「食べてもおいしくありません」を読んでいなくても楽しめる作品になっています。今回は人間×鬼になります。
大喰は巨ツノと評判だけれども実は豆つぶサイズのツノ。そんな大喰に「人間を食べれば巨ツノになる」と近づいていくる赤石は、鬼ばかりいる世界ではあまりいない人間でした。
なにかとかまってきて、抱き付いたり自分の指を食べさせたりする大石から漂ってくる甘くおいしそうな匂いに我慢できない大喰。そんな大喰のおいしく赤石の指やプリンを食べる顔がめちゃくちゃかわいいんですよ。赤石もそんな大喰の顔を見てすごく幸せそうです(たぶん性的に興奮してますね)。
鬼にとって「食べる」ことは最大の愛情表現なので、大喰は赤石に「食べていい」と言われても一生懸命我慢するんですが、赤石の匂いを嗅ぐだけでメロメロになっていきます。
そんな大喰に真砂という巨ツノが同じ巨ツノだからと言って突っかかってきます。真砂は当て馬ほどの設定ではないのですが、ふたりが近づいて好きな気持ちに気づくきっかけになるキャラです。
大きさの勝負をしたいと迫ってきた真砂に対して、なぜか赤石がムキになってツノを見せる約束をしてしまいます。そんなふたりのわちゃわかちゃを見て、巨ツノの真砂に赤石の人間の匂いがおいしそうだとバレたくないと大喰は思います。ここから大喰の好きという気持ちがあふれ出てきます。
山田2丁目先生の描く受けはほんとにみんなチョロいですよね!ちょっと自意識過剰なところもかわいくて愛おしい!!そんな受けをめちゃくちゃ執着してドロッドロにしちゃう攻めの囲い込みのおもしろさ。今作も赤石が1話の初対面からベッタベッタの執着を見せてきます。本人はツノにだけ執着しているつもりだけど、かわいすぎる大喰の魅力に実はまんまとハマっていきます。
そしてふたりは巨ツノを出すためにえっちをするのですが、最初は赤石がリードしてかわいく恥ずかしがっていた大喰がだんだん鬼らしくなっていきます。赤石が攻めで大喰が受けなんですが……。さて食べられちゃったのは人間?鬼?どちらなんでしょうかね!
そこからふたりの気持ちがだんだんと溢れ出してきて、バカップルまっしぐらの展開になってきます。楽しくてかわいくてこれぞ山田2丁目先生のラブコメでした。
2度目のえっちはもうたまらないです!ふたりがデロデロで大好きいっぱいのかわいいえっちにあなっています。ほんとに期待を裏切らない楽しさでした。ぜひお楽しみください!
デュラハンってなんぞや?と思ったら「首無しの騎乗者」で頭部のない男性の胴体の姿で、生きたように馬に乗り、首級を手に持つか胸元に抱えている妖精とのこと。ああ、見たことある!となりました。そこにBL?気になって発売日に購入。1ページ目に漫画の中でのウィキみたいなのが詳しく書かれているのでそこで知ることもできます。
背筋先生は「甘噛みをきみに」のケモ耳がかわいくて好きだったので、きっと今作もかわいい作品になると期待しました。
亜人のいる世界。オンラインゲームで出会い仲良くなって、一緒にVチューバーになったハリとアミ。ハリはいつからかアミに恋をしています。ずっとデュラハンに会いたいと思っていたハリにアミは自分がデュラハンだと正体を明かします。その時のシーンがすごく綺麗で、ふたりの様子がかわいくて、この作品はぜったいに好きになると思いました。
アミの仕事が忙しくなる前に動画を撮り貯めしようとアミの部屋で一緒に過ごすふたり。動画を撮り終わってもゲーム好きなふたりは、ゲームをして負けたら相手の好きなところを言うという罰ゲーム、そして100勝したらなんでも言うことを聞くというご褒美つきで対戦をします。
互いに相手の好きなところを言っていくのですが、それがもういちゃいちゃにしか見えないんですよね。意識しているハリと普段とあまり変わらないアミですが、それは漫画がハリ視点から。ぜったいにアミも意識していたはずなんですよね。
100勝したハリは思わずアリにキスしそうになりますが、避けないアリの目を見て首筋にキスをします。ここでタイトル回収なんですが、すごくよかったです!コマ割りとか目の表情とか手の甲とかすごく語ってくるんですよね。かわいかった!!
