ネットの広告を見て、気になりすぎて、実際の本を買ってしまったシリーズ……って別に他に何があるって覚えているわけではないのですが。
未だに、電子書籍をどこで揃えるか決めてないんですよね。電子書籍が大人の事情で読めなくなってしまうところを何度か見たことがあるので、未だに紙の本が好きです。(目に見える物しか信用できない古いオタク……)
まあ、それはさておき、本屋の店頭に続きがおいてあったので、購入しました。
話は全巻で想いが通じ合った二人のその後の話。
まあ、付き合った二人のその後なんて、価値観の違いでもめるか、当て馬が出てきて引っ掻き回されるか、の二択だと思うんですが、こちらは後者でした。
出てきましたよ! 当て馬!!
でも、当て馬くん、女装あり(ついでに主人公も女装させてくれる)、意地悪キャラなので、かなりおいしいのではないのでしょうか? スピンオフとかで描いたら人気が出そうな感じ……
また、えちえちなシーンも濃い目で、この話のよさは失われてないなあ……と思いました。
濃い目のBLが好きな方に、オススメします。
高山は、父親を早くに亡くし、一家の大黒柱として働く母親の代わりに、家事の一切合切を引き受けている。
会社も定時で帰り、弟たちの弁当を作るも、反抗期の弟は高山に対して反発してばかりだし、双子の妹たちは自分たちだけの世界を作り上げて高山とは口を効こうともしない。
そんな中、唯一の癒しが、会社からの帰り道にある喫茶店でコーヒーを飲むこと。
その喫茶店で、ちょっとしたトラブルから有能そうなスーツ姿の男・瀬崎と知り合う。
少しずつ距離の縮まっていく二人だが、高山の母親が再婚することになり、会社でも新しい従業員が入ることになり、高山が退職をほのめかされることになり、不安定な心の内を瀬崎にさらしてしまい……
という話でした。
大人の余裕のある瀬崎と、自分のことは二の次にしてきた高山の恋愛話なんですが、高山の家族に対する気持ちのところもこの物語では、大事なポイントになっていて、そこで翻弄されてしまう高山を瀬崎がきちんと支える……という、大人の包容力を感じる話でした。
ただ、恋愛を読みたい人にはちょっと物足りないかもしれません。
私の大好きな「毎日晴天!」シリーズ。
読み始めた時は、こんなに続いて、登場人物が、私の家族のようになるとは思いませんでした。
(もちろん、年上だったはずのキャラが年下になっている現象は、私の身にも等しく起こってはいます)
今回は「番外編」ということで短編集。
キャラがきちんと立っていると、こういう短編が作れるから、本当にいいですよね!
短編のいいところは、キャラの本編では知らない姿が知れたり、普段メインに立つことがないキャラクターにフォーカスを当てられることだと思うんですよ!
この本もそんな作りになっていて。
一冊の本にするほどではないけれど……という登場人物の日々の悩みだとか、実は一番のモテ男は誰なのか、という話であったりが盛り込まれていて、どんどん登場人物たちに親近感が湧く構造になっています。
これまでのシリーズを読んでいる人たちにはぜひ、読んでもらいたい本です!
これだけだと、ちょっと関係性がわからなくて「?」ってなるかもしれませんが、ドタバタ+クスッと笑いが湧く感じがお好きな方はいいかもしれません!
私はこの本が出てくれて、とても嬉しいです。
友人のいる神社を訪ねて、白狐の像に封じ込められていた妖しの封印を解いてしまった彫物師の秀誠。
紺と名乗るその妖しは、秀誠を三百年前に自分を像に封じた男の生まれ変わりだと言い、一途なほどの思いを寄せてくる。
紺のひたむきさに知らず知らずのうちに心惹かれていくけれども、惹かれれば惹かれるほど、三百年前の秀誠に嫉妬をする――
という話でした。
人×妖し のお話が2カップル分、入っています。
妖しなので、「いつ力が暴走するかわからない」し、「ほとんどの人には見えない」という状況の中で、本当に妖しと一緒に生きるのか……という愛を試されている状況ですが、それでもまあ、好きならいいんじゃないかな……というファンタジーBL。ラブラブものです。
後、ちょっと生まれ変わり要素も入っているのですが、生まれ変わっているはずの本人がそれを認めてなくて、過去に嫉妬するっていうのもなかなかに面白い要素かなと思います。
妖しもの大丈夫な人にはオススメします。
でも、根本的には人も妖しもあんまり変わらないんじゃないかな、と思います。
堂島暁は実力派俳優として有名な32歳。
しかし、プライベートには難ありで、撮られることもしょっちゅう……という生活を送っていた。
そんな中、マネージャーが変わることになり、新たにやってきたのは、事務所の社長の息子でもある飯塚裕慈だった。
幼馴染みでもある裕慈と、過去にけんかをしたまま会っていない暁は、何としてでも、マネージャーから外してもらおうとするも、裕慈は、スケジュール管理も完璧、家事も完璧、おまけに元SPでボディガードもできる、と隙が無い――
という話でした。
簡単に言うと、幼馴染みだった二人が、再開して恋愛関係になる話、だったんですが……
この作者さんは、無駄な文章なく、やわらかく、二人の関係を表現するのが本当にうまくなったなあ……という印象です。
なんだろう、最初のころに書かれたものを読んだ時には、もうちょっと騒がしい文章を書くイメージがあったんですけど、最近はそんなことなく、好きでジタバタしてしまう登場人物の気持ちをきれいに表現されていて、本当にいいなあ……と思います。
