あめきり先生はデビュー作から既に大変お上手で、その後も新刊の度にどんどん腕を磨かれていると感じておりましたが......こちらの2巻、本当に凄かったです。
想像を何十倍も超えていました。
まず、春虎くん→スイ先輩の理由が少し...と感じていたのですが、2巻でガッツリ描かれていました。
兄弟が多くて、大きいお兄ちゃんだからと色々な我慢をしてきて、お母さんも忙しいから応援に行ってあげられなくて...
スイ先輩が応援してくれることの喜びは、それはもう凄かったんですね。
それから、親に打ち明けるというイベントも。
春虎家とスイ家の反応の違いは何となく想像がつく(書かないけど)
春虎くんが「同じような経験をしていればよかった」と言いましたが、これは違うと思います。
同じような経験をしていたって、相手にしてあげられることにほとんど違いはありません。
「悲しいね」とお互いに慰め合ったってどうしようもない。
傷つく人間が2から4に増えるだけで...
最終的にスイ先輩も母と笑い合えるようになって、希望に満ちた終わり方で良かったです。
母は確かにスイ先輩のことを苦しめていたかもしれないけど、母が悪いわけじゃないし、誰も悪くない。
これからの社会が、スイ先輩と母の涙に花を手向ける日がきたらいいなと思います。
語彙力がなくて書けることが少ないんですが、互いを思いやる心が終始溢れていて、読みながらナイアガラの滝涙が止まりませんでした。
1巻もそうですが、BL的萌えをふんだんに盛り込みつつ、作品を通して問題提起するバランスが絶妙ですごいです。
そんなこんなを全てひっくるめて、あめきり先生の作品は素晴らしくて、愛おしくて、宝物です。
そして同棲するまでのお話も拝読したい!
もし宜しければぜひ続きを......
最後にこれだけ言いたいんですが、
春虎くんのパパがイケメンすぎて驚きました笑
めっちゃイケメンじゃないですか???
エターナル最推し作家様
ハヤカワノジコ先生の新刊✨
2020年の春からBLを読み始めたので、新作としては初めての新刊で、とても楽しみにしておりました。
どの作品もそうですが、本当に表紙が美しくて美しくて、読む前からもう半端ないです(語彙力)
先生の作品はそれぞれ独自の色があって、同じ高校生BLでも『えんどうくん』シリーズと『くらやみにストロボ』と『夜明けにふる、』は違うし、大人BLの『夜空のすみっこで、』と今作『おやすみ深海』も違います。
今作のキャラクターは、
・ミステリアスな大人の雰囲気を醸しつつ、投げやりな年上の男(沼ですね〜笑)
・図々しいようで非常に一途で健気な年下の男
哲平が『夜明けにふる、』の翔太とそっくりさんで、頭が少しエラーを起こしました。
ハヤカワ先生は実社会の風刺的な要素をじゃんじゃん盛り込むというよりは独特の世界を展開されるタイプ(だと思っている)で、ぐわっと一気にマイナスの感情を持ち込むような"嫌な人物"が出てこないのも好きです。
今作は最後の方にほんの少〜しだけ嫌なシーンがありましたが、私自身の記憶とたまたま結びついたというのが大きなところですし、ストーリー上 必要なシーンです。
そんなこんなで、作画コスト半端ないよなぁ などと思いつつ、めくるめくハヤカワノジコワールドを堪能させていただきました。
コマ割りの美しさ、効果的な手書き文字、言葉選び、細かい音の表現......
太陽に目と口が描かれていて「おはよう〜」とか「朝だよ〜」みたいな感じで喋っていたり、他にも物体に命を吹き込んでいたりするのも独特で、地味にかなり好きです。
"太陽くん"はもしかしたら全作品に登場してるかもしれない笑
2020年には既に連載中だったということもあって今作はリアタイできなかったので、次回作から連載を追えるのも非常に嬉しく、楽しみです。
いつも素敵な作品をありがとうございます。
BL編集者×小説家
主人公の麻羽舜(攻め)は、一流出版社のファッション誌で仕事をしていたが、突然、子会社(しかも縁もゆかりもないBLジャンル)に出向を命じられる。
夢を叶えてバリバリ働いていたので、腐ってしまう。
という始まりから、攻め視点で話が進んでいきます。
攻め視点、とてもとても好きです。
腐りながらも、仕事は仕事だと頑張る麻羽さん。
新人コンペのため、過去に大ヒット作品を生み出した文芸作家・葵清一郎をスカウトしようと試みますが......
