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韓国BL界の珠玉のロマンスとエロ、ここにあります

ディファイン・ザ・リレーションシップ(Define The Relationship)には”関係を定義する”という意味があり、その言葉通りアッシュとカーライルがお互いの関係を定義していくお話です。

6年前の大晦日、一瞬の邂逅とキスの思い出を胸に秘めて生きるカーライル・フロスト。
優勢αの血を繋いでいくことに固執するフロスト侯爵家に一般αとして生まれたカーライルは、侯爵家当主の祖父による厳格な教育を受けながら育ちます。自らを厳しく律し、感情を表に出さず、αの発情期であるラット期間の相手さえも管理されながら…。そうして義務的にΩを抱いてきたカーライルは心的ストレスによりオーガズム障害を患うまでに。そんなカーライルが主治医から提案されたのは、Ω以外の相手とセックスし、挿入される側になること!(そんな提案ありなの!?)カーライルの治療相手として紹介されたα・アッシュは実は6年前のキスの相手…しかしどうやらアッシュはその出来事を覚えていないようで…。

DTRの魅力を語る上で外せないのが、美しい絵柄による繊細な心理描写!
自分の気持ちを抑圧して生きてきたカーライルが、アッシュと過ごすことで触れる初めての感情に戸惑いながら恋をしていく様子を、美しい絵柄で丁寧に丁寧に、感情の一欠片さえもこぼれ落とさずに見せてくれます。
元々感情表現豊かではないカーライルがふとした時に見せるアッシュを想う態度や表情のかわいさ、息をするように距離を詰めスキンシップを図るアッシュの人たらしぶり(そしてそれに翻弄されるカーライルと読者たち)…読みながらときめきが止まらず、思わず叫んだり走り出したくなる衝動に駆られることがしばしばあります。と思えば、感動の涙や胸が締め付けられる展開に涙が止まられなくなることも…。
キャラクター達の心情変化に伴う色使いや演出の素晴らしさもタテヨミフルカラー作品だからこその魅力が詰まっています。毎話のタイトル挿入位置と色使いも注目ポイントです!(連載中にチャダ先生の画力がどんどん上がっていくので、回を追うごとに表現や色使いの幅が広がっていくのが本当にすごいです)
期限付きセックスパートナーという契約関係から始まった2人がそれぞれ自分自身の気持ちと人生にどう向き合うのか、相手との関係性はどう変化していくのか、そしてこれからの未来に何を願うのか…きっと2人の行く末を見届けたくなるはず。

更にα×αのエッチのすごさも言及せずにはいられない…!
これまでΩを抱いてきたカーライルが同じαのアッシュに抱かれる…という時点で興奮ものですが、セックスシーンの2人のエロさと言ったら…!アッシュの恋愛経験豊富ぶりを伺わせる巧みなリードの数々、戸惑いながら挿入される側になるカーライルのかわいさ大爆発ぶり…思わずアッシュも我を忘れそうになるというものです。体格がよく体力もあるα同士のセックスはそれはもうすごいです!!セックス中に見せるアッシュのオス顔やカーライルの泣き顔も堪らないものがあります。

心理描写を重視した切なさとときめき満載なロマンスも、激しいエロも、どちらも兼ね備えた素晴らしい作品なので、韓国BL好きはもちろん、韓国BLに馴染みの薄い方にもぜひ読んでいただけたら嬉しいです。全力でオススメします!!

