友人から教えてもらい購入しました。
1.2巻を読んだ前提でのレビューとなります。
まず、BL漫画という枠ではない作品だと思いました。
どちらかと言うと、ミステリーやサスペンスの様な位置付けの作品かと思います。+ロマンス。
読む機会があるなら、あとがきまで全て読んで欲しい。
ただグロテスクな表現が多い為、苦手な方にはオススメ出来ません。
普通は外に出す事は無い、言葉にする事すら憚られるような、グチャグチャとした人間の感情を具現化した作品だと感じました。
それは残酷なニュースを見た時に感じるような、人と共有する事は普通の人生においてあまり無い感情です。
作者の梶本さんは学生時代、ある悲惨なニュースを目にして
それを心の中から吐き出す事が出来ず、また消すことも出来ず、葛藤しながらこの作品を作られたのだろう。と私は解釈しています。
痛みや悲鳴、苦痛、欲望、残虐の限りをつくされた被害者に救いが無いなんて悲しすぎる。
だからこの物語では、被害者にあたるイケダには望むものを叶えられる力が宿る。
この作品は梶本さんが実際の事件の被害者の方に送ったレクイエムなのだと思います。
また、学生時代に目にした悲惨なニュースを
時間が経っても忘れること無く、それを最後まで形にされた梶本さんは本当に優しくて強い方だと感じました。
最後は輪廻転生のように、廻り回って因果を感じる展開でした。
この因果は"良縁"とも"悪縁"とも言いがたく、ただやはりこの2人の"縁"は一般的に言う"運命"と言う物なのかな…と思います。
パラレルワールドの様な世界で、そこでもお互いに惹かれ合う2人。
ただ、これはBLと言うよりも主人公が偶然男性同士だっただけで本質的な物はソコではなく
作者さんの葛藤、被害者の方への鎮魂、そういった部分が根幹にある物語だと思いました。
2人の魂がいつまでも愛に溢れて幸せでありますように。