待ちに待った蜜月編!
前巻で敵対関係になったダンテとジーノ。
互いに理由はあれど、想い合う二人が
傷つけ合う展開がしんどすぎましたが、
そんな苦しい道のりがあったからこそ
待ちに待った“両想い”に喜びも一入でした♪
宿敵のトスカニーニの跡継ぎだったダンテですが、
もう一度ファミリーへの誓いを経てジーノの元へ
戻ってきます。
下っ端からやり直しという制約はあれど、
念願のジーノとのイチャ甘恋人ライフに
「いま俺、ちょー幸せだから」と浮かれまくるダンテ。
一方のジーノも表面上はボスとしてクールに振る舞うも
ダンテとの再会に幸せがダダ漏れです!
ツンデレのツン封印でデレまくるジーノにニヤニヤが
止まりません♡
場所もお構いなしに人目を忍んで激しく身体を繋げる二人。
まさかあのジーノがこんなにも積極的にダンテを
求めるようになるなんて…(嬉しい震え)
そして、トスカニーニの現ボスの妻であり、
ダンテの母親が殺された事件の真相も明らかに。
前巻では実兄に殺されていたとされていましたが、
その真犯人は別にいました。
これまでもジーノやダンテを見守ってきた
ガルディノファミリーのボスが実妹を殺すなんて
信じられなかったので真相にホッとしました。
そして、これで大団円!と思いきや、
謎の新キャラ登場匂わせで次巻ヘ続くようです。
高校生の岳と翔平は子供の頃からの幼馴染み。
一時は離れていたこともあるけれど、
高校進学でまた同じ学校に通い始めたことで
ますます翔平に依存してゆく岳。
そんなある日、岳は翔平の自慰現場を目撃してしまいます。
しかも、翔平は行為の最中に岳の名前を呼んでいて…。
物語は岳視点で進んでゆきます。
子供の頃から翔平だけが好きな岳。
それは高校生になった今も何も変わりません。
可愛くて、優しくて、岳にとって
ただ一人の特別で、独り占めしたい人。
ああ、片想い…と思いきや、まさかの恋に無自覚でした。
子供の頃から変わることなく無垢なままの岳。
だけど、それゆえに翔平に対する態度にも
誠実さよりもどこか好奇心のようなものが滲み、
「付き合おうか」と提案するも翔平からは
「ただの好奇心」と突き放されてしまいます。
それでも翔平への好意も独占も諦めきれない岳はアプローチし続けます。
いつものように甘やかしてくれて、キスも触れるのも許してくれるのに、
恋人同士になることだけは受け容れてくれない翔平。
岳視点だと、自分のことを好きなくせに
なかなか素直になってくれない翔平にじれもだ状態なのですが、
翔平の気持ちもわからなくはないような気がします。
翔平が岳に抱くのは胸の痛みを伴う切実な想いで、
対する翔平のそれは子供がお気に入りのおもちゃへの独占欲のような、
違いがあるように感じてしまうのです。
岳という男のことを誰よりも知っているからこそ、
長年片想いしてきた翔平としてはそんなおままごとみたいな“好き”では
不安になってしまうのもわかるというもの。
岳のそれも母親に植え付けられた恋愛トラウマが原因ではあるのですが…
ずっと好きだった岳から「好き」と言われているのに、
その度に喜びと複雑さが入り混じった表情を浮かべる翔平が切ない。
そんな翔平の気持ちも知らずに無邪気に甘え続ける岳が残酷に思えてきます…。
限りなく両想いに近いのに、あと一歩のところですれ違い続ける二人。
両想いと片想いの間で悶絶させられっぱなしでした。
けれど、翔平を失いかけてようやく自分の中の恐怖心と向き合えた岳。
ずっと伝えられなかった脆さも執着も洗いざらい打ち明ける岳に
どんだけ翔平のこと好きなの…と改めてその重みと純愛にを噛みしめました。
泣きながら、縋るように気持ちを伝えてくる情けない姿も
こんなのもう絆されずになんかいられません…これぞヘタレ攻めの鑑!
