう。
二人の心の内とのコントラストがなんとも切ない、名場面でした。

10DANCE 5 コミック

井上佐藤 

ショック……と、ちょっと違和感。

鈴木の大躍進からの、すれ違いで会えず……からの、あの公園で!という幸福度マックスのところから、急降下。落差がすごくてかなりショッキングでした。
この二人はつまり男同士云々というよりも、自分が主導権握らなきゃ恋愛なんてできないってことですか……? 話し合うとか歩み寄るとかの余地も一切なしに? それで大切な人を手離してでも?
そこまで強烈な自我なんてものを持ち合わせない私にはイマイチ解せない。帝王はまあ納得かも。鈴木はキューバの男性優位主義育ちだから?
二人とも、ダンスで世界の頂点に立ちたい、観る者すべてを支配したいという闘争心と支配欲の持ち主だからこそ……ってことならば、なんという皮肉なのか。とにかく悲しい。

恋愛面ではそんな辛い展開の中、鈴木のダンスは本格始動。
お父さんを「裏切る」という決意は切ないけど、腹を括って自分を解放していく姿はカッコいいし気持ちいい。
でも、停電のあたりから何だか……鈴木がやたらと人間離れした存在になりすぎている気が。
鈴木が帝王をインスパイアした「神様」っていうところはすごく好きなんだけど、それは杉木個人の心の問題かと思っていた。ここまで超人的なものすごいダンサーなの??? ちょっと付いていききれない自分がいます……

10DANCE 4 コミック

井上佐藤 

あえて、通常版派。

このあたりから、不穏さが兆し始める二人の関係。
今まで散々(しかもかなり濃厚に)キスしまくってしておいて、それでもまだ男同士は無理って拒絶する?と思わないでもないけど、まああまりにイージーなのよりはいいのか。

そこへ登場するベーメル夫妻。この二人、好きです。
「アルベルト・ベーメル!!」叫びたくなるの、わかるな。小さいオッサン、カッコいい。ドリー姐さんの尻に敷かれてるところも可愛い。見た目はノーマルな男女カップルなのに、実は二人とも本来の性志向と違う相手と結婚したという、不思議な巡り合わせ。
アルに宣戦布告する鈴木のビッグマウスもカッコよくて、世界進出がここで一気に楽しみになりました。

鈴木がこれまで国内に留まっていた理由であるキューバの家族のこと、もう一人の「妹」アキのこと、いろいろ描かれたのも楽しめました。アキちゃん幸せになって欲しい。
ついでに悪い顔の房ちゃんも可愛い。

ちなみにこの巻から【特装版】が出始めて多くの読者から絶賛されてますが、私は【特装版】ではなく【通常版】を選びました。
レビューを読んで特典ストーリーの内容をだいたい把握した上で、一部のレビュアーが違和感を唱えているのを見て、自分はたぶんそっち側の人間だろうと判断したので。
読み比べたわけじゃないけど、この選択で正解だったと思います。
これだけ強烈に惹かれあって、でも男同士だからという葛藤があって……というもどかしい展開なのに、この時点でそういうのはまだ見たくないな、私は。

10DANCE 3 コミック

井上佐藤 

帝王の黒い部分。

とりあえず、「牝猫」に笑い転げた!
帝王のキャラがどんどん好きになる。1巻を最初に読んだときは典型的な優等生キャラだと思ったのに、奥が深い……それでいて、桁外れの優等生であることも間違いない。とにかくすごい。

でもそんな帝王の暗い側面も知らされてしまうこの巻。
悪魔に魂を売り渡したみたいな……そんな自分の内面とも葛藤して闘って、外では自分をチャンピオンにさせないダンス界とも闘って、どちらも絶対に屈しない。ものすごく強いけど、これはしんどいよな。
鈴木の「俺が潰してやる」という想いに、ほんと、ほんと頼むよ!と縋りつきたい。
そのあとに微妙な空気で去って……からの、お互いに踵を返して電車に滑りこむ! 名場面でした。
二人の関係性に関しては、いろいろ拗れてくる前のこの辺りまでが好きだったなーと今にして思います。

帝王に心奪われた。

この巻の、ブラックプールの帝王はずっと忘れられない。
ほんとにもう、なんで折れないんだ。なんで笑ってみせられるんだ。何と言う意志の強さ。
鈴木が恋に落ちる瞬間が、とにかくドラマティックで素晴らしいシーンでした。