そして次はハリの仕事が忙しくなり、やっと会えたふたりはVlog撮影のために一緒に旅行へ行きます。もうデートです。ハリも「完全にデート」って浮かれてるし。楽しく仲良く動画を撮っていくふたりは、夜の海辺で相手への感謝や好きなところを語っていきます。暗いから横に座っているから伝えられることもあるのかな?でも告白後は、デュラハンだから互いの顔をちゃんと見合わせて語り合うこともできるというとてもいいシーンになっています。
晴れて恋人になったふたりは、びっくりすると首が落ちちゃうアリと一緒に恋人の距離を慣れるように過ごしていきます。
デュラハンならではのキスシーンやキラキラしたえっちシーンなどめちゃくちゃかわいかったです。でも首外れちゃうのでダメな人はダメなシーンかもしれませんね。
受け攻めどっちがしたい?と話した結果アミが受けになるんですが、その時にアミが「俺を抱くハリくんが見たい」って言うんです。そこでああめちゃくちゃアミが好きだ!!って思いました。この作品は毎話、好きなシーンがあってアミがかっこよかったです。
背筋先生の話の流れに物語の創り込みやキャラクターの表現などめっちゃ上手くなったと思いました。すみません、上から目線っぽいコメントですが、今までの先生の作品の中で一番大好きになりました!
そしてハリの誕生日にふたりで遊園地デートした夜、ふたりははじめてえっちをします。ここは読んで欲しいです!ネタバレなしのまま読んで「そうきたか!!」と興奮してほしいです!
すっごくよかったです。すっごくかわいかったです。もうそれしか言えませんね!
コミックス1冊、デュラハンだからこそのキラキラとかわいらしさが溢れていました。また、いつも勝負したり驚かせたり男の子同士だからこその恋愛模様が描かれていて、そんなところもとても楽しく読めました。
自分の勘が当たって大好きな作品に出会えました!
ハルモト紺先生はいつも新しい世界とアッと驚くラストを読ませてくれます。毎回パターンの違うキャラクターや物語に設定で驚かせてくれる数少ない作家さんだと思います。
今回は同期でライバルのサラリーマン同士です。御曹司でハイスぺの攻めである時藤と地方出身で負けん気の強い受けの早瀬のすれ違いです。
会社の祝典で自分と時藤との格差に不貞腐れ悪酔いした早瀬は、時藤に介抱されます。記憶があいまいでつい自分がゲイだと明かしてしまい、あげくには「俺にごほーししてみろよ」と誘います。酔った早瀬の顔がめちゃくちゃかわいくて、ずっと時藤はイライラしているんですが、このセリフでブチ切れた感じがまたかわいかったです。元々時藤は好きだったんだろうなと読んですぐに感じましたが、真っ先に足の甲を舐めているコマや残されたキスマークがあるので、それを見たらどれだけ夢中なんだろう、今までよっぽど長男として我慢していたんだろうとわかります。こういった描き方もとても美しいし上手いなと思います。
2回目の誘いは時藤から自分の部屋へ誘います。子の時も時藤は執拗に足の甲を舐めたりキスしたりします。好きだ好きだ気づいて俺を見てって読んでいるこちらにすごく伝わってきます。でも早瀬は時藤とセックスしていることに意識しすぎているのか、ちゃんと見えていません。
それでもセフレとして一緒の過ごしていくうちに今まで知らなかった・気づいていなかった互いのことや相手の状況についてわかっていきます。ただ遠巻きに見ているだけじゃ見た目や噂で相手を知った気になっても本当の相手を理解できないんだとつくづく感じました。ハルモト紺先生のキャラ設定、やっぱりすごいですね。
ふたりとも長男として子どもの頃から我慢してきたのでしょうね、誕生日に甘え合える相手がやっとできたみたいで、よかったね!とふたりのことをまとめて抱きしめてあげたくなりました。(迷惑でしょうが)
そこですんなりと告白し合ってハピエンとなるわけもなく、やっぱりすれ違いがきちゃうんですよ。時藤が御曹司だったからゆえの勘違いなんですが、実は御曹司だって幸せであったわけではありませんでした。
ふたりはまったく違うようでしたが、実は同じだったとわかります。「欲しいものは手に入らない」好きなのに好きだからこそ望んじゃいけない、そう思っているふたりがとても切ないです。それは立場だったり男同士だったりが理由なので、BLならではの苦しさですよね。辛い!
