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女性renachiさん

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執着がすごい哀願攻め(ポチ)

めちゃくちゃ萌えた!執着がすごい哀願攻め。全くそういう対象でなかったはずの受けにじわじわハマっていく攻めの描写がとても良い。短めの本編とその後のお話がたっぷりで、お得感のある一冊。

始まりは変わった出会い。二乃島は婚約者のために法を犯してまで水月に会いに来て、骨髄提供をお願いする。で、なんだかんだあって水月は二乃島のお願いをきく見返りに、二乃島の仏頂面をどうにかすることに。

水月は二乃島をかつて飼っていた犬のポチに重ねながら、いつしか好きになっていく。ゲイで過去の男運のなさから卑屈な思考がクセになっており、事前に予防線を張る傾向があるため、二乃島との恋もすんなり上手くはいかない。

二乃島は感情も表情も乏しく、言葉は率直。が、水月を好きになってからの執着はすさまじく、置いて行かれることに極度の恐怖を覚えている感じ。水月を追いかけるためなら、タクシーとも並走できる身体能力がすごい。

付き合い始めてからの二乃島は、水月の悩みのずっと先を見据えた覚悟を決めており、その気持ちの重さに圧倒される。水月だけが己の全てだと堂々と表明する二乃島がカッコ良い。みっともなく縋りついてでも水月から離れなさそうで、とても魅力的なキャラだった。

二日ほど実家に帰ると手紙を残して消えた水月に絶望し、水月捕獲計画を立てて猛然と追いかける二乃島の、パニック状態の心理描写が好きすぎる。

キャラの背景や各エピソードのつながりなどが綺麗に練られている印象で、とても良かった。

各章タイトルだけでも笑える

三話構成の作品。各章タイトルを見ただけで二人の雰囲気が分かり、笑ってしまった。

一話目は、雨宮の誕生日を忘れていたという理由で黒田がお仕置きされるお話。エロ玩具いろいろ、場所もいろいろ、あの手この手で責める雨宮がすごい。それに対する黒田の答えも、愛の重さが分かる感じでとても良かった。

二話目はハワイ旅行編。新婚旅行を夢想する黒田とエロ三昧を満喫したい雨宮の攻防。気苦労の絶えない黒田が心配になってくるが、まあ相変わらずの二人らしいやりとりかな、と微笑ましくもあった。

三話目は初デート編。お家デートを提案する雨宮に言いくるめられる黒田。じんわり感動的な展開をぶち壊す雨宮という、いつもの流れに安心する。これこそが二人の日常、と見せつけられた気がした。

相変わらずの二人のすれ違い

本編その後の、相変わらずの二人が見れてとても良かった。エロありの短編、尿道プレイあり。

黒田視点で、かなり乙女な心理描写が続く。雨宮の反応一つで一喜一憂する黒田。他の相手との仲を誤解して、逆に誤解される状況に陥る展開が面白い。痴話げんかの終わりは、雨宮の斜め上の仕返しなのも二人らしくて笑った。

好きだったのは冒頭のシーン。わざと横を通り過ぎ、雨宮を釣って歩く黒田。すすすっと簡単に釣られる雨宮が可愛いし、予想通りと得意げになる黒田も可愛い。
また、家のあらゆる隙間に手錠を配備する雨宮も笑えて好きだった。

これ以上ないほどお似合いかも

笑った。雨宮が突っ走るあほのこ。ガチ犯罪ヤってるし、もし黒田視点だったらキツかったかな、と途中までは思ってたけど、黒田の衝撃の告白でそんな心配はぶっ飛んでしまった。これ以上ないほどお似合いのカップルだと思う。

雨宮は思い込みが激しく倫理観が個性的で、ちょっと危険なキャラ。気になる課長をマゾだと決めつけて、何の悪気もなく襲ったりストーキングしたり。でもこうなった背景もちゃんと描かれており、社会の常識を風俗の世界からのみ学んでいたら仕方ないかも、と納得する。環境って大事。

