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緑色の下 電子 コミック

JAXX 

Sな女王様受けが好きな人!!絶対に読んで!!

本国での連載開始から3年、やっと、やっと、Under The Greenlightの日本語訳が日本の読者の手に届きました。
こちらの作品は本国では「BLの王」「国産BL全体のレベルを引き上げた」と評され、知らぬものはいない超人気作品です。読めばその評価にも納得できるでしょう。アジアBLの歴史に名を残すべき大名作です。

天才的な彫刻科の学生であるマシュー・ライナー(攻、表紙画像左の茶髪)とギャングのフロント企業「新海建設」の社長であるジン・チョンウ(受、表紙画像右の黒髪)は、ある雨の日、マシューのアルバイト先のカフェで偶然出会います。卒業制作のモデル探しに難航していたマシューは、ジンの姿をひと目見た瞬間に惹かれ、なりふり構わず彼を追いかけるのですが…。

受けのジンは、ずば抜けた美貌、カリスマ性、知性、リーダーシップ、身体能力を併せ持ち、社会的地位、財力、腕力、すべてにおいて攻めのマシューを上回るスーパーパワーボトムです。数多のBLの攻めが受けに対して行うことを、この作品では受けのジンがやってしまいます。
攻めのマシューは子供の頃に起きたある事件のトラウマから、他人の感情をうまく読み取れず、自分の感情もうまく表現できません。極度の無表情、人間嫌いで、他人と壁を作って孤独に暮らしています。そんなマシューですが、ジンの前ではいつも赤面し、まぶしい光を見つめるような恋する青年の表情をしています。

人の裏切りや怨念にまみれた裏社会で生きてきたせいで、愛を重たくうっとうしいものとしか認識できないジンに、マシューは一途で純粋な愛情を訴え続けます。彫刻家とモデルとして偶然出会ったふたりですが、マシューとジンの過去、感情が明かされるにつれて、ふたりが辿ってきた運命の重さが読者の胸に迫ってきます。

とにかくキャラクターがいいです。強い受け、というかSな女王様受けが好きは方は刺さりまくると思います。はい、私です。表紙画像でも攻めのマシューが縛られてますが、これは本編の内容を反映しています。特に第1部では、ジンは行為中にマシューを縛ったり叩いたり普通にします。マシューはジンになら何をされても嬉しいマゾなので、コンセンサス的には問題ありません。(第2部でジンがマシューに強圧的な行為をされるエピソードがあるのですが、その部分については苦手な方は見ないほうがいいかもしれません)
ジンの強さはちょっと度が外れているというか、他の作品ではあまり見たことがないほどメンタル・フィジカル・ソーシャル全方面でパロメーターが振り切れています。しかも彼は強いだけじゃなく、繊細な感受性の持ち主でもあり、優しさと高潔さにおいても読者を深く魅了します。
マシューは童貞オタク君ですが、一途で優しいわんこ攻めです。194cmの巨躯でジンの前で拗ねたり、嫉妬したり、いじけたりする姿はとにかくかわいいです。

その能力と気質上、幼少期から暴力の世界に絡め取られてしまったジンが、マシューの作り出した芸術を通して見つける世界の輝きと美しさ。緑色の下というタイトルの意味が分かった時、切なさで胸を締め付けられます。

本国版では現在第二部が連載中で、物語は佳境に入ってきています。ふたりの幸せな結末を願いつつ、日本語で物語を追う楽しみが増えたことに感謝しかありません。
日本でも読者が増えてほしいです!ぜひご一読ください。絶対に損はありません。

PAYBACK R18電子 コミック

fujoking  SAMK 

芸能界を舞台にした復讐劇BL

芸能界、復讐、BL

この3つの要素を掛け合わせて、超強気で誰にもなびかない受けと、権力と金を持った冷酷さで知られる攻めを物語にぶち込んでください。

最高ができます。

ジェイは冷酷非道で知られる芸能事務所の理事です。もちろん仕事もできますし、人を思いのままに支配し、いうことを聞かせるために指図することには慣れています。けれどもユハンには、無茶をしたら壊してしまいそう、という恐れがあって、ずーっとモダモダと手を出せないでいるんです。悪魔のように周囲から恐れられているジェイが、ユハンをとても気に入っていて、大切な子猫みたいに優しく扱う所がとても良いですね。地下鉄なんか人生で一度も乗ったことがないのに、ユハンが地下鉄に乗るというので着いてきて、そばにいたいからギュウギュウとユハンに身体を押し付けるジェイ、めーちゃくちゃかわいすぎますよ!!

