催眠術や身代わりをテーマにした斬新な1冊でした。
育ての親である祖母を亡くし天涯孤独になった高校生の一慧は
中等部の教師・萩原と密かに逢瀬を重ねる関係ですが、
ある日、萩原が中等部の生徒とキスしている現場を目撃してしまい…。
母も祖母も失い、たった一人愛した男は自分以外にも愛を囁いていた。
萩原の裏切りに悲しみに打ちひしがれる一慧でしたが、
目の前に現れた男・透光から催眠術をかけられてしまいます。
そして、透光の催眠術によって萩原に裏切られた記憶は消され、
透光=萩原だと思い込むように。
萩原に成り代わった透光に愛され、幸せな日々を送る一慧。
けれど、偶然萩原と鉢合わせてしまったことにより、
一慧の催眠は解け、再び現実に引き戻されてしまいます。
催眠術で想い人に成り代わる設定といい、
16歳の男子高校生とアラサー男たちと年齢差といい、背徳感がすごい。
それでも彼らにとってはそれは純愛で。
弄ばれているとも知らずに純粋に萩原に想いを寄せる一慧が健気です。
だけど、一途な恋であると同時に一慧のそれはどこか依存性も感じさせ、
まだ高校生にもかかわらず既に両親、祖母と家族を失ってしまったという
彼の背景もあるのだろうな。
そんな一慧に対して出会って秒で催眠術をかけてくるという
第一印象が危険人物すぎる透光でしたが、蓋を開けてみれば
異常とは程遠い、地味で平凡な男なのでした。
半ば強引に一慧の恋人に成り代わったものの、
一慧に対しては優しく、彼に求められても手を出すことを躊躇い、
(最終的には抱いてしまっているのですが)
萩原と比べればよっぽどまともな大人で常識人に思えました。
そして、彼もまた一慧同様に孤独を抱える男でした。
想い人に裏切られた一慧も辛いけれど、
透光に孤独を植え付けた過去の出来事もなかなかにしんどかった…。
愛する人と愛してくれる人を失くし、ひとりぼっちだった透光と一慧。
その孤独は二人にしかわからないし、分かり合える二人だからこそ、
催眠術が解けて透光と過ごした記憶を失っても、
もう一度一慧は透光に惹かれたのだろう。
結局、催眠術にかかっていた記憶を失ったまま再び恋人同士になった透光と一慧。
身代りの愛から、今度こそ本物の、唯一無二の愛に辿り着いた二人ですが、
それは純愛というにはもっと重く、共依存という言葉の方がしっくりきました。
最後に二人の設定を見ると、12歳差もあるとのこと。
萩原はそもそも教師で生徒に手を出している時点でアウトだけど、
透光と一慧もそこそこに年齢差があり、背徳感がプンプンでした…。
タイトルからかなぜかファンタジーと決め込んで読み始めたのですが、
noji先生色がじんわりと滲みだすほこほこ救済BLでした。
編集者でグルメ記事のライターとしても活躍する
七星天道は自他共に認めるお米好き。
けれど、ある日、お米の中に潜むコクゾウムシを
発見してしまったことでトラウマに。
以来、大好きなお米が食べられなくなってしまった
七星でしたが、隣人の夢若から催眠術で記憶を消す
ことを提案されます。
はじめは半信半疑だった七星ですが、
自分の悩みに寄り添ってトラウマが蘇るたびに
催眠術をかけてくれる夢若に心惹かれてゆきます。
そして、二人の間に芽生えた友情は
やがて恋愛感情へと変わってゆき…。
きっかけは虫だし、催眠術なんて怪しさ満点だけれど、
トラウマ解消を通じてゆっくりと育まれてゆく恋模様に
ほっこりいたしました♪
ちょっと変わり者にも見える七星ですが、
まっすぐその無垢さもだんだん可愛く見えてきます♡
あまり感情が見えにくい夢若もなんだかんだで
実は裏では七星に絆されていて意識しまくっていて
年下ならではの可愛さにキュンとしてしまいました。
両想い後は予想外にあまあまなギャップもよきでした♪
結婚願望が強い会社員の蛍茶屋は合コンやマッチングアプリで
理想の結婚相手を探すもことごとく失敗してしまいます。
しまいには美人局に引っかかり、不幸のどん底にいたところを
同僚の刑部に助けられ…。
“不憫受け“という言葉がこんなにも似合ってしまう受けって
なかなかいないと思うんです。
心根は優しいのに、ちょっと天然で不器用で要領が悪いばかりに
常に向かう先は不幸が待ち受けているという感じ。
そんな蛍茶屋を放っておけず、いつも助けてくれる刑部は
まさに蛍茶屋にとってのヒーロー。
