笑わなかった尾崎さんが、過去に楽しく過ごした清史郎さんの孫である清君に出会って、少しずつ笑えるようになるお話だと思っています。
雨の中、傘を持たない清君を迎えに行った際に初めて見せたほころんだ笑顔を皮切りに、少しずつ尾崎さんの笑顔が大きくなっていく過程が丁寧に描かれています。ここらへんの心情の描き分けが流石、ん村先生!最終頁で見せる尾崎さんの大きな破顔は、いつ見ても心臓を撃ち抜かれます!ズッキューン!大好き!
願わくば、清史郎さんと過ごした時代をもっと詳しく読んでみたい。
ん村先生作品は大抵が幸せな未来を連想させる終わり方になっていて(実際、『オンラインゲーム仲間とサシオフしたら(以下略)』は続編が始まりましたし)大好きなんですが、この作品に限っては、大正時代が舞台なので、その後にくる関東大震災や金融恐慌、日中戦争を思うと胸が苦しくなります。そんな、どこか切ない未来を内包しているからこそ、より尾崎さんと清君の二人には幸せでいて欲しい、と強く願わずにはいられません。
是非、御一読なさって下さい。m(_ _)m オススメです。