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女性kaya。さん

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かわゆいじれもだ

なんだこの可愛い奴らは~!
と読みながら何度ニヤニヤしちゃったことでしょう♪

目つきの悪さや性格が災いしてぼっちな日々を送る大学生の猪田。
ゲイであることを自覚してゲイバーでバイトはしているけれど、
恋愛もセックスも経験はなし。

ある日、ゲイバーのママや客と話しているうちに
誰でもいいからセックスをしたいと思うようになり…。
大学で女子も男子も来るもの拒まずの同級生の萩田に
自分とセックスをしてほしいと頼み込むが断られてしまいます。

けれど、実は萩田は猪田に片想いをしているのでした。
本気の恋すぎるゆえに猪田の申し出を断った萩田でしたが、
猪田が誤解してしまい…。

無愛想さから考えていることがわかりづらい猪田と
ガチ恋すぎて一歩引いてしまう萩田。
互いに好意を抱いているのに、勘違いが交錯して
すれ違ってしまう2人にじれもだしてしまいました!
萩田…怖気づいてないで早く告白して~!

萩田と過ごすうちに少しずつ恋を自覚して
密かに一喜一憂している猪田が初々しくて可愛かったです♪
人付き合いの経験があまりないから感情表現が下手なだけで
実は猪田ってめちゃくちゃ可愛いのかもしれない…!

青に初恋 コミック

鯨屋ひみ 

警察官の恋

新米警察官×先輩警察官のピュアな恋。

新米警察官の汐見は先輩警察官の佐野に片想い中。
けれど、佐野には結婚を控えた恋人がいて…。

報われない片想いに胸を痛める汐見が切ない…。
けれど、その後、幸運(佐野にとっては悲運ですが)にも
佐野の婚約は破棄となります。

佐野への想いを諦めることも出来ずにいた汐見は
彼の傍で想いを寄せ続けます。

けれど、佐野はノンケで、警察官としても先輩なわけで。
どれだけ想っていても気持ちを伝えることはできず、
気持ちを抑え込んでいた汐見ですが、
ある日、酒の酔いに任せてキスをしてしまいます。

はじめは酔っ払いのすることと相手にしていなかった佐野ですが、
二度目のキスで汐見を意識し始め…。

はじめは気持ちを伝えることも諦めていた汐見でしたが、
一人の人間として寄り添ってくれ佐野にずっと秘め続けてきた
想いを告げます。

過去の恋愛のトラウマから恋愛に踏み出せずにいたけれど、
汐見の想いの強さを知ると受け容れようと思い直す佐野。
そこに至るまでは決して唐突さはなく、
少しずつ汐見の気持ちに向き合ってゆく誠実さがよかったです。

その後の汐見とのお付き合いに関しても両者共にノンケということもあり、
いきなりセックスに至るなんてこともなく、ゆっくり気持ちを育みつつ、
身体の準備も一緒にしてゆくという流れに二人の愛情が感じられました。

初恋の再燃

可愛らしい絵に反してシリアスでした。
だけど、この読後、重くてズシンとのしかかってくるような余韻が
案外嫌いではなかったりする。

中学生男子2人が性行為(をこれから致そうとするところ)を
母親に目撃されてしまう、という衝撃的なはじまり。

中学生だった潤とミチルは同級生で互いに惹かれ合っていました。
だけど、まだ幼かった二人は友情と恋情の間で葛藤していて、
ある日、二人きりになった彼らは感情の昂るままにキスをしてしまいます。
そうして、キスからベッドになだれ込んだところで潤母が現れ…。

元々繊細で激しやすいところがあったという潤の母親は
ヒステリック状態に陥り、ミチルの母親を大きな声で罵倒し、
ミチルの性的指向のみならず人格をも否定するような酷い言葉を吐きかけます。
まさに修羅場。
思春期真っ只中のミチルがそんな言葉に傷つかないはずもなく、
後日ミチルとその母親は地元を去ってしまいます。

それから時は経過し、17歳の春。
ミチルがアルバイトをする喫茶店に潤が訪れます。

それは偶然にして望まぬ再会で。
久々の潤を目の前にして胸は高鳴りながらも、
心は彼との再会を喜べないミチルは潤を避けようとします。

けれど、咄嗟に潤から呼び止められた台詞が
偶然にも初体験の時と同じでミチルは足を止めてしまいます。
そして、喫茶店に通ってもいいかという潤を拒むこともできず、
以来二人は再び頻繁に会うように。