その上、蛍茶屋に一途に想いを寄せてくれているという
これ以上ない好物件なのに蛍茶屋はちっともなびいてくれません。
そんな蛍茶屋と刑部の恋の駆け引きから始まる本作。
途中までは刑部が猛アピールしてその度に蛍茶屋が絆されてという繰り返し。
最終的には刑部の純愛に絆されてようやく幸せを手にする蛍茶屋。
なのですが、物語はそこで終わってはくれませんでした。
ここでハッピーエンドであれば、
よくありがちな絆されラブということだったのでしょうけれど、
この後二人にさらなる試練が訪れます。
いつもまっすぐに蛍茶屋に向き合ってくれていた刑部に対して
選択を誤ってしまった蛍茶屋。
それまでは不幸の方から彼に寄ってくるのだと思っていたけれど、
よくよく見てみればいつも蛍茶屋自身が不幸になる道を
選択していたのかもしれないなぁと思えてなりません。
蛍茶屋が地元に帰ることが決まったとき、彼は刑部に縋るべきだったのに。
刑部を傷つけたのも蛍茶屋だし、避けられたからと言って
一方的に別れを告げたのはやっぱり蛍茶屋の逃げだったように思えるのです。
なにより、最後には刑部は見送りにやってきてくれたというのに。
どうしてその後に蛍茶屋の方から連絡を取らなかったのか…。
蛍茶屋からしたら刑部との縁は切れてしまったという
認識だったかもしれないけれど、刑部は違ったのだと思う。
その証拠に刑部はわざわざ地元に来てくれていたし、
それなのに勝手に諦めて彼女まで作ってしまって、
この辺りでは蛍茶屋よりも刑部の方に感情移入してしまっていました。
刑部が訪ねてきていたことを妹から知らされてようやく重い腰を上げた
蛍茶屋でしたが、それがなかったら二人はここで終わっていたんだろうか。
3年もの間待ち続けてくれていた刑部の愛が報われたのは心底よかった…。
対していつも自分のことばかりで刑部に愛されてきた蛍茶屋。
これからはずっと待たせていた分も刑部に愛を返していってほしいな。
巨根ストーカーVS腹黒ビッチの恋の駆け引き?もこれにて終了。
高校の同級生・沼田からパパ活の専属契約を持ちかけられた未来ですが、
前巻ラストでは旅行デートで沼田から突然プロポーズされてしまい…。
はじめのうちは沼田を金づるとしか見ていなかったはずなのに、
一緒に過ごすうちに確実に絆されてしまっていた未来。
ストーカー気質は相変わらずだけれど、
一途に想いを寄せてくる沼田に対して罪悪感を感じてゆきます。
同時に膨らんでゆく沼田へ正体不明の感情。
それは未来にとって初めての恋でした。
こんなに気持ち悪いのに、執着してくる姿すら愛おしくてたまらない。
そして、恋を自覚した未来は沼田から自立することを決心します。
ここまではエロ過多ラブ不足な本作でしたが、
いざ恋に落ちてしまうと健気な未来の変化が意外でした。
あんなに嫌だったのに独りの家に帰れば沼田を求めてしまう未来。
すっかり逆転した二人の関係になんだか感慨深いものが…。
最後は未来から沼田へと想いを告げ、
ようやく報われた沼田の10年越しの片想いにそっと祝福させていただきました。
描き下ろしは沼田が未来に片想いをすることになったエピソードが描かれています。
二人のほのぼの&あまあまなターンが戻ってきた~!
藤永の舞台が決まり、心は想い合っていても
物理的には離れ離れになって寂しかった前巻。
そんな物足りなさを取り戻すかのように
今巻ではケイトと藤永のイチャ甘がたっぷりと詰まっておりました~♪
二人の間で「付き合おう」という言葉も交わされて
ようやく正真正銘の恋人同士にもなりました!
役者として活躍し始めたことで大学や街中などで注目される藤永ですが、
周囲に気を配ってフォローしてくれるケイトの彼氏ぶりがイケメンすぎる…。
一方でこれまでに恋愛経験がないという藤永は
自分の中でどんどん膨らんでゆくケイトへの“好き”に戸惑うばかり。
初めての溢れんばかりの感情をどうしていいかわからず、
後ろからケイトに抱きついちゃったり、お泊り誘っちゃったり、
初々しさと小悪魔が爆発しておりました。
途中、手話の勘違いでキス以上に進みたいか…という
共通認識がちょっぴりずれてしまったりもするのですが、
こんな可愛いことされてはケイトも勘違いしてしまうというもの。
藤永に合わせてゆっくりと一緒に進んでくれるケイトが理想の彼氏すぎる…。
押し倒さなかったケイト、えらいぞ…!
