本屋でこの本を手に取った時は、正直「淫魔か……設定にまるで興味がない」と思いました。
購入した理由は『年下攻めが好きだから』
ただそれだけです。年下攻めであれば好みであろうがそうでなかろうが一定の満足はするので。読めればいいんです。読めば満足なんです。
いや、本当によかった!
ここまでの評価はまばらですが、私は神評価をします。
まず、文章が好みです。くどくどしくなく、感情表現に偏らず、基本的にサラリとしている文章なのですが、これは本当に個人的な文章の好みです。押しつけがましい文章が苦手なので。
下の方も書いているように、私もキャラ設定自体はそんなに好みではありません。
しかし、それを覆すほどストーリーがとてもよかった。
まず、27歳になっても子供っぽい(特に恋愛面に関して)というのも、理由が綺麗に添えられていて納得してしまいます。受け入れてないです。ああ、だからそうなんだあ……という理解です。
涼介に関しても、彼の境遇など考えると『ああ、だからこういう性格なのね』とするっと納得が出来ます。
そのふたりのちぐはぐがとても可愛かった。
ちょっと攻めに負担をかけすぎなところもある受けですが、おまけ最後の一文で『許す』ってなったのが私でした。
最後の一文に、受けの偉大さと、きっとそれを支えたであろう攻めとの幸せが凝縮されていました。
今本屋に行っても『淫魔設定か……興味ない』と思うであろう私ですが、このご本には神評価します。
こうじま先生はおよそ10~15年くらい前にだだハマりした作家さんです。
王道BLを描く作家さんですが、その王道が私には心地いいものになります。最近王道展開をあんまり見ないからですかね。
あと、シリアスをソフトライトに描いてくださるので気軽に読み返せるのが、一時期狂ったようにハマった原因かと思われます。
!年下ワンコ攻めが好き!
なので、こうじま先生の作品ですとこれが一番好きです。中でも護さんの憂鬱はいつまでも読み返したいと思う作品です。年下攻めが好きなので。
前置きはここら辺までにしておいて、以下ソフトライトにネタバレです。
『優しいシリーズ』で見事恋に破れた鮎川恭悟くん(攻め)のお話です。『優しいだけじゃ足りなくて』の『flash』から読むことをお勧めします。すると、入院中の護さんのために恭悟が贈ったハル写真のくだりや、「傷つくことが怖い」「傷つけちゃだめだろ」という言葉が一層感慨深いものになります。
諦めることは人一倍上手で何にも夢中になれなかった恭悟が唯一夢中になれた護さん。護さんに出逢って、真剣に将来に目を向ける。護さんといると自分が変わっていく。そんな自分を気にいってると言った恭悟くんホモ輝いてる!素晴らしい!
そんな恭悟くんに振りまわされて、今度は護さんの方が傷つきたくないと思ってしまう。過去のトラウマ(?)から、護さんもやたらめったら怖がりで、失うなら最初からいらないと苦悩する姿が胸にじんときます。
それでも相手が欲しいと思い手を伸ばしたのが、駄犬と見せかけて芯から忠犬な恭悟くんでよかったです。護さんの(無意識の)調教のたまものです(笑)
ちょういいハピエンでした!
たまに王道に帰りたい年下攻め好きさんにお勧めです!
今でも大好きな作品です。