前作が好きすぎて漫画になるかわからなくても、漫画になるのを待っていたお話です。
今回は佐知の所作挙動、ところどころが女性でもしないオンナっぽさで、びっくりがっかりしました。
前作の漫画ではしなやかな佐知を感じましたが、なぜか今作はオンナくさい。
賢吾へ御酌をする姿や史をお風呂へ誘う姿など、小説を読んでなくても「そうじゃないだろ」と思いました。
佐知の居住まいが、一事が万事「内股」なのが、どうなのかと。
その後、佐知の男気あふれる場面もあるのですが、さんざんな内股だったせいか対比にもならないと思いました。
あとがきで「吾郎さんのキャラデザをもっとお若めに」とありましたが、そういうことでもないです。
とはいえ、私は子育てBLが大好きだし、土台は『東京バンドワゴン』のような行く先が面白いお話でした。
次作がやっぱりまた待ち遠しい。ぜひまた漫画で拝見できたらありがたいです。
主人公のトオル君は家庭教師の岸騎士(キシキシ)が自分のお部屋に来る時に必ず「(ドアは)開いてるよ!」って言います。
トオル君はヤンキーだし学校の成績は良くない子なのですが、このやりとりだけで素直な子いい子だって分かります。
家庭教師のキシキシは良いところのお坊ちゃまで見目麗しく、トオル君が思う通りトイレでは蜜やお花を出していそうな男性です。
この二人が繰り広げる勉強中のやり取りがかわいらしくってかわいらしくって……!!!
高校生男子の恥じらいやちょっとした上目遣い、叱られるのを待ってる仕草、半べそかいている顔、トキメキ顔や大泣きしている顔。
奥嶋ひろまささんしか描けない男の子の表情が私は大好きです。
『赤松セブン』もそうですが、奥嶋ひろまささんは登場人物を全部チャーミングにしか描けない魔法をかけられている方だと思います。
また、何度読んでも読み終わった後にお仕着せではなく、自然に元気をもらえるし、自分も何かやりたいなって思わせてもらえます。
『頂き!成り上がり飯』の子たちもちょこちょこ出てきます。
笑うし泣けるし、本当に損はないのでぜひ読んでほしいです。
そして私は続編が非常に読みたいです。
おげれつたなかさんの作品はいつもどこかしらに後ろ暗いようなひずみがあって、今回は劣等感でした。
人とのコミュニケーションがうまく取れない要は、三咲と話をして楽しいし笑顔はかわいらしいし、また同じ道を行く人として、切磋琢磨できる、一緒にいたい相手だと思ったのだと思います。
しかしながら、三咲は要の才能に屈服してしまっているので、ひずみが生まれてしまいます。
三咲はいくら頑張っても要に追いつけないし、そんな相手からいくら自分が好ましく思われていても思われているこそ、ああああああ!おえーーー!!というのが、こちらの作品の醍醐味でした。
三咲。人として、一所懸命なとてもいい子です。そして要は三咲にとっては残酷ですがそれが素だし、要は要で一所懸命です。
私は中盤から、二人それぞれの気持ちが切なくて、もどかしくて、ずっと涙しながら読みました。
■私がグっときたところ(ほかにもたくさんある中の抜粋)
・要の「…………ほら」
・見開きの距離を表す場面
・終わりの方で三咲がゲームをやってるところ
・むぁ…
■どなたかに教えていただきたいところ
・私はAmazon Kindleで購入して拝読しましたが、「むぁ…」ひとつ前のコマの股間は皮余りな状態なのでしょうか?
Kindleだとすべて白抜きなのですが、形状からして、余ってる感じがしました。
独断と偏見ですが私の実感として、光るものがある、ひたむきで素直な男性は余っている人が多いと思います。
読み終わると不思議なことに自分の心もリフレッシュできる、稀有なお話だと思いました。
良いものを堪能できました!