琥狗ハヤテさん、もとは朱鱶マサムネという筆名で「ネリヤカナヤ」という水滸伝の独自解釈コミックを出していた方だったんですねぇ…。
それがさらに発展したのが「メテオラ」、世界観をBLモードにしたのがこの「剣と霧」という感じでしょうか。それにしても琥狗ハヤテの世界観ってありきたりなようでそうでもない、すごーーく独特さがあって好きです。
この本のベースにあるのは、ほぼまちがいなく「武侠小説」というジャンルじゃないかな。あまり日本人にはなじみがないかもしれませんが、中国語圏の大衆小説ジャンルに「武侠小説」というのがあります。
日本風にいえば池波正太郎なんかの時代小説や中里介山の剣士モノに近いか。
超人的な強さを誇るワケありな剣士がほうぼうを彷徨う、ってな感じの大衆小説です。そうした天涯孤独な無頼の徒たちが彷徨う世界を俗に「江湖」というんだけど、このコミックの登場人物はまさにそうした江湖の民といった風です。うんうん、いいねいいね♪
成り行き上、相手を助けてそこからなんとなく腐れ縁っぽくなってしまうアバウトな展開も、いかにも武侠小説な感じです。
武侠小説って「努力・友情・勝利」ならぬ、「義侠心・友情・勝利」を軸にすすんでいくパターンがありがちではあるんですが、そのプロセスでしばしば暑苦しい「男同士の友情」がキモになってたりするので、それをちとズラしてBL化しちゃうっていうのは、いままで想像もつかなかったけれども考えてみたらアリです…思わぬ盲点を突かれた感じです。
第一巻の感触としては、「あくまでツカミです」。
武侠ストーリーとしては「いわく」や「因縁」要素がちょっと物足りないし、妖刀っぽい剣の力がまだそれほどあらわされてはいない…。かといってBLとしてはサッパリしすぎているので、これから本題に入るんでしょう(と期待)。つか、第二巻もうすぐ発売ですが、電子版と同時発売にしてくれると超うれしいです。リブレさんならやってくれそうです♡と期待しておく。
武侠小説で男女のパートナーや師弟関係にある者同志が恋愛に発展、みたいなのはよくありがちですが、お互い一匹狼のライバル同志が恋愛関係につっこむってかなり斬新なパターンなんで密か~~に楽しみです。
PS:ジエンってどういう字書くんだろ???ウーは「呉」か???とぐるんぐるん考えていたが、さっき気が付きました!!!
中国語読みすると剣は「ジェン」、霧は「ウー」と読めますね…。なぁんだ!
金持ち一族をとりまく陰謀と、複雑な人間関係…っていうのは、ハーレクインロマンスでもありがち~な感じです。
父の死により、突然、製薬会社の社長となった彰斗。
彼をささえるのは、幼馴染でもある社長秘書の相馬。
ある種の執事モノに似た雰囲気があり、執事モノのように甘さ一辺倒ではないところに好感が持てます。
彰斗が奮闘している姿も健気でいい。
しかーし! ドロドロな人間関係が噴出するという設定なら
もうちょっと利害関係と感情に説得力が欲しい…。
自分から見たら、この作品上の「復讐」はどう考えても逆恨みとしか思えないし、
復讐の仕方も、妙に生ぬるい。
追い打ちをかけるように、せっかく途中までちょっとした経済ドラマ的な雰囲気でスリリングだったのに、チャチくさい株式のバイアウト話でサーッと冷めた…。
*バイアウト=株式の公開買い付け、かつて、ホリ〇モンがこれで大手テレビ局を買収しようとして盛大に失敗、どう考えても陰謀としか思えない手口で入獄した。
えーとですねぇ…社長秘書が個人名義でせっせと株式を買って、持ち分比率が3%になったとかって、それ、企業コンプラ的に問題ですってw
さらに、それが持ち株比率3割になるまで黙ってたとか…。
数億円単位で株式公開買い付け…いや、それセコいですってw
バイアウトするんだったら、嘘でもいいから300億とかさ、ファンタジックな額にしてほしい(笑) 東証二部でも数億円のキャッシュで個人がバイアウト…まぁありえんでしょうね。んなこといったら、地方の小金持ちでも企業買収ガンガンやれますわな。
嘘書くなとは言わない。BLはあくまでファンタジー。だが、ツッコミどころは多々あれど、そういうのが気にならない設定なり、セリフまわしにしてほしいなと。
庶民的といえばそうなんだが、セレブものに所帯じみた観念は捨ててほしかった。
中学生のときって、案外、簡単に人を好きになったりするもんです。
いわゆる「中二病」ですね。
同性か異性か関係なく、誰かに惚れたり憧れたりします。
そこからまかり間違って、ちょっとアヤシイ関係になっちゃったりすることも…まぁある。
そんなほろ苦さ、青春の1ページとしてフツーは終わってしまうんだが、
斉藤と鈴木にとってはどうなんだろう?
