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女性阿蘭陀さん

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予期せぬ高評価

表紙に感じるものがあり、試し読みへ…
試し読みのつもりが即買い→一気読み。
これはもっと評価されてもいい作品ではなかろうか。
とにかく本当に面白いです!

多少カットされたのでしょうか?
謎解きの部分は駆け足だったものの「初恋」のモダモダが
ニヤニヤでわくわくでした…っていうかこの恋、面白すぎます。

人も死ぬし、本当はシリアスなんだろうけど、
2人のウブな恋は可愛いすぎて、噛み締める笑いが止まりません。
猫とか、妄想とか、なんだかパワーワードが出てくるたびに
シリアスな展開は影を潜め、恋心の暴走をニヤニヤしながら
見守るお話(え?そうじゃない?w)でした。

本編が笑える展開のままハピエンした後、
まさかの先生のあとがきで吹きました…
今月は笑えるBLが他にもあったのですが
私はこの作品が一押しかな…

堅物が恋する姿ってどうしてこんなに可愛いんでしょうね。
ライリ(受け)も可愛いかったけど…
ファリド(攻め)が天を仰ぐほど可愛くて…
読み終えて早速再読を始めたくらい好きでした。
予期せぬ出会いに感謝したい作品でした。

佐竹先生の他の作品も読んでみたくなっています。

アシュの未来

今作の はなれがたいけもの 君に触れる 驚きました!
今回もとても良かった!のと同時にアシュが主役になってきている?これから王様になるまでのお話になっていく?と感じたからです。

今回のメインストーリーは複雑な生い立ちの「ユジュ」が、ユドハの群れに迎え入れられるお話。ここはとても切なかったりしたのですが、ユドハの群れの団結も素晴らしかったですし、何よりアシュの成長が伝わってきて、本当に胸が熱くなりました。

読者はアシュが生まれたときから知ってる(読んでる)ので、彼が双子のお兄さんになったり、今回はおともだちを助けて、プレスクールの学友に慕われ、みんなを守り、守られ…これからいい大人になっていくのだなと、その成長をまるで親族みたいな気持ちで見守っていると思うのです。彼の成長ぶりは、ユドハを思い出させますし(素晴らしい攻め様の片鱗が見える)そして群れの頂点になっていくような心の成長…今回のアシュの活躍は未来を予感させる、物語の未来が見えるようでした。
アシュは金狼族の王様になるのでしょうか…

そして、そして!巻末のもう一つのお話「金屏風と銀屏風」のお話は本当にびっくりでした!いきなり10年ですか?展開早すぎません?…でも嬉しい!アシュの恋にドキドキしてしまいました。続刊では続きが読めますか?早く読みたい!!!

八十庭先生の描く群れの有り様は、親の葛藤や、子の成長の愛しさを追体験するような気持ちになったりして、家族のあたたかさや素晴らしさを感じることが少なくありません。また前回から続くディリヤの心の救済と前進は、いくつになっても心が成長していくことを教えてくれますし、それを見守ることの大切さも教えてくれました。
愛溢れるユドハの群れの姿は学びが多い。ファンタジーだとはわかっていても、人生と重なることが多いです。

愛読しています。これからもずっと見守りたい物語です。
続刊が楽しみです。絶対に読みたいです!

最後になりましたが、今回も佐々木久美子先生の挿絵が最高でした。

この作品との出会い

身の回りのBL小説仲間たちから極めて評判が良かった作品。
大変興味深く、拝読いたしました。

小説との出会いは人それぞれだと思いますが、
まわりの人の感想によって出会うことも多いので、
私の書いたレビューがどなたかの目に留まって少しでも
読むきっかけになれば良いと思い、ネタバレ含みますが
書こうと思っています。

WEBで発表された作品が紙本となって発売されたのが2024年
ということで、これは今年の作品と言って良いと思います。
とするならば、間違いなく今年一番重厚な作品なのではないかと思います。

2020年に完結していると拝見したので、長きにわたって多くの人たちに
愛された作品が書籍化したとのこと…その年月がゆっくりと熟成した
お酒のように、芳醇さを伴って作品に滲み出ているように感じました。

舞台は神山という竜王が棲む場所とその周辺国。
メインは四大国を束ねるレスキア帝国です。
皇帝アリオスにネバル国という小国から王子セナが嫁いできます。
彼は惹香嚢という男でも妊娠可能な特殊な臓器が持っているため
嫁ぐのですが、このあたりはオメガバースを読んでいる方々なら
問題なく読める設定であるかと思います。
しかしここから神山を巡っての政治的なことや、セナが産む王子アスランが
同じく惹香嚢を有していたため、竜王の婚配者として神山に行く話、そして
惹香嚢を有するが故の運命などが複雑に絡み合い、物語を形成します。