黒田は雨宮とは正反対の性格で、四角四面な人っぽい。真面目を超えた堅苦しさを感じ、口調からもとっつきにくさが分かる。ただこれにも理由があって、そこに意図せず踏み込んだのが雨宮なところがとても良かった。黒田にとっては救済になったんじゃないかな。

なかなか噛み合わなかったり、どこまでも信念を貫く課長のおかげでぐだぐだなくっつき方だったけど、それもまた二人らしくて微笑ましかった。

その後、お互いに好きになった瞬間を打ち明け合うシーンはめちゃくちゃ好き。特に黒田の告白が衝撃的で。なんだこのカップルお似合いだったんだ、とほっとして笑いが込み上げてくるような。

巻末の短編も二本とも好き。ベビードール雨宮に「けしからん」と言う黒田に笑い、エプロン黒田に不倫シチュを押し付けてキレられる雨宮に笑った。

笑いどころがたくさんありつつ、それだけでない温かみもあって良い作品だった。

凶暴三兄弟 同人電子 小説

野原耳子 

ただただ犬が可哀想なので……

とても微妙な読後感、というか読んでいる最中からとても微妙な気持ちになる。的外れな八つ当たりの連鎖が弱い者へと向かっていき、犬が殺されたところで流れが変わる。巻き込まれた犬がただただ可哀想だった。

主人公の二郎は理不尽に暴力を振るう日々を送っているが、元からそのような性格だったわけでなく、後天的に凶暴さを身につけてしまったキャラ。二郎の親に恨みを持つ町民たちから殺されそうになり、暴力至上主義はその反動のようなもの。

二郎が暴力を振るう相手は、当時二郎を襲った当事者でなく、傍観していた町民たち。そしてその報復は、二郎が飼っていた犬が死をもって負うことになる。

犯人を責めなかったり二郎が改心したり、謝罪したり許されなかったり、いい話風にまとめるセリフなんかもあったりしたが、正直登場人物全員、誰一人として好感を持ってみることができなかった。善良なのは犬の姫子だけでは。

BLについては、兄弟からの執着は良いとして、二郎の気持ちの方はどうやって二人に向かったのか分からなかった。ただ、どっちみち二郎には兄弟しかいなくなりそうな気がしたので、ある意味必然だったのかな、と思わなくもない。

加害者が許されない社会の現実を見せてくるようなお話で、BLとして萌えるわけでもストーリーを楽しめるわけでもなかった。犠牲になった犬の姫子はどうしたら報われるのか、その答えを作中で見つけることはできなかった。

束縛系執着攻めの話かと思ったら

はっきり言って後味は良くない。最初から最後までずっと怖いし、主人公に救いが見えず、今の商業BL小説では無理そうな内容。でもこのダークな雰囲気にじわじわ取り込まれる感覚がクセになり、読むのを止められなくなる。
ラストの展開に驚きがあり、とても面白かった。

既婚者の上司に片思い中の花房は、その相手にそっくりな白城に出会う。ただの軽いセフレ関係になったはずが、徐々に不穏な空気が漂い始める。

付き合ってもいないのに、花房の動向を把握し監視している白城。花房はわりと早い段階から怖くなっており、心理描写から伝わるハラハラ感がすごい。別れようとしても逃げようとしても阻止され、白城に従うことに。

その後の監禁生活は衝撃で、白城はこんな形で罰を受けているのかと納得し、ここで終わるのかと思った。が、続く物語はさらに衝撃的。
花房と白城が出会ったときの気になるセリフの謎が解け、さらには物語の景色がガラっと変わる種明かし。

目を付けられた時点で終わってたというか、どっちに転んでも花房の行きつく先は変わらなかったのかな、と思える八方塞がりの恐ろしさ。“狂気ラブホラーサスペンス”のあおり通りの作品だった。