Wet Sand 電子 コミック

DOYAK 

BL界の歴史に残る名作になる予感

レビュータイトルを見て未完結作品に何を早漏な…と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、連載元である韓国での人気、多言語に翻訳され世界のBLファンを唸らせ魅了していく様子を見ていると、何かしらの爪痕を残す作品になると信じたくなります。Wet Sandにはそれだけの魅力と力がある。

台湾版のキャッチコピーが「執着覇道攻×清冷美強受×年下忠犬攻」なのですが、まさにその通り!!!!上手い!!お見事!!!なワードチョイスです。
どれか一つのワードが刺さるだけでも致命傷なのに、こんな魅惑のワードで表現される魅力的な男が三人も!?…お手上げです、降参です…こんなの好きになっちゃうよ~~~!!!!!私はもうWet Sandの世界に生きる男たちに翻弄される道しかない……彼らの生き様と行く末を見届けなければならない。


清冷美強受であるシン・ヨンウ(イアン)、全てが当てはまりすぎて…なんという魔性の男...!望むと望まざるに関わらず周囲の運命を翻弄していく業を背負ったような人物です。
生い立ちの不遇さやTJとの愛とも人生とも共依存とも見えるような関係、ジョー相手だからこそ見せる、TJにもワンナイト相手にも見せてこなかっただろう穏やかさやかわいらしさ…。人間の本音や本質は表に見えている言動だけでは計れないことがよく分かる人物であり、心情の読めなさに何度やきもきさせられたことか。そしてきっとこれからもやきもきさせられるのでしょう。
イアンにとっての幸福が何かわからないまま、彼の幸福を願う日々です。


執着覇道攻、強い…!強すぎる!!なんだこのパワーワードは…!執着+覇道ってちょっと盛りすぎじゃないの…?と思った貴方!それがぴったりな男がいるんですよ!!!オ・テジュン(TJ)って言うんですけど…
ギャングの中堅幹部であるTJが少年時代から19年間人生を共にし、ベッドも共にし…愛も情も執着も後悔も、あらゆる感情を煮詰めて捧げる相手がイアン。TJのいかにもギャングらしい強面や他者を圧倒する堂々とした振る舞いの裏に見え隠れするイアンへの愛や執着、不安に気付いたらもう…でっかい赤ちゃんか!!!!!(※個人の主観です)ってなっちゃう…時折見せる愛嬌も堪らんかわいさがあります。


そして年下忠犬攻であるジョセフ・ランディ(ジョー)!ザ☆光属性の男!!言動のひとつひとつから真っ当な爽やかさ、家族や友人たちから愛されて育ってきただろうことが伺えます。
イアンが憧れる平穏な人生を体現したかのような男、ジョー。ギャングの世界にはこれまでもこれからも縁がなさそうだった青年がイアンと出会い、過去の一端を知り、それでも側にいることを望み…第1部終盤では新たな一面を見られそうな可能性を感じさせてくれ、今後の動向が楽しみです。そう、単なる光のワンコだったらTJを前にして一歩も引かずに相対するなんてできるわけがない…ジョーの可能性はこれから!
ジョーが変わるところも、逆に変わらないところも見守たい!


強烈な魅力を放つ3人の男たちが織り成すWet Sandという物語、それでは肝心のお話は?というと、DOYAK先生の巧みなストーリー展開と演出の上手さに毎回作品世界へ引き摺り込まれ心を奪われ…この作品を漫画という媒体で味わえることに感謝の念を抱かざるを得ません。
アメリカのアジアンタウンを舞台にし、且つギャングや複雑な過去も絡み…ということではじめは取っ付きにくく感じるかもしれませんが、読み進める毎に面白さが滲み出してくる作品だと思います。1話の時点では、第1部完結時にこんな展開になっているなんて予想もしなかった…きっとこの先も読者の予想を裏切り、そして期待を遥かに上回りながら、心を掴んで離さないはず。


余談になりますが、Wet Sandは単行本化もされています。(2023年7月時点では日本語版単行本なし。いつか日本語版も出版されると信じていますが、今すぐ入手しやすいのは韓国語版かな?)DOYAK先生ご自身がwebtoon作業の時点で単行本化を想定した作品作りをされているとのことで、webtoonを無理やり見開きコマ割り漫画として納めたという印象は一切ない、はじめから単行本形式で発表されたと言われても納得な素晴らしい紙面構成を見ることができます。機会があれば単行本も手に取ってみてはいかがでしょうか。