そしてそうした主軸となるメインストーリーとセナの心の物語が並走して
描かれていきます。皇帝に疎まれ(本当は違うのですが)心の距離がある
状態で、セナは神山から委任を受けた最強白狼獣人、護衛官のイザクに
心寄せて行くのです。イザクは闇人という上からの指示に生きる立場で
疑念なく殺人すらできるよう心を封じられている存在です。
表情がないほど無味な存在のイザクに、セナはなぜ心寄せられるのか。
はやく皇帝と幸せになればいいのに…などと思っておりましたが、
イザクの存在にセナは憐憫にも似た優しく哀しい愛を注いでいきます。
そして皇帝、セナ、イザク…この三角関係が心の話の主軸になるのか
と思いきやそんな簡単な話ではありませんでした。
このお話にはもっと深い愛が描かれることになります。

壮大な話とともに、政治的な話が絡むため、登場人物が多い…
読んでいるときはその問題がついて回るので、なかなか読み進めるのが
難しいという方もいらっしゃると思います。
ファンの方が作った布教シートのようなものもあるので、私も目を通し
ましたがそれすら難しくて、地図と人物シートは整理しないと完走は
難しいと思える方もいらっしゃるかもしれません。
私も上巻だけで言えば、全てが中途半端で先が読めない…という軽い
絶望感を持ちましたが、読了後に振り返れば、そのモヤモヤを
持ったまま下巻に進んでも、不安で良かったんだなと思える瞬間が
出てくるので、まずはスタートすることをお勧めいたします。

ファンタジー、政治、闘い、愛…全てが濃厚ですが、上下が1つの話
ですのでまずは上巻でその世界に足を踏み入れて下さい!
そして佐伊先生の、特濃なお話を鮮やかに表現される小山田あみ先生!
あまりにも美しい挿絵が物語を一層魅力的にしています。

神と人の世界について思う…

上巻の不穏な終わり方からの下巻。

下巻の見どころは神々の代理戦争、ヘロスマキアです。
具体的にどのような戦いになるのかということがわかり、
代理戦争がどのようなものであるのか、その背景は何なにか、
それぞれの神子の思惑などが明確になりました。
ニキアスがしようとしていたことは何なのか…ということがわかりました。

ヘロスマキアの概要は、神の世界(多分ギリシャ神話の世界観)にも
人間のような苦悶があり、それを受ける神子の中にも綻びが出てきて
それをアンブロシアを手に入れることも含め、ニキアスがかたをつけると
いうものです。ここだけ取るとヒーローショーのような内容ですが
そこに至るまでの積み上げが、実に興味深かったです。
それぞれの神の特徴や、背景については小綱先生ならでのエッセンス!
祈りの言葉はギリシャ語ですし、乙女たちが歌う歌詞なども、
本当に知識がないと書けない部分です。圧巻でした。

それぞれの人物像については
藍の運命はいかに…というところが見どころでしたが
彼がなかなかに頑固でそして行動的になっていくので、
ニキアスでなくともハラハラ要素が多く、
人物的な魅力&やきもきするポイントになるかと思います。

そして、悠斗の存在。
このキャラクターが今回のお話の鍵になっていたか!と
あとから思い至るのですが(詳しくは先生のあとがきを読むとわかります)
本人の立ち位置でもある、脇役であっても主役になる
「アイドル」であると気付かされます。

ニキアスは…今回もとても素敵でしたね。
好みの攻め様はひとそれぞれだと思いますが、執着が強い、正義感が強い
やや不器用なところがある、口下手、愛し方が強烈…など
結構な要素てんこ盛りなので、藍でなくても戦いを応援したくなるし、
心から勝って!と願いが溢れて出て来る気持ちで見守りました。

そしてカイロス(好き)、嫌な人じゃなかったですよ…よかった。
この人の背景にもグッとくるものがあります。
とっても理性的でした。詳細は是非読んでいただきたい!

ニキアスと藍、二人の愛の物語にも大注目でしたが
紛う方なきハピエンでした。良かった!!!

