戦とか戦争ってなんなのだろう?って強く思うんですよ、これを読んでいると。
現代版の方はあからさまに霊との戦いって感じだったので、SFものっぽくあまり戦いに感情移入が少なかったのですが、こちらの方はまさに現在進行形で語られるので辛いです。
勝っても負けても地獄って言葉をなにかの話のセリフで読んだことがありましたが、戦争ってまさにそうですよね。
霊退治するのがすごく過酷です。
しかも当の本人がまさにその怨霊なので。
怨霊になるのも仕方ないな、と思ってしまったらあとは哀しいと思うばかりです。
それは他の名もない怨霊もそうだし、残された、生きている人たちも同じです。
戦国武将の格好いい活躍ばかりが普通は目立ちますが、惨殺や殺戮はもちろん、この時代にあった兵糧攻め……水も食べ物もなくなる毎日ってどんなだっただろうと、読むたびに苦しくなります。
そりゃ化けて出てもおかしくはない。
無念は名もない人にだってあります。
それを退治するのは正義であったとしても、なんだかとても理不尽。
現代版(本編)よりも、記憶が生々しいこの時代の話にはまた違った世界観があります。
この段階ではとてもBLとは言えない作品なのに、読み物としての評価を付けました。
個人的な評価で申し訳ないです。
本編の方も全部読みましたが、歴史好きだし、SFチック(オカルトチック?)な本編よりも、歴史小説に近いこちらの方が私は好きです。
本編があるからこそのこの原点だとは思いますが、本来ならあまり陽の当たらぬ景虎という武将を丁寧に描いた作者さんに拍手ですね。
本編から遡って、作者さんが書く前に思い描いた設定がこれで明かされるって言う意味でもあると思うんですよ。
それを思うと、主役が景虎だったことや、その相手が本来なら敵方の武将であったこと、しかも有名人というよりは戦国の武将としては早い段階で死んでしまった人間を配置したこととか、作者さんの意図が想像できて面白いです。
これから先の長い年月、愛し合うと言うよりは憎む時間も続くこの主従の始まりの一歩です。
やはり直江よりは景虎の無念を強く感じて共感してしまいます。
戦国武将としてあまり意識していなかった景勝を私はこれで嫌いになっちゃったのです(笑)
以来好きでない武将なので、今年の大河は脱落しました(笑)
初読みは'99発行のソフトカバーなのでもう10年くらいになるのですね。
歴史小説に好きなものがまた一冊増えたシリーズです。
な~んか、すごく残念な気がする。
なんだろうなぁ。
アラブものの多い中、砂漠に連れ去られたらそこで幸せに~~が大半の作品が多いのに、礼一郎は必死に逃げ帰ります。
彼の王子様は他に居たって事なんですけど(そのときは本人も知らなかったけど)
連れ去られて、その間のことがトラウマにって言うのはなかなかいい設定だと思ったんですよ。
最初に書いたとおり逆にあまりない設定だし、それが逃げてトラウマならそりゃすごいトラウマだし。
傷ついても立ち直れなくても当然。
そこから救うお医者様とのラブは萌えるはずだったんですが……
なんかちょっと違う。
半分くらいは過去のモノローグでもいいので、礼一郎の心の傷をもっと具体的に覗きたかった。
大変なことを経験したので傷つきました……ではなくて、あのときこれをされてそのときにこんな傷つき方をしましたと言うのかな、ひょっとしたらページ数足り無くなっちゃうんだろうか?