同時収録作は、同系統の雰囲気の監禁サイコホラーBL。表題作と同じく、何をするか分からないヤンデレ攻めを刺激しないよう、慎重に逃げ道を探す受けの心理描写が痛々しい。ミザリーの脅しは怖すぎた。

どちらも狂気をはらんだ執着攻めのお話で、揃って話が通じない。受けは卑屈というほどでもないけど暗く、どうしようもないエンドを迎える。

性癖の面から見れば好き嫌いが分かれるタイプの作品だと思うが、描き方のおかげで読みやすい。ハマればたまらないと思う。こういうのが読めるのも同人誌の魅力。

水魚交 同人 小説

YAMATO.K.WARD 

こんな形のカップルも

展開の意外性に引き込まれる作品だった。小さな驚きで笑ってしまいたくなる不思議な読後感。こんな形のカップルも良いかもと、新しい発見をもらえたような。危うさを保ったまま添い遂げる未来が見えてくる、面白いカップルだった。

出会いは飲食店の店員と客として。そこから手作り弁当を持って職場に押しかける海津に最初は怖さを感じたが、橘髙がひょうひょうと対応していたおかげで、徐々に海津のキャラに慣れた。

その後、思わぬ場所で出会った二人は、互いの秘密を察する。海津が橘髙のハウスキーパーになるのは強引に感じつつ、M気質の海津と元華族の橘髙の関係が、性愛を伴う主従関係になっていく流れは面白かった。

ラストの駆け抜ける怒涛の展開には圧倒される。海津はSEに復帰し、会社の役員待遇を得て活躍し、国内外からのヘッドハンティングを蹴って三十半ばで引退。そうして選んだ人生は。

綺麗なハピエンだし、二人にとっては最高に幸せだと思う。だが海津の秀でた能力を派手に飾り付けたがために、嵐のように表舞台から去ってしまった印象になり、二人だけの箱庭に閉じこもったような、わずかに陰のあるラストに見える。
とてもクセになる、やめられない後味。タイトルが秀逸。

そういえば、月夜堂さんの他の複数の作品でおなじみのバー「アッシュ」が出て来た。あのキャラはまだ遊んでるんだな、とか懐かしく思えて嬉しかった。

許された男 同人 小説

YAMATO.K.WARD 

BME、身体改造、知らない世界

二世代に渡る物語。始まりは、一人の男が好きな人の子供を実子として連れ帰るところから。犯罪的なことでなく、両親が消え、取り残された子供を引き取る流れ。それがハンスで、異国の血を持つのが明らかな風貌ゆえに苦労している。

基本はハンスと涼の両視点で、それぞれに違った人間関係が広がっているため、登場人物が多い。ハンスと涼は従兄弟で、ハンスと誠一は親子だが血は繋がっていない。いろんな人が、決まった相手を作りながら、好きな人とは付き合えないと言っている。

血の繋がりと恋心の方向とキャラ同士の関係性が表面と内面で違っているし、別作品とのつながりも見えたりと、この短い中に情報量がぱんぱんだった。

涼視点から見るお話は、まず涼が痛みから快感を得る性癖なので、複数の相手とのSMプレイシーンがある。際限なく痛みを求め、安全な相手をキープしつつ、初心者に徹底的に痛めつけられようとする。

ハンス視点から見るお話は、複雑な生い立ちからくる感情描写が多い。親族の中で数少ない優しく接してくれた涼に好印象を持っているし、愛してくれた父の愛を求めて身体を重ねることもあった。それ以外の相手には淡々としてる印象。

興味深かったのは、BMEの集会という身体改造愛好者イベントが描かれていたこと。正直痛そうで、読みながら全身が縮みそうな感覚に陥った。ここでの見どころは、熱に浮かされたように歩く涼と、必死に止めようとするハンス。

最後はハピエンのように思うけど、ここまでいろいろあって、ハンスが今さら父と従弟に手を出したと思い悩むのはどっちなんだろう。父を愛しながら、父と血の繋がりのある従弟に手を出したとこなのか、自分にとっての父と従弟が問題なのか。

