読み始めて数ページで、ティッシュを大量消費してしまいました。
自分の嫌いな部分を許せず、たとえ大切な人の為でも、できない事もある。それが人間ですよね。
でもそんな自分と向き合い、周りの人と話し合い、理解できなくても否定をせず、寄り添い合い、嫌いな自分を許し、相手を受け入れ、怖いことをちゃんと怖いと、嬉しい、寂しいと言い合える人達がいる事は、なんと幸せな事か。
神様だしオメガバースだし普通の人間の話ではないけれど、小さな普通の人間にとっても大切なことをたくさん教えてくれる、素敵な作品でした。
優しい世界にも嫌なことや辛い事はあるだろうけど、ルカやクロや仲間達が仲間でいられれば、泣いちゃうかもしれないけど大丈夫だと思うし、自分にもこんなコミュニティが欲しい(すごく大変でしょうが)
番外編、たのしみにしています。
あの可愛い子が活躍してくれるのかな?
普通に、ただ普通の人が選べる選択肢が欲しい志津香と、自分では普通に生きているはずなのに生きづらい柊星の相互救済の物語。
世代も何もかも違うので何の参考にもなりませんが、うちの父が中卒で、多分学歴にとてもコンプレックスをもっていて、作品読みながら、何も言わなかったけど、嫌な思いはしてきたんだろうな、と少しシンミリしてしまいました。
少し欠けたりはみ出している二人は、お互いがその欠けやはみ出しのお陰でパズルのピールみたいにカチッとはまって、お互い支え合える存在となったのではないでしょうか。
しんみりじんわり、素敵なお話でした。
さて、薫ちゃん。
あなたにはあなたの良さがあります!
志津香ちゃんにアタックするには、もっと真っ直ぐに打ち当たればよかったとは思いますが、でもそんな不器用なあなた(人によってはスマートに見えるかとも思いますが)を、チャーミングだなと思う人が絶対いますよ!
頑張れ!薫ちゃん!その捨てきれないプライドも可愛いよ!
メインの3人それぞれにちゃんと裏付けされた気持ちがあって、年齢的な不安定さもあって、これぞ青春!という気持ちになりました。
南くんの気持ち、北斗の想い、鷲介の戸惑い、さあこの後どうなる?
南くんはあれから多分ずっと、ゲンコツ握りしめて鷲介くんと再び逢うために野球を続けたんですよね。北斗くんはどんな気持ちでそれを見守ってきたのか(南くんを知った時は、ニコニコ楽しそうに野球やってたはずなのに)…普通に見ていたらここにくっついて欲しいところですが、南くんの気持ちは…
鷲介はああ言っていますが、若さゆえの青さがあるので文字通り受け入れられないし。
南くんの気持ちを考えれば鷲介なんですけど、北斗にも頑張って欲しいし、ああ、わたしはどうしたら!という気持ちでいっぱいです。
誰にも泣いてほしく無い。
けど、あの大きな瞳からボロボロ涙をこぼす南くんにギュンギュンきてしまいました事をお許しください。
すごく美味しい伏線がそのまま置き去りにされてる感じが、とても勿体無く感じてしまいました。
商売タチだとしても、同意のない行為への屈辱感とか、その屈辱感を上回るほどの相手への恋慕とか、攻めの過去とか受けの家族とか、材料色々あるのでもっと高めることはできると思います。
もっと膨らませられる世界が使われないまま終わっていくのが兎に角勿体ない。
もう少しどこかに踏み込んでくれれば、多分これ泣ける作品だと思うのですが(泣かせたいわけじゃ無いかもしれないけど)後一歩、泣かずに踏みとどまれてしまう。
エッチだし概ね言いたいことがちゃんと伝わるだけに、本当に勿体なかったです。
奇抜な設定も特殊な設定もない普通の二人(まあ仕事のできる営業マンと、博士まで行った専門分野に長けているという特色はあるけど)が、きちんと向き合い、言葉を交わし、やさしさを持って接する。
本当にただそれだけの積み重ねなのに、それがとても尊い。
BLに限らず、人間としてとても大切なことを当たり前にしてくれる二人に、じんわり心が温かくなります。
二人の優しさに癒される一作。
で、ここからはちょっと個人的希望と言うか。
元彼がとても気になります。
元彼もきっととても優しくていい人だったんじゃないかと思うんですよね。でもあの別れで何か心に抱えちゃったのでは?と。その抱えたものを手放すようなスピンオフが読みたいなと思ったり。
作中で泉輝くんが言ってくれたので、やっと気づきを得ました。この作品はSMものですが、その中でもD/sと呼ばれるプレイがメインの作品です。
SMものと言われると、相手を傷つけて性的興奮を得るサディストと、痛めつけられることに快楽を感じるマゾヒストのカップルが私的には真っ先に思い浮かびますが、この作品のカップルは、相手を支配したい、相手の喜びも痛みも全てを支配(管理?)することに喜びを見出す攻め、泉輝くんと、大好きな泉輝くんの全てを受け入れたい、泉輝くんの望むことなら怖くても受け入れたい受け、徹くんの、ドムサブ(ドミサブ)プレイ作品なのだと思います。
今までのSMBLでも、多分ドムサブプレイ作品はあったんじゃないかとは思うのですが、泉輝くんがセリフとして「ドミネーション」や「サブミッシブ」と言ってくれたおかげで、やっと理解できました。
そういう意味ではこの作品は、ある意味新たなSMものの夜明けかも?
今までも、SMものと言われて読んでみて(好きとか嫌いじゃなくて)なんか違うな?と思っていたものがあって、多分それはドムサブものだったのだなと、やっと理解が追いつきました。
SMにもSM用語にもそんなに詳しくないので、精神や用語が違ってたらすみません。
確かに痛そうなプレイもありますが、それよりも精神的に相手を支配したい、こんな痛み(苦しみ)を伴う行為も、自分が求めれば(命令すれば)怖いながらも受け入れてくれるサブが愛おしい。怖さはあるけど、好きな人からの求め(支配)を受け入れた時の喜びの方が大きいという、精神的なものの方が大きいのかな?と。
何となく、このSMとあのSMは違うんだけど、何だろう?と思っていたところに、やっと言葉を教えてくれた作品です。