一穂ミチ先生の文章が好きだな~としみじみしました。
スピンオフですが単品で読めます。
私はひつじの鍵の方は頭では萌えるけど心ではピンと来なかったので、今回もどうかなぁと思いながら読みましたがどちゃくそ萌えてしまいました。
読み終わるとアンティミテというタイトルが沁みます。
「かつてない親密」「親密になりにいく」といった言葉が沁みて沁みて、あ~好きだなぁと思いました。
BL的な萌はもちろんなんですが、文章の気持ちよさがハマる感じというか。
受けの和楽くんが受けなんですがめちゃめちゃ攻めなので、しびれます。好き。(これは雪よ林檎の香のごとくの志緒くんが受けだけど攻めなのと同じ図かと)
攻め目線だったらとんでもないことが起きてるなぁと想像して笑ってしまうので、攻め目線でもこの話を読んでみたい気持ちです。突然自分の絵を好いてくれるスーパーパトロンが現れた!ですもん。攻めのシンデレラストーリーでもあるような、ないような…。シンデレラの攻めと王子様の受けだと思います。
私は和楽君がかわいくてしかたないです。和楽くんが攻めの群の絵を手に入れて嬉しさでぐるぐる回るところとか可愛いすぎてどうしようかと。
若干のメタ的言葉とか、時勢の言葉が多い気がするので、「今」読んでよかったなぁと思います。
(ポケベルが携帯になって携帯がスマホになってメールからLINEになって…みたいな時代の感じが)
自分と同じ時間に起きている出来事に思えて、同じ世界のどこかに和楽のギャラリーと群の絵がある気がする余韻に浸って、読後しばらく楽しかったです。
余談ですが、一穂ミチ先生が同人誌で後日談的小話を出されてますが、そちらもラブラブで良かったです。
前作スレイブ・ゲームのスピンオフになります。単品でも読めますが、前作CPもいっぱい出てきますので、読んでおいた方が楽しいかも。
間違いなく名作だと思うのですが、レビューが少ない気がするので、へたくそなレビューながら残しておきたいと思います。
変態性が強くてかなりカオスなので、読み手は選ぶかもしれませんが、歪んでいる自分を肯定しながら力強く進んでいく爽やかさがあって、読後に残るものがとても多いです。
レビュー内で前作のネタバレにも触れるのでご注意ください。
前作でも異常にエネルギッシュなオネエの変態弁護士だったトーマの物語です。歪んでいて暗くてシリアスで悲しくて切ない話なんですが、いかんせん本人がダイナミックでパワーあふれる明るいオネエなのでどん底ですがどん底にはなり切らない強さがあって素敵なんですよ。
前作でなんなんだこの強烈な変態は…と思っていたトーマのことが今作でとっても好きになりました。エロがたくさんありますが、エロっていうよりも変態です。
前作で500万円セックスを見てEDが直って元気になってハッピーエンドだったじゃん?続きなの?と思って読んだのですが、前半の過去パートの悲しさと切なさと、変態だけどカワイイ初恋、傷をなめあう濃厚なホモのレズセックス、大切な人とのショッキングであっけないお別れ…。大好きで憧れだった紳士な教授を逆レイプしたことと模範生から外れている自分の本質に対する罪の意識…
えー、カオス!濃厚!暗い!読み手のこっちはマジ泣いちまうよ!!って勢いなのに、過去の話を「茶目っ気たっぷりの昔話よ」って笑い飛ばすトーマに「湿り気たっぷりの怪談じゃね?」って返す話を聞いていた前作攻め!読んでるこっちはそんなやり取りに笑ってしまう…!いや、でも正直久々にBL小説でほろりと泣きましたよ、笑わされもしましたが…
なんというか、全体を通してこういった言葉選びのセンスが抜群に良くて楽しくて、ウィットに富んでいるというか…読みながらニヤリと笑ってしまう箇所が多数あり、読んでいて愉快なんですよね。このシリーズで初読みの作者様なのですが、とってもセンスがある方なんだなぁと思いファンになりました。
悲しい過去や暗くて重い罪を抱えて潰れてもおかしくないトーマが、たくましく明るくユーモアたっぷりに生き抜いていて、性に対しても前向きで。前作カプの応援やフォローもあって最後にハッピーを掴むラストがたまらなく爽やかで気持ちよく、読み終わった後に、こっちもエネルギーをもらえるような作品でした。
ただし、変態性は強い。
とにかく主人公の受けの秋人の境遇が厳しい!
あらすじとしては、よくある(?)なろう系小説で流行っているような感じの「異世界に召喚されたけれども、召喚されたのは友人の方で自分は望まれていないどころか厄介者でした」みたいな。
元の世界でも受けは母子家庭で幼いころに母が病死し、養護施設で育っていて、そして「お前はいらない」と言われていると感じながら育った子です。成績優秀、音楽の才能もあって本人も自分の力でいい大学に入っていい会社に入って…と思っている努力家で賢い15歳の男の子です。
異世界の神子として召喚されたのは養護施設で一緒に半年ほど育ち、秋人が面倒をみていた春夏、ぽやーっとした見目のいい男の子です。この子はこの子でいろいろあるようなのですが、秋人からしてみれば、養護施設に父親が迎えに来てくれた上、資産家の息子になって、うらやましい存在の男の子です。
異世界にきても、春夏は神子として大事にされて、自分は災厄を呼ぶものとして蔑まれー…という胸がえぐられる展開です。
嫌われるとかいう生半可さじゃなくて、まじで命の危機の連続で、サバイバル生活を余儀なくされるので、ウワーつらい…となりました。でも賢くて強くて優しい男の子なのでちゃんと一人で生きるんですよね、すごい…。つらい思い、痛い思いをしながらも生きていく受けのことがどんどん好きになります。
攻めは神子が選ぶ王候補の4人のうちの一人です。冷静で落ち着いていて、最初から秋人に優しくて守ろうとしてくれるこの作品の良心みたいな男です。ただ、春夏がこの攻めを王に選ぶかも…と思って受けはグラグラ揺れて…切ない思いをしたりするので、春夏にはムカついちゃいますね。
この作品の面白いなーと思ったのは、異世界から来た人間は神の水を飲まないと言葉が通じないという設定で、8割言葉が通じない中で攻めと受けがやりとりします。キスも性行も最初は言葉が通じない中で必要にせまられて行っているので、なんか切ないけど萌えます。この本の対になっている攻め目線の本では受けの言葉が伏せられて攻めが何を言っているのかわかるので、この本の次に読むとなるほどー!!になって面白さ倍です。対の本は説明臭さも若干増えるので、個人的には1冊目だけでも十分面白いですが、せっかくなので攻め編も読むべきかと。私は攻め目線の黒曜に導かれて~の本が出てからこの本を読んだのでストレス皆無でしたが、皆さんずっと発刊を待たれていたようで…それはほんとに待ち遠しいことだったろうなぁと思います。
神子の本は春夏にムカついちゃう気がして、私は読んでません。秋人のことが書かれているのなら、ちょっとよみたいな~とは思うのですが…。
とにかく、こんなに胸が締め付けられる話は久々だったので、かなり良かったです。攻めとクロと一緒に幸せになれる話でよかった!