長い年月をかけて「もういいだろう」と自分でも思うほど、鳳宍作品を読んできましたが、山中ヒコさんの作品集はとどめを刺す1冊でした。
テニプリ9割、ワンピースのナミとビビが1割という構成になっております。
忍足向日コンビの昔話や宍戸と向日の補習など、
恋愛よりは、彼らの学園生活を覗き見るようなお話が多めです。
鳳と宍戸の学年が逆になってしまう「年上の人」というお話がとても切なく、
新しい鳳宍が読めて嬉々としてしまいました。
そして、巻末書き下ろしの「卒業式の夕方に」。
たった数ページの中にこんなに心臓がきゅっとしてしまうお話が描かれてしまうのだなあと感動してしまいました。
切なくて、ちょっとほほえましくて、見守っていたくなる、そんな氷帝学園がつまっています。
負けず嫌いでクソ真面目なジャックがかわいいんです!!
貴族という身分から男娼という身分に落ち、ジェラールの家で下男として雇われるジャック。
ジャックが一生懸命に働き、認められようとがんばる姿にきゅんとします。
マドレーヌのエピソードがとても好きです。
そして、そんな健気なジャックを見守りながらもからかわずにはいられないジェラール(小学生の男の子みたいですね)。
そんなふたりにほのぼのとしてしまいます。
ジェラールの過去が語られる「その高貴なる女」から2巻へ続いてしまいます。
ジェラールの過去もかなり壮絶で、「過去」として語られるだけでは勿体無いような気がしてしまいます。