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「僕は君のいいなり」越えの萌えがある1冊

あがた先生は「僕は君のいいなり」が一番大好きで、最近の作品も好きなのですが、なかなか「僕君」を越える作品は出て来ず…。

だったのですが、今作はまだ未完にも関わらず「僕は君のいいなり」を優に超えてきました。
月間ランキング上位に食い込んでいるものの、なかなかレビューが増えないので、迷っている人の参考になればと思い書いています。

あらすじは既に書いている人がいらっしゃるので割愛します。
ただ、あらすじだけ見るとよくある幼馴染BLだと思い込んでしまう方もいるかと思います。
…が、あがた作品なのでそんなオーソドックスなお話ではありませんでした。あくまで本筋の部分は王道的な流れではありますが、あがた先生の”癖”と”独特な雰囲気”全開です。

後書きにも書かれていましたが、通常幼馴染BLでは幼少期のシーンは回想部分のみ…という作品が多いと思います。
ですがこの作品はその幼少期部分から現在に至るまでを丁寧に描かれています。
キャッチコビーにある「ふたりの性長記録」を、そのまま読者がのぞかせてもらっているような、そんな気持ちにさせられます。

またBLでは珍しく「性器の皮剥き」の過程や「初めての精通」などの部分も丁寧に描かれています。
(なぜもっと話題にならないのか……!)

今までそういった描写をずっとBL漫画で読んでみたかった…と思っていた身としては本当に最高で唯一無二の作品になりました。
それも物語の中に自然と描かれているので無理矢理感がなく、本当にふたりの成長を見守らせてもらっている感覚になります。
また読んでいるとわりと最初から両片思いだということはわかるのですが、前半は受けの夏稀、後半は攻めの廉視点になるので、答えあわせのように補完しあって読むことが出来てとても安心します。…が、同じくらいそれぞれの想いを考えると切なくなります。

個人的に好きだったのが、廉がどれだけ夏稀のことを思っていてもその感情を自制し、夏稀のために尽くしているという姿勢を一切崩さなかったところでした。
印象的なモノローグで「いつだって、言いくるめてセックスだって出来たのに、俺はなっちゃんの気持ちごと欲しかった」という部分があります。
一見、飄々として余裕のありそうな攻めの、一途で真摯な描写にとても心打たれます(同時にあんなにエッチななっちゃんを傍に置いて、忍耐力がすさまじいなと尊敬しちゃいますが…)
他にも廉が夏稀のことをとても大切に思っているのが日常の些細なシーンでも感じることができ、まだくっついていないふたりの話ではありますが、めちゃくちゃ萌えます…。

今作は久しぶりに性癖を詰めたと書かれていたように「乳首責め」や「オナニー」シーンも盛りだくさんでした。
「ぬいぐるみオナニー」というものを初めて知って、またニッチなものを描かれるなあと感心してしまいました(笑)
でもそれも最後まで読むと、ぬいぐるみの存在にも意味があって、なかなか背徳的な気分にさせられました。もちろんいい意味で。
個人的にはあがた先生の乳首責めが大好きなので、久しぶりに堪能できてよかったです(笑)

また先日先生のTwiterスペースで今作の裏話やこだわりなどを聴けて、普通に何も考えずに読んでいたシーンにそういった意味があったのか…とハッとさせられるようなお話も多く聴けて、この作品への想いがグッと強くなりました。


幼馴染BLをお好きな人には是非一度読んでみてほしいお話です。他の方のレビューで「幼馴染BLの金字塔では」という言葉を見かけましたが、私も強くそう思います。
今から続きが楽しみです。