お友達の話題になっていたので拝読。
設定が設定だったので、まゆつばで読み始めましたがとても良かったです。
本当に良かったです!今年の印象に残った作品の上位です!
まず蟹っていうところも初めてですし、なんで蟹?って思いましたけど
その設定、意外にもイメージしやすかったです。
また笠井先生の挿絵もあって、ちょっと儚げで、ファンタジー味が強くて
それでいて都市部のダークなところとちょっと別次元の染まらないチャロがいて…
物語はトンデモ設定のまま進んで行くのですが、不思議とまとまりがあり
不条理さがガロ系というか、サブカルの風味を感じた作品でした(伝われ
切なさは一級品でした。
人生の長短が生む生物としての悲しさと
感覚が合わない人種差としての哀しさと
でも憧れが愛情になっていく過程が、ほのぼのと面白くて
気がついたら泣いてました。
いしだ赤月はこれがデビュー作なのですね。
新人賞を差し上げたい。
とても素敵な世界観と表現方法にトキメキました。
これからも注目したくなる作家様と出会えました。
『雪原の月影』は1つの国、そしてその周辺国を描いた作品ですが、その世界観は実に多様で、わたしたちの住む現在の世界をはるかに凌駕する設定が作者である月夜先生の感覚の中で書かれています。気候や文化、住む人種、寿命、姿形など…それぞれに違った文明に生きる人たちが交錯する世界。その中で主人公のリンス国元皇太子のエルンストと、伴侶の戦闘種族ダンベルト人のガンチェを主軸に彼らの生涯が『雪原の月影 三日月』と『雪原の月影 満月』で描かれました。
今回の『雪原の月影 合わせ月』は、主人公と伴侶の話もありましたが、サブカプとも言えるメイセン領の領兵隊長のタージェスとエディータ人の医師兼剣士のティスのお話も描かれています。丁寧な伏線回収とも言える、彼らの生きた痕跡を、メイセン領の気候や風土とともに見届けたような気落ちになり心が震えました。本編で「気になってた!」というお話が読めて良かったです。
今回の作中、気に入ったシーンは繁栄の祈りのシーンでした。今まで少し弄られ役でもあった、タージェスが鮮やかに描かれていて彼のキャラクターにとても惹かれました。私の心の中で大切な位置づけにあるこのお話の内容は、もはや心の一部になっており、身近な人を見送ったような気持ちです。『雪原の月影』の本編、そして今回の作品を拝読し、読書によって彼らを見送ることができたことは、より深くそのキャラクターを心に刻むことになった体験でした。私も食堂で手伝いたかったし、皆様と一緒に笑い話をしながら泣きたかったです…ティスのシーンは素敵でしたね。ひたすらに泣けました。
『雪原の月影』には多種多様な人たちが登場し、その世界観の中で生きている姿を垣間見ることができます。まるでこの世のパラレルワールドのように、悪い政治があったり、弱い立場の人がいたり、戦いがあったり…と、遠い国に起きていることを読んでいるような感覚になるのです。数万年前に滅びた国があった…などという都市伝説を聞くことがありますが、『雪原の月影』にはそんな感覚があります。ある文明にこんな話があって…という感覚で読むと、愛の形って変わらないなとか、どこにでもこういったことってあるんだなとか、こう生きるべきなのかなとか私たちのこの世界にも通じるようなことがたくさんあって共感できます。そしてこんな風に生きたいとか、こんな考え方をすればいいのかな…なんてヒントを見つけたりして、日常に通じる話に、とてもうなづけるのです。エルンストのような政治が行えたら、私たちのこの世界はもっと良くなるような気持ちになります。『雪原の月影』を読んでいる方ならおわかりだと思うのですが、このお話をただのBLと言う方がいるならあまりにも浅慮です。学ぶべきことや気づきがたくさんある本作、もちろんBLの要素はありますが、それさえも「BLでなければならなかった理由」を熟考したくなるような、深い意味を考えてしまいます。あとがきの中で月夜先生がいかに心を、そして人生をかけて執筆されているのか。その覚悟と真摯な筆によってこの作品があります。BLに様々なジャンルがありますが、私にとってこのお話はとても深い共鳴と共感を与えてくれた大切はお話でした。
