この作品は、きっと最初から慈英臣を追ってきた人にだけ納得できる部分が多いな、と
原作を読んだ時から感じていました。
私自身も、初読時は、慈英と壱都の会話・慈英が腑に落ちた流れが掴み難くて、何度も何度も読み返しました。
最終的に『しなやか』から読み返して、聴き返して。
嗚呼、慈英という人だから。
そうか、臣という人だから。
そうして、
彼からが重ねてきた時間の重みに触れた時、
あの誓いの噛痕にとても納得できた自分がいました。
単作では、評価は低いのかもしれない。
お布団場面も少ない。
けれど、人が人と人生を共に歩もうと決めたときに必ず
訪れるだろう、自身の存在意義と「大切な人の幸せ」を秤にかけて
「しまう」瞬間を、このジャンルでは不必要な位リアルに描いて
いると思います。
目を背けたくなるほど繕わないからこそ、慈英臣は紙の上でもCDの中でも
「生きている」と感じました。
はるひさんには珍しく、次作に続く今作です。
彼等のその後、幾らでも待ちましょう。
どういう「形」を成すのか、見守りたい。
でき得るならば、微笑ましい形を。
小林さんの壱都、私はとても好感が持てます。
みっくん・・・と呼べるかは次作に持ち越しですが(笑)
支えを得た三島の行く末も然り。
キャストに関しては申し上げることは何もありません。
お二人が何の違和感もなく慈英臣でいらっしゃることに
感謝の念すら覚えます。
「萌え」も「お布団」も味気ないかも知れないけれど。
それより深い「人と人との結びつき」を考えさせられる
作品です。
今日も、長野の山奥で、汗をかきかき警邏に勤しむ臣さんと、
それを穏やかな眼差しで見守っているだろう慈英の
幸せを祈ってやみません。