中学時代に傷ついた心はまだ癒えていないけれど、
潤に会いたいという気持ちは抑えられないミチル。

そんなちぐはぐな葛藤を抱えながら、
夏休みに入ると喫茶店以外でも逢瀬を重ねるようになっていました。


潤と会えば心はときめき、会えないときも彼を想ってしまうミチル。
もはや誤魔化し切れない初恋の再燃。

もう潤と会うのはやめなければ、と決心した矢先、
潤とデートしているところをバイト先の同僚に目撃されてしまいます。

会ってはいけない潤といるところを誰かに見られてしまった。
それはミチルの中に植え付けられたトラウマを呼び起こすには
十分すぎる出来事でした。

そして、今度こそ順に別れを告げたミチル。

とはいえ、物語がそこで完結するはずはなく、
ミチルを手放したくない潤は行動を起こします。

かつて、母親によって打ち砕かれた初恋。
中学時代の一件後も潤の母親は彼の性的指向や進路など、
あらゆることに干渉してきました。
その度に母にとっての都合のよい息子を演じ、宥めてきた潤。
けれど、ミチルと再会し、もう一度恋に落ちた潤は遂に母と向き合うことに。

離れ離れになったときからミチルへの気持ちは片時も変わることなく、
彼だけを一途に想い続けてきた潤でしたが、その恋がようやく実ったのでした。

ミチルとの再会後触れることのできなかった過去を掘り起こし、
今も昔もミチルのことが「好きだよ」と気持ちを伝えた潤。

本当なら中学生のときに母親にバレたときも、
ミチルのことを守ってあげてほしかった。
だけど、中学生が背負うには重すぎて、
だからこそ、周りの大人が話を聞いて受け容れてあげて欲しかったのに、
よりにもよって味方になるべき母親から拒絶されてしまったのは
2人にとってあまりに不幸な出来事でした。
大人に振り回された二人の初恋が不憫すぎる…。

母の元から巣立ち、自立の道を歩み出した潤。
そんな彼を見て変わろうとし始めたミチル。

まだ完全には母親の手から逃げられたわけではないし、
二人の関係は相変わらず誰にも言えないままで、
付き合い始めたものの潤の進学によって遠距離恋愛だし、
まだまだ多難の予感はあります。
だけど、潤もミチルも少なからず一歩は踏み出せていて、
親には恵まれなかった彼らでしたが、
バイト先の同僚など二人の関係を受け容れてくれる人もいて、
未来はほんのり明るいように思えました。

本作で描かれた二人の季節は夏でしたが、
いつか冬の季節を過ごす二人の後日談も見てみたいなぁ。

超絶両片想い

これぞ両片想いの醍醐味!

スポーツカメラマンの相澤は高校時代の先輩・武藤に片想い中。
高校卒業後は海外の大学に進学し、以来会えないままでしたが、
社会人になった今でも諦め切れずにいました。

ずっと密かに追いかけてきた武藤のSNSも更新がなくなり、
いよいよ諦めるしかないと思いかけていたある日、
行きつけのゲイバーに武藤が現れて…。

てっきり相澤の一方的な片思いと思いきや、
武藤もまた高校時代から相澤への想いを秘めていました。
そして、友人からたまたま聞いた相澤の目撃情報を元に
ゲイバーに通いつめ、偶然を装い再会を果たしたのでした。

5年前から既に両想いなのだから、あとは想いを告げるだけ。
なのですが、武藤は雄み溢れる見かけによらずヘタレだし、
相澤は拗らせまくっているしで進展しそうで進展しない!

酔いに任せて自宅にお持ち帰りするも怖気づいて丁寧な前戯のみで
次回に持ち越してしまう武藤に良いところでお預け食らわせやがって!と
肩透かし食らってしまったのは相澤だけではなく読者もでした笑

その後も週末デートを重ねるも学生ばりに健全なデートばかりで
ちっとも進展しない関係に相澤も次第に不安を募らせ始めます。

大切だからこそ告白→お付き合い→エッチと正式な手順を踏みたい武藤と、
恋が叶わないならせめて1度でいいから抱かれてみたい相澤の
見事なすれ違いっぷりに悶絶させられっぱなしでした。

ただ、散々じれもださせられはしたものの、
武藤も相澤もお互い以外は眼中になくひたすら一途なので
この2人がくっつかないことなどあり得ないとわかってはいたので、
恋が実る瞬間を待ちわびてページをめくる楽しみがありました。