あまあま供給たっぷりで幸せいっぱいの二人ですが、
一人暮らしを始めようとするケイトは弟に反対されてしまい…
というところで3巻はおしまい。
過保護な弟を無事説得できるのか…?
強面Sub×可愛いDomの逆転Dom/Subユニバース。
Dom:支配する方=タチ、Sub=支配される方=ネコ
という従来のDom/Subユニバースのイメージから
今作も表紙を見たらまずは可愛い方がSubだと思うはず。
ですが、いざ読み始めてみると…
外見の可愛さのせいでいつも「Domらしくない」とフラれてしまう飛羽。
そう、主人公はDomだけど見た目が可愛いDomなのです。
そして、その愛らしさゆえにSubからもパートナーとして見てもらえない飛羽。
けれど、ある日、強面なクラスメイトの田辺に「待てよ」と呼び止めると
コマンドに反応してしまい…。
Domらしくない飛羽同様に、
大柄で強面でちっとも庇護欲をそそらない強面な田辺は意外にもSubでした。
はじめは無愛想な田辺にビクついていた飛羽でしたが、
自分のコマンドにも従ってくれる田辺に可能性を見出し、
パートナーになることを提案します。
晴れて飛羽の提案は受け入れられるも、
秘密のプレイのとき以外はそっけない態度の田辺。
それでもめげずに接近していくと、絆されてゆき…
Subなのに格好良くて、だけどプレイのときは素直で可愛くて、
プレイを重ねてゆくごとに甘く解されてゆく田辺のギャップに
キュンとさせられまくりでした///
プレイのコマンドがいかにもな“命令”という感じではなく、
タイトルの通り、Domからの“おねだり“のような形としてされているのが、
二人ならではのプレイスタイルな感じがして微笑ましかったです。
重くて辛くて見てられない。
1話目を読んだ感想はそれでした。
※モブレあります。
地雷な方はご注意ください。
でも、だからこそ受けと攻めが幸せになるまで見届けねばなるまい。
そんな謎の使命感と期待に駆られ、最後まで読み切りました。
戦闘民族・レイヴェダ族のジズとその右腕のツァドは戦場で出会い、
互いに心から信頼し合う戦友として野望のために共に戦ってきました。
けれど、戦で負った怪我が原因で退役することになってしまったツァド。
戦えなくなったツァドが追放されてしまわないように
長である父に軍師として残すよう提言するジズでしたが、
父の出した答えはジズにとってこれ以上ない程に残酷なものでした。
それはツァドを集落に残す代わりに男たちの慰み者とするというもの。
それでもジズの傍で彼を見守ることができるなら、と
集落の男たちにモノ同然に乱暴に抱かれることにも耐えるツァド。
元は戦士として誇りをもって戦ってきた彼の気持ちを考えれば、
それがどれ程の苦しみか痛々しい程に伝わってきます。
そして、ツァドに対して戦友以上の気持ちを抱いていたジズもまた。
目の前で大切な相手が男たちに凌辱されるなんて地獄すぎる…。
それも全ては自分の提案が原因なだけにツァドに対する罪悪感と
愛する人を助けることも出来ない不甲斐なさで胸を圧し潰されるジズ。
けれど、ある日、ジズとツァドの野望を知った軍人を
ツァドが殺してしまったことで物語は大きく展開してゆきます。
ツァドを生かすため、共に生きるために次期長の立場も投げ出して
ツァドを連れて集落を出奔したジズ。
やれるのならもっと早く実行してあげれば…と思わないでもないけれど、
ようやく地獄から脱した二人にホッとした気持ちに。
けれど、次期長が姿を消したことで集落から追手がやってきます。
ただ、追手に選ばれたのはツァドの不幸な境遇にも二人の関係にも
理解のあるジズの実弟でした。
どちらかというと自分を助けるために全てを捨てようとするジズに反対し、
集落に戻って長となるよう説得してくるツァドの方が手強かった…。
ジズ→次期長の立場も集落を捨ててでもツァドと行きたい
ツァド→自分の命を捧げてでも集落に戻ってジズを長になってほしい
と主張がすれ違い平行線な状態になってしまう二人でしたが、
(痴話喧嘩めいた言い合いを目の前で延々と見せつけられる弟、可哀想…)
ジズがとんでもない覚悟を見せてくれたお陰で最後はツァドが折れることに。
まさに「命を懸けて」ツァドへの愛を証明したジズが男前でした(痛そう…)。
男たちに抱かれることを耐え続けてきたツァドの健気さもすごかったけれど、
ジズのツァドさえいてくれれば他はどうでも良いという愛の重みも強烈です。
大切なものを失いながらも、互いへの愛を選びとったジズとツァド。
ぎこちなく身体を動かしながらも手を取り合って支え合う二人に
最後は救われた気持ちになりました。
今まで辛いことばかりだった分、末長く幸せが続きますように。
旧版は電子で読んではいたのですが、
完全版が出ると聞いてこれを機に紙本で購入し直しました。
いや、これすっごい厚み…!!!
