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女性renachiさん

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閻魔のすんごい依怙贔屓?

間違えて地獄に来ちゃったり、監視のために閻魔見習いが派遣されたり色々あるが、設定はゆるゆる。黒猫のロクが桔平と再会し、人間化して一か月の予定で同居生活するお話。見た目は大学生、中身は子供、なキャラがちょっと苦手だった。

十九年前の出会いから、ロクが桔平を特別に想うようになり、桔平を助けるために命を落とすことになった過去がとても良かった。人間化したロクはその頃から変わっておらず、再会後も桔平のために全力で走り回っていた。

素直でポジティブな姿勢は応援したくなるし、モノを知らなすぎるのは猫だから仕方ないと分かる。ただ見た目は大学生なので、あまりに幼稚な言動は耐え難い。ドヤ顔で決めゼリフは恥ずかしい。これが子供か猫の姿なら可愛いのに。

最後のオチは、つまりは閻魔様がロクを超えこひいきして取り計らったってこと?と笑った。一人(一匹?)をそんなに気に掛けるって、ロクに一目惚れでもしたのかってくらい厚遇してる。地獄のお仕事自由過ぎでは。

結果的には猫耳シッポが残ったロクと獣医の桔平でハッピーエンド。桔平のキャラは好きだった。

設定が面白かった。

製作に関わったゲーム世界に転生しちゃった、ってお話。死ぬ運命のキャラに転生した主人公が、自力で生きようとするのでなく、視えない力に生かされる形。ソースコードが頭に流れ込んでくる設定が面白かった。

主人公のレビンは、きっかけは誘拐のようなものだったが、敵側の地で初めて自分の可能性に気付く。自身の持つ能力を存分に活かせる環境に置かれ、必要とされる喜びを知り、次第に卑屈さが薄れていくようで微笑ましい。

ただ、いろんな場面で違うとか誤解とか言っていたその内容は気持ちの問題で、行動と結果を見れば何も違わないのに言い訳する姿は子供っぽい。そんなレビンに寄り添って進むのは違和感があった。

人質でありながら魔物たちと和気あいあいな様子は、読みやすくて良かった。情に流されず、自分の居場所を自分で選べたのも良かった。

セトは背景事情が辛すぎる。でも深刻なはずのセトの過去話も、暗くなりすぎずに語られる感じで、さらっと読めた。ツンデレで、こっそり魔物にお菓子を仕込んでいたエピソードが、想像するとちょっと笑えてとても好き。

ストーリーは、エロに持ち込む流れとそこにこだわる理由付けが強引に感じた。どうしてもエロ有りBLにしたい気配がすごくて大変だな、と思わされる。コトの解決は平和的な理想論のようだが、作品の雰囲気には合っていたのかな。

くっついてからのセトは、大人げない嫉妬を隠さなくなっていて笑った。途中からはセトが悲劇のヒロインのようで、そこからぐっと引き込まれた気がする。好みの設定が盛り盛りで嬉しい作品だった。

聖女主人公で読んでみたいお話

聖女召喚に巻き込まれる系異世界ファンタジー。能力もなく平凡なままなのは良いが、そもそもの姿勢が他力本願な主人公で、良いところは全部相手役と聖女が持って行き、事態の収束中は空気。全編聖女視点で読むと面白そうだと思った。

悠真は異世界に飛ばされ流されるままにダラダラし、知識を入れることもなく、気の向くままに好きなことだけして過ごしている。ムカつけば言い返し、悪事はアルフレッドに言いつけて、物理で来られると助けを求める。正直どこに魅力があるのか分からない。

やたらと相手の倫理観を問うようなことを言ってたが、その国の価値観を勉強したわけでもなく、自身の感覚を絶対だと思っている言い様で、傲慢貴族と変わらない印象。批判にバリエーションがなく、毎回同じ内容なのも残念。

あと悠真は自分の世界基準で語り、アルフレッドは悠真の世界を知らないはずなのに、悠真の世界を基準にこちらの世界はこう、と話していて違和感があった。
他に表現の違和感も多く、大事なところで変な瞬きの音が入って何度も萎えた。

悠真が行動したことといえば、アルフレッドから逃げ出したことくらい。誤解による傷心であったとしても、今まで何度も迷惑かも迷惑かもと繰り返していたのに、捜索隊なんて大迷惑をかけて気にするのが自分のことばかりなのに驚いた。

くっつくまでのお膳立ては聖女が好きなように行い、悠真は最初から最後まで二人に守られていただけ。積極的に動く聖女視点なら楽しめたかもしれないと思った。

少しくらい裏切ってくれても

大変な使命を背負った主人公ではあるが、BL中心のストーリー展開なので、あまあまシーンが長く残酷な場面もないので安心して読める。序盤で正体不明の男と策略のオチまで見えるので、少しくらい裏切って欲しかったかな。

イオは大国に嫁ぐ妹を守り、相手の王を討つために護衛役で入国した騎士。異母兄は無能ゆえに操りやすく国王にされ、イオは優秀なので邪魔者扱い、というキャラ付けをしたいんだろうが、心理描写や言動からイオに思慮深さは感じなかった。