恋人同士になって、キスよりも先に進もうとする二人。
珍しく攻めみ満点の表情で押し倒してくる岳ですが、
ピュアすぎて「やり方がわかんない」というオチはちょっと笑っちゃいました。
後日、ちゃんと勉強して、翔平のリードの元結ばれますのでご安心下さい。
拗らせたりすれ違ったりはしていたものの、
なんだかんだで終始イチャイチャしていた気がします。
距離バグ気味な幼馴染み達に癒されたい方はぜひ♪
ゆっくり、着実に、二人の愛が深まる2巻♪
はじまりは恋ではなくて、
誠からの「付き合ってください」に流される形で
なんとなく恋人同士になってしまった聖でしたが、
一緒に過ごすうちに誠への好きを自覚し始めます。
今巻はそんな聖の1テンポ遅れの恋心からスタートです。
真面目で思慮深くて優しくて、
時折ごく自然に彼氏の顔をして自分を恋人扱いしてくれる誠。
いざ好きを自覚してしまうとデートを成功させたいだとか、
今まで気にならなかったことを意識し出してしまう聖。
外見は身長185センチの陽キャイケメンなんですが、
その中身はまるで恋に惑い悶絶する乙女のよう…。
電話で休みの日にデートに誘うはずが好きが募り募って
「会いたい」と口からこぼれてしまうシーンは胸キュンもの!
そんな聖の不意の甘えたに、夜中にもかかわらず
駆けつけてしまう誠も男前でした~!
普段はニコニコしているのにこういう瞬間に見せる彼氏の顔、
ギャップがありすぎてノックアウトされちゃいました///
堂々と下心ある宣言をしちゃうのもまた誠らしいんですよね(〃艸〃)
言葉も態度も繕うことなくまっすぐに気持ちを伝えてくれる誠に
感情が溢れすぎて言葉よりも身体が先に動いて誠をすっぽりと
包み込むように抱きしめる聖に愛を感じました…。
これぞまさしく包容力受け?
この一件で二人の絆もより一層深まり、
日常でもイチャイチャがダダ漏れな二人にほっこりしちゃいます♪
一時は誠との向き合い方を思い悩んでいた聖も
気持ちを素直に言葉にするようになり、
ようやく正真正銘の恋人同士になったような気がしました。
後半は二人の初旅行編。
旅につきもののハプニングなどもなく、
二人らしい好奇心の赴くままに楽しむほのぼのとした初旅行に
終始笑顔にさせられっぱなしでした。
同じ部屋でお泊りということで進展も期待しちゃいましたが、
スロウペースな二人なのでベッドで押し倒されてのキスのみ!
それでも、この二人にしてはかなり色っぽい雰囲気が漂っていたり、
誠が攻めみ滲む表情をしていたりでかなりドキドキしちゃいました!
聖はキスの“その後”にもちょっと期待しちゃったみたいですが、
そんな簡単にそうはならないのがまた二人らしいんですよね♪
結果としてはキス止まりなのですが、
無意識に膝枕で手をにぎにぎしちゃっていたり、
心も身体も確実に距離感は縮まってるなぁ~と実感できた旅行編でした!
そして、ラストには聖から誠に同棲の提案がされて…!?
さらなる展開に次巻も楽しみすぎる~!
上巻から引き続きー
故郷を救うために竜のアダンの番となったヨナーク。
敵対する部族・オルクスの討伐や婚約者との別離を経て、
アダンとの穏やかな日常に戻りつつあるヨナークでしたが、
ある日、アダンが発情期を迎え…。
ヨナークを傷つけないよう遠ざけようとするアダン。
けれど、一人で苦しみに耐え続けるアダンを放っておくこともできず、
ヨナークは覚悟を決めて彼の元へ向かいます。
「日数×24時間の営みが必要」ということからもわかるように
竜の発情期というのは性欲がそれはそれは尋常ではないらしいのです。
人間の身体では耐え切れるものではないとアダンの弟・ルキウスからも
逃げるよう忠告を受けるヨナークですが、それでもアダンの苦しみを
和らげようと迷うことなく自らの身体を差し出してしまう辺りに
ヨナークという男の情の深さを感じました。
どんなに他者からひどく扱われようと、自身はどこまでも他者に優しい。
そんなヨナークだからこそ、アダンも大切にするのだろうなぁ、と。
対して最初こそ強引に抱き潰したり、と傲慢俺様野郎だったアダンですが、
同じ時を過ごした分だけヨナークへの愛もどんどん深まってゆき、