月夜先生、本当に素晴らしいお話をありがとうございますと心から感謝申し上げたいいです。
生きるということ、見送るということ、人生の半分を過ぎたからこそ感じられる生きている日々を大切にしたくなる愛おしいお話でした。
待ちに待った「恋涯て2」✨
2周読んでまだおかわりしたい気分ですが、思った以上に素晴らしかったですし、予想をはるかに超えて来た!というのが正直な感想です。
ディルクとヨセフの恋については、もっと波乱があるのか、切なさや悲しい出来事があるのか…とかなり不安になっていましたが、心配は杞憂に終わりまして、妄想以上に甘いし、純情だし、しっかり段階踏んでいるし、申し分のない素敵な恋でした(多少突っ走ったところはありましたが、あれは仕方ない…)。
ここまでの過程、お見送りの期間も経て、2人は「運命」のような「必然」のようなかたちで結ばれていく…それは戻って来て視線を交わした瞬間に悟ってしまうようなとても強い愛だと感じました。多少ヨセフが初心だったり、ディルクが余計な心配したりはしましたけれど、程度の差はあれどお互いにちゃんとわかっている恋なのです…ヨセフはまだまだ赤ちゃんと思ってましたが、あの読書室でのやりとり、ちゃんと伝えるべきことは言ってましたよね。ドギマギはするけれど、ちゃんと言えてる!ヨセフーー!そして何よりグッと来るのは、2人とも「未来」を見ているんですね。同じところに立っている恋。戦士である2人が交わす気持ちは、未来を見据えており、2人の土台をどう築くのか…というところに、すでに視点があるような気がしました。まだまだ駆け出しの恋を味わう2人ですが、思ったより冷静な気持ちで2人の愛を見守ることができました。そして、中心となるディルク、ヨセフの2人をお膳立てする摂政殿下、宰相閣下、将軍閣下に厳しくも優しいおかん(?)みんな総出で2人を応援しているように見えます。なんて優しい世界なのでしょうか。2人の未来というのは艱難辛苦あるようにも思えるのですが、そこにこそ新しい世界が広がっているのかもしれません。2人の未来に国の未来や希望を感じて、みんなが愛と希望を持って応援しているように感じられました。
今回は新たな展開として、
先の戦争の後処理(ツヴェルフラント領併合への道筋)
見つかった谷の秘密と今後…
ブルングウルトの過去とこれから…
執政宮、宰相府、ディルクが立ち向かう貴族制度と立場…
そして今後に繋がるカイルの動向…
などと、新しく登場したメンバー(みんな素敵&まだ食えない感じ…)の動向含めて、これらが一気にあの分厚い本の中にこれでもかー!と詰め込まれています。
恋の動向も気になるけど、全部が気になりすぎるーーー!伏線はどこーーー!と、もう訳がわからないボリュームになっています。
すでに恋涯て3の発売が予告されていますが、4も5もあっていい(切実)
とにかくこの面白くて、ときめいて、やみつきになるお話をずっとずっと読んでいたい気持ちです。
「背中を預けるには」「この恋の涯てには」の世界は、愛を優しく見守るだけでなく、その背景に壮大な物語が広がっています。(ここがこの作品の世界観のすごいところですし、引き込まれる大きな要素になっていますよね)
そしてこのストーリーの面白さこそが小綱実波先生の真骨頂。
素敵な萌えとともに広がる、政治、経済、倫理、歴史、文化、階級制度、人間模様…
何度読んでも興味が広がる…まるで実際こんなことあったのでは?なんて思ってしまう設定に、ときめきが止まりません。
そしてシビアなお話の合間合間に可愛いお話が炸裂。
今回お手紙のところで笑わなかった人います?
私は、不覚にもカフェであのシーンを読んでしまったので、
笑いを堪えるのに、腹筋を痛めるかと思いました。
人の健気さを笑うのは失礼かもしれませんが、あれは小動物が可愛すぎて笑うのと同じ感覚よね…と思いました。
そして愛しのおかんが…優しいおかんが…本当にお優しくて(泣ける)
背中の登場人物はどうしてこんなに愛らしい人が多いのでしょうか。
本当に好きです!大好きです!