身内に騙されているであろうことは、あまりに分かりやすい描写。にもかかわらず気付かず疑わず、裏取りもせず身内を信じて刺し違える覚悟で向かうイオ。同じく利用されている妹を何度も聡明聡明というのは滑稽だった。

謎の男アレクは常に余裕綽々。自分の仕事をきっちり進めながら、イオを落としていく。薔薇園の風景描写は、挿絵含めキラキラしていてとても好き。
正体はそれしかない感じなのに終盤まで引っ張るので、何か意表を突いてくれるのかと期待してしまった。結果は登場時の予想通り。

正体が分かってもアレクに剣を向けるイオは、自分が知るアレクと今まで吹き込まれてきたアレクの人となりを脳内で比較することもなく、ただ使命を全うしようとする。アレクはそんな(あほな)イオが可愛いのかな。

イオ側の国の策略の顛末は、手紙一通で終了して驚いた。なんだかアレクの一人勝ちな印象が残るお話。イオのキャラと背負う使命が合っていないというか、呑気なイオには向かない任務なのがなんとも。

逆に言えば、暗殺なんて物騒な単語が出てくるにも関わらず、緊迫感はなくほのぼのしていて、BL重視で読める。王に嫁ぐ華やかさを楽しめて良いのかもしれない。
表紙が神超え評価付けたいくらいに、めちゃくちゃ好き。

ほのぼのわんわんファンタジー

ほのぼのするお話だった。犬と会話するファンタジー。傷付いた主人を想う飼い犬が、主人公に助けを求める救済もの。三匹の犬の可愛さがとても良かった。

ひかるは犬を助けるために事故に遭ったことがきっかけで、犬と話せるようになった動物看護師。二匹の犬を連れて病院に通う小田切に片思い中。クセのない性格で、ふわふわした良い子な印象だった。

小田切は思わせぶりな発言を振りまきながら、肝心なことは言わないちょっとめんどくさそうなキャラ。ひかるが男と会っているところを見ただけで引きこもるメンタルにびっくり。見た目と雰囲気の良さで許される感じなのかな。

元彼に騙されてから無気力に生きる小田切は、それでも犬の世話だけはきっちりやっていた。だからこそ犬たちがご主人様のために、と奮闘する姿が良い。ケンカ中の二人を仲直りさせる策を練る、三匹会議のシーンがとても好き。

ラストは犬の天国からの伝言を伝えて――と、全体的に絵本のような内容で、ほっこりする読後感。
でもなにより犬の名前がベッカムとロナウドなのが最も強く印象に残っている、不思議な作品。

主人公が好きになれない……

身ごもった受けが逃げまくって攻めが追いかけるお話。妊娠したキャラが逃げるってなんで定番になってるんだろうと思いつつ、逃げる展開に持って行く際の言動が強引に感じ、いまいち入り込めなかった。

ゼクシリアに見初められたロイは、それまでずっと気弱に謙虚な言動をしていたのに、突然侍従の言うことを聞かなくなる。状況の変化を知ると、憶測でゼクシリアを脳内でどんどん悪者に仕立て上げていく。好きな相手を酷い人物と決めつけるロイに違和感しかない。

そしてまたも侍従を困らせて、強引に逃げ出すロイ。自分も従僕なら、侍従の気持ちの一つも考えられないのかと思う。主人の命に背かせるなんて、侍従が殺される危険もあるのでは。態度が変わりすぎて、侍従を下に見ているようで気分が悪い。

追いかけっこターンに入ると、必死にロイを守ろうとする両親を尻目に、ゼクシリアに会って普通に喜んでいるロイ。この主人公の魅力がさっぱり分からない。ロイ視点の一人称の幼稚さも読むのがキツく、最後まで応援する気になれなかった。

全体の雰囲気はほのぼの

ひっそりと古本屋を営む田舎娘が騎士に見初められるシンデレラストーリーみたいな。その田舎娘も実はすごい能力持ちみたいな。可もなく不可もなく、男女版からヒロインの性別だけを変更したような、よくあるお話そのままだった。

アシュリーは子どもっぽい見た目の20歳。魔物討伐の際に両親を亡くし、魔物だけでなく、外に出るのも怖くなっていたらしい。だがわりとさらっと外に出られるようになっており、魔物の方は根本的な解決は成されず、対応が中途半端。克服までは無理でも、なんらかの回収処理はして欲しいと思う。

ウィルフレッドは人格・能力ともに問題ないが、制度上理不尽な立場にいる騎士。アシュリーのおかげで諦めていた夢に再挑戦できるようになり、とんとん拍子に目標到達。感謝の前に恋心があったらしいが、そうと気付かせたあの本は結局何だったのか。祖父の遺品という説明だけでは、床下に隠した意味が分からない。

ところどころに書きっ放しで放置されたアイテムや設定があり、真面目に読むとすっきりとは読み終われない。とはいえ、目立った悪役が出てくることもなく、全体の雰囲気はほのぼの。事件といえばアシュリーの早とちりくらいで、ずっと穏やか。気軽に読める短めのお話を探しているときには良いかもしれない。