私は神と人の世界について、深く深く考えさせられました。
宗教観を持たない人にはその世界の一端を知ることができるような…
宗教がある人には自分の信じる神への理解につながるような…
そんな気持ちにさせられる、深淵な世界観がありました。

ファンタジーというものは、いかにその設定を読者に伝えつつ、
物語として違和感なく進められるかというところが大きいのですが、
小綱実波先生はそのあたりが非常に巧みです。
今回も背景として地の文に盛り込まれたり、登場人物に語らせたりと、
違和感なく読み進められ、物語の世界に引き込まれていきました。
バトルシーン多いとのことでしたが、そこはあまり気にせずとも
良いと思います。私は苦手な方ですが問題なく読めました。

まだ読み終え直後で、感想が上手くまとまらないのですが
本当に多くの方に読んでいただきたいお話でした。
エロ要素多めを求める人には物足りないのかもしれませんが
物語としての良さを求める小説の民には心からお勧めできます。

美しい世界観

古澤エノ先生、コミックスは初だそうですね。本当におめでとうございます。
昨年の秋庭で同人誌の表紙に一目惚れして、ビーボーイゴールドを購読しつつお待ちしていた本作。実際に紙になって拝読すると、なんだかふわ〜と世界に引き込まれるような、そんな気がいたしました。
ストーリーはあまり難しくないです。でもそこに日本の情景とか季節感とか、空気感のようなものが感じられて、自然に引き込まれていきます。先生の感受性のようなものが瑞々しく伝わってきて、この作品の魅力になっている気がします。余白というのでしょうか…入り込める余地があるというのでしょうか。この作品の場合、そこにとても惹きつけられ、良いと思いました。
モノトーンの画中に、鬼の目の赤さや、木立の緑、着物の皺、髪の艶やかさを感じてしまう…その艶やかな世界はシンプルなストーリーを幾重にも魅力的にすると思いました。普段小説ばかり読んでいる者ですが、古澤エノ先生の作品には詩情がありました。1コマ1コマの切り取りが美しく、全部バラバラにしても絵になるな…と思いながらうっとりと拝読いたしました。
ネタバレは避けたいので、是非読んでいただきたい作品!とまとめておきたいと思います。ちょうど季節ぴったりに発刊されましたので、この夏何度も読み返したいと思いました。

これぞ葵居先生の世界観!

葵居先生の表現による、砂漠の世界、不遇の受けちゃん、強い立場の攻め様…
嫌いなわけがない設定!これぞ葵居先生!という世界観です。
BL(特にファンタジー系)の作品にはある程度お決まりの流れがあって、それが猛烈に欲しくなるとき、いくつか同じような世界観の作品読ませていただくということがあるのですが…少し読み始めて「止まらない!」「これ好き!」ってなる作品は実は少ないです。「読みたかったのこれだ!」と思う作品との出会いって、本当に貴重ですが、今回はまさに当たり!の作品。葵居先生もあとがきで書いていらっしゃいましたが、砂漠の設定、そして受けであるアルエットちゃんの鳥人設定〜♡これが本当に素晴らしくて、表現の美しさ、優美さ、情景の書き込み方など、うっとりする設定が次々と登場して、寝るのも惜しんで拝読しました(本当に止められなかったです)。
BL読みさんには、1つや2つ(もっとかな)好きな設定ってあると思うのですが、そういった中でも葵居先生の描く世界観はいつもとても素敵で感激します。また私にとってBLは肉体の快楽だけが中心ではないので(詳細はなくても大丈夫な読者です)そこに至る設定、ストーリー、登場人物の魅力、状況などの表現がお上手な先生の作品には本当に引き込まれてしまいます。今回の作品は鳥人という設定であったので、羽耳の表現や尾の表現は特に楽しめました!
少し気になった点があるならば、アルエットの弟のユーエは人として掴みきれない部分があって、読んでいて気になりました(あまり好きな設定ではなかったのかもしれません)もう少しすっきりと愛される設定であっても良かった気がします。少し不穏な感じがする人物設定は次作への布石なのでしょうか。気になるところです。
それとイラストが大好きな羽純ハナ先生でしたが、表紙はあまり感じなかったのですが挿絵のハイダルが若く見えすぎて(童顔?)30すぎという設定のわりには少年のように見えてしまっていたので、次作(きっとあるって信じてます)では大人の男性の魅力を感じたい!と思っています。
止められない素敵なお話をありがとうございました!次はジャダーロの恋のお話でしょうか…また是非拝読したいです。

