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力強い物語

王子様とのラブストーリーというのは世界共通で夢中にさせるものだと思うのですが、この作品、それだけで語るには勿体ないほどの面白さに溢れてます。

主役のふたりは米国大統領の息子と英国王子。

王室のないアメリカでは、大統領一家は衆目を集める存在。ましてやそれが20代になったばかりの見目好い青年となったら知名度はもう王子様級。

アレックスもまさにアメリカの王子様的な存在として姉ジューンと副大統領の孫ノーラと合わせて人気の「ホワイトハウス3人組」として政権側もがっちり世間にアピールしています(先日の選挙戦見てても思いますが、この辺が実にアメリカらしい。)

顔よし頭よし性格よしで一見派手なアレックスですが、裏では徹夜を重ねて大学で最優等の成績を取り、両親(大統領の母、上院議員の父。因みに離婚済。)同様政治家を目指す野心家でもあります。

そんな彼が苦手なのが英国のヘンリー王子。高名な映画俳優(元007役で有名)と才媛の王女の間に生まれた、こちらも容姿と賢さに恵まれた文字通り完璧な王子様。

初対面でヘンリーが発した一言により2人の間にはわだかまりがありまして、これが元でヘンリーの兄王子の結婚式で大醜態を晒してしまうのです。

このままでは米英関係の危機、間近に迫る大統領選にも影響が……!という訳で、やむを得ず世界に向けて「2人は友達です」アピールをすることに。
でもこれを機に2人は互いを理解していき、彼等の悩みや不完全さが徐々に出てきます。

アレックスは大統領の息子ではありますが父がメキシコ系のため、蔑まれることも多く、それを乗り越えるために余計に努力を重ねていました。(昨今のBLM問題と言い、かの国の人種差別問題は根が深いですね)

ヘンリーは父の急逝以降、母が悲しみから立ち直れずに引きこもり、更に祖母(女王)と兄から王族として自身の性向を隠すよう圧力をかけられ続け、それを隠すために完璧な王子を演じてきました。

そんな2人が打ち解けていく中、電話やメールで繰り広げる遣り取りが本当に可愛い。

ハリポタやスターウォーズ等現代カルチャーてんこ盛りでクスリと笑いながら読んでいけるのですが、2人が本気になるほど、バレたら……という危機、焦燥感は高くなる。タブロイドにすっぱ抜かれ偽装したり、朝3時から対策会議……泣きそうになります。
それでも2人の気持ち、そして周囲の人々の助けが、色々な事を動かして、ハッピーエンディングへ動いてゆきます。

本当に出てくる人達が魅力的で。
まずはアレックス(米国)サイド。ジャーナリスト志望で弟を見守る姉のジューンに分析の鬼で容赦ないアドバイスをする悪友のノーラ。カミングアウトした息子にパワーポイントで問題点を指摘する現職大統領の母エレンに、愛する事について素敵なアドバイスをくれる父オスカー。母の側近で口は悪いが超有能な次席補佐官のザハラ、そして家族ぐるみの友人で独立系の議員、カミングアウト済のラファエル……と人種も性別も異なる(若干メキシコ系強めですが)人々がてんこ盛り。

さらにヘンリー(英国)サイド、薬物中毒から更生した過去を持ち、弟の幸せを願う姉のビアトリスと対照的に保守的な態度で臨む兄のフィリップ、引きこもりな母キャサリン、有能な侍従のシャーン(インド系)にパブリックスクール以来の個性的な友人ペズ(アフリカ、ナイジェリア人)……とこちらも濃い顔ぶれ。彼らから見た2人の様子とかスピンオフが見たくなります。

基本は2人の関係の紆余曲折が勿論メインなのですが、アメリカという国、各種SNSがひしめき合うこの世界の中でどう生きるかという所まで思いを馳せてしまう、BL的ロマンスだけどそこから更に物事を見る事を教えてくれる力強い物語です。