まだまだこの先も気になる

「聖なる黒夜」「所轄刑事・麻生龍太郎」に続いて読んでみた。麻生の元に、猫のようにふらっとやってきては唐突に帰る練との関係が、一つの区切りを迎えてしまう一冊。再度この二人が交わる瞬間まで読めるんだろうか。

元天才刑事の探偵なんて、事件モノとしては美味しい設定。事件を呼び寄せる麻生の不思議な能力は健在で、真実を視る慧眼も冴えている。元警官から元検事の弁護士、かつて逮捕した者まで協力者にしてしまい、サクサク解決するのが面白い。

麻生は刑事を辞めてもやるべきことは忘れておらず、練をハメた黒幕を暴く決意は変わっていない。ただし今作で語られたのは麻生の感情だけで、具体的に策略に繋がりそうな何かが出て来たわけではない。麻生はいつか真相に辿りつけるんだろうか。そのとき練とはどうなっていくだろう。

探偵業に勤しむ麻生からチラチラ見えてくるのは、償いのような言動。依頼されなくても犯罪の匂いを嗅ぎつけては首を突っ込み、無実の人を助けるためにひたすら動く。その背景を知ったうえで読んでいるので、切なくて辛い。

しきりに裏社会から足を洗えと言う麻生を選べない練と、練のために堕ちることはできない麻生。練の決断に関しては、田村の分析力がすごい。結局麻生は練の部屋には行ったのかな。お互いが対等だって最初に言ったのはどっちなんだろう。

もはや冤罪を晴らしても練を救えるとは思えないが、麻生にとっては義務になっているのかもしれない。そのうち生きる意味にまでなりそうな怖さもある。

どうやっても一緒にいて幸せになれる気がしない背景を持つ二人が、お互いに尋常でない感情を持っているなんて、萌えるしかない、なんて言葉じゃ足りないくらい胸がいっぱいになる。ともに最期を迎える二人が見たい。

空白期間がとても気になる

「聖なる黒夜」の後に読んた。及川と麻生、未来の二人を知っている状態で読むと、及川の穏やかさに驚く。麻生にあれだけの激情を向けるようになるまでは描かれておらず、「聖なる黒夜」までの空白期間が気になる。事件もの・人間ドラマとしてはとても面白かった。

若かりし頃の麻生は、社会人経験はまだ浅くても、未熟さを感じさせない客観性を持っている。でもその闇雲な視野の広さも、自己分析においては役に立たないのかな、と思ったり。鈍感力を発揮する場面がちょっとズルいかも。

及川は出番としては多くなく、麻生視点からだけ見ると、実はものすごく気を使っていそう。もちろん麻生にそうとは感じさせないように。及川の持つ麻生への感情が、純粋で強いものと勝手に解釈すると、麻生がズルく見えてくるかも。

事件は小さなものもどれも面白かった。言葉足らずなはぐれ者の雰囲気を出しながら、ときに一人で解決してしまう麻生は、ちゃんと周囲に受け入れられている。
麻生は自分で何度も言っているように、職場や人間関係に恵まれていると思う。それは麻生自身が作り上げた環境なんだろうとも思う。

新しいパートナーと歩き始めた及川と、それにこっそり安堵する麻生は、それでもまだ良い関係に見える。ここから何がどうなって、及川は本気で麻生を殺したいとまで言うようになったんだろう。この先が気になる終わりだった。

最後の言葉を守って欲しいと願う

なんだが茫然としてしまう読後感。誰も救われないし誰も救えない。麻生と山内の背景に大きすぎる闇がある限り、今後どんな展開を迎えても、晴れて幸せに、なんてことはないと思う。それでも最後に麻生の決意が見られて良かった。

上巻ラストから新情報は何も出ていないけど、山内の冤罪説は作中で徐々に真実として扱われていくようになる。麻生については心の問題だったのか、葛藤の末に認める方向に傾いていく。警官は不向きだと自覚してたのがある意味良かったのかな。

麻生にやけに激しい言動を見せていた及川の背景が見えてくると、まあ納得というか。逆に及川に対する麻生の心情を不思議に感じる。何かが足りていないような。山内の分析は私情を抜きにしたものなんだろうか。

事件はスピーディーに展開し、中心に突っ込んでいこうとする山内と、麻生に執着する及川が、最後まで引っ掻き回す。
全てがつながり、あそこまでめちゃくちゃになった状況で、すぐに自分を取り戻せる麻生がすごい。ひとりで完結してる、と言われるのも分かる気がする。

今度はちゃんと間違えなかった麻生は、山内とともに事件の終わりを迎える。山内はきっと昨日も今日も明日も暗闇なのは変わらないだろうけど、麻生の明日からは何かが大きく変わってしまいそうな気配。

サイドストーリーはどちらも切なかった。えっ、と思うところはあったけど、山内の初恋にBL的な解釈をしても、素直に喜べないどころか辛くなる。

とりあえず麻生には、あの最後の言葉を守って欲しいと願う。