武藤の友人の発言によって相澤が武藤に他に本命がいるという
斜め上の解釈をしてしまって武藤からの告白を断ってしまうことすら
その後の展開のスパイスでしかなく、一度フラれた後の武藤の
「俺は相澤じゃなきゃだめだから」という一途攻め渾身の告白は
もうときめき不可避でした///
相澤が見ていないところでは割とヘタレっぱなしな武藤ですが、
決めるときにはキリっと決めてくれる格好良さがありました♡
両想い後のエッチでは不慣れな相澤を優しく気遣いつつも
ねちっこい攻めっぷりに長い間我慢してきた相澤へのド執着愛を
感じさせました。

拗らせに拗らせた末の両想いということで歓びも一入なだけに
恋が叶ったその後ももう少し見たかったです。
ただ二人がイチャイチャするだけとかでも全然ありがたいので
番外編とかいつか出ないかしら。

糖度爆上がりな恋人編

恋人編をありがとうございます…!と
お礼を申し上げずにはいられない満足度500%な1冊でした。
イチャイチャもエロも満載でお腹も心も満たされまくりです。

前巻で大学の先輩である慎士と紆余曲折の末に晴れて恋人になった諒。
今作はそんな二人の蜜月を描く後日談となっております。

もう、とにかくあまあまの連続でした…。
特に前巻では寡黙クールな印象だった慎士が
キャラ変かと思うレベルでデレ大放出でご褒美すぎました。
大学構内で諒の顔を見たい一心でわざわざ別学科まで会いに来てくれたり、
誰にも諒をとられたくなくて子供みたいな約束で諒を独占しようとしたり、
それがはじめから終わりまでずっと続いているものだから、
糖分供給過多で幸せフェロモンがずっと出っ放しでした。

諒は諒でこんなにも溺愛されているのに相変わらず控えめで
健気でいじらしくて、愛でたい欲を刺激されっぱなしでした。

今回は諒の憧れの先輩である楓が登場し、当て馬?的役割を演じています。
とは言え、諒の友人である佐原のフォローによって
被害は最小限に抑えられてはいるものの、
慎士はしっかりと嫉妬しちゃってくれています♡

でも、どんなときでも互いに言葉にして気持ちを伝える努力を
惜しまない二人なので、すれ違うこともなく最後まで安心して
読むことができました。

むしろ、楓の存在が二人の蜜月に
さらなるスパイスを追加してくれてよかったのかも?

そして、後半では諒狙いかと思われた楓の想い人が実は…!?と
予想外な展開を迎え、そちらの続きも気になってしまいました。
続編かあるいはスピンオフか?
またまた後日談が読んでみたくなってしまいました。
慎士と諒のお話としては完結しているからスピンオフになるのかな…?
そっと期待を胸にお待ちしております!

秘密の性癖を暴かれて、甘やかされて

いわゆるフェチものでしたが、めちゃくちゃにあまあまでした。

大学生の湊斗は小学生のときの経験がきっかけで
他人から支配されることに快感を覚える自らの性癖を自覚するように。

誰にも言えず、密かにマッチングアプリで恋人探しをする湊斗でしたが、
友人の琉生に知られてしまいます。

引かれてしまうと焦る湊斗でしたが、琉生からプレイを提案されて…。

相手から体の自由を奪われて支配されることに興奮を覚えるという
性癖をもつ湊斗ですが、琉生の攻めっぷりは一般的な痛みを相手に与えて
快感を得るようなSのそれとはかけ離れ、優しく糖分過多な甘Sでした。

体に触れる手も、言葉責めも、とにかく甘くて、
言葉にせずとも湊斗への愛もダダ漏れな溺愛攻めの極致でした。

けれど、一方の湊斗はそんな琉生の気持ちには気付いていないどころか
積極的にプレイに付き合ってくれるのも友情としか捉えておらず。

琉生視点に切り替わると、実は彼が高校時代から湊斗に片想いしており、
湊斗の恋愛対象が異性でどうせ恋人になることができないなら
せめて友人として傍にいたいと想い続けてきたことが判明します。
それだけに健気に尽くすも報われない琉生が不憫に思えてきてしまいました。

いざ告白されても戸惑いの方が大きく琉生の気持ちに応えられなかった
湊斗ですが、琉生から距離を置かれたことで彼への気持ちが友情以上で
あることを自覚し、最終的には通じあえてよかったです。

一度は湊斗に失恋した(と思い込んだ)琉生ですが、
そのときの荒みようが普段の穏やかでスマートな彼とはかけ離れていて
ギャップがあり、逆にぐっとくるものがありました。

テンポよく展開し読みやすかったけれど、全4話ということで少々物足りなさも。
できれば恋人同士になった後に甘やかし・甘やかされ度がさらにパワーアップした
二人のイチャイチャ後日談をもう少し見てみたかったです。