ヨナークが喜ぶような美味しい料理を作り、温かい衣服を仕立ててやり、
世話焼きなスパダリムーブが炸裂しちゃっております♥
明確な数字では記されてはいませんが、おそらく二人が番となって
既に半世紀以上は経っているのではなかろうかと想定されるのですが、
それだけの時を経ても未だにヨナークの元婚約者に嫉妬丸出しで
独占欲の強さも健在です。
色恋には鈍感なヨナークもアダンに大切にされていることを自覚し、
アダンと共寝できないことに寂しさを感じたり…、
いつの間にかヨナークに芽生えていた感情は紛れもなく愛でした。
そんな二人の甘やかな日々が微笑ましい一方、
ヨナークとアダンの出会いのきっかけでもある敵対部族のオルクスとの調和や
ルキウスを討滅した国家の影で暗躍する一族シュルツ家の罪が明かされるなど、
上巻で張られてきた伏線が回収されてゆきます。
あらゆる事象が複雑に絡み合っていて、その分文字数も増えてくるので
うっかり読み飛ばしてしまうとわからなくなってしまう部分もありますが、
緻密に作り込まれたストーリーは読めば読むほどに読者を引きこんでゆきます。
ルキウスとシュルツ家に纏わる一件で
一旦お預けになってしまうアダンとヨナークの物語でしたが、
最終話では数十年越しの両想いにぐっときてしまいました。
ずっと口にすることのできなかった互いへの罪の意識、
それを許し合うことでようやく想いを通わせられた二人。
二人の口からは最後まで「好き」なんて言葉は一つもなかったけれど、
これはもうそんなのとっくに通り越して“愛”なんだろうな。
ラスト1ページで見せるアダンの無邪気な笑顔に
胸が多幸感で満たされました。
人間嫌いな竜と、故郷で嫌われ者だった青年、
二人ののけものたちの物語は極上のハッピーエンドを迎えますが、
不死身な二人なのでこのイチャ甘ライフがこの先も続くのかと思うと、
二人のその後も永久に眺めていたくなってしまいました…!
重厚なファンタジー世界にどっぷりと浸らせていただきました。
物語の舞台は竜を神として祀り、獣人、人間が共存する世界です。
故郷の村を救うべく“鱗神”を探す旅に出た青年・ヨナーク。
3年の年月を経て、ようやく竜神のアダンの元に辿り着いたヨナークでしたが、
村を助ける対価として“番”になるように求められ…。
“番”というのはもちろん伽の相手という意味合いも含まれているわけで、
初っ端からかなり強引に抱かれてしまうヨナークが不憫…。
しかも、彼には故郷にかつて結婚を誓い合った女性もいたのです。
それでも、村のために、想い人のために自分の命も貞操もアダンに捧げ、
苦しそうに呻きながら抱かれる初夜は切なさの塊でした…。
その後もヨナークにとっての辛い日々が続くのかと思いきや、
意外にも二人の距離は順調に近づいてゆきます。
その境遇からしてみれば属性的には“不憫受け”なのだろうけれど、
自分の幸せよりも愛する者の幸せを優先し、
そのためならば3年にわたる孤独な旅路も、
男に抱かれようとも自分の運命として受け容れる男前なヨナークなので、
そこまでの悲壮感はあまり感じられず、それだけが救いでした。
傲慢な竜神を相手にしても委縮することもなく、
どれだけ組み敷いても心折れることなく勇敢でひたむきな
ヨナークの人柄にアダンの方から絆されてゆきます。
はじめこそヨナークに冷酷な態度を見せていたアダンでしたが、
旅の道中ではヨナークに美味しい食事を用意したり、衣服を繕ったり、
自分のことに全く頓着しないヨナークを甲斐甲斐しく世話を焼くように。
故郷の村でヨナークの婚約者が他の男の子を宿していることを知ると、
アダンは殺意を滲ませて静かに怒り狂います。
そして、その夜はいつものように自分勝手に抱くでもなく、
ヨナークをただ抱きしめて添い寝をしてくれるアダンに優しさを感じました。
ここまでは屋内野外問わず、性欲の赴くままに盛ってきたアダンですが、
この辺りからヨナークをやたら愛でるようになり、元婚約者に嫉妬したりと
無自覚にデレ始めていて甘ったるい空気に表情筋が緩んでしまいました。
けれど、当のヨナークはというと甘やかされても執着されても気付いておらず、
恋愛感情にはあと一歩届きません…。
不器用なアダンの想いよ、届け…!