今回は私の推しであるマルツェルが大活躍(?)で、出番多くて幸せすぎました…シゴデキイケおじっぷりに私のニヤケが止まらんのですが(エロは妄想で補完)その他にも魅力的なキャラがたくさん登場しています!
小綱先生の名付けのセンスがまたとっても素晴らしいのですが、登場人物の名前を口にすると、その語感の良さにもグッとくるのです!今回はディディエ・フェリクス✨なんかもうこの方、可愛くて仕方ないのですが、この方恋涯て3に出て来ますよね?(王都の花は愛でたのかな?)
そしてとっても素敵な恋バナを聞かせてくれたローラント、一夜先生の描くローラントの爆イケっぷりには妄想が騒ぎ出して(エメリヒも下さい)止まりませんでした。
貴族らしいダミアンやハインリヒをやり込めるちょっと嗜虐的な面を見せるディルク〜…
オタクトークに走ってしまいましたが、一晩以上語れる気がしてならないこの本の魅力。最後に耳寄り情報を書き添えたいと思います。
紙もいいけど電子もね✨
電子の巻末ショートストーリーは必読です。絶対読んだ方がいいです。
出だしがちょっと好みじゃないな…と思って、少し読んで積んでたのですが、やっぱり読もうと決めたら1日読了するほどのめり込みました。
とても良いお話です。ストーリーも、背景も、過程も、結末も…すべてが伊達きよワールドというか、とても素敵なのです。タイトルも作品の世界観が素直に感じられてキュンとしました。白い花がお話の鍵でもあり演出になってロマンチックです。
何より気に入ったのは、人の良い、ティガの生き方かな…とんでもなく純粋です。Ωちゃんあるあるですが、察しが悪いのです(気づけよ!)…読者も、まわりもやきもきさせます。健気だからこそ一生懸命で、優しくて、まっすぐで、頑張ってるからこそ自分に向けられる目に気づけない。人のことで手一杯なのです。そんなティガを見守り続けるナウファル…攻め様なのにこれまた初心です。スーパーα様なのに、奥手なのです。とにかく可愛らしい二人なのです。話の展開は見えていたのに、心の成熟が遅く、くっつかない二人にハラハラさせられて…そんな中、絵に描いたようなハピエンがやってきて本当にすっきりしました。この優しさが!このハピエンが!ファンタジー小説の醍醐味です。このお話は前半のティガの驚きから始まるので、それ以上の衝撃はないのですが、やはり事件は起きてしまうし、それによって始まった関係もあるので、衝撃ですが必要悪のような気もしましたね。ティガはとても痛々しかったですが。本当によく頑張りました…。
ここのところ必要以上に衝撃的な作品は、心がなかなか受け取れなくなってきました。また無いと寂しいものですが、エッチなシーンもさほど過激でなくて良い…優しくて愛に満ちてハピエンな作品は、いくつになっても心に安らぎと愛おしさを運んでくれます。二人が愛し合っているいう事実がゆっくり、じっくり伝わってくる良作。年内にこの作品に出会えてよかったです。
表紙に感じるものがあり、試し読みへ…
試し読みのつもりが即買い→一気読み。
これはもっと評価されてもいい作品ではなかろうか。
とにかく本当に面白いです!
多少カットされたのでしょうか?
謎解きの部分は駆け足だったものの「初恋」のモダモダが
ニヤニヤでわくわくでした…っていうかこの恋、面白すぎます。
人も死ぬし、本当はシリアスなんだろうけど、
2人のウブな恋は可愛いすぎて、噛み締める笑いが止まりません。
猫とか、妄想とか、なんだかパワーワードが出てくるたびに
シリアスな展開は影を潜め、恋心の暴走をニヤニヤしながら
見守るお話(え?そうじゃない?w)でした。
本編が笑える展開のままハピエンした後、
まさかの先生のあとがきで吹きました…
今月は笑えるBLが他にもあったのですが
私はこの作品が一押しかな…
堅物が恋する姿ってどうしてこんなに可愛いんでしょうね。
ライリ(受け)も可愛いかったけど…
ファリド(攻め)が天を仰ぐほど可愛くて…
読み終えて早速再読を始めたくらい好きでした。
予期せぬ出会いに感謝したい作品でした。
佐竹先生の他の作品も読んでみたくなっています。
今作の はなれがたいけもの 君に触れる 驚きました!