心があたたかくなる。冬に読みたい一冊。

2024年、年明け1冊目として拝読しました。
春になるまで待っててねの二人(デイビスさんリックさん)と関わりのある設定なので、世界が繋がっていて、その後日談のようなお話になっています(その時点で好き!という世界観)。
デイビスさんの同僚である雪豹獣人のテイラーくんは年下ワンコ攻めの典型!とも言える大好き設定。良い子なんです!本当にすごくいい子。このいい子であるテイラーくん(お育ちもいい)が恋するお相手がフィンさん。真面目ゆえに不器用で、恋がなかなかうまくいかないヤマネ獣人(小さくでかわいい)、でも年上さんなんですよね。ゲイ受けって本の紹介に書いてあって「あ!そうか」と思いましたが、そういうことになりますね、今までの人生で傷ついてる部分があって…もう大好きな設定すぎて、胸がキュっとするお話です。伊達先生のお話って、とても手の込んだ設定のものも多いのに、この「春に」の2シリーズはBLの初心者でもわくわくドキドキして読める、ある意味入門のようにあたたかいシリーズもあって、作家さんとして本当に幅が広いなと思います。百戦錬磨のBL読みさんには物足りないかもしれない…と思いつつも萌えの要素が様々なところに散りばめられていて、なぜか初心に返ったような清々しい気持ちになる作品でした。読むことで心が晴れ渡るような、年明けにふさわしい作品を読めて、心がホッとしました。冬だからこそ感じられる切なさやあたたかさがふんだんに詰まっている良作です。BL初めてですという人にはいつも「春になるまで待っててね」を薦めていますが、続きの話もあるよ!とまたおすすめできる作品が増えました。
伊達先生のこの冬眠と絡めた優しいお話のシリーズは、年に1回くらいはゆっくりリリースしていただけたら嬉しいです(絶対読みたいです)。次はフィンさんの弟さんのお話?ざまあからスタートするロディくんのお話?楽しみにしています!

この厚みの中に果てしない世界がある…

「背中を預けるには」ファンとして、心からお待ちしておりました小綱実波先生の新作。円陣闇丸先生の美しすぎる表紙を拝見したあたりから、期待値は上がるばかりでしたが、それを遥かに超えてきた!…というところが素直な感想です。

1)まず設定と描写がすごい。
俳優としてニューヨークに渡った主人公の真宮藍。そのニューヨークのシーンから引き込まれます。小綱先生ご自身がお仕事で現地に行かれていたことを公表していらっしゃいましたが、そのあたりの実体験がおそらく生きているのであろう、生き生きとして現実味のある描写!街の様子や建物や人物の描き方が、映画を見ているかのように感じられました。そしてその現実味のある設定の中に「狼のような」今回の攻め様であるイーサン・ダニエルが登場します。そして彼の存在が通奏低音のように藍についてまわるようになり…そのあたり今回も小綱先生らしい音楽表現的な展開をする美しい流れです。

2)そして界渡りからの異世界が興味深い。
飛ばされた世界はギリシャ神話のような世界です。タイトルにあるアンブロシアは「ギリシア神話に出てくる神々の食べ物」の意味のようですが、ところどころ難しいワードが出てきます。小綱先生が学ばれてきた知識の片鱗が垣間見えるアカデミックな香りがする世界。ワードを調べながら読み進めましたが、なんとも興味深い設定です。検索しながら読む感覚も新鮮で、何やら知識が増えていくような満足感が得られました。ギリシア神話でのアンブロシアはそれを食べた者は不老不死となるそうですが、この知識こそが甘露な喜びのような気がして、おお!となりました。

3)とことん感情が揺さぶられる。
読みすすめて、最初の号泣地点が老夫婦と少女のエピソードのところでした。ニキアスの背負う世界があのシーンで強烈に印象づけられました。全てにおいて優位であろうはずの攻め様が、恵まれた境遇でもなく運命として苦悩を背負う様子が一家のエピソードで鮮明になります。この家族のシーン、悠斗との葛藤のシーン、二十八夜のシーン、と次々と印象的なシーンが撚り合わさり、その中で藍がニキアスに惹かれていく…やはりシンフォニーのように重なっていくエピソードとともに、自分の感情もどんどん昂まっていくのがわかりました…このあたりがもう離れられないところです…

4)切ない結びつき
そしてようやく交歓シーンとなるのですが…切なさが優って、単にBLの醍醐味としてのシーンというだけでなく、心のやりとりが切なかったですね。BLにはさまざまな表現があり、それこそが性癖となるものですが、快感のみのシーンでなく重いものがあります。このあたり、好き嫌い分かれるところかもしれませんが、私はこういうところがとても好きです。運命を背負った身体のやりとりなのです…

5)極上の執着
そしてニキアスは自分の運命を…ああ、もう書けない!このあたりから二人がどういう生き方をしていくのか何を選び取っていくのかが次巻への新しいメロディーが流れてくるところでしょうか。まだ上巻なのですよ…この感情をどこに持っていけば…というところで、私はこんなネタバレをずっと書いていいものか…とハッと反省に至りやめておこうかと思います…。極上の執着が出てきました…でもそれが別れをも予感させる命をかけた執着であるというところが最高にグッときたところでした。