こちらもそんな本です。
二人の関係がメインで、あまり外部の要素はありませんが、一途なボディガード×華やかな人気俳優のカップルがお好きな方にはオススメします。
高橋慎一は、浮気癖のある男との別れ話がこじれ、たまたま居合わせた男に「恋人のフリ」をしてもらうことになった。
見た目も行動も好みだったその男に、そのまま誘いをかけられ体の関係を持ってしまったが、実はその男が、年下のはとこの義崇であることが判明する。
意外と硬派である慎一は、親戚との関係を持つなんて、まっぴらごめんだ、と思うけれど、関係を持った一夜が忘れられず……
という話でした。
なんというか、ただひたすらに義崇がやばい。
こういう攻めに「好きだ」って言われてオチない人間はいないだろう……という男に仕上がっていて、慎一に対しては「ご愁傷さまです」と言いようが……と思ったりもするんですが、結果、幸せだから、まあ仕方がないか、という感じですが……
ぜひ、攻めの義崇の執念深さとエロさに震え上がっていただけるといいかな、と思います。
イケメン執着系の攻め様がお好きな方にオススメします。
「アオゾラのキモチ」「オンレジのココロ」に続く、大人なカップルの話。
メインは、朗の叔父である相馬昭生と弁護士の伊勢逸見。
二人は、高校の時にカップルになって以来、つかずはなれずの距離で恋人とは呼べない関係を続けてきた。
そんな中、昭生の過去のいざこざから、朗が巻き込まれる事件が起こり、改めて、伊勢との関係も含め、自分の過去に向き合わされることになる。
という話でした。
続き物なので、前までの巻の話をきちんと知っておかないと、朗に何が起こったのか、志鶴に何が起こったのか、というあたりが全然わからず、読むことをオススメします。
読んでいて思ったのですが、昭生が一番、成長できておらず、精神年齢も低いんじゃないかと思ってしまう……
まあ、トラウマを抱えた大人は、実は一番過去に引きずられやすいのだということがよくわかる話ではありました。
こういう痛みは、共感ができるからちょっと辛いですよね。ここまでこじれることはないですが……
なんにせよ、こじれにこじれてこじらせまくった関係を、二人がどう修復するかの話でした。
満開の桜の花の下で、階段から落ちるところを救ってもらったフユは、その瞬間、その強面の男・鴻巣に一目惚れしてしまった。
翌日、「お礼をしたい」と申し出ると、彼は顔に似合わず、ケーキ屋さんのパティシエだった。
出してくれたケーキはとてもおいしかったけれど、強面が災いしてお店に客が寄り付かないらしい。
フユはこの美味しいケーキがなくなってしまうことを残念に思い、「何か力になれないか?」と申し出る。
そして、客寄せも含めて、バイトをすることになったのだが……
という話でした。
実はフユには両親はいなくて、兄が大事に大事に育ててきた子。
でも、フユはその関係にちょっとずつ違和感を覚えていたところ。
そんなフユが恋愛を通して、ちょっとした反抗期を迎える……というちょっとしたフユの成長物語も込み。
フユと鴻巣の恋愛も素敵なんですが、子供ってこうやって知らぬ間に大きくなっていくんだなあ……って思ってしまって、お兄様の悲哀もなかなかに感慨深かったです。
こういう恋愛以外の要素がきれいに描欠けているBLってとても好きです。
そういうわけで、ちょっとだけ高評価。
やわらかいピュアな恋愛話を読みたい方にオススメします。
大学院生・陽二は実は超お金持ち。
しかしながら、有能な執事・牧野に守られ、大学では奨学金を借り、バイトをしている貧乏な学生で通っている。
そんな中、陽二が指輪を盗んだ犯人されるという事件が起こる。
普段なら、真っ先に牧野に相談する陽二だったが……?
という話でした。
牧野にすっかりメロメロな陽二ですが、牧野も牧野で「陽二を誰にも渡したくない」と思っている。
しかしながら、ねじ曲がった愛情で、いじめられた時の陽二の反応が好きで、なかなか陽二の思いに応えてあげようとはしないへそ曲がり。
体はすっかり開発しているくせに、本当に意地が悪い。
そんな二人の話。
完全に、牧野優位で、陽二はしっぽを振っているだけなので、嫌な感じはないです。
かわいそうな描写もないですしね。
受けを掌の上で踊らせる攻めの話が好きな方にオススメします。
ワーカホリックに陥り、前職場で体調を崩してしまった直が転職したのは、同じ出版社でも全然、毛色の違うエンタメ系出版社だった。
転職早々、社内イベントの運営委員長に選ばれる。
なかなか社内のノリについていけなかった直は、不安を覚えるけれども、副委員長についてくれた渡会に励まされ、新たな自分を発見し、成長していく……
という話でした。
本を開いた最初の感想は「字が大きい……」でした。
それもあってか、とても読みやすい本でした。
読みやすさには、テンポがいいというのもあるかと思います。一度読み始めると、どんどん物語が進んでいき、直もどんどん変わっていくので、退屈はしませんでした。
ただ、どんどん進んでいきすぎて、やや情緒というものに欠けていて、丁寧に描いたらそれはそれで面白いんだろうな……と思わなくもないですが、タイトルが「会社は踊る」なので、こういう湿っぽくないのもいいかな、と思いました。