これは高校生モノの美味しい部分をギュっとつめこんだような作品です。
楽天的おバカ男子・草壁(くさかべ) X 繊細系インテリメガネ男子・佐条(さじょう)(人物描写は「帯」より抜粋。笑)の恋のはじまりとそれからを、丁寧に丁寧に描いていきます。
ささいなきっかけから相手を意識し、大切に思い、見つめあい、そしてふと触れたくなってみる。
そんな恋する少年たちの姿を、放課後の教室、帰り道の公園、雨の高架下、そんなありふれた日常の中に物語ってみせる。
特別にドラマティックな展開がある訳でもなく、ただ淡々と過ぎていく時間の中で、相手を思う気持ちが募っていく様が初々しくて、つい頬が弛んでしまいます。
まったく異なるタイプの草壁と佐条がどうして魅かれあうようになるのか。
妙に納得させる軽妙な台詞回しとギャグのバランスが、とてもお上手です。
絵柄が個性的なのでとっかかりづらいかもしれませんが、読み始めてみれば、あっと言う間に惹きこまれてしまうことを保証します。
ワキの原先生もいい味出してますよ。