何年もたって再会したら、また二人の関係が続くのか???
ものすごく想像を掻きたてられる終わり方。
ほかの作品もあわせてみると、「青春」って、終わりがないから青春なんだろうなと実感します。
”ACID TOWN"のような、ヒリつく人間関係ではないぶん、癒される。
いや、設定はいいんだよ設定は!
軍服モノだし、GHQの将校と日本人の華族なんてカップリング、ちょっと変化球でイケている!
支配する者される者とのねじれた関係かと思いきや、
案外、「美しいおもひで」が根底にあったあたりも、ちょっとした意外性があっていい
うーん、ソープオペラ的展開は結城センセイの通常運転だからいいとして(そういうのにカタルシスを感じる層も確実にいます)、ほぇぇ!? と困ったところでひっかかりまくりだったのであります。
トリビアの詰め込み方に関しては割に安定感がある結城センセイ、
戦争直後の事情はいつも通り、ちゃんとリサーチかけてる形跡があるんだが、
いくら華族だからって「プロバンス風スープにサーモンのムニエル」を作るのはありえません。どうもそういう校正のまずさが目立つ作品です。
それさえなければ、それなりに面白いとは思うんだが、時代モノで考証がうまくいってないって自分的には一番ガックリくるパターンです。
守備範囲の非常に広い短編集。
が、ほかのアンソロ作品とかなりカブっていたりもするので、購入するのであれば、内容詳細とよくつきあわせてバラ買いすることをおすすめします。もっと言うと、作者さんのHPに飛んでDigiket.comか、安価なDLサイト+海外のサイトで検索かけて英語版なりスペイン語版をDLしたほうがよろしいかと。
kindleをはじめ、メジャーな電子書籍サイトは修正がひどすぎます。
また、アンソロジーとしての一貫性はありません。
収録作品と、自分的評価(★★★おススメ!★★まぁまぁ ★うーん…)
someday in the rain ★★
ECONOMICAL SUMMONER ★★★
最後の三月 ★★
キミのカタチ 安藤君 ★★
キミのカタチ あの街 ★★
キミのカタチ 午睡 ★★
キミのカタチ 血の味 ★★
キミのカタチ キミのカタチ ★
灰色の街、陽の当たる場所 ★★★
CHANGE OVER ★
純情インモラル(1)の表題作がとてもさわやかだったので、
チャラめの大人とウブな子の続編かと思いきや…
つくも号の同人誌アンソロジーだった件 orz
これだったら、ご本人のページに飛んで、そこからチマチマDLしたほうがいいと思う。
しかもけっこう前のコピー誌発表だったのも混じっている…。
切ないというより痛いのが多い。
それでもつくもワールドまんまで切ないっちゃ切ないんですが。
このテのダークな読み切りストーリーってやおい期によくありがちだった気がする。とくに「楔~」なんて、あれ? およそ20数年前のBLコミック誌でおんなじよーな展開のを見たおぼえあるぞ~…。
ストーリーの展開や組みたて方はやはりエロエロでも切ない系でも、
やっぱり最近のつくもさんのほうが好きですねえ。
【参考までに収録作の詳細】
まだ、たゆたう水は(2009年12月30日 冬コミ出品)
楔、あるいは解放の扉(2010年11月)
きっと、聞こえない(2011年コピー本)
表題作に加え、少し前の作品「そう言って君は笑う」も収録されています。
つくも号初心者の方にオススメ&お買い得の一冊です。
ハメ撮りAVを売って生活していた男が、普通の女を撮ることに飽きて、
たまたま通りがかった少年でショタものを作ろうとする。
釣れた男の子はちょっとエッチなことに興味はあるけれども、ものすごいウブ。
オジサン、男の子のウブさと新鮮さにだんだんハマっちゃいます。
エンディングはとってもカワイイ。
文字通りインモラルなんだけど、応援したくなるような二人です。
「そう言って君は笑う」は、さらにあやうさを秘めていて、
クラスメートと教師のエッチを目撃してしまったことの顛末。
強烈なエロスの裏に、切ない純情が見え隠れします。
ラストの1文が気になる。
こういうのって例の都条例的にはヒジョーにマズいんでしょうが
こういう良作を見ると、ホントに「都条例、ほっといてくれ!!!!」と言いたい。
かなりのボカシが入っているので、性的にコーフンするような代物かどうか。
性的なコーフンとやらよりも、ちょっとした仕草や視線に萌えます。
イタリアンマフィアと日本のヤクザ御曹司のカップルって、ちょっと珍しい?