後半はアダンの弟の登場や敵対する村と絆を築こうとするヨナークの試みなど、
さらにストーリーはますます込み入ってきます。
これ、あと1冊で収拾就くのかな?とページを捲る手を早めつつ、下巻へ。
“禁断のガチ兄弟BL”なんて一言でいってしまえば、
その設定自体はそう珍しくないのかもしれません。
だけど、切実な心理描写が、
決してご都合主義に展開してくれない物語が、
読者の心をとらえて離してくれないのです。
高校生の八尋はある日、兄のキハチが出ているゲイビを見つけてしまいます。
以来、兄と目を合わせることができず、眠れなくなってしまう八尋。
このキハチと八尋の兄弟は実の兄弟ではありますが、
外見や性格はあまり似ていません。
しっかり者で弟の世話を焼くことに生き甲斐を見出しているキハチと
部活で陸上競技をしているとき以外は天然ピュアっ子な八尋。
ただ、互いに弟を、兄を、誰よりも愛していることだけは同じで、
ブラコン兄弟なのでした。
けれど、自分が知らない兄の一面を知ってしまった夜から
八尋の中で兄への感情が大きく変わり始めます。
最初は単純に兄の情事を観てしまったことへのショックや
家族の性に触れてしまったことへの忌避感だったのではないでしょうか。
それが兄への情欲に目覚め、兄弟愛と恋愛感情がないまぜになってゆき…
眠れぬ夜が続いた末に八尋は倒れてしまいます。
そんな八尋の事情を知らず、愛する弟から避けられていることに
ショックを受けるキハチでしたが、八尋の友人の告白によって
弟が自分の秘密に気付いていたことを知ってしまいます。
そして、ある夜、キハチのベッドに潜り込んできた八尋。
キハチの背中にしがみつく八尋の股間は硬くなっていて…。
言葉にはしなくても全てを知り、知られてしまった二人の関係は
以前のようにはもう戻れないのでした。
セックスをしたい、という八尋を拒み切ることもできず、
フェラをしてしまったキハチ。
兄として最後の一線だけはなんとか踏みとどまったキハチですが、
弟の性欲処理を手伝っていたはずなのに、
弟に欲情していた自分に気付いてしまいます。
赦されないこととはわかっていても距離を置けば置く程に
互いを求め合ってしまい、遂に二人は身体を繋げてしまいます。
見るからに異性にモテそうな外見からも
はじめはそこそこ経験があるのかと思っていたのですが、
その無垢さからもおそらくセックス自体が初めてだったであろう八尋。
舌を絡ませるキスもその後に続く行為の準備も、
キハチに優しく導かれながら夢中でのめり込んでゆく八尋が
可愛くて可愛くて…これは絆され不可避でした。
焦れた兄をようやく自分のものにできたという八尋の興奮と
愛しい弟に求められたキハチの歓び。
結ばれて嬉しいはずなのに、甘さは限りなく削ぎ落されていて
張りつめる背徳感と切なさに胸が締め付けられます。
まるで恋人同士のように抱き合い、
兄と弟、それ以上に愛してることを自覚してしまった二人。
けれど、帰宅すると兄の部屋は空っぽになっていて。
それは八尋を愛しているからこそのキハチの決断でした。
掴んだと思った次の瞬間、突然兄を失った八尋の喪失感が
痛い程に伝わってきて胸が抉られそうでした。
誰にも知られなければ、秘密にしていれば、別にいいのに。
だけど、そうはならないからこそどうしようもなく焦がれて、
作中では描かれなかった二人のその先に
ハッピーエンドを思い描かずにはいられませんでした。
でも、きっと大丈夫。
電話口でキハチを必ず迎えに行くと言ってくれた八尋の言葉を信じているから。
これまでは兄に甘えて庇護されるだけだった八尋が
“あの人は俺がいないとダメだから”と固く誓うシーンはぐっときます。
描き下ろしはキハチがゲイビ出演に至った過程(親父は父親失格)や
遠く離れた兄を想う八尋のお話、2編が収録されています。
キハチを取り戻すため必死にプロを目指す八尋が男前に成長している…!