でも再びふたりはベッドを共にして、勇気を出して本音を伝え合います。どっちも相手にかっこよく見られたいって思っていたからの思い込みやすれ違いだったのがわかると、それも甘えられない男たちならではのかわいさだと思いました。この辺りはじっくりと読んでください。とても素敵な表情や言葉がたくさんあります。
結局は話し合いですよね。本当の気持ちに好きだと伝えることが大事。周りにも自分にも恋人にも少しわがままになってやりたいことをやれる、それがふたりのハピエンになりました。
ハルモト紺先生の作品はどれも素敵でいつも「これがベスト1だ!」って想いを新作のたびに更新させてくれます。今作も驚かされたし、とってもよかったです。
ウルジと王都で再会したラムダンは、ラムダンの実家へふたりで里帰りします。
今まで寡黙だったウルジが今までになくラムダンに対する愛情をいろんな言葉や行動を見せてくれます。ずっとおぼっちゃんとして偉そうに生きてきたウルジが、ラムダンと一緒に生きていくためにがんばり、ラムダンの父親に自分の策によって混乱したことを謝ったり村の人たちが困っているのを助けたりします。
また、真面目なおぼっちゃんならではの勘違いでも笑わせてくれます。そんなウルジに対して照れたり嬉しく感じたりしているラムダンの様子もとてもかわいくて、楽しくて幸せにあふれた7巻になっています。
里帰りを終えた別れ際、父親からラムダンとララが拾われた時に身に着けていたおくるみを渡されます。そこに刺繍されていたグリナザ族の模様に気づいたウルジは、何かを予感させます。
それからミンシンの王女もいるブルクティーン家に戻ります。お屋敷でウルジと肩を並べたいラムダンと、ラムダンを少しでも楽にしてやりたいウルジの思いに少しズレがあります。それでも一緒にいたい、好きだというふたりの気持ちがよくわかるので、読んでいてニヤニヤしちゃいます。
ラムダンがウルジに対する好きという気持ちや恥ずかしいところを見せたくないという想いを自分の中で上手く処理できないせいか、思わずウルジに「抱かせてくれ!」と言ってしまうんですが、もうかわいくてしょうがないんですよ!デレです!めちゃくちゃデレてます。
「とにかく!最近ずっとできてなかった」って上に乗ります!ラムダンが積極的!!でもすぐにウルジに主導権を握られてメロメロになってるラムダンもかわいい!!やっぱり幸せな大好き同士のせっせは最高です!!
今回もこのせっせの描かれた39話は電子限定・18禁あります!
そして新しいキャラ、王女の産む跡取りの教育係になるネルの登場です。足が悪いので天才でも国に仕えることができなかったネルは、今でいう発達障害があって人との付き合いが難しい子です。そんなネルですが、ラムダンに懐いていきます。振り回されているラムダンはかわいいし、生き生きしています。お屋敷で浮いている者同士仲良くってことですが、ラムダンがひとりじゃないっていうのはウルジだけじゃなくて読んでいる読者も嬉しいです。
もちろんこのままのわけもなく、最後に不穏な空気によって7巻は終わります。まだまだふたりの物語は続きますね。これからもいろんな困難があるでしょうが、きっとふたりならハピエンを迎えてくれるはずです、何巻まで続いてくれるのか、それも楽しみです。
早く続きが読みたいですね!
第二の性のために親と確執があった颯太と京也ですが、3巻ではふたりの過去が描かれています。それぞれ育った境遇を語り合い、颯太がSubと偽って京也に近づいてきた理由もわかり、京也は母親と向き合い和解もします。この辺りは親と子どもだったゆえのすれ違いだったのかな、大人になって親ときちんと語り合えたから、愛していると分かり合えてよかったな、と思いました。
そして与壱と弓弦によるSwitchの秘密が知らされるのですが、京也や颯太の親世代の悲しい出来事が絡んでいました。政府や国がしてきたことが少しずつ暴露され、第二の性やそれぞれのキャラの生き方などにこの先どう関わっていくのかも楽しみです。こういう恋愛以外の謎や設定が深いと物語に奥行きが出てさらに読んでいて面白くなっていきますよね。
DSCのメンバーも京也に頼るのでなく、自分たちでクラブと京也を守っていこうと新生DSCとして行動していきます。京也自身も第二の性に苦しんできたけれど、そんなDSCのメンバーみんなも成長した3巻になっています。颯太のかわいいワンコ攻めっぷりも京也のツンがデレになるかわいい受けっぷりも1巻に比べるとより甘々でかわいくなっているので、ありのままの自分でいられる相手ができてふたりともよかったなとつくづく実感できました。