そして、深夜の公園で初めて踊るシーンも大好き。
3巻以降、話がだんだんシリアスに、壮大になっていくけど、街中で自由に楽しく踊ってる二人がいちばん良かった。

ほかにも、帝王の天然で女王様気質なところとか、鈴木のハートまみれの英語とか、世話焼きオカンなところとか、二人のいろんな側面が見えてくるのも楽しかったです。

オナーダンスでパートナーチェンジする話と、競技会で男同士は無理だねという話を見て……いつか10ダンスで鈴木組と杉木組が1位と2位になったら、オナーダンスでW信也で踊って欲しい!なんて妄想してしまいました。

まさに原点。

初めてこれを読み始めたときの第一印象。
“ああ、クールな優等生タイプと、セクシーなやんちゃタイプの組み合わせね……”と思ったのを覚えています。ダンスもスタンダードとラテン。失礼ながら、いかにもありそうなパターンだな〜と。
優等生とやんちゃなのは基本間違ってはなかったけど、この二人はそんな類型の中に収まるようなキャラクターじゃない……と思い知ったのは2巻以降を読んでから。
1巻はまだ序章も序章、ダンスの世界への導入の段階でした。

鈴木が初めて帝王のリードでワルツを踊るシーンが好きです。
あと、一緒に練習をしだしてから初めて離れ離れになったときの、何だかんだ言いながら嬉しそう〜に電話する二人。
この楽しそうで嬉しそうな空気感、これが原点だよなと、いま8巻まで読んだ時点で振り返るとしみじみ思います。

BUDDIES 下 コミック

倫敦巴里子 

2組の兄弟愛。

下巻冒頭の、梶とお兄さんの話がすごく好きでした。
お兄さんが聖人すぎるとは思うものの、兄弟の絆がいいなーと素直に感じられました。
違う境遇で育ちながら心の底で繋がっている梶&社長兄弟と、ずっと寄り添って生きている虹郎&楓兄弟、どちらも良いです。裏表紙がカップルじゃなくて兄弟2ショットって珍しいけど素敵。

上巻の終わりで虹郎の気持ちを知った梶。青天の霹靂に戸惑っていそうに見えたから、これが下巻でどういうふうに虹郎に傾いていくのか楽しみにしていたんだけど、あっさり両思いでした!となってしまって拍子抜け……
それぞれの兄弟は、梶が虹郎を「可愛くて仕方ないって空気」出してたと言うけれど……私にはあまりそう見えなかったかな。仕事上ではすごく信頼しあってる相棒だけど、プライベートでは楓と同列ぐらいとしか。
虹郎のときも思ったけど、そこは、相手には見せなくても読者にだけは見せておいてほしい。これはもしかして……と推測させるヒントだけでいいから。

ストーリーは粉飾決算から耐震偽装と、複雑に作り込まれていて凄いですが……マタハラの件と同様、最後を美談みたいに収めちゃったのがなんだかモヤモヤ。大義名分のために関係ない人を巻き込んだ、ってところはちゃんと正面から背負ってほしかった。巻き込まれた一般人は精神的にも相当なダメージがあるよ、これ。保障したらチャラってものじゃないでしょ。
逆に梶が、自分も兄も綺麗なままではないと虹郎に吐露したシーンはグッときたんだけどな。
如月兄弟がやたらと女性にランチを奢らせる描写も好きではなく……ちょこちょこと、肌に合わない部分が気になってしまいました。

BUDDIES 上 コミック

倫敦巴里子 

緻密な作り込みがすごい。

ゼネコンを舞台に談合だなんだという難しい話を、雰囲気でフワッと見せるんじゃなくメインストーリーとしてガッツリ描いていることに、まずは脱帽します。
二転三転する情勢にハラハラ!とか、意外な展開にビックリ!とか、悪いヤツを出し抜いてスカッと!……みたいなのがお好きな方にはハマるんだろうなと思います。

私個人はそういうのはあまり求めておらず、“これミスリードっぽいな”とか“この人あとでキーパーソンになりそう”とか穿った見方をしてしまうタイプの人間なので、残念ながらそんなにハマれなかったです。
いろんな人の思惑が絡み合うヒューマンドラマとしても……善人でも悪人でも魅力的に思える人物が見つからず、敵はただただイヤなヤツ、味方は何だかんだで物分かりがいい人ばかり、と感じました。
マタハラやお見合いの話は女性キャラが出てきたけど、どちらもスッキリしない展開。特にマタハラのほうは最後いい話っぽくまとめちゃったのが、かえってモヤモヤきてしまった。

で、肝心のラブストーリーのほうも、急に出てきた感が強かったのが残念。
虹郎が梶に気持ちを見せないようにしてきたのはわかるけど……梶のいないところで、読者にだけはチラ見せして欲しかったな。微妙な表情だけでいいから。

以下、下巻へ……