描き下ろしに過去の特典なども収録されてまさしく“完全版”でした。
紬と煌成は幼馴染だけれど、
煌成は名家の御曹司で、紬は使用人の孫で、越えられぬ身分差のある二人。
そんな二人には子供の頃からの秘密があります。
それは紬のおっぱいを煌成に吸わせてあげること。
子供の頃に始まった秘密の習慣でしたが、
高校生になった今でも続いていて…。
字面だけで説明するとうわぁってなるな、これ。
紬の母性と煌成がイケメンがあってこそ許されるやつ。
だけど、その行為の間だけは昔のままの二人の世界で、
なんだか神聖な儀式めいて見えるんですよね。
煌成は紬への執着はダダ漏れなのですが、
紬を守るために普段は冷たく見える態度をとってしまったり、
紬への消化し切れない性欲を発散するために娼婦を抱いていたり、
愛情表現が不器用すぎて途中まではじれもださせられまくっておりました。
外見やステータスからも一見スパダリっぽく見える煌成なのですが、
蓋を開けてみれば甘えたでわがままで不器用なヘタレ坊なのでした。
子供の頃にはそんな親の愛情に恵まれない煌成の“おかあさん”として
世話を焼き、おっぱいを吸わせ、孤独だった煌成に愛を注ぎ救ってくれた紬。
けれど、成長するにつれて変わってゆく煌成と気持ちがすれ違ってゆき、
こっそり想いを寄せながらも女を抱くために出かけてゆく彼を
見送る紬の表情が切なすぎました。
煌成、ユルサナイ…。
一方で儚げに見えながらも煌成を慕う周囲からの妬みにもめげず、
煌成の将来のために身を引いて一人お屋敷を出ていったり、
芯の強い紬がいじらしくて格好良くて心から大切にしたくなる
お子でもありました。
ひたむきで愛らしい笑顔…まさしく天使?いや、聖母?
煌成からも双子からも愛されてやまないのも納得の愛くるしさでした。
途中まではひたすら紬が不憫で切なくて、
煌成にはじれもださせられっぱなしだったので、
紬が自分の元へ去ってから抜け殻のようになってしまった煌成に
ザマァと思ったり、思わなかったり(性格悪い)。
とはいえ、その放心っぷりに紬への底知れぬ愛も伝わってきて、
方法は下手くそだったけれど煌成も彼なりに紬を愛していたんだな、と。
だからこそ、その後、屋敷を去った紬を追いかけて
田舎までやってきた煌成にはそこまで驚きはしませんでした。
煌成は紬がいないと生きていけないので。いつかやると思ってた。
一度、紬というかけがえのない存在を失って、
そこからは家への体裁も格好つけもなりふりも構わずに、
紬だけを見つめて、追いかける煌成に愛が感じられて良かった。
再会後は不器用なりに紬のために変わろうとしてるのが伝わってきて、
ちょっと甘えたな一面も垣間見えたりして、可愛く見えてしまいました。
二人が紆余曲折の末にハピエンに辿り着けたのは
ひとえに双子や義兄の助けがあったからこそ。
誰一人脇役としてではなく、本当の家族のように信頼し合う
彼らの関係性が素敵でした。
ものすごい厚みに違わず、読み応え抜群の1冊でした。
え?前巻で完結じゃなかったの?とびっくりしたけれど、
番外編は電子単話でしか読めないと思っていたので
1冊にまとめて下さって感謝しかありません!
本作は天星とレイのクッソ甘デートエピソードや過去編、
子供たちが生まれた後日談を描いた番外編が4編と、
天星の兄・皇佑のスピンオフ2編が収録されておりました。
子供たちが生まれて幸せいっぱいではあるけれど、
イチャイチャ不足で悶絶してしまう二人にニヤニヤしちゃいました。
子供が産まれても変わりなくバカップルな二人、最高です!