自分の第二の性を素直に受け入れられるようになった颯太と京也が正式なパートナーとしてのラブラブになり、ふたりの物語は3巻でひとまず完結となります。
4巻以降はSwitchの謎とちあきと愛瑠、与壱と弓弦の2カプのスピンオフが始まるそうなので与壱推しとして、続きが待ち遠しいです。与壱の頑なな理由を早く知りたいです。
すごく辛くて切ない物語が続きます。でもここでひと段落ですね。
歴代の覡が受けてきた残酷な仕打ちと人々の裏切りに対して復讐するために貴族を遅い、島民を煽るミカイル。それを止めるために人質になったアルトと、助けに行くエルヴァですが、ミカイルを失ってしまいます。
まだわからないことも多いけれど、島や黒海の謎、覡の「抜け落ちた記憶」が少しずつ分かっていきます。聞くに堪えないような政府の男たちがやってきた酷い行いも知らされます。母親から離され、小さく美しい者たちが権力者に摂取しされるのはホントに辛いです。その記憶が頭に流れ込んでくるミカイルの苦しさは壮絶だったでしょうね。
でもそんなミカイルにエルヴァは「誰かの痛みを背負わなくていい」と伝え、抱きしめます。ミカイルが自分を取り戻しましたが、黒海に乗っ取られてしまい、最後を迎えます。
ミカイルの事件がひと段落つき平穏な日々が戻ったかと思いきや、自分のことを知るためにアルトが島の外に一度出ていくことになります。
自分が黒海の子だからエルヴァを傷つけるのではないかと悩むアルトと、アルトが黒海の子だとミカエルの死に際に伝えられて、アルトが自分から離れていくのではないかと鬱々とするエルヴァ。互いに苦しみ、すれ違うふたり。
そのままアルトが島を出ることになったら辛すぎる!と思っていましたが、ちゃんとふたりは話し合います。自分の苦しい胸の内とどれほど相手を愛しているかを。そして、ふたりは身体を繋げます。
この時のエルヴァ様がめちゃくちゃかっこいいです。アルトに自信をつけるためにそこで止める?って感じなんですが!「こんなときでも お前は俺の『待て』に逆らわない」って言うんですよね!すべてが俺のものだ、俺を傷づけるはずがない、俺から離れるなってエルヴァ様の全てが語っているんです。それからの「いいぞ」。めちゃくちゃ男前!!!
エルヴァとアルトが愛と絆を確かめ合った後に、誰にも知られていなかったアルトの父親のことが描かれています。それを読んで、やっぱりアルトとエルヴァの運命は父親からの愛でもあったんだと思いました。
島の外へ向かい、これからハピエンに向かうのかと思いきや!!!最後のコマにはまた黒い影が……。
まだまだ目が離せません!続きが早く読みたい6巻のエンディングになっています。
1巻からその空間をどう埋めるのか悩みながら読みましたが、2巻の空間はどんなものなのか楽しみにしていました。
セックスはするもののまだ恋人ではない白崎と黒川。他人を独占したり嫉妬したりすることに理解ができないから。親愛以上の愛し愛されるようなことがわからないから。でもそれってきっと過去になにかあったんだろうなと推測しながら読んでいきました。
1巻で当て馬だった竹中先生の白崎へのからかいも健在ですが、2巻で新たな当て馬が登場します。黒川を将生と呼ぶ常盤、黒川の初めての相手です。
黒川にとってセックスは人の気持ちを量り、コントロールするものでしたが、白崎とだけはやられっぱなしになってしまいます。ある意味、身体から少しずつ堕とされているんですが、人を信用できずに好かれることがわからない黒川は、恋に対しても無自覚でした。
常盤と話し合うことで、好きだと言われたから好きだと返すことにやっと間違いだったと気づきます。ただ相手を試して、相手に委ねていく関係性ばかりだった自分の行動に対して、白崎はどうするのだろう?と不安になります。
そして常盤と最後に分かれる時にハグをされているところを白崎に見られます。走って逃げだす白崎とそれを見てパニックになる黒川。やっと黒川が白崎を好きな自分を認めます。
ふたりとも相手のことや自分のことを考えて自信がなくなりますが、白崎の部屋へやってきた黒川が弁明をしだします。そして白崎がたくさん質問をします。そしてちゃんと正解を答えていく黒川。やっと白崎が聞きたい言葉を伝えてくれます。
1巻からの答え合わせと共に、黒川が自覚するために必要だった2巻のすべての答えがわかります。
よかったね、黒川。おめでとう、白崎。
スイーツ好き同士の友人である島崎と立山がパフェを食べているところから物語ははじまります。島崎が好きな気持ちを終わらせるために「俺は男が好きだから」と伝えますが、はぐらかされて「友だち」の域を超えさせてくれない立山。これはなかなか恋人になれないふたりだと感じられます。