ラスト2ページではおそらく将来キハチを迎えに行ったときであろう
八尋とキハチのイラストがそれぞれに描かれていて、台詞はなくとも
二人の再会シーンとわかるそれにちょっと救われた気がしました。
あとがきにもあるように幸せになることが難しい二人ではあるけれど、
それでも二人が一緒にいて笑い合える未来が叶いますようにと
願ってしまいました。
頑なな上司が年下部下に迫られて陥落しちゃう瞬間が大好物です。
そんな好みど真ん中な本作。
29歳ゲイ、恋人なしの会社員・日下部には苦手な男がいます。
それはお昼休みにいつも訪れるカフェの店員・二階堂。
爽やかで丁寧な接客なのに、彼を前にするとなんだか落ち着かない。
けれど、ある日、日下部の会社に新入社員として二階堂がやってきて…。
部下と上司として二階堂と再会を果たした日下部ですが、
運悪くゲイであることがバレてしまいます。
脅される…と思いきや、まさかの二階堂もゲイで、
以来ぐいぐいアピールされるように。
恋愛なんてもういらない、と思っていたのに…
二階堂は日下部の拒絶もお構いなし迫ってきて、
「本気ですよ」「かわいい」と真正面からの猛攻に不覚にも
ときめいてしまう日下部。
口ではなんとか抗ってはいても顔は赤面しちゃってるし、
見えないところで二階堂とのあれこれを反芻し悶絶していたり、
久しぶりの恋愛に陥落しそうで陥落しきれない日下部の葛藤顔に
キュンとしちゃいます。
難攻不落に見えて意外にチョロすぎなギャップが可愛すぎる♡
最後は二階堂の献身・猛攻の末に 完 敗 。
これまで耐えてきた分が吹っ切れてしまったのか、
いざ付き合うとなるとデレが抑えきれなくなってしまう日下部。
そんな日下部のツンデレ落差に今までは飄々としていた二階堂の
余裕なさげな表情がたまりません!
描き下ろしでは名前呼びをしたい二階堂VS恥じらう日下部の
イチャ甘な後日談にニヤニヤが溢れてしまいました。
どうか、この二人の後日談のおかわりを所望いたします!
昼寝電灯先生の作品の中でもダントツ好きな1冊になりました。
オメガバース作品は結構な数を読んでいるのですが、
しんどい、切ないといった印象が濃いオメガバ作品において
これほどまでに温かくて優しい世界観や、攻めも受けも本能を制し、
誠実に向き合う二人というのもなかなか珍しいのではないでしょうか。
ある日、Ωの波止は訪れていた古書店で地震に遭い、
帰宅できなくなっていたところを店主の和巳に助けられます。
はじまりはそんな偶然のような、運命的なような二人の出会い。
後日、思わぬところで再会を果たす二人ですが、
Ωとαとして惹かれ合っている自身の本能に気付いてしまいます。
おそらく二人は運命の番というやつなんだろうなぁと思います。
だけど、それに気付いても気付かないフリのままにして
本能に流されることなく、Ωとαではなく、
古書店の店主と常連客からちょっと距離の近づいたただの二人として、
逢う度に互いのことを少しずつ知って、普通に恋に落ちてゆきます。
普通に話をして、笑いあって、
時間をかけてゆっくりと惹かれあってゆくのがとても心地よかったです。
Ωとαとして惹かれ合わないのなら
別にオメガバースじゃなくてもいいんじゃないの?という気もしますが、
オメガバースの世界観であえて普通に恋に落ちてゆくのがいいんです。
二人の年齢差は10歳ですが、常識も自制心もある大人の男性の和巳が
脇目も振らず波止にのめり込んでゆく姿にもキュンとしました。
普段は穏やかなのに、波止のことになるとこんなにも情熱的で余裕もなく、
一人の男をこんなにも惑わせてしまう恋が微笑ましいのです。
波止への告白では「ただ好きで、一緒にいたいんだ」と
飾らずにまっすぐに気持ちを伝える和巳に胸が高鳴りまくってしまいました。
そんな和巳に自分の中に溢れ出る言葉を尽くして一生懸命に伝えようとする
波止も可愛かったです。
あと、波止をすっぽりと覆ってしまう和巳大きな体や手に包容力が
滲み出ていたり、軽々と抱き上げてしまったり、二人の体格差も
萌えどころでした♪
身分違いの恋に、ファンタジー世界観に引きこまれ要素もりもり!
狼族が統治する小国の王子・リンユとテラは
身分違いながらも幼馴染みで秘密の恋人同士。
けれど、将来は王になるリンユと
異形の角を持つ忌み子として捨てられたテラとでは結ばれるはずもなく…。
そんなある日、リンユの元に他国から縁談が申し入れられてしまいます。
テラだけを愛していたい、けれど、国も守らなければならない。
一国と唯一無二の恋の間で葛藤するリンユが切ないです…。
一生涯に一人しか愛せず、番を失うと病になってしまうという
狼族の一途な習性が二人の純愛をよりいっそう際立たせていて素敵でした。
国の略奪を企む敵に命を狙われる危機に陥ったり、
忌み子だと思われていたテラの正体が意外な者だったり、と
ドラマチックな展開に引き込まれます。
最後はリンユが思い悩んでいた問題がテラの存在によって一気に解決され、
完全無欠のハピエンを迎えてくれました。
リンユの面影のある二人の息子ちゃんも可愛かったです♪