皇佑編についてはお相手のαの存在はこれまでも匂わされてはおり、
こんなプライの高いαをΩにしちゃうなんて…
さらに上を行く俺様攻め?とか色々妄想を繰り広げていたので、
ようやくお相手を拝めたのとΩに変転したきっかけのお話が読めて
嬉しかったです!
これまでのような1冊全体を通しての続きものではないので、
読み応えとしては少々あっさり感はありますがこの1冊で
色んなエピソードが読めてしまうのはおいしくもありました。
そして、予告ページによりますと新シリーズも始動予定だとか…。
まだ番にはなっていないようなので兄カプの続編?
天星×レイ編もあるのかな?と今から楽しみでたまりません♪
なになに?
“死後にはじまる地獄の同棲ライフ”?
ダヨオ先生のファンタジーですって!?
しかも、なんだかドタバタコミカルな雰囲気?
いつもと少しテイストの異なるあらすじに
わくわくしながら手に取りました。
詐欺師・鷺ノ宮楽は工事現場の落下事故で
22歳にしてその短い生涯を終えてしまいます。
けれど、次の瞬間 目を覚ますと、
なぜか目の前には高校時代の同級生・豪徳寺学の顔が!
思わぬところで人生で一番再会したくなかった男と
再会を果たしてしまった楽。
それだけでも最悪なのに、さらに豪徳寺が言うには
この地獄世界で豪徳寺と同棲しなければならないらしく…。
始まってわずか2ページで主人公が死んだかと思いきや、
地獄で攻めと再会して同棲生活がスタートってなんだそりゃ?
スピーディーかつぶっ飛んでいてファンタジックでいて、
めちゃくちゃ面白い!
はじめのうちはことあるごとに学を冷たく突き放していた楽ですが、
どうやら彼が生前に犯したいくつもの罪の根源が
“学の差し伸べた手を振り払ったこと”にあるらしく、
学を拒み、罵声を浴びせる度に自身に“罰”が降りかかるのでした。
その罰というのがタライが落ちてくるシステムだったり、
どこかお笑い番組の罰ゲーム的でいちいち笑ってしまう。
そんなタライにもめげずに?懐いてくる学に抗い続ける楽でしたが、
徐々に絆されずにはいられなくなってゆきます。
というのも、本当は生前から学に特別な感情を抱いていた楽。
だけど、いじめられっこだったくせにいつの間にか自分を追い抜いて
どんどん先に行ってしまう学を好きだなんて認められなくて、
結局素直になれないままに学とは疎遠になってしまったのでした。
すっかり格好良くなったくせに中身は昔のままで楽一筋で、
あまりにもひたむきに愛情を注いでくれる学に
次第に気持ちを押し込められなくなってゆく楽。
それでもなかなか素直になってくれない楽でしたが、
いざ学が消えてしまうと知ると全てをかなぐり捨てて学の元へ駆け出し、
「お前がいないといやなんだっ」とやっと本音を吐き出しす姿に
なんかもう堪らなくなってしまいました。
これが楽の本音で、ずっと言いたくても死ぬまで言えなかったこと。
生きていた頃からこんなに両想いだったのになぁ…。
ラストは楽の愛の力?で消滅しかけていた学も元通りになり、
今度こそ地獄でのイチャあま同居生活をスタートさせます。
死後の世界なのに現世みたいに仕事をして、ごはんも食べて、
年も重ねてゆきます。
そうして、最後の最後には死期も訪れて、学を看取った楽。
ここ…なんか…泣けてしまって…。
ダヨオ先生の作品って恋人同士になった二人が年を重ねてゆく描写が
結構あるのですが、それが幸せで、だけど、それはお別れもセットで
いっつも泣かされてしまうんです。
今回も年老いて、学を看取って、
その後学と再会するために何度も転生して…
何度も輪廻転生を経てやっと再会できて、
今度こそ幸せそうに笑う二人を見たらもう涙がぶわわっと溢れちゃってました。
ああ…いつも最後はこんな感じで号泣させられちゃってます。
今生こそ末永く幸せに添い遂げて…。
描き下ろしでは転生後の二人のお話。
生まれ変わっても前世の記憶をもっていた楽と
残念ながら記憶を失ってしまっていた学。
前世での愛の思い出が共有できなくて寂しかったけれど、
最後は思い出してくれたみたいで心底嬉しかった…!!