めんどうくさい二人

上巻から引き続き。

付き合い始めて10年が経つ拓海と類。

拓海はいつも友人たちに囲まれていた類が
彼らと縁を切っていたことを知ります。

自分との恋人関係を守るために類が友人たちを切ったことを知った拓海は
罪悪感に苛まれるように。
なんとか友人たちと復縁をさせようと奔走する拓海ですが、
一方の類は頑なにそれを受け容れようとしません。
そして、ある日、拓海から別れを告げられてしまい…。

上巻よりもいっそう込み入ってきた下巻。
二人とも互いを想い合っているのにきちんと相手が見えてないから
すれ違ってばかりでもどかしい…。

最終的には互いの想いを受け容れるに至りますが、
そこに至るまでが長いことよ…。
不器用な二人の愛の物語でした。

甘いだけではない

高校時代から現在へ至る二人のお話でした。
上下巻というのもあるけれど、上と下、それぞれも大ボリュームでした。

陽キャな水谷類と陰キャな五十嵐拓海は
高校時代の同級生で現在は付き合ってからは10年が経つ恋人同士。

退職して自らを見つめ直す機会を経た拓海は
類の恋人として自分がふさわしいのか考えるようになり…。

現在と過去を行き来しながら物語は描かれてゆきます。
一応過去と現在では二人の容姿は異なっているものの、
頻繁に切り替わりがあるため、時折迷子状態になってしまいました。

また、10年の年月を経ても互いへの想いは全く色あせることのない
バカップルなのですが、自己肯定感尾低い拓海が類に対して
精神的負債のようなものを抱えていたりします。

ひたすらに明るく見える類もどこか重みのようなものを抱えていたり、
ほのぼの・あまあまなものを想定していましたが、
どうやらそれだけではない模様。

上巻では少しだけ二人の気持ちが歩み寄り始めたように見えましたが、
未だ解決には至っておらず、下巻へ続きます。

ただのαとΩの物語

迷うことなく神評価をポチらせていただきました。

もうね読後の余韻がね、すごいのです…。
ラストの台詞なしの1ページで涙がボロボロと。
その前から既に涙ぐんではいたものの、
穏やかな二人の表情にもう涙腺崩壊でした。

長い間苦しんで、離れ離れになって、
切なさに胸が押し潰されそうになるけれど、
だからこそ辿り着いたこの結末は
二人が苦しみを乗り越えてきた結果で、尊くて…
夜明けのBLがお好きな方には嵌る作品だと思います。


物語は少子化に歯止めをかけるためΩによる出産代行、
バース提供制度が存在する世界観です。
あらゆる能力に優れた100人に1人の特級α・有磨礼は
その生まれもった希少性から常に周囲の注目の的でした。

ある日、逃げ込んだ美術室で同級生の大関司と鉢合わせます。
これまで礼を特別視してきた周囲とは違って
“特級α”の価値を「くだらない」と一蹴してくれた司。

以来、二人きりの美術室で一緒に時間を過ごすように。
特級αではなく、ただの同級生の有磨礼として自分を見てくれた司に
心惹かれてゆく礼。
それは司も同じで、彼がΩであると知っても
変わらずに接してくれる礼に想いを募らせてゆきます。

ここまではキラキラと眩しい青春ラブストーリー。
あとは想いを告げるだけ…というところで、
一人の男によって二人の純愛は引き裂かれてしまいます。


βの教師・北見に襲われてしまった司。
その直前まで礼の部活姿を愛おしそうに見つめ、
明るい未来に想いを馳せていたというのに…
あまりに残酷な展開に胸が痛くて苦しくて堪りませんでした。


その事件後、司は高校を中退し、
礼も彼の身に何が起きたかもわからないまま離れ離れに。


それから10年の月日が経ち-
二人は偶然再会を果たします。
けれど、久々に再会した司はΩとしての機能が著しく低下し、
妊娠することができない身体になっていました。

10年経っても礼への想いは捨てきれなかった司。
けれど、自分たちの絆はもう戻ることはない、
そう自分に言い聞かせる司でしたが、突然バース研究所から連絡が入ります。

心当たりもなく呼びだされるままに研究所を訪れた司は
医師から不妊治療の被験者にならないかと提案されます。
それは礼による司への救済でした。

高校時代、突如司が姿を消した真相を知ってしまった礼。
過去のレイ●がトラウマでΩとしての機能を失い、
それでも「身体が元に戻ったら好きな人と家族になりたい」と
苦しみながらも希望を捨てない司の助けになりたいと願います。