今回もとても良かった!のと同時にアシュが主役になってきている?これから王様になるまでのお話になっていく?と感じたからです。
今回のメインストーリーは複雑な生い立ちの「ユジュ」が、ユドハの群れに迎え入れられるお話。ここはとても切なかったりしたのですが、ユドハの群れの団結も素晴らしかったですし、何よりアシュの成長が伝わってきて、本当に胸が熱くなりました。
読者はアシュが生まれたときから知ってる(読んでる)ので、彼が双子のお兄さんになったり、今回はおともだちを助けて、プレスクールの学友に慕われ、みんなを守り、守られ…これからいい大人になっていくのだなと、その成長をまるで親族みたいな気持ちで見守っていると思うのです。彼の成長ぶりは、ユドハを思い出させますし(素晴らしい攻め様の片鱗が見える)そして群れの頂点になっていくような心の成長…今回のアシュの活躍は未来を予感させる、物語の未来が見えるようでした。
アシュは金狼族の王様になるのでしょうか…
そして、そして!巻末のもう一つのお話「金屏風と銀屏風」のお話は本当にびっくりでした!いきなり10年ですか?展開早すぎません?…でも嬉しい!アシュの恋にドキドキしてしまいました。続刊では続きが読めますか?早く読みたい!!!
八十庭先生の描く群れの有り様は、親の葛藤や、子の成長の愛しさを追体験するような気持ちになったりして、家族のあたたかさや素晴らしさを感じることが少なくありません。また前回から続くディリヤの心の救済と前進は、いくつになっても心が成長していくことを教えてくれますし、それを見守ることの大切さも教えてくれました。
愛溢れるユドハの群れの姿は学びが多い。ファンタジーだとはわかっていても、人生と重なることが多いです。
愛読しています。これからもずっと見守りたい物語です。
続刊が楽しみです。絶対に読みたいです!
最後になりましたが、今回も佐々木久美子先生の挿絵が最高でした。
身の回りのBL小説仲間たちから極めて評判が良かった作品。
大変興味深く、拝読いたしました。
小説との出会いは人それぞれだと思いますが、
まわりの人の感想によって出会うことも多いので、
私の書いたレビューがどなたかの目に留まって少しでも
読むきっかけになれば良いと思い、ネタバレ含みますが
書こうと思っています。
WEBで発表された作品が紙本となって発売されたのが2024年
ということで、これは今年の作品と言って良いと思います。
とするならば、間違いなく今年一番重厚な作品なのではないかと思います。
2020年に完結していると拝見したので、長きにわたって多くの人たちに
愛された作品が書籍化したとのこと…その年月がゆっくりと熟成した
お酒のように、芳醇さを伴って作品に滲み出ているように感じました。
舞台は神山という竜王が棲む場所とその周辺国。
メインは四大国を束ねるレスキア帝国です。
皇帝アリオスにネバル国という小国から王子セナが嫁いできます。
彼は惹香嚢という男でも妊娠可能な特殊な臓器が持っているため
嫁ぐのですが、このあたりはオメガバースを読んでいる方々なら
問題なく読める設定であるかと思います。
しかしここから神山を巡っての政治的なことや、セナが産む王子アスランが
同じく惹香嚢を有していたため、竜王の婚配者として神山に行く話、そして
惹香嚢を有するが故の運命などが複雑に絡み合い、物語を形成します。
そしてそうした主軸となるメインストーリーとセナの心の物語が並走して
描かれていきます。皇帝に疎まれ(本当は違うのですが)心の距離がある
状態で、セナは神山から委任を受けた最強白狼獣人、護衛官のイザクに