高校を卒業してから4年経ってもふたりの関係は変わらず。無自覚なふりをして執着のある立山は、恋心を終わらせられない島崎に「俺をルームメイトにしてよ」と遠慮なく頼み込んで元セフレが住んでいた部屋に引っ越してきます。
いろは先生の描く攻めって、最初は酷い男の場合が多いですよね。好かれているのを分かったうえで受けを惑わしてもっと好きにさせちゃう。今作の攻めの立山はちょっと違います。最初は甘い言葉やキス、そして身体を触り合いながら島崎が自分から離れないように見えますが、実は高校時代から島崎のことを好きでした。ここは読者も騙されたんじゃないかな?実は立山は最初からいろいろと甘々だったんですよね。
そんなふたりは、互いに相手から距離を取られている、恋愛対象になっていないと思い込んでいるのですれ違いばかり。ちゃんと顔をみて話せばわかるけれど、好きだから決定的な瞬間は見たくないからふたりともちゃんと相手の顔を見ないんですよね。恋をして臆病になっているのがわかるから、読んでいてめちゃくちゃ切なくなります。
だからその後にちゃんと目を見て「好きだ」と告白できた立山には、やっとやってくれた!言ってくれた!と思いながら読みました。
島崎と立山にとって苗字ではなく「湊」と名前で呼ぶこと・呼ばれることがとても重要なポイントになっています。そのことで嫉妬したり距離を取ったりと誤解していくし、好きだと伝える時やベッドで愛し合う時に愛おしさを表せていました。
ふたりが仲良くなってから6年。やっと素直に好きだと言えて名前を呼びあえて、甘々でラブラブになってほんとによかったねと思えるハピエンになっています。
もう名前からして笑えるんですよね、セレブっぽい豪徳寺で徳を積んだ学んだ子と23区内でも微妙な鷺ノ宮で詐欺で楽したい子って感じで。
小さい頃からなんでも出来た楽が高校からは下に見ていた学に身長も成績も運動もモテも抜かれるようになって高校を退学した原因で、ぜったいに会いたくない相手。でも学にとって楽はずっと会いたかった相手。
そんなふたりが生前の悪行の罰として、転生するまで地獄のマンションで同棲生活をはじめることになります。
楽が嘘をつくと樽が落ちて来たり、学がいないと楽は食べ物もまずいしお風呂のお湯も出てこないし、学がエッチな気持ちで触ってくると感度が3000倍になったりしてふたりの距離が近づく設定がたくさんあります。そんなふたりの様子はすごくかわいくて楽しいです。こんな地獄もあれば楽しそうですよね。
時々登場してくる閻魔様がとても素敵で、学だけでなく楽のことも幸せにしてあげたいって思っている様子はいいなと感じられます。閻魔様、どんな設定なのだろうと気になりした。カバーを外した表紙裏に少し設定が描かれていますが、閻魔様のスピンオフも読んでみたいです!
出会った時から楽に対してずっと大好き大好きと身体で言葉で行動で示し続けていた学は、地獄で再会しても変わらずにいます。再会を喜び、楽も自分に少しでも好意があるのではと期待します。
尽くして愛して、いい感じになるけれど楽は素直になれません。過去のつまらない自分や逃げてきた時間を無駄にしたのではと後悔したくないから。そういう素直に認めてしまえない気持ちって誰にでもありますよね。読者はツンデレ、早く認めちゃいなよ!って感じですが、実は学には秘密があって……。
笑いも切なさもバランスよく描かれています。でも1冊で終わってしまったのは残念!もうちょっとじっくりと読んでみたかったです。
ラストはふたりが地獄で命を全うします。でも大丈夫ですよ。だってふたりはまた転生して出会えるから。きっとこれから何度でも。そんなふたりの何度目かの人生もまた覗いてみたいです。
一穂ミチ先生原作・志村貴子先生作画による超豪華なベテランの先生方による先輩芸人×後輩芸人BLです。
やっぱりうまいな、こう見せてくるか、こうミスリードされちゃったか、さすがだな!となります。なので個人的にはネタバレなしで読んだ方が楽しいと思います。
お笑いのパートもきっとリアルできっとこうなんだろうと思えるし、コントのネタもおもしろいからBL以外の物語の軸がちゃんとしているから読んでいてわくわくしました。
ふたりの表面から見えるBL温度は低いんですよね。キラキラとか甘々なラブじゃなくて、でも萌えはあるんです。ほんわかでゆったりとして恋が描かれている感じがしました。小峰くんにとっては激熱なんでしょうが(笑
これから時々読み返しては、幸せな読書時間を貰えそうな本でした。
ぜひ読んでみてください。