そして、司には内緒で彼のドナーパートナーとして精子提供を行うことに。
その行動にはこれまで頑なに自分の遺伝子は残さないと宣言してきた
礼の司への想いの強さを感じさせました。


何度も出産代行に挑戦するも上手くいかず、
「赤ちゃん…欲しかったな…」と小さく呟く司に胸が締め付けられました。
本当なら高校時代に二人は想いを通わせて家族になっていたかもしれないのに。
一人の卑怯な男によって人生を奪われた司をお願いだから誰か助けて…と
祈らずにはいられませんでした。


普段は何事も淡々とこなし理知的な礼ですが、
司のこととなると怒ったり、理性的な行動ができなかったり、
いつもと変わらず冷静に見えて、その内では揺さぶられていました。

愛する人を救いたくて、だけど、どうすればいいのか試行しては迷い、
その姿は完璧な特級αなどではなくただの恋する不器用な男でした。


礼との触れ合いが引き金となりΩの機能が復活した司に
礼は不妊治療のドナーパートナーが自分であることを明かし、
やっと、ようやく…10年越しの両片想いを実らせたのでした。
10年は長い…でも、本当本当によかった…。
昔みたいに無邪気に笑う司の笑顔に、
愛おしくてたまらなさそうに司を見つめる礼に多幸感で満たされました。

本作は(北見を除き)登場人物の誰もが個性的で魅力的です。
中でもメイン2人に次いで大好きなのが高校時代の同級生・高橋さん。
一見モブ顔なのですが、そっと2人を見守ってくれる名脇役なのです。  
そして、司の心も体も深く傷つけた上に一度は2人を引き裂いた
悪の根源・北見の再登場時には司も礼も、読者も彼女の鉄拳によって
救われたといっても過言ではありません。
10年間、司が独りで耐え抜いてきた苦しみを、怒りを代弁するように
高らかに正義の拳を叩きつけてくれるシーンは本当に胸がすっとしました。
北見のしたことを考えるとこれでも全然足りないくらいではありますが…
高橋さん、みんなの心を救ってくれてありがとう。

二人は結ばれて、悪も倒されて、これぞ完全無欠のハッピーエンドでした。
できるならその後の二人ももう少し見たかったけれど、
同人誌で二人の初夜編が出されるみたいなのでそちらをお待ちしたいと思います。
商業作品は今作が初のようでしたが、本作ですっかり惚れこんでしまい
既刊の同人誌の方も俄然気になってまいりました。

無自覚両片想いにもほどがある

本作はいわゆる両片想いもの。
ただ、2人とも恋というものに無自覚なのです。
周囲から見たら発言も行動もどうみたって両想いなのに、
それを恋だと自覚できずに無自覚にイチャイチャする二人に
笑って、萌えて、悶絶し通しでした♪

昔住んでいた町に戻ってきた高校生の和真は
転校先の高校で思いがけず幼馴染みの“ナギちゃん”と再会します。

けれど、美少女ばりに愛らしかったナギちゃんこと凪は
立派なヤンキーに成長を遂げていて…!

金髪ピアスに喧嘩に明け暮れ…とどこからどう見てもヤンキーな凪でしたが、
和真を前にすると昔の“ナギちゃん”に豹変し(外見はヤンキ―凪のまま)、
大きな図体で和真に甘えたり、可愛いこぶってみたり、と
中身と外見のちぐはぐっぷりに爆笑しっぱなしでした。

そして、そんな(ヤンキーな)凪を前に臆することなく、
むしろ昔の可愛いナギちゃんのままだと凪を愛で
(カズくんの脳内では常に凪=昔のナギちゃんに変換されている)
「可愛い」「大好き」と恥ずかしげもなく口にする和真が男前(天然?)でした!

そうして互いを「ナギちゃん」「カズくん」と呼び合い、
周囲も気にせず甘ったるい言葉を吐き合うイチャイチャっぷりな二人でしたが、
なんとこの2人、それが恋だとは全く自覚しておらず…!?

クラスメイトの「それ、ボーイズラブってやつなん?」という一言で
ようやく恋愛の可能性を意識し始める二人にじれもださせられちゃいます。

その後、二人の前に第二のカズくん信者(一人目は凪)が登場し、
二人の間に介入しようとしたり王道的ラブコメ展開に笑いっぱなしでした。
凪にしろ、当て馬にしろ、自分よりも長身でイケメン男子たちに
盲信的に愛されちゃう和真の魔性っぷりが凄まじかった…笑