心寄せて行くのです。イザクは闇人という上からの指示に生きる立場で
疑念なく殺人すらできるよう心を封じられている存在です。
表情がないほど無味な存在のイザクに、セナはなぜ心寄せられるのか。
はやく皇帝と幸せになればいいのに…などと思っておりましたが、
イザクの存在にセナは憐憫にも似た優しく哀しい愛を注いでいきます。
そして皇帝、セナ、イザク…この三角関係が心の話の主軸になるのか
と思いきやそんな簡単な話ではありませんでした。
このお話にはもっと深い愛が描かれることになります。
壮大な話とともに、政治的な話が絡むため、登場人物が多い…
読んでいるときはその問題がついて回るので、なかなか読み進めるのが
難しいという方もいらっしゃると思います。
ファンの方が作った布教シートのようなものもあるので、私も目を通し
ましたがそれすら難しくて、地図と人物シートは整理しないと完走は
難しいと思える方もいらっしゃるかもしれません。
私も上巻だけで言えば、全てが中途半端で先が読めない…という軽い
絶望感を持ちましたが、読了後に振り返れば、そのモヤモヤを
持ったまま下巻に進んでも、不安で良かったんだなと思える瞬間が
出てくるので、まずはスタートすることをお勧めいたします。
ファンタジー、政治、闘い、愛…全てが濃厚ですが、上下が1つの話
ですのでまずは上巻でその世界に足を踏み入れて下さい!
そして佐伊先生の、特濃なお話を鮮やかに表現される小山田あみ先生!
あまりにも美しい挿絵が物語を一層魅力的にしています。
上巻の不穏な終わり方からの下巻。
下巻の見どころは神々の代理戦争、ヘロスマキアです。
具体的にどのような戦いになるのかということがわかり、
代理戦争がどのようなものであるのか、その背景は何なにか、
それぞれの神子の思惑などが明確になりました。
ニキアスがしようとしていたことは何なのか…ということがわかりました。
ヘロスマキアの概要は、神の世界(多分ギリシャ神話の世界観)にも
人間のような苦悶があり、それを受ける神子の中にも綻びが出てきて
それをアンブロシアを手に入れることも含め、ニキアスがかたをつけると
いうものです。ここだけ取るとヒーローショーのような内容ですが
そこに至るまでの積み上げが、実に興味深かったです。
それぞれの神の特徴や、背景については小綱先生ならでのエッセンス!
祈りの言葉はギリシャ語ですし、乙女たちが歌う歌詞なども、
本当に知識がないと書けない部分です。圧巻でした。
それぞれの人物像については
藍の運命はいかに…というところが見どころでしたが
彼がなかなかに頑固でそして行動的になっていくので、
ニキアスでなくともハラハラ要素が多く、
人物的な魅力&やきもきするポイントになるかと思います。
そして、悠斗の存在。
このキャラクターが今回のお話の鍵になっていたか!と
あとから思い至るのですが(詳しくは先生のあとがきを読むとわかります)
本人の立ち位置でもある、脇役であっても主役になる
「アイドル」であると気付かされます。
ニキアスは…今回もとても素敵でしたね。
好みの攻め様はひとそれぞれだと思いますが、執着が強い、正義感が強い
やや不器用なところがある、口下手、愛し方が強烈…など
結構な要素てんこ盛りなので、藍でなくても戦いを応援したくなるし、
心から勝って!と願いが溢れて出て来る気持ちで見守りました。
そしてカイロス(好き)、嫌な人じゃなかったですよ…よかった。
この人の背景にもグッとくるものがあります。
とっても理性的でした。詳細は是非読んでいただきたい!
ニキアスと藍、二人の愛の物語にも大注目でしたが
紛う方なきハピエンでした。良かった!!!