でもそこが大事な気がするんです。
だからなかなか立ち直れなくて、彼を救う人が必要なんです、みたいな。
足の方も心理的なものではないと言うことで、心の動きと足の回復は別問題。
そうなると心の回復のバロメーターがなんかインパクト不足。
自殺願望もなんだかあやふやで、夢の中に居るみたいな受けからは悲壮感が半減しちゃっていて残念。
加えて攻めなのだから晴隆にはもうちょっと礼一郎に対して必死になる姿が欲しかった。
もっと傷ついている受けとそれを見て苦しむ攻めの構図がちょっと甘かった気がするんです。
なんかすべてがさらっとしてしまっている感じ。
せっかくのいい題材?がずらーっと揃っているのに、生かし切れていない。
この設定なら間違いなく泣ける素材だったのに、乾いたままでした。
すごく残念。
ほとんどが読んでから聞く、の私ですがCDの方は時間制限などもあるので小説とは違うもの、として一応考えています。
小説を先に読むのはあらすじが入っていた方がすんなり声だけでも理解できるから……と言う程度の理由。
毎回声優さん達の熱演に思っていた世界観と違ったとしても十分に楽しめます。
BLCDを聞くようになってからアニメなどでしか意識しなかった声優さんたちが本当に凄いなぁ……と思うようになったのでした。
鈴木達夫さんは失礼ながらあまり今まで意識したことなかった声優さんでしたが、松岡がはまっていましたね~~
素敵でした。
杉田さんはいつもメインでなくとも印象に残る人で、とくにフリートークで昔から面白い人だなぁ……と本編ではないところで感心させられる不思議な人です。
木原作品はどっちもどっちのキャラ達が多いと思うんですよ。
この作品でも松岡だってどうかと思うよ……みたいな場面が結構あった。
そこら辺を声優さん達が微妙な空気というか、キャラの立場というか、絶品の演技だと思います。
台本が分厚かったとフリートークでも叫んでいましたが、お疲れ様でした。
素晴らしい演技だったと拍手を送りたいと思います。
拾った子猫が不幸で同情のあげくに……と言うのはよくある話しと思いますが、大概の受けというのは淋しさをわかっていながら淋しくないフリをするパターンが多いと思うのです。
強がりというか、それがプライドだったりする。
それがこの明良は淋しいことさえ感じていない、わかっていなかったりする。
ついでに「ウリ」の何が悪いのかさえまったくわからない。
生い立ちが生い立ちなだけに、確かに生きていく為には最低限必要なものがあり、それを手に入れて何が悪い……と言われればたいていの大人は黙るしかないでしょう。
それが駄目なら盗むか死ぬしかない。
この攻めの葛城もしかり。
だから彼を連れて帰り、自分の手元で養うしかその答えがなかったのです。
そして葛城は思う、悪いのは明良ではなく周りの大人でありこの国(政治)であると。
葛城はフリーターで世の矛盾と戦っている男なのでなおさらそう思うのでしょう。
ちょっと現実に帰っても、豊かだと言われるこの国で幸せだという子供達が何割いるのでしょうね。
忙しい両親や身勝手な大人に振り回される子供達がずいぶん居ると思います。
総中流家庭と言われながら、実は生活に困っている子供達だって多いはず。
葛城でなくともちょっと考えてしまったのでした。
前半の話は無自覚な明良が哀れではありましたが、無自覚なだけに本人に悲壮さがありませんでした。
後半、葛城のアパートに住み着いた明良はそこの個性的な住人達にも可愛がられて幸せだったのですが、そこにライバル出現。
なんと葛城の甥@10歳の少年。
このチビッコに猛烈にヤキモチを焼く明良。
それは現実を実感して地に足が付いたからこそなのですが、「幸せ」を感じ取った後はそれをなくしたくないと必死になってしまう。
そこはもう16歳の明良が10歳児のレベルになってしまって本気でやり合ってしまう。
これを浅はかとか、愚かとは言えないものが漂います。
見ようによっては幼稚園児並みの対抗意識が哀れさを誘って泣けました。
やはり子供は子供らしく育って、順当に大人の階段を上がって欲しいとつくづく思ってします。
「愛とバクダン」を彷彿とさせましたが、中原さんはこういうお話が上手いと思いました。
元同級生カップルがが周りにばれて別れる、しかも相手にはそのことを告げずに自分だけが責めを負う→そして再会……と言うのはありがちなパターン。
そこにちょっと違うスパイスがあるのは、甥を育てている受け。
その亡くなった母親(姉)は唯一その当時自分を理解してくれていた大切な存在だったこと。
その姉も不倫の末に未婚で子供を産んで、誰にも理解されない恋愛をしていたこと。
脇にはその姉の不倫相手も登場(恋愛には関係なし)と、ちょっとしたスパイスも加わって切ない話でした。
一方的に別れて再会というパターンは、攻めが受けを憎んだまま再会というのも多い気がするのですが、未だに納得はしていないものの、この攻めは一歩的に受けを憎むような場面はほとんどなくそこも好感がありました(憎しみの感情もそれはそれで萌えるのですが)
育てている甥っ子もただまマセているのではなく、大人で思慮深い好感のあるキャラです。
姉の相手もしかり。
こうやって書くといい人揃いで……と思いますが、受けが学生の時に周りから非難によって受けた傷は相当深く、生きる意味を失いかけたまま送る生活にそれ以上の追い打ちがないことに安堵しました。
長編好きの私としてはもうちょっと深く掘り下げてくれても良かったのですが、あっと言う間に読んだという意味では良かったのかも知れません。
過去の恋愛に傷つき、そして幸せになった二人と思いやりのある姉とその息子に拍手!