ユハンはみんなが恐れるユン理事を全く恐れていません。彼はこの世の地獄を見てしまい、生きている感覚を押し殺して人生の全てを復讐に対する執念を持ち続けることに費やしてきました。ユン理事のいる芸能事務所には、復讐する相手が所属しており、復讐を遂げる機会を伺うために入ってきました。
かつて起きてしまった地獄には自分に責任があると考えるユハンは、楽しい人生や役な生活を送ってはいけないんだと頑なに自分を律しています。だからジェイに惹かれそうになっても、無意識が感情のブレーキを踏ませてしまうんでしょうね。

そんな彼をそばで見守り、仕事上の的確でさりげないサポートを与え続けるジェイ。ユハンの気持ちをいつも考え大切にしてくれます。あ、でもえっちなモードに入ってしまった時はちょっと暴走することもあります…。
でも無理やりユハンに自分を受け入れさせようとはせず、ユハンが自分を受け入れてくれるのを本当に本当に辛抱強く待っています。入りそうで入らないもどかしさが第二部までの見どころだと思います。

作者さんの絵が素晴らしく、髪の毛をセットしてスーツを着たジェイはめーちゃくちゃかっこいいです。ユハンも男前です。私はこの作者さんの唇の表現が色っぽくて好きです!!

男×男

男臭いBL漫画です。綺麗で柔らかい線が主流の昨今のBL漫画に慣れていると、KYOU先生の作画はとっつきにくいと感じるかもしれません。でも少しでも読んでみようかなと思ったそこのあなた。あたりを引き当てておりますよ。そのままどうぞ購入ボタンを押してください。

世の中が不平等であるばかりに、身寄りのないシンゴンは不幸にもとんでもない機能不全家族に引き取られ、そこでもたくさん苦労します。子供の頃から苦難を舐めてきたシンゴンはそれでも、腐らず焦らず、愛する車の仕事を路上で続けていました。
自分の大切にしていることを、どんな状況でも大切にできるのは、タフな人だけですよね。シンは本当に賢くて、タフな男なんです。

そんなシンゴンと路上で出会い、ジェイクは一目で気に入ります。付き合っていくうちに、シンの内面に触れ、驚き、愛しさが止まらなくなったんでしょうね。ジェイクも一筋縄ではいかない男なので、誰かに惚れ抜くという状況があまり想像できません。でも、シンゴンは確かに、ジェイクの心を射抜くだけの人間だったんです。

裏社会を舞台にしているので、危ない状況がこれから2人に襲いかかってきそう。ジェイクには凄く大きな秘密があるし、シンゴンはそれを知らないし、それを知った時シンゴンはどう思うのかな、など、心配なことはたくさんあります。2人がどう危機を乗り越え、絆を強くしていくのか、とても楽しみにしています。皆さんもぜひ読んでみてください。

疲れた大人のためのBL

フルボリューム大好きです。
隣人の住所に届くべき荷物が自分の住所に届いてしまったことから始まるラブコメディです。主人公の俊哉(小説家。性格はクセが強いが、誠実で大人)が無愛想な隣人の大虎(理由があってエロ配信者をしている)を訪ねて彼の秘密と、人となりを知っていきます。
一見バカバカしいギャグエロ漫画か?という設定と冒頭のエピソードから始まるのですが、なかなかどうして、ページの端端に挿入される誰かを愛するということ、人生のままならなさ、寂しさや悲しみについてのセリフやシーンは重く心に響きます。しかし決して重くはなりません。
原作者、作画家さん含め、作者さん達が非常にまっとうな倫理観と人生観を持って、深く繊細な表現を心がけていらっしゃることがよくわかります。
エロシーンは露骨にエロ漫画の定番といった設定のものが多いですし、とてもあっけらかんとしてます!!筋肉と筋肉がぶつかり合っていて毎回壮観です。

もっと沢山の人に読まれてほしい名作です!!

私を韓国BL沼に堕とした張本人

サンウちゃん!君のせいだよ!!

韓国で伝説的な人気を誇るBL小説の日本語版です。
韓国BLには宝が眠っている、と私に確信させてくれた作品でもあります。本当にビックリするほど面白いです。

私はもともとBLを読んでいて、受けを愛でるという方法で楽しむことが多いのですが、セマエラのサンウちゃんは私が出会った中で一二を争うくらい大好きなBLのキャラクターです。
融通が効かなくて、突飛な例えで人をケムに巻き、適当とか曖昧とかいう人間らしさをカケラも見せないサンウちゃん。森博嗣のS&Mシリーズの犀川先生をもっと生意気にした感じ。理系の人って本当にこんな感じの人ばっかりなんでしょうか?私はど文系で、周りも文系の人が多かったので、ちょっとサンプルが見つからないのですが。とにかくサンウちゃんの受け答え、人間に対する理解、センス、全てがツボに入りすぎて大好きになってしまいました。

彼は恋愛とかいう曖昧模糊とした非合理的な感情を感じたことがなかったんです。でも自分とは違って非合理な感情の爆発に気ままに流されながら鮮やかに生きるジェヨン先輩と出会って、恋をしちゃうんですね。
何が恋か分からなくて、ジェヨン先輩に対する気持ちの大きさに振り回されてしまうサンウちゃん。ずっと戸惑って、答えを出せないでいるサンウちゃんのことを、何も言わずにじっと見守っているジェヨン先輩がとっても大人で素敵なんですよね。ラブラブになってからは浮気したら殺すぞとか言って嫉妬でコップを割ったりしますけど…

どうかもっと日本でも読まれて欲しい!そしてもっとたくさんの韓国のBL小説を翻訳して欲しいです!