私は神と人の世界について、深く深く考えさせられました。
宗教観を持たない人にはその世界の一端を知ることができるような…
宗教がある人には自分の信じる神への理解につながるような…
そんな気持ちにさせられる、深淵な世界観がありました。
ファンタジーというものは、いかにその設定を読者に伝えつつ、
物語として違和感なく進められるかというところが大きいのですが、
小綱実波先生はそのあたりが非常に巧みです。
今回も背景として地の文に盛り込まれたり、登場人物に語らせたりと、
違和感なく読み進められ、物語の世界に引き込まれていきました。
バトルシーン多いとのことでしたが、そこはあまり気にせずとも
良いと思います。私は苦手な方ですが問題なく読めました。
まだ読み終え直後で、感想が上手くまとまらないのですが
本当に多くの方に読んでいただきたいお話でした。
エロ要素多めを求める人には物足りないのかもしれませんが
物語としての良さを求める小説の民には心からお勧めできます。
古澤エノ先生、コミックスは初だそうですね。本当におめでとうございます。
昨年の秋庭で同人誌の表紙に一目惚れして、ビーボーイゴールドを購読しつつお待ちしていた本作。実際に紙になって拝読すると、なんだかふわ〜と世界に引き込まれるような、そんな気がいたしました。
ストーリーはあまり難しくないです。でもそこに日本の情景とか季節感とか、空気感のようなものが感じられて、自然に引き込まれていきます。先生の感受性のようなものが瑞々しく伝わってきて、この作品の魅力になっている気がします。余白というのでしょうか…入り込める余地があるというのでしょうか。この作品の場合、そこにとても惹きつけられ、良いと思いました。
モノトーンの画中に、鬼の目の赤さや、木立の緑、着物の皺、髪の艶やかさを感じてしまう…その艶やかな世界はシンプルなストーリーを幾重にも魅力的にすると思いました。普段小説ばかり読んでいる者ですが、古澤エノ先生の作品には詩情がありました。1コマ1コマの切り取りが美しく、全部バラバラにしても絵になるな…と思いながらうっとりと拝読いたしました。
ネタバレは避けたいので、是非読んでいただきたい作品!とまとめておきたいと思います。ちょうど季節ぴったりに発刊されましたので、この夏何度も読み返したいと思いました。
葵居先生の表現による、砂漠の世界、不遇の受けちゃん、強い立場の攻め様…
嫌いなわけがない設定!これぞ葵居先生!という世界観です。
BL(特にファンタジー系)の作品にはある程度お決まりの流れがあって、それが猛烈に欲しくなるとき、いくつか同じような世界観の作品読ませていただくということがあるのですが…少し読み始めて「止まらない!」「これ好き!」ってなる作品は実は少ないです。「読みたかったのこれだ!」と思う作品との出会いって、本当に貴重ですが、今回はまさに当たり!の作品。葵居先生もあとがきで書いていらっしゃいましたが、砂漠の設定、そして受けであるアルエットちゃんの鳥人設定〜♡これが本当に素晴らしくて、表現の美しさ、優美さ、情景の書き込み方など、うっとりする設定が次々と登場して、寝るのも惜しんで拝読しました(本当に止められなかったです)。
BL読みさんには、1つや2つ(もっとかな)好きな設定ってあると思うのですが、そういった中でも葵居先生の描く世界観はいつもとても素敵で感激します。また私にとってBLは肉体の快楽だけが中心ではないので(詳細はなくても大丈夫な読者です)そこに至る設定、ストーリー、登場人物の魅力、状況などの表現がお上手な先生の作品には本当に引き込まれてしまいます。今回の作品は鳥人という設定であったので、羽耳の表現や尾の表現は特に楽しめました!
少し気になった点があるならば、アルエットの弟のユーエは人として掴みきれない部分があって、読んでいて気になりました(あまり好きな設定ではなかったのかもしれません)もう少しすっきりと愛される設定であっても良かった気がします。少し不穏な感じがする人物設定は次作への布石なのでしょうか。気になるところです。
それとイラストが大好きな羽純ハナ先生でしたが、表紙はあまり感じなかったのですが挿絵のハイダルが若く見えすぎて(童顔?)30すぎという設定のわりには少年のように見えてしまっていたので、次作(きっとあるって信じてます)では大人の男性の魅力を感じたい!と思っています。
止められない素敵なお話をありがとうございました!次はジャダーロの恋のお話でしょうか…また是非拝読したいです。