読みながら心に残ったところをつらつら書いてしまいましたが、小綱実波先生の描く作品はしっかりBLでありながらも、そこを土台に、ものすごく広大な世界観が広がるところが素晴らしいと思います。鈍器と呼ばれる分厚い本の中に、果てしない世界が広がるこの作品も、名作の予感。完結まで目が離せません。難しい語句などをしっかり把握しながら2周目、3周目読みたい!と思える作品です。次作をじっくり、ゆっくり楽しみに待ちにしたいと思います。

拡大して愛でました✨

ジャケ買いでした。
美しい表紙に微笑!そして中表紙!美しい〜
…ですが、上巻には中表紙のようなシーンはありません(残念!)
Ω王子が嫁いだ王様は少年です(びっくり!)。

物語冒頭の傷つき、心を閉じているΩ王子には心が痛くなります。
そこに登場する侍女のスゥヤ。こういった作品に登場する
心の綺麗な女子って好きなのですが、とても素敵で素晴らしい。
可愛らしく描かれていて癒されました…
そしてもふもふ好きにはたまらないタルジューーーー‼️
すごく丁寧に描かれていて可愛さ満点です。
電子購入し、テレビ画面に接続して隅々まで拝見しました。
そのくらい描き込みが素晴らしいのです。
小説は行間を感じて萌えますが、コミックスはこういった
獣の表情(仔虎特有の靄がかかったような瞳や抱っこのときの前足とか)や
装飾品やしつらいなどに作者様のこだわりと美意識が感じられて
感激しました。

そして上巻のキーとなるシーン
朝日の中、少年王ハーリドが思いを告げるシーン
イリヤが受け入れた表情がとてもとても印象的でした。
この時のイリヤは寝ているところから起こされたので素顔
髪は乱れて、ピアスもしていない…「素」の状態
暗い顔で嫁いできて、やっと素の状態で微笑みを浮かべた
あの表情がとても心に残りました。良いシーンでした。

上巻ではここからが急転直下になりますが
後半心に刺さったのはイリヤが市民に囲まれるシーン
とても不穏でしたので、ハラハラしましたが
私も民と一緒に泣きました…生きていて良かった!
王后として覚悟が決まったシーンに感激です。

ハーリドを失って8年、失ってもなおハーリドが夢見た未来へ
歩み続けるイリヤ、支え続けるスゥヤ、大きく成長したタルジュ
…そしてハーリドと再会か?!というところで終了。

読み応えもたっぷり、見どころもたっぷり、
可愛さも美しさもみんなまとめて素晴らしい作品でした。
BL要素はまだありませんが、それは上巻ゆえ…
上下で一つのお話ですものね。

この設定が愛おしい

まず表紙でグッと来ました。
名倉先生の作品だから読みたい…に拍車をかける笠井先生の精緻なカバーイラスト…
まるでおとぎ話のようなはじまり、はじまり〜です。
私の大好きな「ファンタジーBL」とはあり得ない設定のオンパレードを楽しむものだと思っているのですが、今回の作品は王様と王様の恋…
これは読んだことのない設定でした。
どんな着地をするのだろうとハラハラしながら拝読。
あまりにもピュアな恋話に、途中モダモダしたり、ほのぼのしたり、そしてそんな素敵なお話の合間合間に差し込まれる、笠井先生の挿絵が可愛らしくて!ため息が出ます。
かくしてそれなりの事件は起き、無事に解決し、BLの味わいの一つでもある、素敵な協力者も登場し、めでたく結ばれる二人…
めでたし、めでたしで大団円。これぞハピエン!と言える、スッキリした幕引き…
こんな幸せな話でいいんですか?って美味しいご馳走をいただいたような気持ちになりました。

それありえない!って断言できる設定なのに、ふわっと物語に入り込めてしまう、名倉先生の文章力でしょうね。細かいところに突っ込みを入れずにただただ美しさ、多幸感に埋没できるBLならではのファンタジーでした。
こういう幸せな設定、御伽話のような世界観は本当に癒されます。
時折、ページをめくっては読み返し、素敵な挿絵にうっとりし、幸せを1つ手に入れた気持ちでおります。
名倉先生の25周年の記念すべき作品。先日のJ・ガーデンでは番外編も発表され、二人の後日談も拝読できました。
幸せな世界がこれからも続きますようにと願わずにはいられない素敵なお話でした。