ゆりのさんってこういう作品も書くんだぁ……と思ってしまいました。
たくさん読んでいるわけではないのですが、今まで読んだイメージがなんかすごいエッチを書く作者さんのイメージで。
この作品はわりと淡々としたイメージと内容なので、思わず同じ作者さんなのかと確認してしまいました(笑)
SFですね。
NASAで怪しい?ものを研究する部門の研究員。
それを守る軍人さん
昔のJUNEを彷彿とさせる感じがしました。
好きぃ~とか、愛してるぅ~みたいな世界ではなく、深く静かに思っている……みたいな世界です。
装丁の暗い感じが何とも言えず魅力的で(BL的でないという意味で)惹かれました。
面白い作品だとつくづく思います。
なぜこういう話を書こうと思ったんだろう……木原さん。
なかなか恋愛に進まない、でも読んでいるこっちは何となく切なくなる。
気持ちがかみ合っていない二人なのに、いずれ絶対にうまくいくと思ってしまう。
面白くて笑ってしまうシーンが結構あるし、全然恋愛じゃないじゃん!とか思いながらなぜか必ず泣けてしまう。
どうもアルの「さみしい」に弱い。
ストレートに「さみしさ」が伝わってきて、その寂しさに同化してしまう。
言葉が通じない、自分だけ命の重さが違う、両親がいるのにもう二度とわかり合えない。
この先、生きれば生きるほど淋しいことがたくさんありすぎるアル。
暁とうまくいけばいいなぁ~と応援すればするほど、でも二人の行く先は?と思ってまた切なくなるのです。
まだカップルにもなっていないのに。
コウモリに愛着が出る不思議な作品。
変わった設定が好きな作家さんですよね。
全部読んだわけではありませんが、数冊読んでみるとSFチックというか触手ものファンタジー?系が多いような気もしますが、目先が変わるように設定に工夫をしているようには感じます。
そうはいってもおそらく触手系が好きな作家さんなので(後は陵辱系かな?)好みは別れると思います。
私はそこそこエッチで変わった設定が読みたいときにこの作家さんの本を読みます。
私の中では「深刻にならずに変わった設定エッチ」のジャンルに入れています(笑)
今回は初めて宇宙もの、はっきりとしたSFものといった感じでした。
映画「トータル・リコール」を思い出しちゃいました(笑)
今回は特に虫とか変なもの?がたくさん出るのであくまで変わったものが読みたい方にお勧め。
思ったよりは気持ち悪くはなかったですよ。
木原ファンなので原作既読済み。
そして木原さんらしいウジウジ暗いキャラ(笑)
木原カラーになれていたために読み流していたのですが、コミック読んで気付いたことが。
笹川がなんなのっ?って言うキャラなのは承知だったのですが、朝霞もなんだか考えると酷い男のような?
一見笹川が朝霞を振り回しているように感じていたんだけど、無自覚?な朝霞はタチが悪いのかも?
まぁ鈍いというか、自分で踏み込んで置いて「そう言うつもりではなかった」と言うパターンはよくあるのかも知れないですね。
恋愛においては悪人も善人もないのかも知れません。
そこがまた深いのかぁ……と、木原マジックにはまったのでした。
大竹さんの笹川はイメージにぴったりでした。