無表情執着ワンコです。
表題作は、一見ワンコとわかりづらい、無表情でちょっと不器用なワンコ攻めに、受けが振り回されるという構図がとても良かったです。
しかも、実は○年ぶりの再会で、攻めは前々から…という執着攻めは大好物なので、ニヤニヤしながら大変楽しく読めました。
ワンコ=攻めの朗は、タイトルそのままにおバカなのかと思いきや、むしろ聡いというか鋭いところも十分にあって、たしかに飼い主の言うことを聞かないという意味では馬鹿犬なのでしょうけれども、「野球バカ」のような使い方での「御門バカ」という意味でもあるんじゃないかと思いました。
社交性があって周囲の人たちとも上手く付き合っているワンコは、世間に比較的多いように思うのですが、このワンコは、本当に、受けの御門以外は気にも留めない一途さなので…。
逆に朗が御門に振り回される形になる2話目の「負け犬エレジー」は、放置され続ける朗の孤独感が、切なくて切なくて胃が痛くなりそうで、それはそれでクセになりましたw
御門は男前なさっぱりした性格で頭も良いけど、朗への説明が足りなさ過ぎで。
いや朗の方も、元々表現力が育ってなくて、気持ちを上手く表せてないので、お互い様な部分もあるんですが…。
ラストで朗がちゃんと納得のできるかたちになって、本当にほっとしました。
この2話目だけでなく、表題作の方も、ラブコメっぽさの中にも、朗の野良犬っぷり(「茶鬼」さんの表現があまりにぴったりなのでお借りします。すみません)は、当初ほんのり痛々しく、それもまた私のツボでした。