まあどっちでも良いし、涼は今まで通り身体の浮気はするんじゃないかな。複雑な関係がカラッと描かれているので読みやすかった。

面白い!良い意味でびっくりした

面白かった!あと良い意味でびっくりした。こういうお話だったとは!あらすじとタイトルからは想像もしていなかった方向に進む。散りばめられた伏線とその回収が綺麗で巧い。メイン二人も魅力的でとても良かった。

始まりは駆け引きとも言えない春人の色仕掛け(?)で、読んでいると恥ずかしさでソワソワしてしまう。そして三國視点に移ると、やっぱり春人のおかしさはバレバレで、頭を抱えたくなってしまう。途中まではこれの繰り返し。

三國と春人は社長と秘書の関係で、春人は仕事中とプライベートでのギャップが激しい。入社してすぐ第一秘書に抜擢されたり、仕事は完璧だったり、ひったくりを簡単にノしたりと、恋愛以外は超有能。だが徐々に一体何者?と疑いたくなる要素が出てきて引き込まれる。

三國は昔遊びまくってたけど今は落ち着き、ちょっと気力が落ち気味な社長。久々に興味を惹かれる春人に出会い、どんどんハマっていく様子が良い。こっそり笑いながら春人を振り回しているようで、実は振り回されていたことに気付くという。去った春人を追う三國の心理描写はめちゃくちゃ熱くて感動的だった。

最後の種明かしは、ネタバレなしで読んで良かった!と思う内容。あれもこれも全部なるほど、となり、あのエピソードがここで……とはっとなる。そして春人は内側から爆発するトマト。何度も出て来たこの表現にも納得の答えがあって、いやはやさすが。

羞恥心に身悶えたり耐え切れずに笑ったりしていたら、うっかり感動させられて泣きそうになり、かと思えばめちゃくちゃ驚かされて、最後は幸せ気分になっている作品。精神的に大満足の読み応えだった。

めちゃくちゃよく泣くオメガ

ケモミミの使い方(活かし方)が面白い作品だった。考えさせられる系な側面もありつつ、主人公の変化やBLもしっかり描かれており、読み応えアリ。悪意の匂わせはあっても、悪い人は出てこないので読みやすい。読後感も良かった。

理人は雨の音にトラウマがあったり、両親に言えないわだかまりがあったりと、苦しい事情を抱えている。加えて隠しているがΩなこともあり、情緒不安定になりやすく、事あるごとによく泣いていた印象。

思い込みで勝手に悲観することも多く、そのわりにはフェロモンで誘惑しようとしたりして、前向きか後ろ向きかどちらに暴走するか分からない。仕事とプライベートでのギャップが激しく、ある意味素直だけど、口は素直じゃない。

汐見はふらふらしているようで仕事デキそうな雰囲気が伝わってくる。理人への対応を、他の人に相談して慎重に進めていたのはちょっと意外だったかな。改まって謝罪するシーンが何度もあり、中身は誠実な人っぽいと感じた。

ストーリーは、いろいろと勘違いしたままの理人視点で語られるので、片思いの切なさと確認しないもどかしさを適度に味わえる。汐見の反応はわりと一貫して理人に構ってもらえると嬉しいって感じで良かった。

告白シーンは前後の理人のギャップがすごい。あんなに怒鳴り告白みたいなことしてたのに、両想いになったら可愛くなりすぎ。ここぞとばかりに調子に乗る汐見にも笑った。

苦手だったのは、若干説教臭く感じるところがあった点。現実問題にリンクする表現もあったが、時々刻々と主流となる意見が変わる現代で、今この主張を見ると時代を感じる。社会への責任転嫁が見えた時点で冷めた。

汐見と理人のBLも良かったが、汐見の仕事への思いや来栖の生き方など、理人に影響を与える事象の描写もすごく良い。それらを素直に受け止める理人も素敵。応援したくなる主人公だと思う。