麻羽さんは自分のことを取り柄のない凡人だと思っているようですが、誰がどう見ても努力の天才なんです。
でなければ、この物語は始まりすらしません。
めげずに努力する姿に心を打たれつつ、葵先生との行方を見守りました。
主人公の二人のみならず、脇役たちのキャラが光っていて、物語の良きスパイスになっていました。
まだまだ始まったばかりの物語、ぜひ続きも拝読したいです✨
命令形タイトルに強く惹かれがちでして......(『おれの墓で踊れ』とか)
『春のデジャヴに踊れ』という作品のタイトルと、先生のプロフィールにある「言葉と思考と感情が好き」というのが印象に残り、とても楽しみにしていた作品です。
まず、先生がダンスがお好きということで、その愛が感じられる作品になっています。
ダンスがベースにあり、その上で主人公達の心の揺れ動きが繊細に描かれています。
結婚して子を授かり......と続く人生が、考えるまでもなく当たり前の未来として存在している。
このご時世で実際どうなのかわかりませんが、自然なことだと思います。
結婚も子供も自分の人生には必要ないと言い切れる二人が共にいることを選ぶとき、そこに葛藤は無いかもしれません。
しかし、そうでないなら?
結婚や子供が人生の線路上にある二人が、同性である相手をパートナーとして選ぶということ。
簡単な選択ではありません。
(もとい異性間でも簡単な選択は存在しない)
そんな葛藤が、ダンスという要素と絡められていて、秀逸な作品でした。
ダンスに関する描写はややあっさりめではありますが、デビュー作ということで、今後の作品も楽しみです✨
(じっくりダンスを描いた作品も拝読したいです)
青井秋先生の新刊✨
表紙が素晴らしすぎて、書影公開からワクワクが止まりませんでした。
心拍数も1.2倍くらいに増えていたかもしれない。
庭師×小説家ということで、設定から既に萌えです。
そして1ページをめくると、そこには作品の世界が広がっていました。
フワッと誘われるようにして、気づけば没入していました。
新しいことを知るたびに、世界が少しずつ彩られていく。
名前の無かったものが、気づけば愛おしい存在になって......
世界に色がついていく様子と、木々が芽吹くようにゆっくりと育まれる恋。
読む前は心拍数高めだったのに、読んだ後は自分が大木の葉になった気分で、心臓が空気や日光と一体化した感じ(?)
とにかく、大変素敵な作品でした!
大好きな早寝電灯先生!
新刊はオメガバース。
オメガバースといえば"運命"が重要なキーワードであり、"運命の番"を主軸にした作品も多いですが、こちらは少し違っていて、とても早寝電灯先生らしい作品となっています。
早寝電灯先生作品の素晴らしいところを挙げたらキリがないですが、やはり何と言っても、言葉選びのセンスが素晴らしいと思います。
キャラクター同士が対話をして心を通わせていったり、その前段階としてのモノローグがあったり。
本質的でありながらも、胸に棘が刺さるような類のものではなく、優しい気分になります。
今作も、そんな早寝電灯先生のセンスを感じられる一冊です。
あと、"悪役"が出てこないのも良きです。
先生の作品はいつも安心して読めます。
1巻から新刊で追わせていただいていて、
1巻を読んだ時はあまりのヘビー具合に驚き、苦しい内容でもそれなりに読めるのですが流石に面食らったのを覚えています。
(そして巻の表記が無かったので、続きもので驚いた)
そんな出会いでしたが、期待を超える丁寧なストーリー展開が素晴らしく、こうして完結まで見届けることができて嬉しいです。
最後までリアリティのある展開が描かれています。
そんななかでも、少しずつ少しずつ前進する様子に胸を打たれます。
1巻から未読の方がこのレビューを読んでいるかはわかりませんが、もし気になっている方がいらっしゃったら是非読んでみていただきたいです。
そして最後に言いたい......
ラブラブほのぼの続編をください!!!!!