1巻と同じく、あらすじは割愛させていただいて思い入れだけを語ります。ごめんなさい…。
大好きな作品の完結巻です。ここでは、気持ちを自覚した竜平が今泉へのアピールに奮闘する姿がこれでもかーと描かれています。
最初の失恋の時と同じように、望みが薄くても拒否られて凹んでも、前向きにあの手この手で体当たりしていく様子はちょっぴり痛々しく、見ていてなんとも切ない気持ちに…(涙) でも竜平への好感度がこれでぐぐ〜↗︎と上がりましたw
一方の今泉くんはそのアピールに戸惑い反発します。ただものすごく竜平を意識して、無自覚に実はかなり心を傾けてるのでは?と問いたくなるような表情を見せたりするんです。モノローグも無しで。この辺ひょうたさん上手いなーと感心することしきり。
見所は屋上での行き詰まるやり取りと、最終回のひまわり畑のシーン。この二つがあるからこその神評価です。
どちらも手と表情の演技…というか魅せ方が素晴らしくて惚れ惚れ。そして引きずり込まれて胸をギュッと鷲掴みにされる名シーンだと強く思います。
竜平のあからさまなアピールに戸惑うあまりに、自分のそれ以外の気持ちに全く気付けない今泉。屋上で大野に最後通告をするんですが、その時拒絶された竜平と同じくらい傷ついた顔をします。その後の星の科学展のチケットのやり取りも、2人の表情が切なくて泣けるんですよ…。
ひまわり畑では今だに自分の気持ちを自覚出来ない今泉が、竜平との押し問答の末、引きずり出されるようにやっと竜平への気持ちを認めます。いやー、道のりが長い!でもノーマルとして生きてきた子が男同士の恋愛に踏み出すには、これぐらいが普通なのかなと思わせてくれます。
そしてキスシーンがすごく……なんというか叙情的で、感動します。タイトルの意味もここで判明する素晴らしいシーンです。
書き下ろしは会長と会長補佐がメインのアダルティーなお話ですが、個人的には2人の恋愛に全く興味が無いので、脇でバタバタしてる竜平と今泉の初々しいイチャつきっぷりだけ楽しみました。ちょっと進展して幸せそうな2人がすごく可愛いですww
可愛らしい2人のその後をもっと追いかけたいという気持ちと、実はものすごく不器用で損をし勝ちな能勢先輩のその後が気になる!という気持ちを含め、少しの物足りなさと寂しさを感じる読後感も味になって、この作品を特別なものにしてくれます。
あらすじや概要は他の方々が書いているので割愛させていただきます。
非常に富士山ひょうたさんらしいこの作品、個人的に大好きですw
CPの組み合わせのコンセプトがまずあって、それぞれが恋愛に発展していくまでの気持ちの変化を、リアリティを持たせながらじっくり丁寧に描くのがひょうたさんの真骨頂だと思うのですが、それが遺憾無く発揮されています。
この作品の場合は“失恋を引きずるゲイ高校生×真面目でお堅いノンケ高校生”になるかな?
2人が高校に入学して同じクラスになったところから始まって、学校行事や一緒に生徒会の仕事を手伝っていくうちに気付ばゆっくり近づいていく2人の距離。でも1巻ではまだ友達としての域を出てません。
今泉くんのキャラが生真面目だけど素直で人が好くて好感度大。竜平に対する心情が、ゲイへの警戒心と戸惑い→反発→人としての尊敬→友情と変化して、ついでにゲイに対する耐性が出来ていくのがナチュラル〜に描かれています。
対する竜平は真っ直ぐな今泉を初めから好感を持って見守っています。でも無自覚に独占欲を持っていて…?というところで以下続刊。BLとしてはえらくスローペースですww
男子校シリーズとしてのネタがあちこち散りばめられてたり、生徒会に2人眼鏡キャラがいて見分けがつきにくかったり、しっかり描き込みされてる分少し画面が見辛かったりと難点はありますが、ほのぼの爽やかな作品が好きな方には是非一度読んで欲しい、青春BLの秀作です。