凍えた蕾が恋を知り、愛が花開いていく物語

読むと優しい気持ちになれる!
オメガバース設定の物語ですが、現代の英国が舞台です。原作者のフローナ先生、作画のチャダ先生はこの作品を執筆するにあたって、英国、特にロンドンの街についてかなり綿密な下調べをなさったのではないでしょうか?実在の場所がたくさん出てきて、そのどれもが実に生き生きと美しくロマンチックに描写されています。

主人公であるカーライルは、アルファの名に恥じないハンサムな貴族ではあるものの、自分の家名を継がせるために立派なアルファの子供を作らなければならず、恋愛や性行為を家族に管理されているという状況で物語は始まります。
彼はとても真面目で純粋なのですが、内側に感情を溜め込みやすいというか、心を許して本音で語り合い、素直な気持ちをぶつけられる人が周りにいるように見受けられません。

そんな孤独な生活を長く続けて、自分を抑圧してきた結果、カーライルは性的に不能な状態になってしまいます。そこで、医師から提案されたのが、アルファであるアッシュと気軽な肉体関係を結ぶこと。将来は家が決めた有望なオメガと番うことを、家の掟として決められているカーライルは、貴族でもないアルファのアッシュと真剣な関係になることはありえません。そのつもりで2ヶ月間、アッシュに体を委ねてみようとしたカーライルでしたが…?

アッシュはいわばセフレとしてカーライルと付き合い始めるんですが、なんというか…こいつはめちゃくちゃなたらしなんですよ。チャダ先生の描くアッシュって目がふにゃっと優しくたれてて、まつ毛も長くて、口元も時々犬みたいになってめちゃくちゃかわいいんですけど、カーライルに対する扱いは色んな男女を甘く抱きまくってきたアルファのオスだな、というような圧倒的な攻めのオーラでガンガンに押してきます。
こんなことされたら好きになっちゃうよ…!!と読者の誰もが思うと同時に、恋愛をしたことがなかったカーライルもアッシュの魅力にメロメロに…。それは仕方ないよ…。
最初、氷のような冷たい表情しか表に出さなかったカーライルが、アッシュの愛情や優しさや情熱に触れていくたび、戸惑いがちに微笑んだり、戸惑ったり、赤面したり、ベッドの上で恥ずかしくて泣いてしまったりする様子を見ていると、こちらもホロリと暖かい涙が…。
カーライル、好きな人ができてよかったね…!

そんなカーライルの恋を知る過程をじっくりと、チャダ先生のおとぎ話のように美しい作画で見せてもらえる素晴らしい作品です。またふたりのアルファの筋肉描写も抜かりなく流麗で、ベッドシーンも圧巻です。

現在日本語版は2人がすれ違ったまま、別離の状態に置かれてしまっているのですが、不思議と不安はなく、2人は絶対にこの苦難を乗り越えて気持ちが通じ合い、幸せになれる、という確信が持てるので辛くはありません。
でも続きが早く読みたいです!

Wet Sand 電子 コミック

DOYAK 

令和日本に舞い降りた韓国BLの最高傑作

アメリカの裏社会、アジア系マフィア、三角関係、いつもは攻めしかやらない受け。
これだけのワードだけでも反応してくれる仲間は多いのではないか。バナナフィッシュや囀る鳥は羽ばたかないなどの往年の名作たちを想起させつつも、NZ在住の韓国系移民であるDOYAKのストーリーテリングはBLマンガの新しい境地を常に切り拓き続けている。
その特異さはキャラクター造形に特に現れていて、彼らは弱さと強さ、醜さと美しさを併せ持つ非常にリアリティのある、人間臭い性格をしている。そばにいたい、でも離れたい。失いたくない、でも自分のものじゃない。愛したい、でも傷つけてしまう。そんな矛盾した感情に囚われて、身動きが取れないのにそれでもお互いを求めてしまう、愛が持つカルマ。身を焦がす罪と業を背負う各々の姿が非常に生々しい。
今までに読んできたマンガのセオリー通りには絶対に運ばれないストーリーラインに一喜一憂しているうちに、イライラしつつも彼らの運命に涙し、未来を憂いている。
暗くて重い物語が好きな、ストーリー重視の読者さんには絶対に読んでほしい。しかもストーリーだけでなく、絵、演出、構成、色彩、セリフ、どこをとっても高評価をつけるしかないという、怪物級の作品である。多言語に翻訳され、凄まじい勢いで世界中のファンを獲得している本作品だが、読むと納得するしかないクオリティなのだ。
物語はまだ完結を迎えていないが、連載を追いかけるだけの価値がある。おすすめです。