設定的にはそう悪くないし、脇役に好感が持てます。
がっ! 結城センセー…やっぱり外国人の書き方と、記憶喪失設定があんまり得意ではないようです。
そこはスルーできるとして。
やはり、こういうビミョーな作品(悪くはない、がもうちょっとパンチほしい)についてはイラストレーションがものすごくモノを言うなぁと思うわけで。
イラストの間延びした感じがなければもう少し魅力的な作品になったような気はします。
たとえば、イタリアンマフィアの若きドンと、女性っぽくない男らしさのある受け、という組み合わせだと「花嫁飼育」(眉山さくら)なんて、けっこうなインパクトある作品だったと思うんですが、あれはイラストの魅力がかなり加担していたかなと。
着目点は面白いし、サスペンス的な要素もそれなりに楽しめますが、キャラクターの魅力が出しきれていない、ここが惜しいポイントですね。
ウーーーーン…。兄弟とか義兄弟モノは料理の仕方次第で萌えゾーンストライクになるか、意味不明になるかが決まるジャンルだと知りました。
かなりベタな展開…いや、もはやベタベタすぎてとってつけたような展開…。
しばらく見ない間に男っぽくなった弟にドキドキ?
で、その弟が実は、実の弟ではなかった!
逆上する弟!
しかし、直後に記憶喪失になる!
ウーーーーーン…ベタベタですなぁ。
そもそもですよ。血がつながってるとかつながってないとかっていう事実を知っただけで逆上するっていうのがようわからん。
逆上するよりも先に、誰にも言えない疎外感にさいなまれたり、いっぽうでそれまで育ててくれた養父母への感謝、こっちのほうがはるかに強いと思うんだがね。
オレ自身、母親の連れ子で、血のつながっていない人だらけの中で育ったゆえにそう思うのかもしれないけどさー、弟の言動は大人の男にも思えないし、そんな男が魅力的であろうはずがない。
しかも、物語の展開がすすむにつれ、「あれ? この弟、記憶喪失だった…と思うけど」って読み返すぐらい、記憶喪失である状態がわからない。
そもそも、記憶喪失がストーリーのブレイクポイントにまーるでなってない…。
義兄弟モノでこれほど萌えない作品ていうのも珍しい…。
そういうところは、木原音瀬「COLD」シリーズのような説得力が欲しいですねー。
ついに完結編です。
「2」で、いろいろ禁断てんこもりな展開になりまして、
ついに怒涛の完結編。
まずは出会いの回顧からはじまるんですが、さすがつくも号、ショタの大御所だけあります。
なぜショタにハマっていくのかわかるような気がします。
うーん、ショタというよりはもはや子猫とか仔犬の領域です。
かわゆすぎてヤバいです。
つくも号の方程式からいったら、これ、わかっちゃいるんですけど
あまりに気持ちがなまなましすぎて切ないです、ハイ。小学校高学年~中学生ぐらいの、
二次性徴期での出会いや別れとかって非常に切ない。
注目は最後のほうのページです。
「写真集」が出てきますが、それ、vol.1の表紙につながっているんです。
vol.1からvol.3まで、なんだか永遠にループしていく暗示みたいで、それがまた切ない。
合くんはこれからどうなっていくんでしょうか。
新しい恋人を発掘するのでしょうか。
それとも、倉田さんを探し当てるのでしょうか。
もしかしたら、よりを戻すのかもしれないし、すっかりオッサンと化した倉田さんに幻滅するかもしれない。
あるいは、生活そのものが合わないかもしれない。
その後の物語は読者が作るものだということですね。